サイバーエージェントのゲーム事業部には「プロジェクト付け」でも「研究開発」でもない、グラフィックやシステム含めた“技術課題拾いまくりエンジニア組織”があるそうだ。なぜ?なんのために?求人中らしいので話を聞いた

サイバーエージェントゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)における、技術問題を横断的に拾っていくのが、SGEコア技術本部だ。どんな課題を解決しており、普段はどんな業務をしているのだろうか。

ゲーム開発規模が大きくなり、チームも肥大化する中で、技術情報……いわゆるナレッジの共有は課題としてあげられることが多い。スマートフォンゲームでヒットタイトルを数多く輩出するサイバーエージェントグループも、そうした会社である。たとえばQualiArtsやサムザップ、アプリボットなどの子会社が所属し、様々なタイトルを展開している。

サイバーエージェントゲーム・エンターテイメント事業部の子会社群

そうしたサイバーエージェントゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)における、技術問題を横断的に拾っていくのが、SGEコア技術本部(以下、コアテク)だ。コアテクが設立されるまでは、各社としての技術共有はそれほど盛んではなかったが、今は社内の文化醸成もあり、会社間のナレッジ共有は活発にされているという。いわゆる横断型の技術者集団で特殊な組織である。組織概要については別記事も参照してほしい。

そんな特殊な技術組織であるコアテクでは、どんな課題を解決しており、普段はどんな業務をしているのだろうか。コアメンバーである石黒祐輔氏、矢野春樹氏、清原隆行氏らに話を伺った。なお、SGE(サイバーエージェントゲーム・エンターテイメント事業部)コア技術本部では以下のポジションを募集中だ。

・Unity基盤エンジニア(該当リンク
・Unityグラフィックスエンジニア(該当リンク
・Unityクライアントエンジニア(該当リンク
・Unityパフォーマンスチューニングエンジニア(該当リンク

そのほかは応募サイト

ゲーム会社の技術整備は、部分的にユーザーも恩恵を受けられる

――コアテクが、サイバーエージェント内のゲームセクションで技術的な横断をすることで、さまざまな技術問題を解決したり、あるいは提供しているのは理解できました。作り方としてスムーズになったのは理解できつつ、それらはゲームにはどう反映され、ユーザーはどういうメリットを感じられますか。

清原氏 – グラフィックスエンジニア・グラフィックスリーダー:
見えないところで、いろんなユーザーメリットを提供できていると思います。具体的なところでいくと、あるAというゲームがリリースされたときに、特定のスマートフォン端末でしばらくプレイしているとゲームが落ちるという症状がありました。その原因を調べてくださいという相談があって、調査の結果、OSの不具合という結論に落ち着きました。そのゲームでは、ユーザーへのお知らせを出して対応しました。

その直後ぐらいに、別のBというタイトルでもリリース前に特定の端末でクラッシュが起きていて、それを調査してくれませんかという相談も寄せられました。これが直らないとリリースが延期になるかもしれないという状況だったんですが、それがAでも起きていて、そちらは告知で対応していますとお伝えして。無事にリリースに漕ぎつけたので、ナレッジの共有ができていた甲斐があったのかなと思っています。

矢野氏 – クライアントサイドエンジニア・OSS開発などもリード:
各社に早めにチェックしてもらう動きや、Unityの担当者とやり取りをして、不具合の共有なども迅速に動けていたので、そこは横断のメリットでしたね。

――劇的なわかりやすさではないですが、ナレッジの共有はトラブル抑止や解決としての効果が出始めているんですね。

矢野氏:
私たちの役割は、面白いゲームを作ることに集中してもらえる環境を整えることなので、どうしても見えづらいですね(笑)

石黒氏 – エンジニア・同事業部を統括:
逆に見えないところがいいのかなと。たとえば不具合が起きないとか、障害が起きないとか。アセット基盤に問題があるとイベントが遅延してしまうなど、そういった問題があるので、まず問題が起きないことが一番の成果というか、ユーザーにとって一番届けられている価値なのかなと思います。

――開発で起こったトラブルは、基本的にコアテクに吸収されて蓄積されているんですか。

石黒氏:
プロジェクトで発生した不具合に関しては、基盤でも改善しつつ、基盤ではなくてワークフローなどの問題だった場合は、その部分の改善をして、さらに全体に情報共有をしていくかたちで対応しています。

