本日Nintendo Switch版がリリースされた『箱庭えくすぷろーらもあ』。ぬるぬる動くドット絵と箱庭の世界を巡る冒険、住人たちとの奇妙なふれあいから、すでに発売されているSteamのレビューでも「非常に好評」の評価を獲得している作品だ。今回は、Nintendo Switch版の発売を記念してメールインタビューを実施。開発者のすき氏に、コンシューマーハードへの移植にあたって苦労したことや、ドット絵やすく水へのこだわりなどを伺ったので、その内容をお届けしよう。



───Nintendo Switch版の発売おめでとうございます。改めて『箱庭えくすぷろーらもあ』について紹介をお願いします。

すき:
ありがとうございます。『箱庭えくすぷろーらもあ』は、ドット絵のクォータービュー視点のアクションゲームです。草の上を歩くとガサガサなり、水の上を歩くとチャプチャプなるようなドット絵の世界に入りたいとの思いから開発を開始し、あれやこれや追加していきました。可愛い女の子のモンスターに殴られたり、ヒップアタックされたり、巻きつかれたり、ちゅっちゅ吸われたり、食べられたりしたいという私の願望がそのまま形になっています。

───Nintendo Switch版での変更点/追加要素はありますか。

すき:
期待されていた方には申し訳ないのですが、追加要素はございません。PC版『箱庭えくすぷろーらもあ』と内容は同じです。また心配されている方がいらっしゃるかと思いますが、女の子モンスターのグラフィックや攻撃方法なども変更を加えておりません。商標や歌詞など、テキストの一部の危ない箇所のみ変更させていただきました。
変更点といえば、主人公二人に名前が付きました。自分で作っておいてなんですが、PC版では主人公名が「にと(ニート)」とか「ちじょ(痴女)」とか、通りすがりのおしりを触るとか設定がひどすぎなので、せめてもう少しまともな名前にと思い、Nintendo Switch版からは男主人公が「いくす」、女主人公が「ろろ」に変更してあります。

───移植にあたって苦労した/力を入れたポイントなどはありますか。

すき:
PC版は、HSP(Hot Soup Processor)と呼ばれるプログラミングツールで楽しく開発しておりました。家庭用ゲーム機への移植は難しいなと正直諦めていたのですが、パブリッシャーであるPLAYISMさまが移植会社にお願いしてくれました。私としましてはHSPで開発したソースデータを移植会社に提出し、その後デバッグをしたくらいなので、特に苦労はありませんでした。ご協力いただいた方々には本当に感謝の気持ちしかございません。


───老若男女にいたずらできるシステムや、アイテムのテキストなど、ちょっとしたユーモアも本作の魅力だと思います。こうした要素は、どこから着想を得たのでしょうか。

すき:
私はゲームをしていて常々、こんなことをしたらどんな反応をされるのだろう、と考えてプレイしております。細かい反応をしてくれると、このゲームはこんなところまで作り込んでいるのか!とか、次はこんなこと試したい!みたいな楽しい気持ちになります。いたずらは、実際人に乗られたり、背後から接触されたらそりゃ怒るよな、といったアイデアを取り入れました。

───女の子と交流していると、さまざまなイベントが発生することもあります。すきさんの趣味も反映されているのではないかと思うのですが、こだわったところはありますか。

すき:
本作の実績イベントには見ず知らずの一般女性宅に何度も出入りすることや、幼女のお尻を何度も触ることが含まれますが、これらは私の趣味ではありません。興味が無いわけではありませんが、逮捕されてしまいますので……その辺りの分別はあるつもりです。ゲームなので、どうせなら現実には実行出来ないことをイベントにしようと思い作りました。


───すく水の女の子が、いろいろと印象的なキャラクターです。どうして彼女はすく水を着ているのでしょうか。

すき:
すく水は、『箱庭えくすぷろーらもあ』以前の試作ゲーム『どっと世界ぶらり旅』の操作キャラクターです。彼女はドット絵世界の先輩でしたので、本作の案内役をしてもらいました。なぜスク水を着ているのかと問われると答えに少々困るのですが、ドット絵にする時に一番シンプルで描きやすかったからです。決して私が重度のスク水好きだからとかそういうことではないです。ちなみに私はごわごわしたポリエステル素材よりもすべすべした伸縮性の高いナイロン+ポリウレタン素材のスク水の方が好きで、形状は旧型、色は紺色が好きです。水に濡れて肌に密着する感じとか、外界を映す光沢とかいいですよね。

───お気に入りのイベントなどあれば教えてください。

すき:
悪いすく水のイベントです。無理矢理お尻を触らせてきてお金を奪ってきます。借金を負わされると、返済するまでどこまでも取り立てにやってきます。非常に羨ま……悪い奴ですね。私の趣味を別にしても、悪いすく水関係のイベントは非常によくできていると思います。興味があれば色々と搾られてみてください。

───本作には、女性型のモンスターが多数登場します。特にボスなどは、セクシーさを強調した描写になっていますが、ドット絵で力を入れた表現はありますか?

すき:
キャラクターに重みや軟らかさを表現するために、慣性を意識しました。揺れる胸や尻が他の部位と比べワンテンポ遅れて動きます。揺れ初めと終わりで軟らかい部位ほど変形が大きく、固い部位は変形が小さくなるよう描きました。ドット絵は小さいながら、重みや軟らかさを感じることが出来る、キャラクターがまるでそこに生きているような感じが出せたのではないかと思います。

───お気に入りのドット絵などはありますか。

すき:
みんな好きで悩みますが、えっち抜きにして純粋に一番よく動かせたと思うのは、宝箱に擬態してプレイヤーを襲う「まねこ」というキャラクターのドット絵です。


───ドット絵を使った全年齢向けのアクションゲームとしては、えっちな描写が豊富であることは珍しく感じます。18禁ではなく、全年齢向けとしてリリースしたのはどうしてでしょうか。健全なエロさにこだわりを持っておられるのでしょうか。

すき:
過激か否かの2択であると、文化は育まれないものと心得ております。過激なえっちは専門の方々にお任せするとして、私は広く深い入口を作り、あとは各々で興味のある道へと進んでいただけたらと思っております。それから私的には全年齢向けに制作したつもりではあるのですが、一応CERO Cという判定になりましたので、お子様の方々には申し訳ございませんが適齢期になるまでお待ちください。色々とその……こじれてしまうかもしれませんので。

───過去のインタビューによると、Steam用のバナー素材をValveに「えっちすぎる」と却下されたそうですが、Switch版では何かありましたか。

すき:
移植に当り、テストプレイを行った方からテキスト表現をマイルドにしなくていいか確認を受けた箇所がいくつかありました。猫の台詞「おっぱい」とか、すく水の台詞「キノコを食べたらぎんぎんになるよ」とかですね。結局そのままでいかせてくださいと懇願しまして、そのままの形になっております。


───フリー版、Steamでの有料版を経て、今回Nintendo Switch向けとしてより幅広い層へ向けてリリースされます。振り返ってみていかがでしょうか。

すき:
最初は一人黙々とHSPをいじっているだけでした。趣味を続けていくにつれ、一人また一人とゲーム制作を支える方々に出会うことが出来ました。すごく感謝しております。はたから見ればえっちなことしか考えてないだろこいつとか思われているかもしれませんが……それはまあ否定出来ないのですけど、すごく感謝しております。制作にたずさわった方々、遊んでいただいた方々、その他かかわりをもっていただいた方々……皆様本当にありがとうございます。

―――ありがとうございました。

Nintendo Switch版『箱庭えくすぷろーらもあ』は、税込1200円でニンテンドーeショップにて配信中だ。