「採算無視?」の立体音響版「グランディアのテーマ」はなぜ生まれたのか?岩垂徳行とツーファイブに訊く、今こそゲーム音楽を立体音響化すべき理由

CRIグループで音響制作会社のツーファイブは近年になり新たなスタジオを3つ開設した。DolbyAtmos対応スタジオでの取り組みの一環として、『グランディア』のBGM「グランディアのテーマ」をDolbyAtmosミックスし、立体音響化したという。なぜ「グランディアのテーマ」を立体音響化するに至ったのだろうか。

CRIグループで音響制作会社のツーファイブは近年になり新たなスタジオを3つ開設した。開設されたスタジオの中には、DolbyAtmos 7.1.4ch環境を備え、立体音響に対応したものもあり、立体音響音源の再生だけでなく、立体音響化まで可能となっている。

今回、DolbyAtmos対応スタジオでの取り組みの一環として、『グランディア』のBGM「グランディアのテーマ」をDolbyAtmosミックスし、立体音響化したというのだ。DolbyAtmosとは、音源を立体的な音感を楽しむことのできる「イマーシブ(没入型)サウンド」の1つで、映画にもよく採用されている音声フォーマット。前後左右からの音だけでなく、頭上方向や高さ方向の音が追加されているため、普段聞いている音源がさらに立体的に楽しめるというのだ。

近年、イヤホンやスピーカーなど家庭でも手軽に楽しめるものが増え、これからさらに発展していくであろうDolbyAtmosだが、今回なぜ「グランディアのテーマ」を立体音響化するに至ったのだろうか。

今回、オリジナルの『グランディア』の作曲を担当した岩垂徳行氏、そして立体音響化に携わったツーファイブの藤原文吾氏、丑山智一氏にリモートインタビューを実施。「グランディアのテーマ』のDolbyAtmosミックスの制作の裏話や、ゲーム音楽の立体音響化のお話をうかがった。

──自己紹介をお願いします。

岩垂徳行(以下、岩垂)氏:
作曲・編曲家の岩垂徳行と申します。携わった作品は『LUNAR』、『グランディア』、『ラングリッサー』、『逆転裁判』の一部作品などをやらせていただいております。最近携わったもので言えば、6月に発売される『LOOP8(ループエイト)』というRPGのゲームの作曲を担当しております。よろしくお願いいたします。

──岩垂さんはゲーム業界での活躍もかなり長いですよね。携わった作品もかなり多いと思いますが、近年になっても活動のペースは変わらずでしょうか?

岩垂氏:
長年にわたってやらせていただいていますので、作品は相当な数になっています。昔はやたらといっぱいやっていたのですが、最近は楽曲の音数が増え、やることが増えていったというのもあってペースはやっぱり落ちてますね。けれども、ありがたいことに本当にずっと作曲家・編曲家としていろいろやらせていただいています。

──ありがとうございます。ツーファイブのお二方も自己紹介お願いいたします。

藤原文吾(以下、藤原)氏:
ツーファイブ取締役の藤原です。取締役という立場ではありますけれども、25年ぐらい営業として音響制作の受託などをやっています。本プロジェクトのプロデューサーです。

丑山智一(以下、丑山)氏:
営業として音響制作の窓口を担当している丑山と申します。岩垂さんとは『キミキス』『アマガミ』の時から…もう20年近くでしょうか、ずっとご一緒しています。

岩垂氏:
もう20年ですか。

丑山氏:
たぶん20年ぐらい経つと思います。当時アルバイトでしたが『トゥルー・ラブストーリー3』からずっとですね!

──ありがとうございます。早速ですが、今回なぜ「グランディアのテーマ」をDolbyAtmosにてミックスすることになったのでしょうか、経緯を教えてください。

藤原氏:
ツーファイブで立体音響スタジオを作ったときに、最初にやるべきなのは、なんなのかと考えました。で、「グランディアのテーマ」は25年近くずっと聴いている思い入れのある楽曲で、「グランディアのテーマ」を立体音響化したらどうなるんだろうという興味が非常に大きかったので、エンジニアと相談をしながら立体音響のプロジェクトを立ち上げ、今回岩垂さんにオファーをさせていただきました。

丑山氏:
社内でまず何やろうかと話したときに、真っ先に岩垂さんの曲で何かできないかという話になりましたよね。

藤原氏:
今回「グランディアのテーマ」をミックスするにあたって、『グランディア』の発売年である1997年当時のマルチトラックでレコーディングされたデータを岩垂さんがご自宅で保管してくださっていて……。それも大きかったですね。

