『ポケモン』元やりこみ勢に聞く『Temtem』の対戦環境。『ポケモン』との違いやメタ構築など競技シーンについて尋ねた

 

Humble Gamesからモンスター育成MMORPG『Temtem』が、9月7日に正式リリースされる。また弊社アクティブゲーミングメディアPLAYISMからは、PS5/Nintendo Switch向けパッケージ版が発売予定。Humble GamesからはPC/PS5/Xbox One/Nintendo Switch向けダウンロード版が正式リリースされる予定だ。

同作は、『ポケットモンスター(以下、ポケモン)』シリーズ風の、不思議な生き物テムテムたちを捕獲し、育てて戦わせるターン制のゲームだ。『ポケモン』風といってもバトル形式はダブルバトルのみで、スタミナやシナジーなど独自のシステムが存在。コマンド式のターン制バトルという基本はそのままに、オンライン要素も添えられている。またSteamでは2020年1月に早期アクセス配信が開始されており、発売から1か月で売上50万本を突破。Steamのユーザーレビューでは、記事執筆時点で2万6800件以上のユーザーレビューにより、ステータス「非常に好評」を獲得している。


正式リリース前から、プレイヤーの支持を集めている本作であるが、どういったところが好評につながっているのか。また『ポケモン』とどれほど差別化されているのか。未プレイの方は気になるかもしれない。そこで今回は元々『ポケモン』を遊んでいて、現在は『Temtem』勢のプレイヤーであり、『Temtem』の面白さを広めたいというshibamataさんに、Temtemの魅力を聞いてきたので、その内容をお伝えしよう。

shibamata氏のアイコン

──自己紹介をお願いします。

shibamata氏:
shibamataです。プレイヤーとしては、以前からターン制の対戦ゲームをメインに遊んでいて、今は『Temtem』を中心にプレイしています。早期アクセス配信開始の2か月後から始めて、それから2年間はずっと遊んでいますね。『Temtem』での実績としては、公式大会はまだ開催されていないので公式大会ではないものの、出場者が300人弱ぐらい集まった一番大きい大会に出場して、ベスト16まで残りました。『Temtem』にはゲーム内にレートがあり、僕は当時レート1700ぐらいで上位2%ぐらいでした。大会でも結構有名プレイヤーが上位に残っていて、だいたいレートが上の方の人たちと戦う大会でしたね。

──『Temtem』以前は、どんな対戦ゲームを遊ばれてきたのでしょうか。

shibamata氏:
まずは『ポケットモンスター(以下ポケモン)』シリーズですね。小学生の時に初代の『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されて、兄が結構大会に出場するタイプのプレイヤーだったので、教えてもらいながらプレイしていて、『ポケットモンスター X・Y』ぐらいまでは対戦をメインに遊んでいました。公式大会だとイッシュWで32位、レート戦だとシングルの最終3位ぐらいが最高だったと思います。今は『ポケモン』のゲームはプレイしなくなりましたが、ポケモン自体は今でも好きなので、グッズを買ったりしています。ほかのゲームだと『ドラゴンクエストX』にはミニゲーム勢と呼ばれる方々がいるんですが、バトエンファイトの大会で4位ぐらいまでいったり、そのほかには『ハースストーン』の海外大会へ出たり、「ポケモンカードゲーム」の公式大会リザードンメガバトルの東日本大会では16位になったりしています。

──『Temtem』を遊び始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

shibamata氏:
僕にはよく2人でゲームを遊ぶ友達がいるんです。その友達と一緒にプレイするゲームを探していたところ、『Temtem』は『ポケモン』的なゲームで、しかもストーリーを2人で遊べると聞き、遊んでみることにしました。だから最初は全然対戦するつもりはなくて、協力プレイを一週間ぐらい遊べればいいなと思っていたんです。けれど遊んでいくうちに、ホールドといってバトル開始後すぐに使えない技や、テムテムたちにスタミナがあることなど、ゲームとして面白い要素に触れました。

また記事などを読んでみるとeスポーツを意識し、競技シーンに力を入れようとしているとも知って、そういったところがきっかけですね。僕は時間やお金をかけると有利になるゲームは、そんなに競技性が高くないと思っているんですが、『Temtem』では競技シーンを意識し、pay to winに繋がる要素は一切出さないと公式が掲げていたので、フェアに対戦できるだろうという安心感もありました。


