次なる基本プレイ無料大型オープンワールド『七つの大罪:Origin』開発者が挑むのは「オープンワールド」の追求。ライバルだらけのジャンルだからこそ、直球勝負

『七つの大罪:Origin』のプロジェクトディレクターにインタビューを実施した。本稿では舞台設定や制作における狙いなどを訊いた。

ネットマーブルは、マルチプレイ型オープンワールド『七つの大罪:Origin』を2026年1月28日に配信予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/iOS/Androidで、基本プレイ無料となる見込み。

本作は鈴木央氏の人気漫画「七つの大罪」および同アニメ版を原作とするオープンワールドRPGだ。2019年にリリースされたシネマティックアドベンチャーRPG『七つの大罪 ~光と闇の交戦(ひかりとやみのグランドクロス)~』の後継作となっている。

『七つの大罪:Origin』での物語は「七つの大罪」とその続編である「黙示録の四騎士」の間のストーリーとして展開される。ブリタニアを舞台に、リオネス王国の王子トリスタンとなり、あるきっかけから混乱に陥ったブリタニアを救う冒険に赴くことになる。

今回は、Netmarble F&Cにて本作の開発を総括しているプロジェクトディレクターのク・ドヒョン氏にメールインタビューを実施。どうして「七つの大罪」と「黙示録の四騎士」の中間の時間軸を舞台として選んだのか、基本プレイ無料のオープンワールドタイトルとしてどのような点に力を入れたのかなどといった点を訊いた。

ク・ドヒョン氏

――簡単な自己紹介と『七つの大罪:Origin』のゲーム紹介をお願いします。

ク・ドヒョン氏:
こんにちは。私はNetmarble F&Cで『七つの大罪:Origin』の開発を総括しているプロジェクトディレクターのク・ドヒョンです。 『七つの大罪:Origin』は、Netmarbleがお送りする次世代オープンワールドアクションRPGで、原作の『七つの大罪』と、その後継作『黙示録の四騎士』をつなぐ新たなストーリーとキャラクターを盛り込んでいます。 広大なオープンワールドでの探検と戦闘、パズルや収集要素を自由に楽しむことができ、コンソール・PC・モバイルのマルチプラットフォームで、全世界のプレイヤーに向け、同時リリースする予定です。

――本作はマルチバースの世界観をベースに開発されたと聞きましたが、理由はありますか。また、どの程度原作シリーズが基準になっているんでしょうか?

ク・ドヒョン氏:
現在『七つの大罪:Origin』は、原作の『七つの大罪』と後継作の『黙示録の四騎士』の間の世界を背景にしています。 原作のストーリーを尊重しながら、ゲームオリジナルの新しい時間軸と事件を追加し、プレイヤーが自ら冒険を広げていくことができるように構成しました。つまり、既存のファンの皆さまには親しみがありつつも新しいストーリーを提供し、新たなプレイヤーの皆さまも入門しやすい独自の物語を提示したいと考えました。

――本作はメリオダスではなく、トリスタンが主人公です。このキャラクターを選んだ理由は何ですか。

ク・ドヒョン氏:
『七つの大罪』のストーリーが、一世代の物語を美しく締めくくったものだとすれば、『七つの大罪:Origin』はその次の世代への新しい出発点です。トリスタンは、メリオダスとエリザベスの息子であり、『七つの大罪』と『黙示録の四騎士』をつなげる重要な人物です。彼を主人公とすることで、原作のファンには新たな視点を提供し、初めて触れるプレイヤーには、新鮮で親しみやすい主人公を通して物語に没入できるようにしました。

――本作は完全オリジナルストーリーとのことで、パーシバルやナシエンスといったパーシバル隊、またランスロットやガヴェインなど「黙示録の四騎士」のメンバーは登場するのでしょうか。そのほか、マーリンやエスカノールが本作に何らかの形で登場することはあるでしょうか?