岩垂氏:
僕も立体音響に対してとても興味をもっていたというのがあります。加えて、世の中的にも立体音響に関してのスキルをつけて楽曲を作っていこうという気風が高まりつつある。そのこともあって、だったらやってみようじゃないかと。

これまで立体音響というのは、聴く側としての再現が難しかったところもあるんですけれども、近年になってAirPodsProやサウンドバーといった、手軽に楽しめる機器が増えたことにより、ようやく僕たちも立体音響を楽しめるようになってきて、需要も出てきたんじゃないかということで、今回、ミックスに動きました。

──岩垂さんはオファー頂いた時、最初は正直どう思われましたか。

岩垂氏:
やれるんだったらやってみたい、と。今までDolbyAtmosの事例は臨場感を出すような使い方が多かったけれど、そうじゃなくて、せっかくゲーム音楽なんだから、ゲームのような面白さをDolbyAtmosの中でも作りたい想いが僕の中でコンセプトにあって、それを再現してもらいました。つまり、僕の頭の中を再現してもらったのが今回の音なんですよ。

──長年の野望として抱いてたものがあったんですね。

岩垂氏:
立体音響に関していえば、中学生の頃からずっと興味をもっていて。たとえば、オーケストラ曲を聴く場合、オーボエ、フルート、バイオリンといった楽器ごとのスピーカーをオーケストラみたいな感じで配置したら、本物のオーケストラっぽく聴こえるんじゃないか、と。そしてそれらの音が自由自在に配置が移動したら、これは面白くなるだろうと、ずっと思っていました。

1990年代にダミーヘッドと言われる、頭の形をしたマイクがありまして。耳のとこにマイクが付いてる……ちょっと変わったやつ。ヘッドフォンで聴いたときに、すごく立体感が出るというもの。そのダミーヘッドを目の前に置いて、スピーカーを持ちながら音を動かしたりみたいな実験を当時やっていたんです。自分でもRolandのCS-10EM ASMRというイヤフォンにマイクも付いている、バイノーラルマイクロフォンイヤフォンを購入して遊んでいました。

それでもなかなか満足できる立体音響にはなってなかった記憶が僕の中にはありましたね。スピーカーからの音はもちろんですが、ヘッドフォンでしか聴けないのも満足できなかった。映画館とかテーマパークでも立体的に流れる仕掛けはいっぱいありますよね。ああいうのを聴いているうちに、やっぱりこういう体験を僕らもどんどんできた方がいいんじゃないかと、ずっと思ってたんですよ。

ゲーム機で言えばPlayStationは本体には立体音響にする技術が組み込まれているのに、手軽に鳴らす環境がない、誰も再現ができないだろう、ということでで製作者みんなが躊躇してましたよね。実際の需要がわからないので、多くのアーティスト・作曲家さんたちは興味をもちつつも、なかなか携わることができなかった。ただ、ここ最近やっとその環境が整ってきて、やっと僕の中で40~50年ぐらいの夢がかなった感じかな。


──そうだったんですね。長年の夢が叶った今回の「グランディアのテーマ」ミックス、どうでしたか?

岩垂氏:
いろんな実験を、この1曲の中でしています。ブラスを真横にしたりとか、パーカッションを後ろに置いたりとか、ギターのエフェクトが飛び回ったりとか、曲の途中ではソロのバイオリンがぐるぐる回ったりとか……。曲の中間部のところで、ピアノとバイオリンだけのところがあるんですけれど、そこではお互いが出会うように楽器同士をぐるぐる回したいって意見を出して。ピアノはなかなか回らなかったんですけど、バイオリンはしっかり回っていてそれが相対して音が広がる。曲の中でグランディアの想定する物語を作ったんです。

曲の出だしから音が強く出るので、まずその広がり感をすごく出してみました。そしてトランペットのファンファーレが出てくるところでは、正面からではなく横からボンと出てきます。僕の中では「パパパーン」というファンファーレは味方を鼓舞する、応援する意味合いがありまして、なので実際にオーケストラが鳴っていた正面という位置ではなく、横から、もしくは遠くから鳴ってきてほしいというのを再現したんです。

『グランディア HDコレクション/グランディア』より

──なるほど、楽曲が完全に新しい体験となっていると。どのように制作したのでしょうか?

