クトゥルフ神話ADV『Cthulhu Mythos ADV 闇に囁く狂気』開発者インタビュー。自分が遊びたいから始まった、クトゥルフ好きに向けたダイスと狂気のゲーム


Gotcha Gotcha Gamesより、『Cthulhu Mythos ADV 闇に囁く狂気(以下、闇に囁く狂気)』がPC(Steam/DLsite)/iOS/Android向けに配信中となっている。同作は廃病院からの脱出を目指す、2Dアドベンチャーゲームである。クトゥルフ神話をモチーフに、ダイスロールによる判定などTRPG風のシステムを導入。宇宙的恐怖の世界が、1人用のゲームとして描かれている。

同作を開発・販売しているGotcha Gotcha Gamesは、「RPG Maker(ツクール)」シリーズの開発・販売元である。同社は「RPG Maker」シリーズの展開以外に、ユーザーたちが作った「RPG Maker」製ゲームのパブリッシングや「RPG Maker」製ゲームの自社開発をしているが、本作はそうした中でもちょっと毛色が違うように思う。またシナリオ製作を、「クトゥルフ神話TRPG」を含めた同人シナリオを手がけているVTuber九畝くぜ氏が務めている点も興味深い。今回弊誌では、『闇に囁く狂気』ディレクターの栗沢豹子氏と九畝くぜ氏に話を伺ってきたので、その内容をお届けしよう。


──まずは自己紹介をお願いします。

栗沢豹子氏(以下、栗沢氏):
Gotcha Gotcha Gamesの栗沢豹子と申します。『闇に囁く狂気』では、ディレクターを務めました。こういうゲームを作りたいと会社に企画を提案するところから、グラフィックやシナリオのディレクションまで、本作の全般に関わっています。経歴としては、新卒で入った会社でIPモノのアドベンチャーゲームの開発に携わり、ニンテンドーDS向け作品のアシスタントプロデューサーやディレクターを務めていました。その後はヤンキー系のバイクを強くするゲームにも、運営ディレクターとして関わっていましたね。そして現職に至ります。

九畝くぜ氏(以下くぜ氏):
現在はVTuberとしても活動している 九畝くぜです。以以前から同人で「クトゥルフ神話TRPG」*1のシナリオを出しておりました。そんな中、TRPGのセッション配信をされる方々を見て、「面白そうだな」と思い、自分もやってみようと配信をはじめました。配信する中で、VTuberとしてのビジュアルを持つのも面白そうだなと思い、そうした活動もしています。 『闇に囁く狂気』では、シナリオを担当しました。

*1
クトゥルフ神話TRPG。ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説を中心に、彼と友人たちが作り上げたクトゥルフ神話の世界をベースとしたTRPG。未知の神性や異星からやってきた生物などがひそかに存在する現実に近い世界を舞台に、一般人の探索者(プレイヤー)たちが狂気と絶望に立ち向かっていく。正気度を示すSAN値(sanity)の存在などが特徴的。またTRPGとはテーブルトークロールプレイングゲームの略称。1人がゲームマスター(クトゥルフ神話の場合はキーパー)となってシナリオの進行などに関わる判断をおこない、プレイヤーと共にゲームを作り上げる役割を担う。


──『闇に囁く狂気』とGotcha Gotcha Gamesについて、改めて紹介をお願いします。

栗沢氏:
『闇に囁く狂気』は、「クトゥルフ神話」をモチーフとした2Dのアドベンチャーゲームです。物語としては、主人公は気がつくと見知らぬ廃病院にいまして、そこからの脱出を目指すことになります。途中、仲間やクトゥルフ神話の生物なども登場し、宇宙的恐怖と相対するストーリーが描かれます。選択肢の成否がダイスで決まる要素がありまして、ダイスの判定によってTRPGのように異なる体験ができる点が特徴です。

またGotcha Gotcha Gamesは、KADOKAWAからツクール事業が独立する形で設立されたKADOKAWAの子会社です。弊社の事業ミッションのひとつにコンストラクション事業があり、ゲーム制作ツール「RPGツクールMZ」*2を含めたツクールシリーズの開発や販売、ツクールを使って制作された作品のパブリッシングやプロデュースなどを手がけております。歴史のあるソフトなので、ツクールと聞くと懐かしく思う方もいるかもしれませんが、現在はUnity上で動作する新作「RPGMakerUnite」を開発しておりまして、時代にあわせて刷新した製品を作ってきました。また、ゲームパブリッシング事業も手掛けており、自社製品のPRを兼ねて、ツクール製ゲームの自社開発と販売もしています。『闇に囁く狂気』も「RPGツクールMZ」で開発されているので、そうした自社開発の流れの1本でもあるわけです。

