Nintendo Switch向け多機能ドック「Power Bay(パワーベイ)」は、どれほど多機能なのか?
Nintendo Switchには、本体の充電やテレビへの映像・音声出力などをおこなうためのドックが必ず同梱されている。にもかかわらず、2017年のNintendo Switchのローンチ以降、市場ではサードパーティ製のドック製品がいくつも発売されており、あえて買い足すユーザーが多くいることがうかがえる。それだけドックへの需要が高いということ。今回弊誌では、今年9月に国内発売されたばかりのNintendo Switch用ドック製品「Power Bay」と「Power Bay Crimson」を、ゲーム周辺機器メーカーBrook Design, LLCからご提供いただき試す機会を得たため、その特徴をじっくり見ていきたい。
Power Bay :
https://www.brookaccessory.com/powerbay/index_ja.html
Power Bay Crimson :
https://www.brookaccessory.com/powerbay/index_ja.html
黒い筐体に紫色のパーツがある方がPower Bay、赤いパーツを使用している方がPower Bay Crimsonだ。見た目はほぼ同じだが、Power Bayが上位モデルとなる。両製品の違いなど詳細は後述するとして、まずおさえておきたいのは、Nintendo Switch本体の充電やテレビへの映像・音声出力、またUSB端子を経由した周辺機器の使用といった、純正ドックが持つ基本機能はすべて備えているということ。本製品を利用することによって機能面で何かを犠牲にすることはない。
サイズは、両製品とも実測で約90x90x32mm(突起部除く)と共通。重量についても、どちらも約164gだった。ちなみに、純正ドックは173x54x104mm、約327g。本製品は、純正ドックと比べると非常にコンパクトな製品だといえる。手のひらサイズのこのコンパクトさが、本製品の大きな魅力のひとつだと感じた。外出時に持ち出したり、家の中で移動させるにしても、手軽に持ち運べるのは嬉しいポイントである。
外観を詳しくチェック
では製品を詳しく見ていこう。なお、外観から確認できる各部位はPower BayとPower Bay Crimsonで共通である。まず、天面にある蓋を開けるとスリットとUSB Type-C端子が現れる。ここに、Nintendo Switch本体をUSB Type-C端子に接続するよう乗せて使用するわけだ。その手前にはTURBOボタンとFUNCTIONボタンを配置。こちらについては後述する。
後部にはテレビへの映像・音声出力をおこなうHDMI端子と、Nintendo Switch本体の充電時に使うUSB Type-C端子を用意(ACアダプタは別売)。そして前面には、USB Type-A端子を2つと、ゲームキューブ コントローラー用端子を2つ搭載する。そう、本製品はゲームキューブ コントローラーをダイレクトに接続できるのだ。ほかのドック製品では滅多にみられない、ユニークな仕様だといえる。よくよく見ると、本製品はゲームキューブ本体を彷彿させるデザインをしている。
ちなみに、後部にある持ち手のようなパーツは、上にスライドさせて取り外すことが可能。外した持ち手は、スタンドとして底面に取り付けて、前方または後方を少し持ち上げることができる。プレイ時の姿勢に合わせて角度をつけられる仕組みである。
コンパクトながら安定感良し
ここからはPower Bay/Power Bay Crimsonを実際に使用した際のインプレッションを記していく。天面のドック部分にNintendo Switch本体を装着したところ、安定感が非常に高いことにまず気づく。先述したようにコンパクトな製品ではあるが、程よく奥行きのある平らな形状と、Nintendo Switch本体込みでの重量によって、ぐらついたり転倒したりする不安はない。なお、USB Type-C端子は前後に少し動くようにはなっているものの、本体カバーを使用している場合、厚みによってはドックに装着できない可能性がある点は注意したい。
そして、純正ドックとは異なり、装着時にNintendo Switch本体の画面を塞がないことが特徴的。USB Type-C接続のACアダプタにて電源供給すれば、いわば充電機能付きのスタンドとして、このままゲームを楽しめる。家族にテレビを占領されてしまった際や、外出先でのマルチプレイなどに便利だ。ちなみに電源を繋がなくても、Nintendo Switchのバッテリーによって、後述するHDMI出力以外は機能する。
ゲームキューブ コントローラーを接続可能