岩垂氏:
聴く位置が大変でした(笑)正確にDolbyAtmos向けに制作するためには、スピーカーからちょうど一番良い場所に座って体験しなければいけない。そこに座れば、前後左右上下の音がしっかりわかるようになる。そこでしか音源を聴けないので、一定の場所で必ず聴かないといけないというのが、ちょっと大変でしたね。これがどんどん改良されていけばいいな、とは思っています。

あとですね、録音したツーファイブのスタジオではいろんなところにスピーカーがあったので、移動すると音がぶつかるんですよ、ここら辺ももっと広いスタジオが欲しいなと思ってます……。それは別にいいか!(笑)

一同:
(笑)

岩垂氏:
とにかくツーファイブとしても実験的な作品だったので、僕が要望するものの、できるのかできないのかわからないことがとにかく多くて。要望出す時は簡単なんですけどね。実際にやるとなると音が移動する演出を作るときに、うまくそれが移動するのか、ちゃんとその場所から聴こえるのかとか、DolbyAtmosでミックスするのであれば、DolbyAtmosでやりやすい録音の仕方があるかとか。そいうのを今後考えなければいけないことがよくわかりましたね。

具体的に言うと、通常の録音であったらピアノはステレオで録るんですけども、ステレオの音源だから定位がわかんなくなるんですね。モノラルで録ったものがいっぱいあった方が、音の位置感覚がわかりやすいことが、今回一番僕の中では衝撃的で。ステレオ環境の中ではステレオ音源の方が位置がわかりやすくなったりとかもするんですけども、立体音響、特にDolbyAtmosだと、点の音じゃないと、音の位置の感じがすごくわかりづらい。でもせっかくのステレオ音源を狭めてしまうのもなんだし……というところで、ちょっといろいろ試行錯誤はしました。

録音のときに、空間のアンビエントをとりすぎちゃうと、何かごちゃごちゃした音になってしまう。あと部屋鳴りとかも邪魔になるんだよね。録音されてるところの部屋の鳴り方、部屋の響きとかが、マイクにあまり乗ってしまうと、立体音響化したときにおかしなことが起きてるのが顕著にわかってしまうというのが感じられました。

丑山氏:
『グランディア』の楽曲は、元々はステレオとしてミックスをされていました。なので、2つのスピーカー(ステレオ)向けにミックスされた曲を、上前後左右にスピーカーがあるDolbyAtmosでミックスする際は、立体的に作り直さなくちゃいけないんです。なので、まず岩垂さんの方で平面的なものから立体的にイメージを膨らませる作業と、エンジニアがミックスダウンした音源を岩垂さんと共有するという作業が出てきたんですね。

また、今まで2個のスピーカー向けに録っていた音が、立体的に表現するうえで、好ましい状態とは限らなかったというのは感じました。今後、立体に適した録音の仕方とか、作曲の仕方の必要性も出てくると思いました。

藤原氏:
そもそもDolbyAtmosって、音楽のために作られた規格ではないんですよね。映画であったりとか、映像作品に対しての立体的に音を配置するという技術で、音楽を想定されて作られていないんですよ。

岩垂氏:
でもね、ゲームの作曲家は映像に対して音をつけることが多い。つまり、映像を見ながらイメージして曲を作ってるんですよ。僕もその「グランディアのテーマ」に関しては、最初のイントロのところは世界の果ての壁を駆け上るみたいなイメージをして。テーマが出てきたところで、一番てっぺんに登って風がブワッと増えてくるイメージを思い浮かべながら作ったんですね。

だからその風を感じさせたい。ステレオの音源ではその風はなかなかわからないですが、ステレオ音源から立体音響になったときに、ステレオよりも風を感じることができるんじゃないかとは思っているんですよ。だから、作曲家の頭の中を再現するには、立体音響の方が適してると思っています。

『グランディア HDコレクション/グランディア』より


──元々ゲームの作曲家がイメージしてたものを、DolbyAtmosによって制限なく再現できると。

岩垂氏:
多分そうじゃないかと。賛同してくれる作曲家は多いんじゃないかなと思ってます。

──なるほど、ありがとうございます。先程もお話していたように映像作品はDolbyAtmosの相性がいいという話なので、ゲームのような映像以上に没入度の高いメディアはさらに相性よくDolbyAtmosを利用できると思うんですけども、DolbyAtmosをゲームに落とし込むアイデアなどはあったのでしょうか?