――ユーザーの目に見える部分だと、コアテクが開発するレンダリングのSIRIUSを使うことによるグラフィックス部分も、今後リリースされるタイトルでも感じられるケースが増えるのでしょうか。

清原氏:
そうですね。グラフィックスエンジニアが足りていなかった子会社からも、SIRIUSで可能になった表現を使ったタイトルがリリースされると思います。自社でスタイライズドな表現を追及できる子会社は、SIRIUSのキャラクターシェーダーは使わないとは思いますが、それ以外のコストコンセプトなどの部分に関しては、貢献している部分があるかもしれませんね。

石黒氏:
ポストエフェクトもコアテクが整備したものが使われていますよね。

清原氏:
ポストエフェクトはどの会社でも何かしら使ってくれていますね。BloomとSSAO(Screen space ambient occlusion)は特に使いやすいものになっています。BloomはUnityのものを改善したものになっています。SSAOはGTAO(Ground Truth Ambient Occlusion)というアルゴリズムを採用しています。この処理は品質が高くて、かつパフォーマンスも高いため、Unity標準のものと比べてモバイルでの使用も可能なものになっています。もしSSAOを使いたいプロダクトだったら、SIRIUSを使うのが一番早いという状況です。

石黒氏:
被写界深度とかも結構使われていますし、やっぱりポストエフェクトは部分的な導入もしやすく、使い回しがしやすいというのがあって、かなり幅広く使ってもらえています。

清原氏:
あとは、アンチエイリアスのFXAAもありますね。これもUnity6のものと同等の機能を先に作っていたんです。で、Unity6がリリースされて、もういらない機能かなと思っていたんですが、Unity6だとフォローしきれない部分があったので、今もSIRIUSのFXAAを使ってもらえています。そういったかたちで、いろんな機能が使われている状態です。

サポートもするし、開発もする

――皆さんの働き方についてお聞かせください。1日の定常業務はどんなものなんでしょうか。

矢野氏:
先ほど話した通り、弊社では現在ハイブリッドカジュアルゲームのグローバル展開を目指しています。短期間で多くのゲームを作らないといけないので、このようなゲームの開発を効率化する仕組みを作っています。具体的には、サーバサイドエンジニアがプロジェクトにいなくてもサーバサイドロジックを開発できる仕組みを作っています。最近はそれをプロジェクト側でしっかり活用できるように、私もプロジェクトに入っていました。

――作って渡すだけでは、知見がなくて使い方がわからないと。

矢野氏:
最初は大抵わかりづらいものなので、しっかりとしたフォローが必要ですね。

石黒氏:
私はコアテク以外の、グループ全体のミッションもありますので、割とミーティングが多いですね。その中でも基盤チームも見ているので、Unityの基盤開発に関しては要件や開発全体の方針をほかのメンバーと一緒に議論して、決まった実装自体は任せています。ただ、悩ましいというか難しい部分なんですが、Unityの基盤開発に理解のあるバックエンドの人が少ないという問題がありまして。なので、私はUnityもやりつつ、バックエンドを中心に取り組んでいます。

――やる人がいないところに取り組んでいるんですね。

石黒氏:
そうですね。本当に手が足りないところをひたすらやっています。

――お二人とも開発と打ち合わせのバランスは日によって違うような感じですか。

矢野氏:
最近は開発寄りですけど、基本的にはそうですね。ミーティングが多いときに半々程度になるぐらいですね。

――皆さんのやっていることは本当にバラバラですね。

石黒氏:
そうですね。

矢野氏:
清原さん、最近何やっているんですか。

一同:
(笑)

矢野氏:
いや、お互いバラバラ過ぎて、それぐらい知らないんですよ。

清原氏:
業務としては先ほどのSIRIUSの開発があって、急ぎじゃない仕事というのが重要度が高いところにあるんですね。SIRIUSの開発とか、ビジュアルリグレッションテストの推進とか、重要度が高いけど優先度が低いというものがあるんです。何もなければその開発を進めているのですが、重要度の高いタスク、たとえばNOVA Shader(OSS)がまさにそれなんですが、今現在プロダクトで使っているもので、こういう不具合が起きた、こういう機能を追加してほしいなど、優先度の高い依頼が入ったらそちらの対応をしています。

――差し込み仕事がいっぱいあるんですか。

清原氏:
差し込みタスクは多いですね。先ほどのスマートフォン対応もそうなんですけど、プロダクトでこういう不具合が起きて調べてほしいや、Unityのこういう機能をプロダクトに入れたいから移植してくれませんかというような差し込みですね。その隙間で、今すぐ必要ではないけど、将来を見据えた仕事をしているという感じです。