『ポケモン』のリーク動画からやってきたテムテム

──『Temtem』の世界について、改めて紹介をお願いします

shibamata氏:
『Temtem』の世界には、空中諸島と呼ばれる6つの大きな島があり、不思議な生き物テムテムが160種類ちょっと住んでいます。テムテムに指示を出して戦わせるテムテムテイマーたちや8つの道場(ジム相当の施設)、悪い奴らなんかもいるので、イメージとしては『ポケモン』の世界に近いですね。ストーリーでは、プレイヤーがそれぞれコンセプトのタイプが設定された6つの島を渡り歩いて行きます。最初は学校を目指して大きな川のある風タイプの島を進み、悪いやつとも戦っていくんですが、次第にプレイヤーが事件に巻き込まれたり、衝撃的な展開が待ち受けていたりします。NPCの会話はちょっと頭に入ってきづらい部分もあったので、フルリリース版では改善しているといいですね。ストーリー展開はかなり意欲的で、刺激的な展開もあるので遊んでいて面白かったです。

あと、ストーリーは2人協力プレイに対応しています。『Temtem』は、手持ちのテムテムをお互い2体ずつ出して戦う、ダブルバトルが基本です。なので、通常は1人で2体出すのですが、協力プレイをしている時は1人1体ずつテムテムを出して戦います。協力プレイによって一緒に遊べるだけでなく、テムテムを2人分持ち歩けるので単純に手持ちの数が増えたり、テンポリウムというポケモンセンターみたいな施設へ戻る回数が減らせたり、ストーリー進行上も有利になります。『Temtem』のストーリーは、結構バトルの難易度が高めで歯ごたえがあるのですが、2人で遊ぶと楽に進めるのです。

──テムテムたちのデザインについてはどうでしょう。可愛いテムテムはいますか?

shibamata氏:
全体としては『ポケモン』とは違ってトゥーン系のデザインなので、そこで好みが分かれると思うんですが、モーションはすごく作り込まれています。手持ちの先頭のテムテムを連れ歩けますし、一部のテムテムには話しかけると触れ合えるので、プレイしていくうちに愛着が湧くんじゃないでしょうか。

あとテムテムのデザインの話だと、『ポケモン』のパクリだと誤解されがちな、プラティペット(Platypet)というテムテムがいるので、その話をしておきたいです。経緯としては、まず『Temtem』は開発資金を募るためにクラウドファンディング実施し、リターンとしていろんな権利を用意していたんですね。その中に、好きなデザインのテムテムをゲーム内へ登場させる権利があり、PokéNinja氏という海外のストリーマーの方が権利を獲得したのですが、彼が権利を行使して実装してもらったのがプラティペットなんです。

プラティペットは、初出は『ポケモン』関連の偽のリーク画像で新ポケモンとして紹介された、フェイクのポケモンだったので、もちろんポケモンではありません。プラティペットのデザイン発案者にCrema(「Temtem」の開発)が許可を取り、その上で実装しています。釣り画像で最初にポケモンとして公開されて広まった歴史があるので、今でもTwitter上などだと「『ポケモン』のデザインをパクってる」と誤解されていることがあるのですが(笑)プラティペットはポケモンではないですし、権利的な問題もないのです。


──shibamataさんは『Temtem』を対戦メインに遊ばれていると思いますが、対戦以外で好きなところはありますか?

shibamata氏:
対戦以外では、知らない人が街やフィールドを歩いているところが、世界を本当に冒険しているように思えて好きです。好きなテムテムの色違いを連れ歩いている人がいたり、大会で人が集まると人だかりができてお祭り感があったり、間接的な交流を楽しんでいます。それと道場の中には、プレイヤーがリーダーになれる道場が世界に6つあります。道場の支配権を賭けた団体戦があるのですが、勝利するとそこの所有権が得られて、テムテム世界のジムリーダーになれるのです。

道場は、クラブというギルドのような団体で所有し、道場の見た目をレイアウトする権利が得られて、みんなで外見を変更できます。また道場では自分たちのゴーストが設置されて、自分たちの見た目と手持ちのテムテムで挑戦者のプレイヤーと戦ってくれます。道場側が勝利すると、道場へ挑戦するためのお金が少しもらえます。あと挑戦者側が勝つと、普段はあまり出現しないテムテムが出現しやすい、特別な草むらへの入場券が得られます。

