美少女ソウルライク『AI LIMIT 無限機兵』開発者、日本でやたら注目され喜ぶ。Steamウィッシュリストも日本が上位、恐るべし映像効果

パブリッシャーのCE-Asiaは、Sense Gamesが手がける『AI LIMIT 無限機兵』のリリースを2024年内に予定している。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5。本作は日本語表示/吹き替えに対応予定となっている。同作のトレーラーが、日本で多く見られているようだ。

パブリッシャーのCE-Asiaは、Sense Gamesが手がける『AI LIMIT 無限機兵』のリリースを2024年内に予定している。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5。本作は日本語表示/吹き替えに対応予定となっている。同作のトレーラーが、日本で多く見られているようだ。

『AI LIMIT 無限機兵』は、文明が滅びかけた終末世界を冒険するアクションRPGだ。舞台となるのは、原因不明の厄災によって人類による文明が滅びかけた世界。厄災後世界には、「原漿」なる謎の液体から生まれた得体のしれない怪物が、廃墟を彷徨うようになっていた。プレイヤーは解明不能の技術により生み出された人工生命体「機兵」の1人、アリサとなり、自らの使命を果たすため、怪物蔓延る終末世界へと旅に出る。

本作を手がけるのは中国に拠点を置くデベロッパー、Sense Games。本作は『AI LIMIT』というタイトルで、SIE上海による中国のゲームクリエイターを発掘するプログラム「PlayStation China Hero Project」に入選。長期の開発を経て2024年1月には『AI LIMIT 無限機兵』とタイトルを改め、2024年内の発売を発表した。


この情報発表以降、日本のプレイヤーからのウィッシュリスト登録が増加しているという。この度、弊誌では『AI LIMIT 無限機兵』のプロデューサーである楊濱(ようひん)氏にメールインタビューを実施。本作の開発エピソードなどを訊いた。

──自己紹介をお願いします。

楊濱(ようひん)氏:
AUTOMATON読者の皆さん、こんにちは。『AI LIMIT 無限機兵』プロデューサーの楊濱(ようひん)と申します。


──スタジオの開発環境やチーム体制について教えてください。

楊濱氏:
スタジオは四川省成都市にある、70年前に建設した工場の一部を借りています。所有者によれば、元々喫茶店に再開発する予定だったのですが、今は私たちのオフィスになりました。

Sense Games社内の様子


開発陣メンバーは、ほぼ全員アクションゲームのマニアです。でも今はみんなで力合わせて、『AI LIMIT 無限機兵』を完成させることに一心で、そんなにゲームを遊ぶ時間がないです(笑)。

──日本のユーザーからのウィッシュリスト入りが増えているという話を伺いました。

楊濱氏:
はい、そのとおりです。『AI LIMIT 無限機兵』が、日本で多くの関心や期待を頂いたことを大変うれしく思います。日本のゲームやアニメは、いつも大変勉強になっております。日本の皆様の意見、感想を心よりお待ちしております。スムーズに対応できるよう、パブリッシャーであるCE-Asiaから多言語のSNSアカウントを開設しました。日本語のXアカウントは@CEAsiaJPになります。皆様のフォローをよろしくお願いいたします。ゲームに関することはなんでも、気楽に話しかけてください。

──日本からウィッシュリストが増えたのは、どのタイミングでしたか。

楊濱氏:
今年の1月に公式トレーラーとSteamストアページを公開してからですね。

──日本からの反応で、嬉しかったコメントがあればいくつか教えてください。

楊濱氏:
「主人公や敵キャラのデザインが好き」や「アニメ風女性主人公のソウルライク作品を期待していた」など、さまざまなコメントをいただきました。がそのようなコメントをいただけて、すごく嬉しいです。オリジナルのデザインや新しいスタイルを試す時、いつも疑問的な感情に陥りがちですが、皆さんのコメントがその感情をとりはらってくれました。今後も努力していきます!

──今日本は国別でウィッシュリスト何位でしょうか。

楊濱氏:
現在は、日本、中国、アメリカがトップ3になっています。最初のころは、何日間に日本一位が続いていたんですね。最近は、その順位が毎日入れ替わっていて、あまり差がついていませんね。

──本作の開発期間はどれくらいになるのでしょうか?

楊濱氏:
2017年の頃、私一人でプロット版を作ったことが始まりなので、7年間ですね。そのプロット版は、今の『AI LIMIT 無限機兵』とは全然違う作品でした。それから大変ありがたいことに、2019年の「PlayStation China Hero Project」に入選を果たしました。PlayStation China Divisionの協力によってスタジオ規模も、ゲーム開発の企画も大きくなって、現在に至ります。ぜひ、このオリジナルの世界観のアクションRPGを皆様にお届けしたいです。

──改めて、『AI LIMIT 無限機兵』について教えてください。どのような部分がゲームの個性になりますでしょうか。

楊濱氏:
世界設定や、ストーリーは、少し変わっている終末世界をつくってみました。ゲームのタイトルが「AI」で始まっていますが、本作に登場するAIは、伝統的なSF作品のようなAI知能よりもさらに進化していて、まるで生き物のようなひとつの個体となっているのです。

ゲームシステムは、一般的なソウルライク作品と違い、スタミナゲージがありません。代わりに導入した「シンクロ率」という新しいゲームシステムが、戦闘の体験に大きく影響します。もっと詳しいゲーム内容はまた後ほど紹介しますので、ぜひお楽しみに。


また、本作の独特なアニメ風レンダリングは物理ベースレンダリングのような表現を目指しています。一般的なアニメ風レンダリングでは、キャラクターへの照明が比較的固定されています。ですが、本作のレンダリングは、リアルタイムに変化する照明技術を実現することに挑戦しています。

これらは、本作ならではの個性だと思います。また、オリジナルの世界、異なる目標を持つNPCキャラ、そして斬新な怪物やボスたちも、新鮮で個性的な点になれるかな?(笑)そういった個性を皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

──本作はどのような作品から影響を受けて制作しているのでしょうか?