矢野氏:
重要度が高いけど優先度が低いタスクは、本当に重要ですよね。プロダクトを作っているとできない、後回しになってしまう類のものですし。そういう部分はコアテクがやっていけるといいですね。

清原氏:
その部分が回らなくなってきたときは人が足りないときなので、人を増やしたくなるタイミングですね。緊急度の高いところだけに対応していても自転車操業になってしまうので、今後もちゃんと重要度が高いけど緊急度の低いものにも対応できるように動いていきたいです。

「得意なもの」があればいい

――コアテクには今何人くらいのひとがいらっしゃるんですか。

石黒氏:
大体15人くらいですね。

矢野氏:
その15人くらいが、みんなそれぞれバラバラの仕事をして、SGE全体に恩恵のあることに取り組んでいるわけですね。もう少し人員がいてほしいところなんですが……。

――採用にあたって、どういったキャリアやスキルをもつ人だと入りやすい、馴染みやすいというのはありますか。

石黒氏:
私のイメージとしては、最初はやっぱりいくつかプロダクト開発を経験した方だといいんじゃないかなという気がします。2~3本のプロダクトを経験すると、同じような課題が複数のプロダクトで繰り返されているなという、プロダクトではなくて会社や組織の課題みたいなところが見えてくると思います。そうしてより本質的な課題に取り組んでいこうとなったタイミングが、コアテク入りをおすすめできるタイミングなのかなと。

矢野氏:
学生の方々とお話しすることがあるんですが、学生の皆さんって個人開発をすることが多いんですよね。その中で「どうすればもっと効率よく開発できるか」を考えるようになって、たとえばコードを書くスピードを上げたり、作業をスムーズにする工夫をしたりしていくと思うんです。

それが個人から会社やチーム、プロジェクトになると、開発効率向上をより広い視点で意識する人が現れます。そうすると、じゃあ、チーム全体、プロジェクト全体、会社全体の開発効率を上げるときに何をしたらいいかと考えるようになる。そういった全体の最適化を目指したいという人たちがコアテクに入ると楽しめると思います。

――コアテクで働くにあたって、求められるスキルセットのレベルはどれくらいだとお考えですか。正直、高ければ高い方が良いとは思いますが、どれくらいが入口になりますか。

石黒氏:
ものによりますが、そこまでプロフェッショナルな感じでなくてもいいかなと思っています。それこそコアテクみたいな横断業務は未経験でも全然良くて、一定のスキルがあって、何よりモチベーションがあって、コアテクでスキルを発揮したいと考えていてくれる方なら、ぜひ来てほしいです。コアテクに入った後に専門性や能力を高めていってほしいですね。

矢野氏:
もちろんスキルも大切ですが、やることや課題はそれぞれにたくさんあるので、「課題感」をもっている方が嬉しいですね。

石黒氏:
スキルについては、たとえば強いところがチューニングだったら、一度や二度ぐらいチューニングの経験がありますよ、とか。

矢野氏:
それこそ、専門分野のグラフィックスはどうなんですか、清原さん。

清原氏:
今グラフィックスチームにいるうちの2名は、実務経験がなかった方々なんですが、その部分は後で伸びていくからいいですよと話した覚えがありますね。やっぱりどちらかというと視点の方が大切で、広い視点をもって開発効率を高めるための作業に取り組める人がいいと思います。グラフィックスに興味があるというくらいでも全然大丈夫です。お二人の言うとおり、もちろん一定のスキルは必要ですが。

矢野氏:
R&Dに近しいことに取り組む場合は、やっぱり専門性の高さも重要にはなりますね。あと、先ほど話した緊急じゃないけど重要みたいなタスクは、専門性の高いものが多いので……。

清原氏:
バランスが大切かなと最近思っています。グラフィックスの分野だけで考えても、専門性の高いプロフェッショナルな方、幅の広いジェネラリストのような方の両方が必要だと考えていて、両方の人材がバランスよく集まっているチームが理想的なのかなと。

石黒氏:
特定のプロフェッショナルな領域って、やっぱりゲーム開発をしていてもなかなか手が出ない難しい部分があるんですよね。たとえば、チート対策って、正直ほとんどの人は出来ないと思っていて、できる人はもうずっとチート対策のことしか考えていないんですよ。そういう人って各社に1人いるわけじゃなくて、SGE全体で1人いたらいいよね、というくらいなんです。