ク・ドヒョン氏:
今回の作品は、原作の主要な流れと世界観を尊重しつつ、私たちが新たに構築したオリジナルのストーリーラインを中心に展開されます。企画の初期段階から、原作ファンの皆さんに愛されてきた多彩で魅力的なキャラクターたちを一堂に集め、ゲーム内で共にプレイし楽しめるようにすることを目標としてきました。

そのため「黙示録の四騎士」のキャラクターが直接的に参戦するかどうかについては、まだ具体的にお伝えするのは難しい状況です。ですが、ストーリー展開に応じて「黙示録の四騎士」をはじめ、「七つの大罪」に関連するさまざまなキャラクターがゲーム内に登場する可能性があります。

――原作者である、鈴木央先生とのコラボレーションはどのように行われましたか。

ク・ドヒョン氏:
作者の鈴木央先生とは緊密にコラボレーションしています。オリジナルキャラクターの設定や原画も描いていただき、メインストーリーの展開についてのアドバイスを受け、原作の正統性を守りながらもゲームだけの独創的な解釈を加えました。

――「七つの大罪」をオープンワールドジャンルとして構成しようと思ったきっかけや背景は何ですか。

ク・ドヒョン氏:
『七つの大罪』の世界は、広大で多彩な地域に満ちています。原作に登場した場所や設定を実際に探検して体感できるようにしたいという思いがあり、これを最も忠実に表現できるジャンルがオープンワールドだと判断しました。プレイヤー自ら、フィールドを駆け回りながら隠された物語と冒険を発見する過程で、原作の魅力を新しい形式で体験できるようにすることが重要な目標でした。

――本作の進行システムはどのように構成されていますか。プレイヤーが探検を続けられるように誘導する動機付けの要素は何ですか。

ク・ドヒョン氏:
プレイヤーはメインストーリーに沿いながら、同時に自由に世界を探検することができます。 クエストの進行、環境パズルの解決、収集要素の探検がすべてプレイヤーの旅を豊かにします。また、地道な育成を通じてより強力な戦闘を経験することができ、各エリアごとにフィールドボスや新しいコンテンツと報酬が用意されていて、プレイの動機が維持されるように設計しました。

――マップ探検中に発見できる「隠し要素」や「サブストーリー」コンテンツがあれば、ご紹介をお願いします。

ク・ドヒョン氏:
原作で簡潔にしか言及されていなかった事件や、キャラクターたちの裏話をサブクエストと隠しダンジョンという形で解き明かしました。これらを通じてファンの皆さまは世界観の補充をしながら新しい発見の楽しさを得ることができ、原作を知らない方々も探検の過程で自然に世界観を理解できるようになります。

――オープンワールドはどのくらいの規模で実装されていますか。

ク・ドヒョン氏:
オープンワールドの大きさはリリース時を基準として約30平方キロメートルになります。

――プレイヤーがオープンワールド内で自由に楽しめる活動やコンテンツはどのようなものがありますか。

ク・ドヒョン氏:
自由に楽しめる探検、パズル、収集コンテンツの他にも捕獲、生活型の活動とサブクエスト、マルチイベントコンテンツなどを用意しました。これらを通じて、単なる戦闘中心のゲームではなく、様々な楽しみ方を提供します。

――本作ではオープンワールドである都合上、移動が多くなると思いますが、移動を飽きさせない工夫はどのようにしていますか。

ク・ドヒョン氏:
オープンワールドというジャンルの特性を活かすために、フィールドでは単純に敵と戦うだけでなく、探索や発見の楽しさを味わえるよう、さまざまな要素を用意しました。たとえば、移動中に自然に遭遇する敵の奇襲、環境パズル、収集要素、宝探しといったイベントが準備されています。さらに特定の地域ではストーリーと連動したワールドクエストやサブイベントが発生し、単なる目的地への移動そのものがプレイの楽しみとなるよう設計しています。

また、釣り・採集・採鉱・狩猟などで得た素材を活用し、料理やクラフトといった生活系コンテンツを楽しむことも可能です。さらにフィールドやダンジョンボスを討伐して特定のキャラクターのコスチュームを制作したり、捕獲システムで多様なペットを収集したりする楽しみも用意しました。

