ファンタジーMMORPG『ブループロトコル:スターレゾナンス』は、「長く遊べる」に向き合ったゲームに。開発者話とプレイに感じた“自由”へのこだわり

弊誌は今回、東京ゲームショウ2025に出展された『スターレゾナンス』を試遊する機会に恵まれた。また、本作のプロデューサーを務めるBOKURAの陳敏氏へのインタビューも実施。

パブリッシャーのX.D. Globalは、ファンタジーMMORPG『ブループロトコル:スターレゾナンス』(以下、スターレゾナンス)の日本でのサービス開始を2025年内に予定している。本作はオンラインアクションRPG『BLUE PROTOCOL』(以下、ブルプロ)と同じ「PROJECT SKY BLUE」の世界観をもとに、新たな作品として開発されたMMORPGだ。国内での対応プラットフォームは未定だが、海外向けにはPC/iOS/Android向けに配信中である。

弊誌は今回、東京ゲームショウ2025に出展された『スターレゾナンス』を試遊する機会に恵まれた。また、本作のプロデューサーを務めるBOKURAの陳敏氏へのインタビューも実施。美麗なグラフィックや爽快な戦闘により、気軽に「アニメの主人公感」を得られた試遊の感想や、開発のこだわりがうかがえたインタビュー内容をお届けする。

「アニメ感」へのこだわりを感じるグラフィックと演出

『スターレゾナンス』の概要をお伝えしよう。本作はバンダイナムコエンターテインメントとバンダイナムコスタジオの共同プロジェクト「PROJECT SKY BLUE」の世界観をベースに、竜族やバファリア神族とも違う、強大な力を持つ第3の種族が出現した世界を描くMMORPGだ。『ブルプロ』と一部世界観や地名などを共有しつつ、ゲームシステムやバランスを大幅に改修した新作MMORPGとして開発されている。

まず前提として『ブルプロ』ではなくあくまで『スターレゾナンス』を試遊した感想である。なので、『ブルプロ』でもそうであった……というところを紹介している点は留意されたい。今回の試遊で主に体験できたのは、序盤のストーリー展開と戦闘だ。まず印象的だったのは、とにかく「アニメ感」へのこだわりを感じるグラフィックと演出。ゲーム画面はどこを切り取っても美しく、トゥーンレンダリングを用いただけの、いわゆるアニメ“っぽい”CGではなく、アニメの空気感まで捉えたような美麗なグラフィックとなっている。ハイセンスなキャラクターデザインや街並みもその感覚を支えており、アニメチックなファンタジーの世界観が好きな人には刺さるビジュアルとなっている。これがスマホでもプレイできるというので驚きだ。

試遊して最初におこなうキャラメイクでは、時間の関係上すべての要素をじっくりと見ることはできなかったが、プリセットだけでも高品質なものが膨大にそろっており、なおかつ詳細設定も顔立ち、髪型からまつ毛などの細かい部分、腕、太ももといった体形にいたるまで細かく設定可能だった。ある程度適当に選んでも整った顔立ちになるキャラメイクは楽しく、『スターレゾナンス』世界への没入感を高めている。

本作のテーマの一つだという「主人公感」の言葉に違わず、理想のアニメ的なプレイヤーキャラを作る土台ができていると感じた。なお、試遊ではクエストを進めると、定期的に帽子や付け髭といったコスメアイテムも入手できた。ほかの入手方法は不明ながら、『ブルプロ』と同じく、好きな見た目、服装で美しいスクリーンショットを撮る楽しみ方も引き続きできそうだ。

ストーリーも、グラフィックと同じくアニメ的だ。記憶喪失の主人公に世話を焼く、金欠の美少女「アルーナ」や、雪だるまの格好をしているが、着ぐるみの下は美しい女騎士である「ティナ」などのキャラクターを中心に、序盤はコミカルにテンポよく進んでいく。デフォルメされたキャラが描かれたカットが挿入されたり、すでに一部日本語ボイスが実装されていたりと、こちらもグラフィックと同じく「アニメ感」へのこだわりが感じられた。メインストーリーに深く入っていく前に試遊は終了してしまったものの、定期的に挟まれるカットシーンも丁寧に作られており、ストーリーや演出は期待が高まる出来栄えだった。