コアテクという組織は、そういった専門人材も抱えることで、プロフェッショナルでゲーム領域の基盤化や開発の効率化を担える組織にしたいと思っていたので、今後うまくSGE全体に提供できるように、そういったところも強化していきたいですね。

――そう考えると、ゲーム会社大手各社のR&D部門に応募するよりはずっと間口が広いですよね。コアテクに入るときには、この分野に強いという部分をそれぞれ査定してもらって、合うかどうかを考えてもらえるということですよね。

石黒氏:
そうですね。適材適所で仕事をお願いするかたちになると思います。

矢野氏:
たしかに間口は広いですね。

石黒氏:
各社は、このプロジェクトでこういうことをやりたいという前提で、それに合った人材を求めていると思います。一方で、私たちは事業から少し離れた立ち位置にいるので、もう少し先を見据えて、「今後、SGEはこういうことをやっていきたいと思っているんじゃないか」と考えながら動くことが多いんです。その分、求める人材の間口も広くなっていますね。

――ちなみに、採用された新人が「これをやりたい」と言った場合、ある程度ニーズに沿っているなら取り組ませてもらえるんでしょうか。

矢野氏:
もちろん会社としてやるべきかどうかという話はしますね。そして、コアテクとしてやるべきかどうかという話もみんなでします。自分がやりたいことと会社としてやるメリットがあるかどうかが一致するところに取り組んでもらっています。また、合宿を半年に1回くらいのペースでおこなっているんですが、大きい方針はそこで決めていますね。

――なるほど。この仕事をしなさいというわけではなくて、うまく会社との折り合いがついたら自分のやりたいことができると。

矢野氏:
基本的に、みんなそういったかたちで働いています。

――特殊部隊。

一同:
(笑)

重要なのは、課題解決を楽しめるかどうか

――お話を聞いていると、みなさん楽しそうに仕事をしている印象を受けましたが、どういうときが楽しかったり、やりがいを感じたりしますか。

石黒氏:
これを言うと勘違いされそうなんですが、私の場合はより辛い仕事の方がやりがいを感じ、また同時に楽しさも感じます。

一同:
(笑)

矢野氏:
どういうこと(笑)

石黒氏:
いわゆる大変な仕事、泥臭い仕事もそうですけど、もうこれ本当にどうしたらいいんだろうと悩むような、そういう仕事の方が最終的に解決したときの達成感とか喜びが強いっていうことです(笑)なので難しい仕事とか、そっちの方が、すごく辛いんですけど楽しいです。

清原氏:
私も石黒さんと一緒で、問題解決して子会社の皆さんから喜んでもらうのが一番うれしいですね。「助かりました」と言われるのが一番嬉しいですね。

――難しい問題に取り組んでいるときが楽しいというのは、気持ちはわかります。なんか熱中してしまいますよね。

石黒氏:
そうですね。難しいことに向き合っている時間が、純粋に夢中になれて楽しいんですよね。私の場合は気づいたら時間を忘れてしまうくらい熱中していますね。

――矢野さんはいかがですか。

矢野氏:
今聞いていて思ったのは、私は組織として気づいていない課題を解決できたときが楽しいですね。普段の業務だと、意識をしないと何かを変えようという力学は生まれづらいですけど、解決しなくちゃいけないことに気づいたときも、楽しいなと思います。

たとえば、オープンソースソフトウェア(OSS)開発を始めたときもいくつか理由があったんですが、ブランディングに課題があったというのがその理由のひとつだったんですね。当時、各子会社ごとにはある程度のブランディングができていましたが、SGE全体としてはあまりブランディングができていなかったんです。それで、業界におけるプレゼンスを一つの目的として、OSSを始めたんです。そういう課題って普段の業務の中では意外と気づけなくて、解決できるとやって良かったって思えるんですよ。そのタイミングが面白いですね。

――お三方は、コアテクでどういうスキルセットが身につきましたか。

矢野氏:
やってみないとわからないことがたくさんあって、ブランディングのこともそうですし、OSSを出して何が起こるかとか、そういったことを知れた、経験できたことはある意味スキルアップした部分じゃないでしょうか。また、OSSを出すときに何だかんだ言っても出した後にバグを出せないというプレッシャーが強かったので、テストも設計もかなり固くするようになって、設計力が上がりました。