──『Temtem』にいわゆる厳選はありますか?

shibamata氏:
厳選はあります。テムテムたちには、個体ごとにステータスの違いがあります。『ポケモン』で言うところの個体値ですね。卵を孵化して高個体値のテムテムを厳選するのですが、パーフェクトテムテムと呼ばれる個体値マックスのテムテムを生み出すことが目的となります。ただし『Temtem』には自分である程度育成すると、同じテムテムの強い個体を一定数量産しやすい仕組みがあります。またゲーム内にはトレード施設があって、そこでテムテムの販売が可能です。パーフェクトテムテムを作ったら、そこでパーフェクトテムテムを売って稼いだゲーム内通貨で、別のテムテムを買うことができます。あと、ゲーム内にはお金を稼ぐ手段がいくつかあるのですが、ランクマッチでもゲーム内通貨がもらえます。僕はランクマッチで稼いだお金でテムテムを買う生活をしているので、実は自分で厳選をしたことはほとんどないですね。

それとランクマッチには、参加するとテムテムの個体値が自動的に最大になる仕組みがあるので、ランクマッチでは厳選がそもそも不要です。正式リリース以降のアップデートでは、テムテムを指定し、好きなチームをレンタルできるようになるので、何も持ってなくてもランクマッチにはカジュアルに参加しやすくなります。ゲーム内のトーナメントや道場戦争という団体戦では、そういった仕組みはないので、全部で8体のテムテムが必要ですね。


独自戦術を持ち込んだら対策されてしまった

──『Temtem』のバトルについて、改めて紹介をお願いします。

shibamata氏:
本作では、すべてのバトルがテムテムを2匹ずつ出して戦うダブルバトルになっており、ダブルバトルを意識したゲームデザインになっています。たとえば、横にいるテムテムが特定のタイプだと強化される「シナジー」特性の技があったり、自分も巻き込んで攻撃する技があったり、隣のテムテムを強化する持ち物をサポートテムテムに持たせて隣のテムテムを徹底的に強化したりなど、ダブルバトルを意識した要素が多く入っています。

テムテムの技の中には、「ホールド」といって一定ターン経過してからでないと使えない技があるのですが、サポートテムテムにはホールドを進める技もあり、毎ターンホールド技を撃つこともできますね。あとバトルの要素では、スタミナがあります。テムテムの技には、それぞれスタミナの消費量が設定されているんですが、スタミナが切れるとテムテムが動けなくなり、ダメージを負ってしまうので、同じテムテムがずっと場に居座るのは難しくなっています。すごく強いテムテム1体で全部倒すようなことは、スタミナによって難しいわけです。スタミナ関連では、相手のスタミナを減らす技もあるので、それを使ってスタミナが尽きた隙を狙ったりなど、スタミナが大事な要素になっています。

あと『ポケモン』と違う点としては、テムテムを交代して後ろに下げてもバフの効果が途切れず、交代中もバフや状態異常のターンが経過することも挙げられます。後ろに下げていても毒のダメージを受け、リジェネでHPが回復するんです。バフも途切れないので、ゆっくり隙を見てバフでテムテムを育てるようなこともできます。苦手なテムテムがいない隙を狙って、バフを積んだり技のホールドを進めたりなど、そういった駆け引きも『Temtem』の楽しいところだと思います。

対戦ではもう一つ、ピック&バン(*1)があることも大きな違いですね。『Temtem』では、まず相手のテムテムを1体BANをして、その後で採用するテムテムを選びます。なので、1匹は必ずBANで選出させないことができます。ストーリー攻略中はないんですが、道場再戦という、本気のジムリーダーたちと戦う時からピック&バンが登場し、対人選は基本的にほぼすべてピック&バンがあります。上手いプレイヤーは、ピック&バンでゲームを作っていくというか、相手のピック&バンを見て相手の意図を察して、そこで駆け引きをしたりするので、対戦ではすごく重要な要素になっています。