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のファンなら、ゲームキューブ コントローラーを愛用しているプレイヤーは多いことだろう。純正ドックでは、USBに変換する接続タップを介して接続する必要があるが、Power Bay/Power Bay Crimsonには専用端子が搭載されているため直接接続可能。端子が2つ用意されており対戦も楽しめる。
実際にゲームキューブ コントローラーで同作をプレイしてみたところ、問題なく認識され違和感なく使用できた。特に遅延も感じない。デフォルトで、ゲーム内のボタン設定での「ゲームキューブ コントローラ」として認識されるようプリセットされているため、特別な設定をおこなうことなく利用可能だ。ちなみに、TURBOボタンを5秒ほど長押しすることで、ボタン設定「Joy-Con 2本持ち・Proコントローラーなど」に切り替えることもできる。ちなみに、『スーパーマリオ 3Dコレクション』に収録されている『スーパーマリオ サンシャイン』も、先日ゲームキューブ コントローラーでのプレイに対応。『Rivals of Aether』なども同コントローラーをサポートしている。
前面の端子に接続したゲームキューブ コントローラーに対しては、連射機能も用意されている。設定方法は、TURBOボタンを押し続けた状態で、連射を割り当てたいボタンを押すだけ。同じ操作をもう一度繰り返すと設定が解除される。連射速度は1パターンのみだが、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の練習時などに活用できそうだ。
そしてUSB端子も前面に2つ搭載しており、Nintendo Switchに対応するUSB接続のコントローラーやアーケードスティック、ヘッドセット、テキストチャット用のキーボードなどの周辺機器を利用可能。マルチプレイ用のJoy-Conが足りない時に、USBコントローラーで間に合わせるといった用途にも良さそうだ。
筆者はアーケードスティックを接続して『GUILTY GEAR XX ACCENT CORE PLUS R』や『マジカルドロップ2』などを試してみたが、こちらも純正ドックでの利用と比較して特に違いは感じられず、快適にプレイ可能だった。テレビのない環境で、アーケードスティックを用いた格闘ゲームやクラシックゲームを楽しむセッティングが簡単に整うことは、本製品の大きなメリットのひとつだと感じた。もちろん、HDMI経由でテレビに映像・音声を出力しながら、こうした周辺機器を利用する使い方もありだ。
HDMI出力でTVモードプレイ
テレビやPCモニタにHDMI接続してTVモードで楽しむことは、ドック製品のメインの使い道のひとつといえるだろう。Power Bay/Power Bay CrimsonにもHDMI端子が搭載されており、映像と音声を出力可能。利用方法は、本機とテレビ・モニタをHDMIケーブルで接続し、Nintendo Switch本体をドックに装着するだけ。自動的にTVモードに切り替わり、テレビ・モニタに映像が映る。この辺りの使い勝手は純正ドックと同じだ。映像・音声の品質に関しても遜色はなく、滲みやノイズ、遅延などもなくクッキリ滑らかである。
このHDMI出力機能は、DP Altモードに対応するほかのデバイスでも利用可能。たとえば対応するスマホを本機のドックに接続すると、画面をミラーリングしてYouTubeの動画コンテンツなどを大画面で楽しめる。また、サムスンGalaxyのDeX機能などのように、いわゆるPCモードとしてスマホを操作する際にも、Power Bay/Power Bay Crimsonのドックを利用できる。
なおHDMI出力の利用に関しては、電源供給のためのACアダプタの接続が必須となる。電源が不安定だと機能しないため、任天堂純正のドック用ACアダプタと同等のスペックのものを用意することが好ましい。また、Power Bay/Power Bay CrimsonはNintendo Switch Liteでの使用にも対応するが、HDMI出力に関しては利用不可となる。これはNintendo Switch Lite自体が、映像・音声出力をサポートしていないためである。
上位モデルはBluetooth対応
実はここまで紹介してきた各機能は、すべてPower BayとPower Bay Crimsonで共通だ。では、何がPower Bayを上位モデルたらしめているのかというと、それはBluetooth機能を搭載していることにある。通常は、ゲームプレイの音声はNintendo Switch本体やテレビのスピーカーで聴くことになるが、Power BayならBluetoothに対応するワイヤレスヘッドフォンなどに出力することも可能。対応コーデックはaptX/aptX LL(Low Latency)/AAC/SBC。いわゆる技適を取得していることも確認している。