藤原氏:
今後、ゲームは立体音響が標準になっていくんじゃないかなと思います。我々も実際にCRI ADXというCRI・ミドルウェアが作ってるオーディオミドルウェアを使って、立体音響のテスト的なサウンド制作をしたりもしていますし、今後はゲームのサウンドを立体音響で作っていこうという話はすごく増えてくるんじゃないかなと思いますね。

──ありがとうございます。ちょっと生々しい質問ですが、最新の技術を余すことなく使った今回のミックス、正直なところ採算は取れるのでしょうか……?

藤原氏:
とれません(笑)ミックスダウンに要した期間が、実作業で多分20時間ぐらいじゃないかなと思います。それを踏まえたスタジオの単価ですとか、スタジオの土地代、人件費……はっきり言うと、元が取れない。というか、採算はあんまり考えていないというのが正直なとこですね。それ以上に立体音響版「グランディアのテーマ」が、ツーファイブ社がやる立体音響サウンドの1つ象徴になるといいなと思っています。採算度外視というか……この一曲で採算を取ろうとは思っていないです。

──研究開発的な位置づけもあるということですね。

藤原氏:
そうですね。実際にこのミックスを経て、エンジニアたちも立体音響ができるようになったと自信をつけてます。今年の2月に劇場で公開された映画『鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』では、弊社が立体音響のミックスを一部担当することとなったんです。そのように、今回のミックスが弊社にとって非常にいい経験にもなったし、岩垂さんの曲でやれてよかったなとみんな実感しています。

バンドもののDolbyAtmosミックスも増えていますが、やっぱりオーケストラとの相性が非常に良いと思ってまして。部屋の鳴り、ホールの鳴りみたいなものを再現するのにも向いていますし、分離がすごくいいんですよね。ステレオだとふたつのスピーカーで鳴らすので、どうしてもある程度楽器をまとまって聴こえるんですけど、DolbyAtmosだと、どこに何の楽器があるのかわかりますし、誰がどこで弾いてるのかもよくわかるんです。

そのようなことができるスタジオを持っている者としては、先駆者的にやっていかなくちゃいけないなという使命感もあります。なので、今後も継続して、途切れことなくやっていこうかなと思っています。

──ありがとうございます。それでは今回ミックスした「グランディアのテーマ」の話に戻りたいと思うのですが、皆さんのお気に入りの場面を教えて下さい。

『グランディア HDコレクション/グランディア』より


岩垂氏:
曲の中間部のピアノとバイオリンだけのところです。そこでの音の移り変わりはぜひ聴いてほしいですね。感動しますよ。最後の方も、もう音飛びまくってるんだよね。とにかくいろいろ限界に挑戦した感じだったんで、1曲通して聴いてもらうと聴きどころや隠しネタがいっぱいあります。

藤原氏:
ピアノとバイオリンが回るようなところは、本当に回ってるように聴こえてくるので、すごいと思いますね。一般の方でも、AirPodsProを持っている方であれば、立体音響の恩恵を受けることができるので、いわゆるステレオと聴き比べていただくと、さっきも申し上げた通り分離もよく、響きも非常に豊かに聴こえるなというのが僕の印象です。

初めてスタジオで聴いた後AirPodsProで聴き直したら、これが非常に良くて。エンジニアに絶賛のメールを送ったんですよ。そうしてしまうほど、イヤホンで聴いても、衝撃的で美しいハーモニーで響いてます。

立体音響は、ステレオで作ったものとは、音のバランスが違うところもあって、すごくよく聴こえるところもあれば、少し沈んだように聴こえるところもある。逆に言うと、それは分離がいいので小さい音でもよく聴こえるってことなんです。そういうところは、プロデューサーという立場として聴きどころかなと思いました。

岩垂氏:
再ミックスだからバランスが違うんだよね。

──先ほど、AirPodsProで聴くと立体音響の恩恵が受けられるとおっしゃられていましたが、それ以外で適した環境みたいのもあれば教えていただければと思います。

藤原氏:
もちろん環境がある方々は、再現度高く、我々の意図した通りのバランスで聴いていただけるのかな……

岩垂氏:
普通の家に立体音響環境はないよ!(笑)

藤原氏
(笑)対応アンプがないといけないし。でもいろんな人に聴いてほしいので、いつか映画館で映像に合わせて上映をしたりできればといいなと思っていますね。もちろん明言はできないですけれども、いずれはみんなにちゃんと立体音響で聴いてもらうような環境を作りたいなと思います。

岩垂氏:
今流行りのサウンドバーではどうなんでしょうか。

藤原氏:
サウンドバーであれば、AppleTVやFire TV stickみたいな配信側のプラットフォームが立体音響に対応していることから、本格的な立体音響環境に近い音で聴けるのかなと。