*1:
ピック&バン(Pick&BAN)……対戦ゲームにおいて何かを選ぶ際、単に使用するモノを選ぶのではなく、そこへ選出できないモノの選択(BAN)を追加した仕組み。詳細な順序はゲームごとに異なるが、BAN対象に選ぶことで、キャラクターなどをその試合で使用禁止にできる。具体的なBANの例としては、どうしても使いたいキャラクターがいる場合、そのキャラクターのカウンター(苦手な)キャラクターをBANして、使いたいキャラクターが活躍できるようにする。相手チームに1体のキャラクターだけがすごく得意なプレイヤーがいた場合には、そのプレイヤーがそのキャラクターを選択できないように、BANによってあらかじめ選択不能にする。単に強キャラクターをBANしたり、苦手なキャラクターをBANする場合もある。何かを選ぶ工程に、選出不可にするBANが加えられているわけだ。『Temtem』においては、チームに選出して戦わせるテムテムを選ぶ前に、まず厄介なテムテムを選んで1体選出不可とできる。

──冒頭でも伺いましたが、AALという大規模な非公式大会に参加されていたそうですね。当時の環境ではどんなチームが流行っていたのでしょうか。

shibamata氏:
当時一番流行っていたのはビート系のチームですね。素早いテムテムを採用して先に攻撃を仕掛け、盤面を取っていく戦術のチームです。今はナーフ(弱体化)されて見なくなってしまったんですが、当時はデジタルタイプにとても強いテムテムがいて、デジタルタイプは半減になる相性がなかったので、単純に早くて強かったんです。その早いデジタルタイプのテムテムに対して、弱点がとれる早いテムテムを使用したりなど、ゲーム自体がスピードを競うものになっていました。そのチームの対抗として上がっていたのが、『ポケモン』のトリックルームのような、行動順を反転させる能力をもったテムテムです。早さで制圧するビート系チームと、行動順を入れ替えるチームが2大人気を誇っていました。上から殴りつけるのが強い時代だったので、良いチームを持っていれば実力差が出づらい時代でもありましたね。

──shibamataさんは、その環境へどういったチームを持ち込まれたんでしょうか。

shibamata氏:
僕は、大会開催当初は知られていなかった超回復チームを持ち込みました。0b10という、ターゲットレプリケーターあるいはターゲットコピーと呼ばれる、味方にかかった効果を自分にもかける能力を持ったテムテムがいるんです。加えてサポートテムテムの中には自分に毎ターン10%の回復効果を付与する、リジェネの技を持ったテムテムがいます。素早いビート系のチームに対して、まず0b10でリジェネをコピーし、回復によって相手の攻撃を耐えてしのぎます。そして隙を見て、『ポケモン』で言うところの滅びの歌のような、4ターン後に相手を気絶させる技を撃ったり、攻撃のバフを積んだりして、相手を倒す。

あとは、一方のテムテムが連続で狙われると味方の攻撃を受け持つテムテム、水タイプの技を自分に撃たせるテムテムも編成していて、回復と耐久で上手く時間を稼いで、相手の攻撃を受け流しながら突破するチームになっていました。編成していたテムテムは、みんな回復やターゲットをずらす技を持っていたので、サイクルしながら順番に受けていくような戦術です。

超回復チームは、僕が大会の予選の際に持ち込んだことで広く知られたのですが、予選リーグでは全体の3位(*2)になれました。ランクマッチでは元々日本勢は特殊なチームを使うことが多かったのですが、大会の時にはジャパンメタは怖いという風に褒めていただきましたね(笑)

*2:
大会……shibamata氏の参加した大会は、AAL(Airborne Archipelago League)という非公式大会。全体で300人ほどが参加し、2021年7月にグランドファイナルが開催された。グランドファイナルへの出場には、6回開催される予選大会のいずれかでまず上位4名に入り、その上で24名の予選リーグで上位16名に入る必要があった。

plusop提供の画像

──予選リーグでは優勝も狙えそうな順位でしたが、グランドファイナルでは何があったのでしょうか。

shibamata氏:
グランドファイナルでは対策されちゃったんですよ。僕のチームは、まず1ターン目にリジェネをかけ、回復によって相手の攻撃を受けようとします。予選では、相手に動きがバレていなかったので、想定通り殴りかかってきてくれていました。でも、本戦ではそれが知れ渡り、相手がバフを積むようになって、回復と関係なく倒せるようになってしまったんです。

あと、ダメージを受けたテムテムは交換して後ろに下げて回復していたんです。でも、テイマーの後ろに下げる行動より早い技を使われました。交換できなくする状態異常を全体にかける技なんですが、その技でリジェネをかけて後ろに逃げようとしたところを捕まってしまい、回復の起点にするテムテムが倒されてしまったりとか、そんな具合で負けました。