移動が多い構造であることを踏まえ、単なる走行の繰り返しによる退屈さを減らすために、地形を活用した移動ギミック(ジャンプ、グライド、泳ぎなど)を実装しました。時には戦闘へ、時には発見の喜びへとつながるリズム感のあるプレイサイクルを提供し、フィールドでの一瞬一瞬がストーリーや世界観への没入体験となるようデザインしたことが、本作の大きな特徴の一つです。

――これまで基本プレイ無料のオープンワールドゲームは数多くリリースされていますが、競合作品から学び、本作に活かされているポイントはありますか。

ク・ドヒョン氏:
実際、オープンワールドというジャンルにとどまらず、開発の過程で多様なゲームを分析し、プレイヤーがオープンワールドに期待する核心的な楽しみの要素を研究しました。

たとえば「探索の達成感」「生活系コンテンツ」「自由な移動や相互作用」といった部分はジャンル全般で重要な要素だと判断し、それを『七つの大罪:Origin』ならではの形で表現するにはどうすべきかを考えました。

ただし特定のゲームのアイデアをそのまま借りるのではなく、そうした共通する楽しみの要素を『七つの大罪:Origin』の独自の色に再解釈することに重点を置きました。

――そうした学びを経た上で、『七つの大罪:Origin』における競合作品との差別化はどのようなポイントでしょうか。

ク・ドヒョン氏:
『七つの大罪:Origin』が持つ最大の差別化ポイントは、「IP」「システム」「マルチプレイ」「ストーリー」であると考えています。

第一に、原作ファンの皆さんに長く愛されてきた「七つの大罪」の世界観を基盤としながらも、私たちが新たに構築したマルチバース的なオリジナルストーリーによって、これまでなかったストーリーを体験できる点です。原作とつながりつつも同時に新しいストーリーに出会えることが最大の強みです。

第二に、『Origin』独自の戦闘システムです。1人のキャラクターが3つの武器を自由に切り替え、戦闘スタイルを変化させられる仕組みは、他のオープンワールドRPGではなかなか見られません。加えて、編成したキャラクターたちがHPや主要ステータスを共有するシステムにより、単に個々のキャラクターの強さではなく、パーティ全体の組み合わせや戦略が重要になります。これにより戦闘の緊張感と協力の楽しさが一層高まり、プレイヤーごとに個性的なプレイスタイルを築いていくことができます。

第三に、オープンワールドの設計方式です。単に広大な背景を描くだけでなく、探索や発見の楽しみを引き立てるために、環境パズルや生活系コンテンツ、ペットシステムなど、多様なインタラクション要素を配置しました。プレイヤーが「生きている世界に入った」と実感できるよう設計したことが、他作品との大きな違いです。

最後に、『Origin』は基本的にシングルプレイで楽しめますが、サーバーベースで制作されており、多くのコンテンツをマルチプレイで共有できます。一人で味わう感動はもちろん、友人と共にオープンワールドを探索したりボスに挑んだりする体験まで可能である点は、既存のオープンワールドゲームではなかなか見られない特徴です。

――今後プレイヤーからのフィードバックをどのように収集し、反映する計画でしょうか。

ク・ドヒョン氏:
CBT、正式リリース後も継続的なフィードバックチャネルを運営する計画です。グローバルコミュニティの運営、SNSコミュニケーション、公式フォーラムなどを通じてプレイヤーからの声を絶え間なく聞き取り、定期的なアップデートに反映していきます。

――リリース後、コンテンツのアップデートはどのように運営される予定ですか。

ク・ドヒョン氏:
リリース後も定期アップデートを通じて新しいエリア、ストーリー、キャラクター、ボスコンテンツを継続的に追加する予定です。また、シーズン制のチャレンジミッションと協同コンテンツを提供し、プレイヤーの皆さまが楽しめる環境を整えます。

――ありがとうございました。

七つの大罪:Origin』は、PC(Steam)/PS5/iOS/Android向けに2026年1月28日に配信予定だ。

©鈴木央・講談社/「七つの大罪 戒めの復活」製作委員会・MBS
©鈴木央・講談社/「七つの大罪 憤怒の審判」製作委員会・テレビ東京
©鈴木央・講談社/「七つの大罪 黙示録の四騎士」製作委員会
© Netmarble Corp. & Netmarble F&C Inc. All Rights Reserved.

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