荷物整理対戦ゲーム『バックパック・バトル』デモ版、日本だけでSteamで17万ダウンロードされていた。人気の理由は「ドイツ人と好みが似てるから?」開発者に話を訊いた

松竹株式会社は3月8日19時、PlayWithFurcifeが手がける荷物整理対戦ゲーム『バックパック・バトル』の早期アクセス配信を国内向けに展開する。弊誌では、開発元であるPlayWithFurcifeへのメールインタビューを実施した。

松竹株式会社は3月8日19時、PlayWithFurcifeが手がける荷物整理対戦ゲーム『バックパック・バトル』の早期アクセス配信を国内向けに展開する。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は日本語表示に対応している。


『バックパック・バトル』は自動戦闘とバックパック整理の要素をかけあわせた、対戦型ゲームだ。プレイヤーはバックパックへアイテムを詰め込んで自身を強化し、ほかのプレイヤーと戦う。本作は昨年5月に無料デモ版が配信。デモ版は作品の中毒性や、頻繁なアップデートが話題を呼び、ぐんぐんとプレイヤー数を伸ばし、ピーク時には同時接続プレイヤー数1万8000人を記録している。

国内でも人気を博しており、デモ版はのちに日本語対応。松竹株式会社というバックアップを得つつ、3月8日に早期アクセス配信を迎える。この度、弊誌では、開発元であるPlayWithFurcifeへのメールインタビューを実施。本作のインスパイア元や、デモ版の反響、開発者チームのお気に入りアイテムなどを訊いた。

──自己紹介をお願いします。

こんにちは、PlayWithFurciferのDoroとMarioです。私たちはドイツのインディースタジオで、現在『バックパック・バトル』の開発をしています。

写真左がDoroさん、右がMarioさん


──スタジオの開発環境やチームメンバーについて教えてください。

私たち二人だけです。一緒に住んでいる家で開発をしています。二人とも情報科学の修士号を取得していますから、プログラミングは一緒におこなっています。それ以外の部分だと、Doroがサウンドデザインの大部分とアート面のすべてを作り、Marioがゲームプレイに関わる箇所に集中しています。とはいえ、ゲームのどの側面も最終的には二人とも関わっています。

──本作はさまざまなジャンルの作品をミックスしたような印象を受けます。どういった作品からインスピレーションを受けたのでしょう?

『バックパック・バトル』は、ゲームシステムそのもの、あるいは参照元という形で、大好きなゲームの多くからインスピレーションを得ています。なかでも一番のインスピレーションは、完全に自分のペースで遊べる名作オートバトラー『Super Auto Pets』といえます。アイテム管理の面ですが、システム全体は『Backpack Hero』と『Diablo 2』から、アイテムを組み合わせるという点は『Dota 2』から影響を受けています。

最後に挙げておきたいのは、こうしたゲームのビジュアルやサウンドを好きになるきっかけとなった『ハースストーン』です。ゲーム内で触って動かせるオブジェクトを作るというアイデアをくれたのも『ハースストーン』です。何かしら影響を受けた作品でいえば『ドラゴンクエスト』シリーズ、『ファイナルファンタジー』シリーズ、『マジック:ザ・ギャザリング』や『ポーション クラフト』などが挙げられます。


──昨年5月に配信されたデモ版が話題となりましたが、どの要素がユーザーに支持されたと思いますか。

難しい質問ですが、非同期マルチプレイヤーという要素が大きな理由ではないでしょうか。それによりプレイヤーは対戦しつつ時間を十分に取れますし、対戦相手とのネガティブなやり取りをせずに済みます。

意外にもカードゲームコミュニティからも大きな関心が寄せられていて、どうやら『バックパック・バトル』の奥深さが受けているようです。

──デモ版が話題となった時、開発メンバーはどういう反応をしていましたか?

すごくワクワクしました!プレイヤーからのこうした反響は、私たちのようなインディーデベロッパーの人生を変えうるものです。好きなことを仕事にして生活ができるようになりますから(笑)。そしてもちろん、ゲーマーたちのもつ要望をすべて満たしたかったので、毎週新しいコンテンツを実装していきました。

──プレイヤー全体としてはどういった国のプレイヤーが多く遊んでいたのでしょうか?