対戦の奥深さ

──大規模大会から時間が立ちましたが、最近はどういったチームが流行っていますか?

shibamata氏:
『Temtem』は、2週間ぐらいで環境が変化するので難しいのですが、比較的ビート系のチームが多いかなと思います。現在は、すばやさの順序を逆転するテムテムがすごくナーフされてかなり数が減ったので、そこそこ早いテムテムとバフを積んで戦うチームが2大人気だと思います。場をコントロールしていくような遅いチームも減っちゃいましたね。

流行りのチームの具体例としては、グランパー(Granpah)という風タイプのテムテムを使った編成があります。グランパーは、仲間と自分のすばやさを上昇させる技をもち、手持ちテムテム数が負けている時に自身の攻撃力が40%上昇する特性をもったテムテムです。チーム全体の戦術としては、まずグランパーに素早さバフをガンガン積んで、危なくなったら後ろに下げます。ほかのテムテムが倒されて特性の条件を満たしたらグランパーが出てきて、すばやさで威力があがるダッシュアタックという技で殴ってきます。積んだすばやさで先手を取り、特性とダッシュアタックの威力で攻撃してくるわけです。

さらにグランパーは催眠術という相手を眠らせる技を覚えるので、相手より先に動き眠らせて相手の行動を止めることもできます。そうした強みから、グランパーを中心とした素早さバフを積むチームが今人気になっていますね。ただし、グランパーは風タイプの攻撃しかできないんです。相手を眠らせる催眠術も、効かなくなるアイテムやそもそも効かないテムテムがいるので、風半減のテムテムで受けたり、催眠術を無効化したりといった対策がとられています。あとテムテムの対戦にはピック&バンがあるので、グランパーをBANしてしまうのも対策として使えますね。

──ちなみに、shibamataさんのお気に入りの構成はありますか。

shibamata氏:
僕のパーティーでいうと最近だと、手錠トルテナイトというチームが海外受けも良かったですね。まずトルテナイト(Tortenite)という、自分自身で自分を囚われ状態(交代不可の状態異常)にすると、防御と特防が2段階上あがるテムテムがいるんです。一般的にトルテナイトを採用する時、特性を発揮するために、囚われ状態を全体に付与する技を撃って能力をあげます。でも手錠トルテナイトの場合には手錠という、疲弊状態(スタミナ切れ)の敵に対して技をターゲット状態にした時、そのテムテムを囚われ状態にする効果の持ち物を使います。

「ママのランチ」という全体にスタミナ切れをまく手段があるのですが、まず「ママのランチ」によって自分自身を疲れさせて、さらにトルテナイトが自身にバフ技を積むことで手錠の効果を発動させて、囚われ状態になって特性分の防御2段階と特防2段階バフも得られるという、1ターンで防御と特防が4段階ずつ上がるというコンボになっています。最近気に入っているんですが、今までになかった新しい使い方なので、海外の人からもクレイジーだっていうメッセージが飛んできたりしています。

あとやっぱり0b10もお気に入りですね。『Temtem』の公式Discordチャンネルでは、プレイヤーが戦い方について話したりしているんですが、今でも0b10を使いたいという話になると僕の名前が出てきたり、shibamataの動画を見てこいみたいな感じで言われることも多くて、僕の代名詞になっているところもあるので。戦術としては、やっぱり大会で使った回復コピー耐久戦術が一番気に入っていますね。ゲーム内でも声かけていただいて、あの時のチーム本当にすごかった感動したよとメッセージいただくこともあるので。ちなみに今はだいぶ弱くなっちゃったんですが、それでもたまに使っています。

──先程からナーフされてしまったテムテムが何体か話にあがっていますが、バランス調整が頻繁にあるのでしょうか。

shibamata氏:
結構細々とバランス調整がおこなわれていますね。開発がかなりユーザーの声を聞いてくれるというか、ユーザーと意見交換しながら作っていくような文化があるので、バランス調整はかなりいい状態になっているかなとおもいます。なので、『Temtem』はすごく環境が分散しているんですよ。