楊濱氏:
まずはタイトルにある「AI」の部分ですね。自分は幼い頃からSFジャンルが大好きで、AIという技術に憧れています。2016年、AlphaGo対李世ドルの囲碁対局から、AI技術がこんなにも人類社会に強くインパクトを与えているのだなと感じまして、いつかAIをテーマにしてゲームを作ろうと思いました。AIブームがこんなに早く来るとは思ってもみなかったですけど(笑)

ほかには、2017年に上映されたした「BLAME!劇場版」ですね。本作はアニメ映画なのですが、次世代的なグラフィックにかなり感銘を受け、今回のゲーム開発にも活かされています。また、「BLAME!」のストーリーや世界観設定もなかなか興味深いですね。『AI LIMIT 無限機兵』は「BLAME!」の世界観と結構違いますが、影響は受けています。

──本作の世界観含むアートワークは、どういったところを参考にしているのでしょうか?

楊濱氏:
明確的な参考対象はありませんが、「BLAME!」や「攻殻機動隊」、「AKIRA」など素晴らしい作品の影響は受けていると思います。現代の要素をデザインに入れたことで、なかなか斬新なスタイルにできたと思います。実をいうと、制作の時に“国ごとの好み”をあんまり意識していなかったんですね。今はグローバルの時代、ウケがいいデザインは世界的に共通性があると思います。

──本作の開発でもっとも大変だったところをひとつ教えてもらってもよろしいでしょうか?

楊濱氏:
ゲームデザインに関して言えば、最大の難関はレベルデザインでした。皆様に自由に探索を楽しんでほしいと思うと同時に、ルートが複雑なりすぎないように気をつけないといけない。同時に、各地に配置されたNPCも、ある程度順番に沿って世界観とストーリーを開示していかなければならない。このバランスが凄く難しかった。マルチプラットフォームでのリリースを予定しているので、端末ごとのスペックを考慮し、デザインを妥協することもありました。総じて、レベルデザインが一番大変でしたね。

また、スタジオとしてアクションRPGというジャンルの開発が初めてで、開発初期から今までどんな問題が起きるかは全然想定できないというところも、苦労しました。振り返ってみると、多くの問題はアクションRPG開発の経験があれば避けれたなと感じます。しかし、今はもう仕上げ段階に入っており、じきに皆様にお届けできるところまで来ています。


──2019年に「PlayStation China Hero Project」に入選したとのことでしたが、SIEからどういった支援を受けましたか?

楊濱氏:
SIE様からは長期的なマネジメントコンサルティング、マーケティング、ブランディングなどをサポートいただきました。我々開発チームとしてはすごく大切なことです。さらに、高品質なミドルウェア、品質管理サービス、オーディオサポート、PlayStation Studiosの指導や開発アドバイスを無償で受けることができました。

──本作のゲームプレイは、ストアページの説明文を見る限り、かなり複雑に感じます。アクションゲームが得意な人向けの作品として開発しているのでしょうか?

楊濱氏:
それは違いますね。ある程度の難しさはあるものの、高度なプレイや精密な操作を要求することはありません。キャラクターの成長や、スキル、アイテムの組み合わせをうまく活用すれば、どんな強敵も倒せるでしょう。

──TGS2019では作品の試遊ブースを開いていましたが、その時の日本人プレイヤーの反応はいかがだったでしょうか?

楊濱氏:
当時は大勢の人が試遊に来てくださいました。「こういうゲームが期待している」、「ジャンルとグラフィックの相性が良さそう」などの感想も頂き、我々開発メンバーにとって大変励みになりました。日本のプレイヤーのゲームに対する情熱を感じましたね。自信を持たせ、ゲームを完成しなくては、と改めて思いました。

TGS2019『AI LIMIT』試遊ブース


──デモ版の配信や試遊イベントなどの予定はありますか?

楊濱氏:
デモ版の配信は計画しております。後ほど公式SNSアカウントで情報を掲載しますので、ぜひお楽しみに~。

──最後に、日本のユーザーに向けメッセージをお願いします。

楊濱氏:
皆様、『AI LIMIT無限機兵』に興味を持ってくれてありがとうございます!
本作は程よい操作感と独自の戦闘システムだけでなく、様々なキャラクターの成長要素もたくさん用意しました。個性豊かなキャラクターたちと濃厚なストーリーもきっと皆様の期待を裏切りません。皆様が主人公アリサと共にヘブンスウェルを探索する日を心から楽しみにしております!

──ありがとうございました。


『AI LIMIT 無限機兵』はPC(Steam)向けに2024年内にリリースを予定している。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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