*2
RPG Maker(RPGツクール)。KADOKAWAから長年発売されてきた、歴史あるRPG制作ツール。プログラミングの知識がなくともゲームが作れることなどから、誰でも手軽にゲームが制作できると謳われている。2020年に「RPGツクールMZ」がリリース。現在は、Unity上で動作する「RPG Maker Unite」の開発が進められている。


1人用の「クトゥルフ神話TRPG」のゲームを遊びたい

──本作の開発について伺わせてください。どういった経緯から、『闇に囁く狂気』の制作が始まったのでしょうか。

栗沢氏:
きっかけとしては、私が元々クトゥルフ神話TRPGが好きだったことが大きいですね。国内ではクトゥルフ神話TRPGのブームは何度かきていると思うのですが、数年前に妹からニコニコ動画のリプレイ動画を紹介されまして。その動画がすごく面白かったので、ボードゲームカフェに行ったり、ルールブックを購入して友人たちと遊ぶようになっていったんです。そうした中で、私は元々アドベンチャーゲームを作っていたこともあり、クトゥルフ神話TRPGを1人で遊べるような形にできるんじゃないか。1人用のクトゥルフ神話TRPGのゲームを遊びたいと思うようになっていきました。またGotcha Gotcha Gamesにはお声がけいただいて入社したのですが、私には丁度作りたいゲームがあり、それを作らせてもらえるならと入社しました。その企画が『闇に囁く狂気』だったのです。

──元々『クトゥルフ神話TRPG』が好きで、自分が遊びたいと思っていたところから企画が始まったわけですね。

栗沢氏:
そうです。あと、クトゥルフ神話TRPGのリプレイ動画ってすごく人気があって、多いのだと400万回以上再生されている動画もあります。動画を見ているライト層がたくさんいて、ルールブックを購入して遊んでいるコア層がいることも、企画の後押しになりましたね。

──本作においては、シナリオライターの方ではなく、VTuberのくぜさんがシナリオを担当されていることも特徴的だと思います。どういった経緯からくぜさんに白羽の矢を立てられたのでしょうか。

栗沢氏:
元々デジタルゲームのシナリオライターさんに依頼する発想はなく、クトゥルフ神話TRPGに精通していることを一番の条件としていました。くぜさんは、現在はVTuberでもありますが、元々クトゥルフ神話TRPGの同人シナリオを発行してきた方です。私はくぜさんの書かれたシナリオの中でも、「殺骸島事件」というシナリオが好きで。特に、そのシナリオの状況を活かしたギミックやシステムだったり、終盤に何度もダイスロールが発生するような緊迫感のある演出だったりを、いいなと思っていたんです。クトゥルフ神話TRPGのシステムを上手く利用して、いかに窮地を作るかというか。生還の可能性はあるけれど絶望的で、ダイスロール次第で死んでしまうかもしれない状況って、ドラマチックじゃないですか。くぜさんは、そういったシステムを活かしたシナリオを書かれていましたし、システムを使った遊びはデジタルゲームと親和性があるだろうなと思っていたので、今回依頼させていただきました。

*3
「殺骸島事件」。くぜ氏が制作した現代日本を舞台とした「クトゥルフ神話TRPG」の同人シナリオ、および同シナリオを収録したシナリオ本。孤島のホテルに招かれてやってきた探索者たちが、宿泊客が1人ずつ死んでいく中で、クトゥルフ神話の脅威へ立ち向かうことになるという。くぜ氏のBOOTHにて販売中。

くぜ氏:
TRPGのシナリオ以外で、お金をもらって何かを書くのは今回が初めてでした。TRPG的に書いてくれと言われたので、TRPGのシナリオを書く要領で書いた後、修正を重ねていきました。