人気のあるテムテムやチームはあるのですが、ランクマッチでも8匹中5匹のテムテムが被ることも稀で、大会を含めてミラーマッチもほとんど見たことがないですね。アグロ系や早いチームが多いのはたしかにあるんですが、たとえば早くてもデジタルチームであったり、すばやいチームでもいくつか系統のバリエーションが存在しています。メインのテムテム4匹と、アシストするテムテム数匹がそれぞれ違っていたりするので、友達同士揃えている場合を除くと被っているのはほとんど見ないですね。早期アクセス配信が始まってから2か月ぐらいの頃は、4強と呼ばれるテムテムがいて、全員がそのテムテムを採用している時代もあったのですが、今は人気のテムテムはいても、必ず採用されているテムテムはいないので、本当に多様な環境になっていると思っています。

──shibamataさんが対戦しているなかで、『Temtem』の好きなポイントはなんですか

shibamata氏:
ピック&バンがまず面白いですね。上位のプレイヤーには、相手のテムテムへの攻撃や入れ替えによって、対戦相手と対話しながら戦うようなプレイの方が多いんですよ。そうするにはピック&バンの段階から、相手の弱点はなんだろうとか、どうしたら相手にとって負担をかけられるか考えて進めます。たとえば「ブラックホール」という、シナジーが発生すると相手のステータスを初期化する技があるのですが、シナジー効果の発動には隣に地面タイプのテムテムがいなければならないです。

なので、「ブラックホール」を覚えるがテムテムがピックされたら、地面タイプのテムテムをBANしたりであったりとか、本当に上手いプレイヤーは初見のチームが相手でもその場で考えていい戦いをしてくることが多いです。『Temtem』のピック&バンは奥が深く、相手のやりたいことをピック&バンで塞いでいこうと思うと、本当に知識が問われます。そんな奥が深い要素があるので、僕はパーティーを考えるのがすごく楽して、1日中パーティーを考えていることもあります。ちなみに僕は、平均値よりピック&バンが得意だと思うんですが、上位勢には全然センスが敵わないので、ピック&バンを簡単にできるようにチームを編成しています。自分のやりたいことを無理やり通すにはどうしたらいいか、相手のBANをメインに考えれば済むようなチームを使うことが多くて、ピック&バンで考えることを減らせるようにしています。

あと『Temtem』のいいところとしては、ゲーム内の乱数がないこともありますね。命中率や急所、状態異常になる確率といったランダム要素はなくて、追加効果も必ず発動します。弱点の攻撃を受けても、計算上耐えるなら100%耐えるので、耐えた上で反撃も必ずできるわけです。運に左右されづらいので、上手い人は数ターン先までしっかり考えて行動を選んでいたりしますね。


それぞれの楽しみ方を許容してくれる

──プレイにあたってオンラインの人口も気になるのですが、日本人のプレイヤーはどの程度いるのでしょうか。

shibamata氏:
国内はコレクター層が多めで、対戦をやっている人はまだそんなに多くないです。でも僕が開いた大会も含めて、日本語で進行する日本の大会が何回か開催されていて、その時は開催できるぐらいの人数は集まっています。そういう意味では、しっかり対戦できる人数はいます。あと全体でいうと、毎週ゲーム内トーナメントが開催されています。『Temtem』のゲーム内トーナメントは参加人数が多いと16人から32人毎にトーナメントが分かれてしまうので、正確には何名いるかわからないですが、土日に3回おこなわれる大会は大勢の参加人数が集まっていますね。それと、団体戦のトーナメントが毎週6本あって、そこも一通り人が集まっています。対戦相手や対戦コンテンツには困らないと思います。

──読者にむけてメッセージをお願いします。

『Temtem』は、シナリオをやるだけでも友達と一緒に楽しめたり、結構難易度が高くてやりごたえあるので、ストーリー部分を遊ぶだけでも楽しいゲームになっています。それから、やり込もうと思った時に1人でランクマッチで勝利を目指すとか、大会に出てみるとかもありです。みんなで一緒に戦うコンテンツも用意されていて、人それぞれの楽しみ方を許容してくれるゲームだなと思っています。もし何かピンときたものがありそうだったら、『Temtem』を是非プレイしてみてほしいです。

──ありがとうございました。

Temtem』は9月7日に、PlayStation 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに正式リリース予定だ。またPlayStation 5/Nintendo Switch向けにはPLAYISMからパッケージ版が発売予定。パッケージ版については、通常版には初回特典としてテムテム図鑑が付属し、価格は税込4980円。デラックス版には通常版の内容に加えて、「トップテイマー」と「スタイリッシュスーツ」の2つコスメティックパックと2種類のエモートも付属し、税込7495円となっている。