簡単で爽快。気軽に「主人公感」を得られる戦闘

戦闘では序盤のフィールドでの戦闘や、いくつかのボス戦を体験できたが、印象的だったのは「わかりやすさ」と「爽快感」だ。

試遊ではまずキャラメイクの際に、8種の異なる戦闘スタイルを持つ「クラス」を選択した。クラスは『ブルプロ』とは「ビートパフォーマー」以外すべてが違うものとなっており、さらにそれぞれのクラスに2つの「流派」が存在する。流派ごとにスキルが異なるため、合計で16種類の戦闘スタイルを選べるようになっているのだ。筆者は風属性の槍による流れるような連続攻撃が特徴の「ゲイルランサー」クラスの「烈風型」流派を選択した。

戦闘システムはロックオンした敵を通常攻撃しつつ、スキルを発動するという一般的なMMORPGに見られるものだが、特徴的なのは回避。試遊では右クリックがダッシュ=回避に割り当てられており、思ったときにすぐ発動できる、わかりやすいキー配置となっていた。回避にはクールタイムがないため、キー配置的にもシステム的にも「回避を多用して戦闘を進める」ことが推奨されるゲームデザインとなっている。序盤ということもあり、回避が必要なほど敵の攻撃が激しいわけではなかったが、敵の攻撃をスイスイと回避しながら攻撃を当てていくのは単純に爽快感があった。

そして、回避をさらに爽快にしているのが「ジャスト回避」的なシステムだ。日本版の名称は不明ながら、敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避を発動すると、青白いエフェクトとともに、専用のモーションで敵の攻撃を華麗に回避できる。開発中ということもあり、具体的な戦闘におけるメリットは判明しなかったものの、スマートな動きで敵の攻撃を避けるのは気持ちが良い。ジャスト回避となる判定も比較的緩いため、アクションがそこまで得意でなくともアニメ的なカッコいい回避が繰り出せるのは、「主人公感」の演出として優れていた。

また、各クラスには「ULTスキル」というスキルが用意されており、使用するとカットイン演出とともに派手な技が繰り出される。ゲイルランサーのULTスキルは竜巻に敵を巻き込み大ダメージを与えるというもので、序盤のボスを含めほとんどの敵が瞬殺できる、まさに必殺技といった感覚のスキルだ。ワンボタンでカットイン演出を含む派手な技が繰り出せるのは簡単かつ爽快で、回避と同じく気軽に「主人公感」を感じられる要素となっている。

なお、一部の敵は倒すと「バトルイマジン」という姿になってドロップすることがある。これらを装備し戦闘中に使用すると、仲間として呼び出し、戦闘をサポートさせることが可能だ。試遊で手に入ったバトルイマジンは敵を引っかいて攻撃してくれるもので、攻撃後はすぐに消えてしまうため、いわゆるコンパニオン的なものではなかった。とはいえ、戦った敵が仲間になるという演出には、バトル漫画・アニメ的な熱さを感じられた。

以上が『スターレゾナンス』の試遊感想だ。試遊で体験したエリア「アステルリーズ」や、ULTスキル、バトルイマジンなどの要素は『ブルプロ』にも同じ名称のエリア・システムが存在していたが、それが『スターレゾナンス』ではどれほど違うのか、同じなのかは筆者にはわからなかった。しかし、アニメ調への強いこだわりを感じる美麗なグラフィックや、簡単な操作で派手な演出を楽しめる戦闘からは、気軽に「アニメの主人公になった感覚」を得ることができた。

新たに作られたストーリー部分の演出もクオリティが高く、新たなアニメ調MMORPGとして、『スターレゾナンス』は期待が高まる出来栄えだったといえよう。『ブルプロ』ファンには慣れ親しんだ惑星レグナスでの新たな体験を、ファンタジックなMMORPGを求めている人には新鮮な楽しさを提供してくれるはずだ。ハウジングといった『スターレゾナンス』独自の要素は試遊では体験できなかったため、これからの続報に期待したい。