栗沢氏:
デジタルゲームとして落とし込むところでは、二人三脚で進めていきましたね。キャラクターの 会話シーンなどは私が書いています。

──くぜさんに伺います。シナリオを依頼された時は、最初どういった感想をもたれましたか。

くぜ氏:
詐欺か何かのメールが来たぞと思いましたね(笑)最初は、栗沢さんのTwitterアカウントから急にDMが来たんです。当時は面識がなかったので正直怖いなと思いました。でもアカウントを見てみると、僕がいつも遊んでる人たちがフォローバックしているんです。なので、もしかしたら繋がりがあるのかなと思って知り合いに聞いてみたんですが、フォローしてくれたからフォローバックしただけで、誰もちゃんと知らなくて。ただ、セッションの内容をいいねしてくれてた人だから変な人じゃないと思うと聞いて、とりあえず返事をしてみました。その後はシナリオを書いてほしいと言われて、結果的に僕が書くことになりました。

──くぜさんは、ゲームのシナリオを書かれるのは初めてだったわけですよね。

くぜ氏:
そうですね。初めてで不安でしたし、なぜ僕に依頼が来たのかも疑問に思っていましたね。TRPGのシナリオでも有名なライターさんはいらっしゃいますし、公式で活躍されているライターさんもいます。僕が数字や知名度を持っているわけでもありません。でも「殺骸島事件」のシステマチックな追い込みを気に入ったと聞いて。クライマックスでダイスをたくさん振らせるのはTRPGの遊び方の一つだと思うんですが、それを全面に出したシナリオを書いているライターさんは、あまりいなかったのかなと考えて、そういった理由であれば納得できます。あと、栗沢さんにはTRPGのシナリオと同じ要領で書いてもらえればいいと伺ったので、それなら書きやすいですし、あとは上手くことやってくれるんだろうなと思って、進めていきました。


どんどんつぎ込んだクトゥルフ要素

──ゲーム化するにあたって大事なことだと思うんですが、クトゥルフやクトゥルフ神話TRPGの魅力はどういったところだと思われますか。

栗沢氏:
クトゥルフ神話の魅力としては、意味がわからないところでしょうか。たとえばルールブックを購入して中身を見ても、神話生物の設定は見たことのない事項がたくさん書かれていますし、意味のわからないところが大半を占めていました。初見ではわけのわからない壮大な世界に、心をくすぐられました。設定をなんとか解読していったりするうちに、見たことのない未知の世界に心を掴まれた部分があったと思います。あと私はそれまでTRPGに触れたことがなくて、リプレイ動画からクトゥルフ神話TRPGを知ったのですが、即興劇を演じる部分が今の配信文化とすごく相性がいいと思うんです。クトゥルフ神話TRPGはその場で寸劇を展開できるのが唯一無二というか、ルールの自由度が高くプレイヤーの創作性を表現できるのが魅力で、面白い部分だなと思っています。

くぜ氏:
クトゥルフ神話だけで言うと、クトゥルフ神話に登場する神話生物は超常的な存在で、人間に理解不能である点ですね。僕は元々ホラーが結構好きで、クトゥルフ神話もホラーなので好きになった部分があるのですが、ホラーでは悪霊や幽霊がよく出てきます。しかし悪霊がなぜ出てくるかを突き詰めていくと、生前悲しい出来事やつらい目にあったとか、恨みつらみの話になってくることが多く、人間関係のドロドロした話に行き着きます。僕は悲しい話を聞いていると悲しくなってしまうので、そういう人間関係の話はちょっと苦手なんです。

一方クトゥルフ神話の神話生物は超常的な存在です。彼らはただ存在しているだけで、ホラーとして成立しています。シナリオ上クトゥルフ神話の世界をどう解釈して扱うかは自由なので、神話生物を崇拝する人たちであるとか、人間関係の話に出てくるシナリオにもできますが、超常的な生物たちが、ただ存在しているだけで恐ろしいという、クトゥルフ神話の世界設定が魅力的だなと思っています。

TRPGとしては、クトゥルフ神話TRPGは基本的にプレイヤーキャラクターの探索者が特殊能力を持たないことですね。一般人なのでキャラクターに感情移入しやすいですし、現実世界の知識をそのままキャラクターにフィードバックできるところも好きです。ファンタジーや超能力者モノのTRPGは多くあるのですが、初めてそのシステムで遊ぶ時は世界設定の説明から入るので、僕がプレイヤーで参加するときは、そういう設定を頭に入れるだけで、結構いっぱいいっぱいになっちゃうんですよ。でもクトゥルフは、なんか神話生物というよくわかからない恐ろしい怪物がいるだけで、設定の説明が簡単です。未知の怪物がいるとわかってもらえれば、あとは好きにシステムやシナリオで遊んでくださいと提示できる。そういう入りやすさ、現実の認識に近いところで遊べる敷居の低さが好きなところです。

