ネコまみれボドゲ『キャリコ』Steam版開発元インタビュー。「早送り」の現代社会に癒しを届けたい。“鳥のゲーム”開発元がネコのボドゲをデジタル化した理由


パブリッシャーのFlatout GamesとデベロッパーのMonster Couchは3月6日、『Quilts and Cats of Calico(キャリコ~陽だまりネコとパッチワーク~)』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示にも対応している。価格は税込2198円。


『キャリコ~陽だまりネコとパッチワーク~』(以下、キャリコ)は、ケビン・ラス氏が手がけた同名のアナログボードゲームを原作とした、パズルゲームだ。プレイヤーは、いくつかの色とパターン(柄)をもつタイルを組み合わせてキルトを縫い上げる。同じ色やデザインのタイルを並べることで、ボタンを縫い付けたりネコを呼び寄せたりして、得点を得ることができる。ボードの上を自由に歩き回るネコをなでて遊んだりしつつ、高得点を目指してパッチワークをしていくことになる。

本作はリリース後、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約150件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得し、さっそく好評を博している。このたび弊誌は、本作の開発を手がけるポーランドのゲームスタジオMonster Couchにメールインタビューを実施。開発の経緯や、本作の特徴や魅力、開発元のネコに対する想いなどを伺うことができたので、以下に紹介する。


──スタジオの自己紹介をお願いします。

開発チーム:
私たちはMonster Couchです。25人のチームで、最高のデジタルボードゲームの制作を目指しています。ただ単にアナログゲームをデジタルにするのではなく、それ自体がひとつのゲームとして面白い作品となるように開発に励んでいます。

──本作の特徴について教えてください。

開発チーム:
本作の特徴は、やはりネコですね!ネコは本作で大きな役割を果たしており、自分のネコをクリエイトすることができます。ゲームプレイでは、プレイヤーは自分用のボードの上でカラフルなパッチタイルを組み合わせて、キルトを作っていきます。タイルの組み合わせによって、ボタンを縫い付けたり、特定のデザインが好きなネコを招き寄せたりすることができ、スコアを得ることができます。

オリジナルのボードゲーム版と比較した場合、本作にはたくさんのキャラクターが登場するストーリーモードが用意されているほか、デジタル版のためにデザインされたミニゲームが複数存在しています。またやりこみ好きのプレイヤー向けに、オリジナル版より難度の高い「最高のキルト職人チャレンジ」も用意しています。


──本作は同名のボードゲーム『キャリコ』が元になっていますが、なぜ3Dグラフィックでデジタル化しようと思われたのでしょうか?

開発チーム:
本作を制作した理由はシンプルです。Monster Couchはネコが大好きなのです。また私たちはキルトのやわらかな手触りを伝えるために、本作を3Dで制作すると決めました。最初のプロトタイプ版を2Dで素早く開発したのち、本作の見た目や体験を特別なものにするため、多くの作業をおこないました。

ストーリーモードの開発にもかなり注力しました。ネコだらけの世界を創造し、プロットやキャラクターたちを作っていくのはエキサイティングな仕事でした。またキャラクターのボイスは、私たちのチームのメンバーが担当しています。誰がどのキャラを担当したのか本人しか知らなかったので、みんなで誰がボイスをやっているのか当てあうミーティングは楽しかったです(笑)

──開発チームにはボードゲーム版の『キャリコ』が得意な人はいますか?

開発チーム:
上手な人もいますよ。実は当初、本作のチャレンジの一部を難しくしすぎてしまったと感じており、チャレンジのコンプリートが無理になってしまったのではないかと心配でした。ところが得意なテスターが見事クリアしてみせたので、とても驚きました。最高のキルト職人チャレンジもクリア可能であることを確認済みです。

初めて本作を遊ぶプレイヤーのために、コツをご紹介します。まず、ボードの端のタイルの柄とネコが好む柄をよく見比べてください。端のタイルを活用することで、より簡単にネコを招くことができますよ。

また、指定デザインタイルの黄色のボタンを三つ取ることを目指すのは、やめた方がよいですね。代わりに、黄色二つと青色一つのボタンを取ることを目指した方がよいでしょう。

──本作はとにかくネコ尽くしですが、特にこだわって制作した点はどこですか。

開発チーム:
こだわった点は、ネコのエディターですね。エディターの最初のバージョンを作ったあとに、もっといろんなことができると気づいて、ネコ用の帽子と服をデザインしたりどんどん要素を追加していきました。ネコのカスタム要素を追加していくのはとても楽しい作業でした。作業の最後に、ネコの名前や見た目を自動で決めてくれるランダムボタンを追加しました。これはプレイヤーからもとても好評をいただいてます。


──Monster Couchでは過去に、鳥を題材としたアナログゲーム『WINGSPAN (ウイングスパン)』のデジタル版を開発されています。今後デジタルゲームにしてみたいアナログゲームはありますか。

開発チーム:
はい。詳細は明かせませんが、実はデジタル化に取りかかっているタイトルが複数存在します。

──ネコのゲーム『キャリコ』開発にあたって、鳥のゲーム『ウイングスパン』の開発はどのように活かされていますか?

開発チーム:
ウイングスパン』の開発からは多くのノウハウを得ており、『キャリコ』の制作にも活かされています。ゲーム開発に不可欠なモジュールをすでに制作していたためゼロから開発を始める必要がなく、ゲーム内の要素の制作に集中できました。

ただ、私たちはいつも自分たちのゲームに新しい要素を追加していきたいと思っており、ボードゲームのデジタル化について知見を深めていきたいと考えています。『キャリコ』の開発では、3Dグラフィックの領域を深く掘り下げました。私たちはプレイヤーの動作に反応して動く3Dモデルのネコを制作し、やわらかで沈みこむようなキルトの質感を再現するためシェーダーを特別にデザインしました。困難でやりがいのある仕事でしたが、出来栄えにはとても満足しています。

また『キャリコ』の開発と同時進行で、『ウイングスパン』のオンラインモードの改良などもおこなっていました。両作は同じオンラインシステムを使用しているので、双方の開発を早く、容易におこなうことができました。

──最後に、日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします

開発チーム:
現代社会の生活はいつも早送りのように慌ただしいと感じています。そうした喧騒から離れるひとときの癒しになればと思い、本作を制作しました。本作は「やあ、いっしょにちょっとゆっくりしていかないか」という私たちなりの表現です。私たちは、ゲームは人々の距離を近くして、リラックスできる空間を提供し、プレイヤーが笑顔を分かち合えるものであってほしいと思っています。キュートな雰囲気と愛くるしいネコでいっぱいの本作は、そんな遊び方にぴったりなゲームだと思いますよ。

日本がネコ好きの国であることは知っていますし、私たちも皆さんと同じようにネコの大ファンです。ネコはただのペットではありません。ネコは、あなたに笑いや静かな仲間が必要なときを分かっている、まったりした相棒です。私たちはそうしたネコの精神を、ゲームのなかに写し取りたいと思いました。本作は、自由にキルトを作りながら、とっても可愛いデジタルのネコたちとたわむれて、穏やかで心地よい感覚を抱いてもらうための作品なのです。

世界が少し早く回り過ぎていると感じるときは、平和で楽しい小さな空間を見つけるのはとても大事なことだと思います。完璧なキルトの制作に集中してもよいですし、ただモフモフした友だちと遊ぶこともできる、『キャリコ』があなたのくつろげる場所となることを願っています。

──ありがとうございました。

『キャリコ~陽だまりネコとパッチワーク~』はPC(Steam)向けに発売中だ。ゲーム内は日本語表示に対応している。価格は税込2198円。