体験版が一番ダウンロードされたのはドイツで17万1000人、次いで日本が16万8000人と非常に近かったです。


──デモ版のダウンロード数は、そこまで日本が多かったんですね。日本のユーザーに受け入れられた理由で思いつくことはありますか?

複数の理由があるのではないかと考えています。まず、パブリッシャーのIndieArkと最初期から協力することで、プロによる質の高い日本語翻訳を早くに実装できた点があります。

……あとはドイツと日本のゲーマーの好みが近いのもあるかもしれません(笑)どちらもRPG風のシステムや効率化、物の整理整頓が好きな傾向があります。そしてもちろん、Doroのアニメ愛が垣間見えるアートスタイルでしょうね。

──初心者に向けて、本作のゲームプレイのコツを教えてください。

ビルドをショップまかせにして、来たものを買ってみましょう。アイテムの買値と売値は同じなので、ためらわず買えますよ!使用するスタミナ量に気を配るのも重要です。バックパックの中に武器が多すぎると、攻撃に使えなくなるかもしれません。

──今回リリースされる早期アクセス版は、デモ版とどう違うのでしょうか?

早期アクセス版では新しい二つのクラス、パイロマンサーとバーサーカーを追加します。どちらも大量のクラス限定アイテムと5つの異なるサブクラスつきです。また、現存するクラスも2つのサブクラスと、新たなクラスアイテムがそれぞれ追加されます。フレンド同士でリアルタイムに対戦できるロビーモードも開発中なので、準備ができ次第早期アクセス版限定で実装します。

──開発者のみなさまはデモ版のプレイヤーが使っていて驚いたビルドなどはありますか?

たくさんありました!私たちの見たことないビルドコンセプトを、いつも目の当たりにしていました。

体験版の初期に、最強格のビルドが突然石を限界まで使い始めた時期がありました。石は一番安いアイテムで通常はかなり弱いのですが、プレイヤーたちがすべてのバフを石のダメージに乗せた結果、大きな脅威となったのです。

ですが、石投げ戦法のカウンターとして意外なビルドが出てきたのです。当時、ホウキは敵が攻撃を外した時に攻撃し返せるという性能でした。それを利用し、ブラインドのデバフを相手に与え続けることで石を回避し、そして投げられる石があまりに多いため、ダメージの非常に低いホウキで大量の攻撃をするという戦法です。


──開発スタッフのみなさまの好きなビルドやアイテムは何ですか?

お気に入りはその時々で変わりますが、敵にダメージを与えると自身をヒールする「癒やさずの杖」を中心に据えたリーパーのビルドは一、二を争うほどのお気に入りです。マナや充分な回復量を確保する必要があり習得は難しいですが、その価値はあります。


ゴールドの代わりにランダムなアイテム、それも他クラスのアイテムすらも与える「プレゼント」も相当なお気に入りの一つです。もともとクリスマス限定で追加されたものですが、このシステムを復活させることも考えています。あるいは5体目のキャラクターとしてとか……。

そうだ、さまざまなアイテムを食べてその効果を得るスライムの「スラバート」もありましたね。成功するのは難しいですが、アイテムを5つ組み合わせると強力なレインボースライムになるといったものです。

──最後に、日本のバックパックバトルファンにメッセージをお願いします!

日本のファンたちが『バックパック・バトル』の成功に寄与していただいたことに、非常に感謝しています。それと、いつもフレンドリーに接してくれてありがとうございます。本当に助かっています。できるかぎり楽しいゲームになるように、今後も改善をしていきます。早期アクセス版を楽しんでいただけることを願っています!整理整頓を楽しんでください!

―― ありがとうございました。


『バックパック・バトル』早期アクセス版は、PC(Steam)向けに3月8日19時に配信予定だ。

[執筆・編集:Tamio Kimura]
[翻訳:Rikuya Melichar ]

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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