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神話生物。クトゥルフ神話に登場する架空のクリーチャーや神性などに対する俗称。


──そういった魅力を含めて、さまざまな遊びをゲームの中に落とし込んでいったんですね。企画当初の本作について伺わせてください

栗沢氏:
やっぱり紆余曲折ありまして、最初の方はもっと要素をいろいろ考えていたんです。たとえば、ゲーム中は画面左上に正気度がずっと表示されているんですが、SAN値を消費してダイスロールの成功率を上げるシステムとかを考えていました。ダイスロールをコントロールできないと成否が運になってしまうので、介入できるシステムを用意しようと思っていたのです。あと演出面でも、狂気に傾いた時には画面に怖いものを表示したりなど、考えていました。しかし要素が多いと開発に時間がかかってしまいます。

そうした開発の都合もあり、もっとゲームの魅力を削り出し、コアになる部分を大事にしようと考え、ゲーム性を立たせるよりも、ストーリーやキャラクターの魅力を押し出すことになりました。今回私がキャラクターの設定を担当していて、キャラクターのセリフも大部分を書いているのですが、私自身がシステムの設計よりキャラクター造形のほうが得意という点も理由として大きいですね。

──プレイしていて、ダイスロールの失敗時に発生する狂気のシステムがスマートで印象的でした。狂気のシステムは、どこから発想されたのでしょうか。

栗沢氏:
失敗してやり直しになってしまうストレスをなくしたかったので、出目をコントロールするシステムは別途必要だったから、というのが答えになります。本作では、シナリオとゲームルール策定を並行して進めていたのですが、ルールのほうで悩んでいた時に、頭の中に声が聞こえる設定がすでにあり、そこを活かして、失敗してもシナリオが進むシステムにしました。

──シナリオの方では、制作中の苦労などはありましたか?

くぜ氏:
思ったより、TRPGのシナリオの書き方で進められないなと思いましたね(笑)最終的にExcelでやり取りをしていくことになり、「あ、これ大変だな」と思いながら作業を進めていった記憶があります。

栗沢氏:
実は、私もそこから結構苦労していて(笑)くぜさんが書いてくれたテキストを実装用のエクセルに一つ一つコピペしていき、BGMの切り替えやキャラクターの表情指定など、演出面を設定していきました。ゲームのシナリオライターさんへ発注していたらそこもお願いしていたと思うんですが、TRPGの要領でいいですと発注していたので、そこは私が受け持って進めていましたね。

──メジャーな神話生物がたくさん登場する点も印象的でした。舞台や登場する神話生物などはどういった経緯から決まっていったのでしょうか。

くぜ氏:
舞台についてはミーティングの中で決めていきました。そんなに大きな舞台には出来ないのでクローズドな場所となり、学校などいくつか候補が出た中で、最終的に廃病院で話を進めることになりました。

栗沢氏:
神話生物についてはくぜさんにおまかせで、完全にチョイスしてもらっていましたね。

くぜ氏:
神話生物を豪華にするという話はしてなかったので、書いているうちにつぎ込める要素をどんどん入れていった結果ですね。クトゥルフの解説本とか、ラヴクラフトの原典を読み返して、1本のストーリーの中に矛盾なく組み込めるクトゥルフ要素を継ぎ足していった記憶があります。1~ 2種類の神話生物やクトゥルフの要素だけ入れたとしても、全然楽しいとは思うんです。でも、せっかく「クトゥルフ」のゲームなので、もっとふんだんに出したほうがやっぱりいいなと。

そもそもクトゥルー(クトゥルフ)の面白さの一つに、「わかる人にはわかる」っていう点があると思うんです。元々の1920年代とか1930年代とかの頃には、ラヴクラフト以外の作家が作中にネクロノミコンを出してみたりとか、そういう作家同士でにやりとする遊びでもあったらしいので。日本に入ってきてからも、本筋とまったく関係のないところネクロノミコンが出てきたり、クトゥルー小説の書き方ってそういう部分もあると思うんですね。だから今回もこれはあの神話生物だとか、この要素はあの作品で登場していたヤツだとか、クトゥルフに触れてきた人に楽しんでもらえるかなと思って、いろんな要素を継ぎ足していきましたね。


