『アストラエ・オラティオ』戦闘には「格ゲー」の面白さを混ぜて、キャラクターには「ギャルゲー」の楽しさを混ぜる。ゲームディレクターが明かした“平成感”の妙味

『アストラエ・オラティオ』のゲームディレクターを務めるLim Jonggyu氏に、本作が醸し出す“平成感”のこだわりなどを訊いた。

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平成レトロなビジュアルをはじめ、「魔法」×「行政」というコンセプトや架空の東京を舞台とするストーリーで話題となっている、『アストラエ・オラティオ』。このたび東京ゲームショウ2026にて、弊誌は本作のゲームディレクターを務めるLim Jonggyu(イム・ジョンギュ)氏にインタビューを行った。その模様をお届けする。

『アストラエ・オラティオ』は架空の日本、東京を舞台に、「魔法」と「行政」をテーマとした物語が展開されるRPGである。開発はDynamis Oneが担当している。対応プラットフォームはスマートフォンを予定している。リリース日は未定となっている。

――まずは自己紹介をお願いします。

Lim Jonggyu氏:

『アストラエ・オラティオ』のゲームディレクターを務めております、Dynamis OneのLim Jonggyuです。ゲーム全体の設計と開発進行を担当しています。シナリオとアートによって生み出された世界を、実際に「プレイできるゲーム」として形にし、さらにライブサービスへとつなげていくことが、私の役割だと考えています。本日はよろしくお願いいたします。

――よろしくお願いいたします。早速の質問ですが、好きなゲームを教えてください。

Lim Jonggyu氏:

ジャンルを問わずゲーム全般が好きで、普段からさまざまな作品をプレイしていますが、特に好きなジャンルを挙げるならJRPGとアクションゲームです。JRPGでは『ドラゴンクエスト』や『英雄伝説 軌跡』シリーズ、アクションゲームでは『デビル メイ クライ』や『モンスターハンター』シリーズが好きです。

――今回出展しているカプコンのブースは、ちょうど『アストラエ・オラティオ』ブースのすぐ近くですね。視察などには行かれたのでしょうか。

Lim Jonggyu氏:

行きたいのはやまやまなんですが……いかんせん忙しくて見に行けていません(笑)

――本作の物語や世界観についてお聞きします。以前弊誌のインタビューにて、本作は「新伝奇」を表現したいとお答えいただきました。新伝奇は日本だと馴染み深いジャンルですが、日本の作品で描かれる新伝奇と、本作で描かれる新伝奇に違いや特徴はありますか。

Lim Jonggyu氏:

「新伝奇」については、シナリオディレクターがこのキーワードを選んだ理由や、そこに込めた明確な狙いがあります。

ただ、それについてはストーリーをある程度皆さんにお見せした後でなければ説明しにくい部分でもあると考えているため、現段階では詳しくお話しするのは控えたいと思います。ネタバレになってしまいますからね。ひとつ明確に言えるのは、今の時代にふさわしい、新しい「新伝奇」をお見せしたいと考えているということです。

――本作は平成レトロなビジュアルと世界観を押し出していますが、それらを現代に表現するなかで、レトロの良さと現代の価値観の調整をどのように行いましたか。

Lim Jonggyu氏:

重視したのは、当時のゲームで感じた面白さを、現代のプレイヤーにも自然に楽しんでもらえる形へと再解釈することでした。たとえば戦闘では、『ストリートファイターII』や『鉄拳』のような対戦格闘ゲームの面白さを構成している要素を分解し、相手の行動を読み、それに対応する判断の面白さや、攻防の緊張感を本作に合った形で取り入れようとしました。

また、「自由時間」のコンテンツでは、90年代の恋愛シミュレーションゲームで、「誰と時間を過ごすのか」「どのような関係を築いていくのか」と悩む楽しさを取り入れたいと考えました。その際、当時のプレイスタイルや表現をそのまま持ち込むのではなく、現在のプレイヤーが気軽に楽しめ、キャラクターとの関係性にも自然に共感できるよう調整することを重視しています。当時を知る方には懐かしさを感じてもらい、初めて触れる方には新しい面白さとして楽しんでもらう。それが私たちの目指している方向性です。

――私は30代なんですが、30代から見ると本作は興味深い作品になっていると思います。一方で、20代や10代、さらには韓国の20代の方々にも、本作のビジュアルに関する魅力は伝わっているのでしょうか。

Lim Jonggyu氏:

本作は「自分たちが良いと感じたものを次の世代にも伝えたい」という気持ちの表れでもあります。当たり前のことではありますが、昔は物語といえばテキスト中心で「読む」ものでした。しかし時代が変わり、今は「聞く」こと、つまり音声で楽しむことがメインになっています。そのため、ゲーム内メインストーリーのボイスをフルボイスで収録し、演出面でも3Dを積極的に活用しています。そのうえで、レトロの良さを表現するために、あえて手描き風のエフェクトを取り入れている部分もあります。

――現在公開されているキービジュアルの多くは夜を舞台に描かれています。本作には昼のシーンも用意されているのでしょうか。

Lim Jonggyu氏:

もちろん用意しています。これまで公開してきたビジュアルが夜のシーンに集中していたのは、まず都市が持つ神秘的な一面を皆さんにお見せしたかったためです。ただ、実際のゲームでは、プレイヤーが過ごす時間のかなりの部分が昼間になります。特区庁へ出勤して業務をこなし、魔法使いたちと出会い、事件が一段落した後には「自由時間」を通じて街を歩き回り、さまざまな人物と交流することになります。

――作中において、昼と夜は繰り返されるのでしょうか。それとも昼は昼、夜は夜で完全に別のコンテンツとして進むのでしょうか。

Lim Jonggyu氏:

(昼と夜の概念は)一日の時間の流れと、各コンテンツのコンセプトを通じて表現しています。表の世界に属するコンテンツでは昼の雰囲気を、裏側の世界に属するコンテンツでは夜や魔法を感じさせる雰囲気を配置する形で表現しています。

――本作のモチーフである「魔法」と「行政」を、それぞれどのようにゲームとして表現していますか。

Lim Jonggyu氏:

本作の出発点となったのは、「対戦アクションの面白さを持つキャラクターゲームに、魔法という要素をどう組み合わせるか」という発想でした。アートディレクターが描くビジュアルと、シナリオディレクターによる設定を一緒に発展させながら、「行政」と「決闘裁判」という要素が魔法使いたちの戦いに意味を与える、『アスオラ』ならではの世界を作り上げていきました。

「魔法」については、戦闘コンテンツの中できちんと表現できていると思います。「行政」に関しては今後紹介していく予定ですが、長期的なサイクルで進行するシミュレーションのようなコンテンツを通じて表現していく方針です。

――「行政」はCBTで体験できますか。

Lim Jonggyu氏:

何かしらの要素は入る予定ではあります。しかし、先ほど述べたように「行政」は長期的な期間で楽しむことを想定したコンテンツです。CBTの期間は長くないため、本格的な体験は正式リリース後をお楽しみに。もちろん、アートやストーリーを通じて「行政」という要素を感じ取っていただくことはできますよ。

――本作は競合が多いコマンドバトルRPGですが、他作品との差別化を狙った点や、演出、操作感のこだわりがあれば教えてください。

Lim Jonggyu氏:

本作は対戦ゲームを作品のベースに取り入れています。そのため、あらかじめ作品に用意されている「かっこいいビジュアル」を眺めるだけではなく、(戦闘を通じて)プレイヤー「自身が作り上げるかっこよさ」がある、という点が差別化のポイントだと考えています。ゲームの中で、いつどのタイミングでキャラクターの交代を行い、コンボをつなげるかによって、自分だけの「かっこよさ」を組み立てられる。これが本作ならではの魅力だと思っています。

――本作はスマートフォン向けに開発され、最適化された演出を楽しめるとのことですが、最近増えている折りたたみ式スマートフォンでプレイしても快適に楽しめますか。

Lim Jonggyu氏:

私のスマホを見てください(折りたたみスマホを取り出す)。自分のスマートフォンでも楽しく遊べるように本作は作られています。ディレクターの権力をここに使っています(笑)。

――このたび東京ゲームショウ2026に出展されましたが、今後も日本国内でのオフラインイベントやファン向けの発表を継続的に行っていく予定はありますか。

Lim Jonggyu氏:

本作は東京を舞台にしたゲームです。その東京で開催される東京ゲームショウにおいて、本作を初めて披露・紹介できたことを本当に嬉しく思っています。まだ具体的なスケジュールは決まっていませんが、今後も日本・東京の地で、オフラインイベントや生放送などを積極的に行っていきたいと考えています。

――最後に、本作を楽しみにしているファンのみなさまへ、メッセージをお願いします。

Lim Jonggyu氏:

『アストラエ・オラティオ』は今、本当に第一歩を踏み出したところです。ファンの皆さんに見せたい、聞かせたいストーリーがたくさんありますし、紹介したいキャラクターもまだまだたくさんいます。ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。よろしくお願いします。もうすぐCBTも始まりますので、そちらでもお待ちしております。

――ありがとうございました。

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Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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