Steam国産クラフトサバイバル『オメガクラフター』開発者ミニインタビュー。早期アクセス版の売上現状や、思わぬアクシデントなどを聞いた


Preferred Networksは3月28日、『Omega Crafter(オメガクラフター)』のSteam早期アクセス配信を開始した。価格は税込2800円。

『オメガクラフター』は、“ゲームの世界”を舞台にしたオープンワールド・サバイバルクラフトゲームだ。ソロプレイおよびオンライン協力プレイに対応。プレイヤーは、謎の妨害プログラムにより開発が難航中のゲームの世界に入り込み、妨害を発見・除去しながら、必要なゲーム内アセットを構築して完成に導く。

本作を手がけるのは国内のAIベンチャー企業Preferred Networks。今回は開発の中心人物である佐藤拓弥氏に、Steam早期アクセス配信を経てのゲームの現状や、苦労話を聞いた。

──自己紹介をお願いします。

佐藤:
『オメガクラフター』で開発責任者をしております佐藤拓弥です。『オメガクラフター』のプロジェクトの立ち上げから関わっております。

──『オメガクラフター』の早期アクセス配信おめでとうございます。いまのお気持ちはいかがでしょうか。

佐藤:
たくさんの方からポジティブな反応をいただいており大変嬉しく思っております!『オメガクラフター』はちょうど2年前からプロジェクトが始まり、初めは1年程でリリースする予定だったのですが、半年程作った所から「このゲームは面白い……!」とチームメンバー全員が思い、よりさまざまな要素を入れて面白さをできる限り向上させるために時間を費やすことにしました。この2年間は開発メンバー全員が全力で取り組んでいたので、その成果をしっかりと世に出すことができて良かったと思っております。今後も皆様のご意見を参考に、本リリースに向けてさらに面白くしていきたいと考えております。

──早期アクセス配信についてはスムーズにできましたか。

佐藤:
実はエピソードがありまして……。今回会社として初めてSteam上でゲームをリリースするにあたり入念にリリース日当日のタイムスケジュールを練っておりました。3月29日の12時にリリース予定だったため、10時からSteamページ上でリリースボタンの動作確認等を行い問題ないことを確認しておりました。

リリース直前の11時50分に再度リリース手順を確認していた所、「リリースボタンを押せない」ということに気付きました。かなり焦ってさまざまなポイントを見直していたのですが直る様子がなく、チーム全体で青ざめていたのですが、12時直前にリリースボタンを押すことができるようになり何とかリリースをすることができました。

原因は、11時のタイミングでリリーストレーラーをSteamページ上にアップしたことにより別処理が走っており、その間リリースがブロックされていたことでしたので、Steamでゲームをリリースする予定のある方は気をつけると良いかもしれません!


──『オメガクラフター』について改めて説明お願いします。

佐藤:
『オメガクラフター』は自動化とサバイバルクラフトゲームを組み合わせたゲームで、クラフトゲームにおける素材作成の部分をブロックプログラミングにより自動化できることが特徴です。グラミーというかわいいキャラクターにさまざまな命令を与えることで、素材の作成を自動化して強力な装備を作成し、サバイバルゲームの面白さである強力な敵に立ち向かうゲームとなります。マルチプレイでお友達と遊ぶこともできます。

──『オメガクラフター』について、ほかのクラフトサバイバルゲームと同様にいろいろな部分をアルファから変えたと聞いています。フェイズ別に内容変更について教えてください。

佐藤:
『オメガクラフター』の開発フェイズはアルファテスト、ベータテスト、早期アクセス版と大まかに3つに分かれています。

まずはアルファテストからベータテストについて振り返らせてください。アルファの反応で一番要望が大きかったのはマルチプレイでしたので、マルチプレイの導入がもっとも変わった部分です。建築では「高層建築がしたい」、「土地を均したい」等の要望が多くありました。なので、壁や床等を組み合わせて自由自在に建築を行ってその上をグラミーが走り回れるようにしたり、地形をテラフォーミングしたりできるようにしました。

また、UIのデザインや導線、表示等を一新しました。アルファテスト・ベータテスト共にアンケートを取得しており、アルファテスト時のUIのスコアは低くご意見も辛辣なものが多かったのですが、ベータテスト時はスコアが大きく上がり、ポジティブな意見が多くなりました。

次はベータテストから早期アクセス版リリースのフェイズです。ベータテストの反応で、ゲームのバランスやテンポ感に関してさまざまなご意見が寄せられたので改善を行いました。

具体的には、フィールドやバトル部分を改修しました。『オメガクラフター』のフィールドは自動生成プログラムにより多彩な地形が生成されますが、ベータテストの時は単調という反応がありました。このため、自動生成プログラムを根本から見直しフィールド探索をより楽しくする改修を入れました。バトルに関しても、キャラクターの操作性や敵の挙動を大きく改修しました。キャラクターの操作性は二段ジャンプやジャンプ攻撃等ができ、かなり爽快感が増したと思っております。敵の挙動に関しても各敵の動きのパターンが増え、よりさまざまなパターンのバトルを楽しめるようになっていると思います。


──逆にここを変えてはいけないと決めて変えなかったところを教えてください。

佐藤:
難しいプログラミングをゲーム攻略上で必須にしないことは、開発当初から一貫して変えませんでした。『オメガクラフター』はプログラミングをしたことがない方にも自動化の楽しさを体感してほしいと考え開発を開始したので、攻略上プログラミング経験の有無で詰まることのないようにプレイ感に配慮をして開発をしております。

──変更したのちに、前の仕様に戻した箇所はありますか。

佐藤:
バトルの難易度に関しては、アルファテストで簡単という反応が大きかったのでベータテストで難しめにしたのですが、今度は難しいという反応が大きくなったのでやや簡単めに調整しました。最終的には難易度を選択できるようにしたので、どのような方でも楽しんでいただけるゲームになっていると思います。


──現状の評価と売上について、どう見られていますか。

佐藤:
Steamのレビューでは多くのご好評をいただき、開発者一同大変嬉しく思っています!私達が面白いと信じて作り続けてきた「オープンワールドサバイバルクラフトとプログラミングによる自動化」という新しい組み合わせが、実際に多くのプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけたのだと思います。

売上に関してはおかげさまで好調です。また、我々と同様にSteamゲームを開発されている方にお伝えしたいのは、『オメガクラフター』のケースでは、ウィッシュリスト数を用いた売上予測は、ある程度の精度が出ていたということです。我々は『オメガクラフター』をもっともっと面白くしていきたいと考えており、「仕事」として捉えること以上に「情熱」をもって開発しております。しかし会社で開発している以上、売上をあげることは必須です。その根拠としてウィッシュリストの数値を見ており、その数値が信頼できないと今後の開発が危ぶまれる可能性もありましたが、好調な売上として返ってきて良かったです。

開発チームは今後も『オメガクラフター』を極限まで面白くしていきたいと考えていますので、引き続き応援いただけるとありがたいです!

──国別プレイヤー率を教えてください。

佐藤:
国別ではほぼ50%が日本国内の方にプレイしていただいており、残りが海外になります。海外ではドイツやアメリカの割合が高いです。売上を伸ばすという観点では海外が重要かと考えられますが、国内のプレイヤーに支持されているという状況ですので、国内の皆さんに楽しんでいただけるゲーム性をしっかりと作り上げていきたいと考えております。

今後のアップデートに関してはアップデートプランを公式ニュースからも出しており、新規バイオームの追加を中心としたさまざまなコンテンツ・機能の追加を行います。今後も応援いただけますと幸いです。


──ありがとうございました。

『オメガクラフター』は、Steam早期アクセス配信中である。