長く遊んでもらうために、理念として掲げた「自由」

ここからは、本作のプロデューサーを務めるBOKURAの陳敏氏へのインタビューの模様をお届けする。

陳敏氏

――自己紹介をお願いします。

陳敏氏:
『スターレゾナンス』のプロデューサー、陳敏(ちんびん)です。

――『ブループロトコル:スターレゾナンス』についてご紹介をお願いします。

陳敏氏:
『ブループロトコル:スターレゾナンス』は、「PROJECT SKY BLUE」の世界観を基盤に開発されたアニメ調のMMORPGです。

――アニメ調のMMORPGが近年多数登場している中で、『スターレゾナンス』最大の強みは何でしょうか?

陳敏氏:
やはり「主人公感」といったところでしょうか。『スターレゾナンス』では皆様がアニメの主人公になれるような体験をお届けしたいと思っています。もちろん、主人公感にこだわらず、自分の作ったお気に入りのキャラクターでアニメのような世界を存分に謳歌していただけるのも特徴だと思います。

――倒した敵が仲間になり戦闘中にサポートしてくれる「バトルイマジン」は、アニメ的な『スターレゾナンス』の雰囲気にピッタリだと思いました。この機能以外にも、敵やモンスターと友好的にかかわれるシステムはありますか?

陳敏氏:
バトルイマジンは、一部のモンスターを倒すことによって制作できたりしますが、ほかにもモンスターを倒すと、一定確率でアイテムがドロップします。ドロップアイテムの中には、倒したモンスターがマウントとして登場する!なんていう効果を持ったものもあります。もしドロップしたら、そのモンスターは皆さまに“好かれている”のかもしれません(笑)

――戦闘はソロプレイも多人数プレイも歓迎されるようなデザインだというふうにお聞きしましたが、ソロプレイのみでゲームを進めることも可能なのでしょうか?

陳敏氏:
もちろんソロプレイも可能です。本作は理念として「自由」を掲げています。それは文字通り、自由気ままに楽しんでいただくことです。プレイヤーの皆さまの中にはソロプレイを望んでいる方ももちろんいらっしゃるので、マルチコンテンツにNPCとの共闘を取り入れるなど、ソロでも問題なくゲームを進められるようにしています。

――ハウジングといった、美麗なアニメ調の世界でののんびりとした活動は、戦闘と同じく求めているプレイヤーが多い要素かと思います。こちらは開発当初から実装を予定していたのでしょうか?

陳敏氏:
そうですね。やはりMMORPGとなると戦闘だけではどうしても物足りない部分があったので、皆さまに長期的に惑星レグナスで生活していただくには、「家」が必要なのかなと感じていました。そして、ただ家を提供するのではなく、皆様がその家で仲間たちと一緒に楽しめるようなコンテンツにしたいなと最初から考えていました。冒険の合間ののんびりとした生活もすごく大切だと思っています。

――たとえばマネタイズの手段を工夫するなど、MMORPGとして長期間運営するための戦略はありますか?

陳敏氏:
もちろんマネタイズも重要ですが、MMOを長期的に運営するために一番大事なのは、皆さまに長く遊んでいただくことです。なので、いかに長く遊んでいただけるようなコンテンツをお届けするのか、という部分を工夫しました。

たとえば、ゲーム内のクラスには流派があり、流派ごとにまったく異なる戦闘スタイルを体験できます。通常、ひとつのクラスを長時間遊んでいると飽きてきてしまいますが、流派を変えればそのクラスの別の一面を見ることができます。他にも生活コンテンツを充実させるなど、皆さまが長きにわたって惑星レグナスで生活していただけるような環境を整えたいと思っています。

――ありがとうございました。

ブループロトコル:スターレゾナンス』は2025年内に国内でサービス開始予定。国内での対応プラットフォームは未定となっている。公式Xでは、TGSの最終日にクローズドβテストの開催が告知されている。

Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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