Bluetoothヘッドフォンなどのデバイスとのペアリングは、まずPower BayのFUNCTIONボタンを3秒ほど長押しすると、前面のランプが紫色に点滅。そして、もう一度FUNCTIONボタンを1回押すと点滅が速くなりペアリング待機状態になる。この間に、Bluetoothデバイス側もペアリングモードにすれば自動的に接続される。さらに同じ操作を繰り返すことで、もう1台のBluetoothデバイスと同時接続することも可能だ。2人プレイ時に便利な機能である。
筆者はBluetooth対応のヘッドフォンをいくつか用意して試してみたが、いずれも簡単にペアリングできた。Nintendo Switch本体のスピーカーでは音質面で物足りない時もあるため、ケーブルの煩わしさなくヘッドフォンを利用できるのはありがたい。遅延については、メーカーの説明によると0.04秒とのこと。ただ、Bluetoothデバイス側の対応コーデックによっては遅延が大きくなってしまうため確認が必要だ。aptX LLに対応したものであれば、ほぼ遅延を感じることはない。一方aptXやAACの場合ははっきりと遅延を認識できる。シビアに音のタイミングを聴き分ける必要のあるゲームでなければ大きな支障はないが、人によっては気になってしまうレベルだといえる。そのため、aptX LL対応のヘッドフォンなどを用意することをオススメしたい。
Power Bay/Power Bay Crimsonを開発・販売するBrook Designは、ほかにもコントローラー用のコンバーターなど多くのゲーム周辺機器を手がけており、知る人ぞ知るメーカーである。とはいえ、本機は任天堂製品との適合性が確認された任天堂ライセンス商品ではなく、この点に関しては不安に感じる人もいるかもしれない。これに関してBrook Designは、USB Power Delivery規格への準拠など、誤作動の確率が低くなるよう最善の努力をしていると述べる。また、万が一の事態に備えてグローバル保険に加入。本機が原因でNintendo Switch本体が故障してしまった場合、同社が修理代金を負担し、修理不能な場合でも同社が責任をもって対応するとしている。
最後になるが、本機の製品内容は本体のみとなっている。先述したように、ACアダプタは別売りである。説明書は、公式サイトからダウンロードするかたち。筆者は紙の説明書を同梱してほしいタイプだが、ダウンロードで十分だという方もいるだろう。ただ、その説明書は詳細に記述された部分とそうでない部分があり、やや手探りで仕様を確認せざるを得ない場面もあった。本機の品質には直接関係はしないが、今後ブラッシュアップされることを期待したい。
Power BayとPower Bay Crimsonは、Amazon内のBrookストアにて販売中。価格は、Power Bayが8980円、Power Bay Crimsonが6980円である。Power Bayは、任天堂の純正ドックの実売価格とほぼ同価格。ほかのサードパーティ製ドックと比較すると高価に感じるかもしれないが、本稿で紹介したように、本機はほかのドック製品ではなかなか見られない機能を備えている。
ゲームキューブ コントローラーを直接接続できることは、『スマブラ』ファンであれば刺さる人も多いのではないだろうか。Power Bay限定のBluetooth機能も、ありそうでなかった仕様である。また、ドックにNintendo Switch本体を装着したままプレイできることは、コンパクトさと相まってプレイ環境の幅を広げてくれるだろう。興味のある方は購入を検討してみてはいかがだろうか。製品の日本語公式サイトもぜひチェックしてほしい。
日本語公式サイト :
https://www.brookaccessory.com/powerbay/index_ja.html
会社紹介(リリースより引用):
台湾のゲーム周辺機器ブランドBrookは20年に及びゲームハードウェア設計・製造の経験があり、2015年にゲーム機のsuper converter製品をリリースしました。旧世代のゲーム機のコントローラ、スティックコントローラ、ハンドル等がカメレオンのように新生代のゲーム機と互換性を持つことができます。皆様の生活に新しい楽しみをもたらす他、予算の節約にも繋がります。我々はお客様が心置きなくゲームの世界を楽しめるよう、引き続き、想像を超えた柔軟性、適応力と豊富外観を持った、より多くの突破性、多元性のある家庭用ゲーム機の周辺機器を作っていきます。#WeBackYouUp
Brook Design, LLC.
https://www.brookaccessory.com
Brook Amazon
https://www.amazon.co.jp/brook