──ありがとうございます。最後に、今後DolbyAtmosを使ってやってみたい野望を教えてください。

岩垂氏:
最近のゲームでは、そのものに近づいたら効果音が鳴る仕掛けなどが出来るようになったけれども、音楽に関しても同じようなアプローチが出来て良いと思うんですよ。今ぱっと思いついたとこなんですけども、それぞれの楽器の演奏者がそこらへんに立ってて、それが集まって音楽ができることが、ゲームでも出来てくるんじゃないかな。後ろから誰かが来て演奏してるよ、とか。ただそこに立ってるだけでなんかいろんな人が集まってくるようなゲームとかもできてくるんじゃないかと思う。

あとは、下から出る音の拡張です。下から何か来るというのを、音楽でわからせたいですよね。SEももちろんできるんだけども、そういうのを音楽でも表してみたい。たとえば昔のディズニー映画とかは、ずっと音楽が鳴りっぱなしじゃないですか。ああいうのが好きなんですよ、本当に音楽で再現して、場面が変わるごとにどんどん音や定位が変わってく、みたいなことをやりたくて、これが実現したらすごい楽しいだろうなぁ。

最近はゲームの音楽を聴かない人もが多いじゃないですか。作曲家としては何とかして音楽を聴かせたいんですよね、だから音で表現させるものをもっと増やしていきたいです。

丑山氏:
作曲家がイメージしてるものを、立体音響によって具現化する手段が増えたことがやっぱり一番すごいことだと思っていて。先ほど岩垂さんが言ってましたが、風を感じられるミックスのような、音楽でゲームの世界をより作り上げられていくのが、すごく将来性のある部分だなと思ってます。

リスナー/プレイヤーにとって聴くことで没入感が上がる体験になるというのが我々にとっても重要です。今回は将来への投資という意味でも、実験しながら楽しめました。

他の作曲家と、違ったアプローチでやることも楽しみですし、これを経て立体音響でCRI・ミドルウェアとツーファイブは、先駆者になっていきたい野望はあります。


──余談なのですが、家庭でDolbyAtmos再生環境を揃えた人に向けて、どういうものを買えば、楽しめるんでしょうか。……リーズナブルなもので。

岩垂氏:
僕ね、電気屋さんで相当サウンドバーを聴き比べたんだけど、BOSEのSmart Soundbar 900。これ、すごく立体的なのが、はっきりとわかりました。BOSEのはすごく良かった、あれなら買いたいなと思いましたね。

Smart Soundbar 900

丑山氏:
イヤホン以外で言えば、やっぱサウンドバーが一番手軽かもしれないですね。

岩垂氏:
真剣に、サウンドバーがいいと思います。

──なるほど。岩垂さんがBOSEをおすすめしているだけで欲しくなります。

岩垂氏:
BOSEの関係者の方々、モニターになりますので、ぜひよろしくお願いします!(笑)

丑山氏:
最近だとPCのスピーカーも立体音響対応のものもあるみたいで、今後どんどん聴きやすくなると思います。

岩垂氏:
そうだね。ファイル形式とか色々とまだ問題もあると思うけど。やっぱりBOSEのSmart Soundbar 900がいいな。本当に良かった。また電気屋さんに行きます、みんなもちょっと聴いてみて!

──岩垂さんのBOSE推しが伝わりました(笑)本日はありがとうございました!

オリジナル版を岩垂氏が作曲、そして今回ツーファイブがミックスを担当した立体音響版「グランディアのテーマ」はまもなく配信予定。DolbyAtmos対応のサウンド機器でぜひ楽しんでいただきたい。

【製品情報】

「Theme of GRANDIA 2023」
グランディアのメインテーマが25年の時を超えて立体音響で蘇る。
作曲家の岩垂徳行立ち会い監修の元、録音当時の全てのトラックデータをDolby Atmosにて再配置、再ミックス。
「Theme of GRANDIA 2023」は各音楽配信サイトにて今春、配信予定。

GRANDIA HD Collection
© 1997, 1999 GAME ARTS/ESP
© 1997, 1999, 2000 GAME ARTS © GAME ARTS/SQUARE ENIX 2002.
© 2015, 2019 GAME ARTS/SQUARE ENIX/GungHo Online Entertainment America

GRANDIA HD Collection / GRANDIA
© 1997, 1999 GAME ARTS/ESP
© 2019 GAME ARTS/ESP/GungHo Online Entertainment America
Character design/Takuhito Kusanagi

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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