──シナリオで特にこだわったポイントを伺わせてください。

栗沢氏:
まず、頑張った点で言うと、本作ではくぜさんにはシナリオをTRPGの要領で書いてもらっているので、そこからデジタルゲームとして遊べる状態にするところに力を注ぎました。
TRPGだと対人のワイワイ感が楽しさを底上げしてくれますが、TRPGのシナリオをそのままデジタルゲームにしてしまうと、遊びごたえや達成感が足りないだろうと思いました。そこで謎解きを追加していきました。くぜさんのほうではクトゥルフ感の味わえる謎解きを、私の方では脱出ゲームのような謎解きを足していった形です。また、TRPGだとプレイヤーに委ねている部分、例えばキャラクターの心理描写や、今どの謎がどこまで明らかになっているのかの提示などに気を使いました。ここについては、漫画原作で受賞歴のある後輩からの意見に非常に助けられました。

こだわった点で言うと、大きな分岐と終盤の追い込むギミックは始めからくぜさんにオーダーしていました。実際にクライマックスは手に汗握る展開になっているかと思います。また、作品を愛してもらう要素としてキャラクターへの気持ちの入れ込みも大事だと思うので、キャラクター性の表現にはこだわりました。

くぜ氏:
TRPGを書く要領で、という話につながってくるんですが、僕はTRPGをやっている時、KPとしてNPCを演じるのは大変だと感じているんです。なので、シナリオ上でもNPCを極力出さないし喋らせない。プレイヤーの方で話して盛り上がって楽しんでくれればいいなと思っているので、僕はNPCの出番が少ないシナリオを書きがちなんです。今回のNPCの設定に関しては僕も関与してますが、魅力的なセリフ回しとか性格は栗沢さんの手腕によるものですね。

先ほども言いましたが、僕がこだわったのはクトゥルフ要素をたくさん出すことですね。神話生物がたくさん出てきたり、ラヴクラフトの使ったワードが出てきたりとかは、結構出来たんじゃないかなと思っています。あと、死んでもおかしくないようなギミックを入れたところですね。TRPGだと特殊なシナリオでもない限り、死んでもクリアしても基本的にプレイは1回きりです。でもデジタルゲームだとやり直しが効いて、TRPGと違って何度も殺せるので(笑)高難易度のゲームではないですが、やり直せることを前提に1回では成功が難しいような障害を設けられのは、書いていて楽しい部分ではありました。各章ごとに障害が必要な関係上、量を書かなければならないのは大変でもありましたが、緊張感のあるギミックを楽しんでいただければいいなと思います。


クトゥルフ神話の好きな人へ向けて

──最後にメッセージをお願いします。

栗沢氏:
ありがたいことに、すでに遊んでくださったプレイヤーの皆さんからは、ご好評をいただいています。自分みたいに、「クトゥルフ神話」のゲームを遊びたい人に楽しんでもらいたいと思って作ったので、本当に作ってよかったです。海外からも、英語や中国語を求めるお声をいただいておりまして、クトゥルフ神話に魅了されている人が世界中にいるんだなと実感しました。あとボリュームとしては短いゲームなのですが、もっとキャラクターのことを知りたいであるとか、続編を遊びたいという声もいただいているので、何らかの形で応えられたらいいなと思っています。

くぜ氏:
本作には、ダイスロールで成功や判定を失敗するような、TRPGらしい要素がふんだんに盛り込んであります。TRPGが好きで興味を持たれているなら、ぜひ買って遊んでいただけたらなと思います。あともしTRPGをプレイされたことがない方で今回のゲームを楽しんで頂けたなら、ぜひTRPGの方にも手を出してみて欲しいです。TRPGには、クトゥルフ神話TRPGにも、いろんなシステムやジャンルの作品があり、それぞれ非常に楽しい遊びです。TRPGにも触れて遊んでもらえたら嬉しいです。

──ありがとうございました。

Cthulhu Mythos ADV 闇に囁く狂気』は、PC(Steam/DLsite)/iOS/Android向けに配信中。価格はSteam版が1200円、DLsite版が1210円、iOS/Android版が1000円となっている。