清原氏:
スキルセットで具体的なものでいえば、私は元々コンソール向けの開発をしていたので、Unityの開発自体がUnity 3まで遡るんです。

――かなりのブランクがありますね。

清原氏:
そうなんですよ。なので、Unityに関することはコアテクに入って学び直したものがかなり多いんです。URPをカスタマイズするタイトルがあったのでそのスキルも得られましたし、Unityだけの知識ではなくてネイティブプラグインを作成する知識も得られました。Unity全般の深いところの知識を得ることになったと思います。

石黒氏:
私としては、品質はもちろん、ドキュメントだとか普通にコミュニケーションの仕方とか、諸々の業務のひとつひとつを精度高くやらないといけなくて、それぞれ伸ばせていけたのが成長したポイントですね。

――コアテクにいることでいろいろな問題解決事例を蓄積できることも相当なメリットですよね。

矢野氏:
たしかにそうですね。ここまで幅広くいろいろなプロジェクトを見られる場所はなかなかないかもしれないですね。

石黒氏:
いろいろな経験を積めるのは、コアテクの本当に良いところですね。

――トラブル以外で、ナレッジの蓄積も実感されていますか。

石黒氏:
もちろんです。社外秘なことも含めて言えないことも多いですが……。

矢野氏:
コアテクに集約するというよりは、各社同士でナレッジを共有するためのハブになるとか、そういうイメージの方が近いのかなと。お互い情報交換しますし。

――そうした技術情報はサクッと教えてもらえるんですか。

石黒氏:
IPタイトルの場合は難しいんですが、そのほか守秘義務などに支障をきたさないものは教えてもらえます。

清原氏:
私がジョインしたときに、「(子会社グループが)あんまり情報を教えてくれないんだよね」、とお二人から聞いたことがあって構えていました。が、今はそれもだいぶなくなっている感じがしますね。もう聞いたら答えてくれます。それもたぶん、プロジェクトサポートで端末依存の不具合など難しい問題を引き受けていったことによって得た信頼関係なのかなと思います。

石黒氏:
こういった信頼を生むような行動をすることで信頼残高を増やしていって、何かを聞きたいときに信頼残高を使ってヒアリングする。というような信頼関係を大切にしています。なので、信頼残高を積み上げましょうと言うことはありますね。

――相手も自分も得をするようにする、といった価値観でしょうか。

矢野氏:
同じ会社なんだからそこはもう少し視座を上げて全体のためになることを考えようみたいな。

例えば新卒のエンジニアの方々も、みんなが作ってきた文化をちゃんと理解したうえで入ってきてくれている人が多いので、情報共有は当たり前、子会社も大事だけどSGE全体で良いものを作ろう、ということを自然と思っている人が多いんです。そんな人たちが各社にいるので、その方々が中心となってほかの人たちも巻き込んで、というケースもあるのかなと。

石黒氏:
SGE全体でおこなうイベントもありますし、それこそ情報共有会、勉強会もそうですし、エンジニアみんなで一緒にキャンプファイヤーをして同じ釜の飯を食うみたいなのもあって。一体感をSGE全体で作るみたいなことはあの手この手でやっています。

矢野氏:
相談されて共有したとか、そういったものも評価の対象になるので、それも大きいですね。

――SGEグループ内での横断業務が、会社からの評価の対象になるというのは、情報共有が盛んな理由のヒントになりそうですね。

石黒氏:
それもなぜできたかというと、やる気のある人ほど、横断業務もたくさんもってしまって、自分の本来の業務もある中で、結果的にキャパオーバーになってしまうということは避けたいという理由からでした。まずは可視化していこうという動きが始まりました。

矢野氏:
たしかに「横断的な動きは大切だよね」「そういう業務もしっかり評価しないとね」という両方の空気感があります。オーナーシップ、フォロワーシップみたいなものとして、マインドも評価制度として全社で決めている、言語化されている評価制度にあります。

石黒氏:
いわゆるエンジニアの職務としてのキャリアラダーですね。

矢野氏:
そういったものもここ数年でできたものですが、うまく貢献しているんだろうと思います。

――社内横断をうまくするにはどうすればいいか……。社内活動や文化を広めるのが大事で、一朝一夕でできるものではなさそうですね。

石黒氏:
ええ、やっぱり時間をかけて壁を崩せたというのが一番大きいですね。

自動化も含めた、業界のテクノロジートレンドを追っていく

――採用したい人材に繋がる話ですが、コアテクは今どんな分野に力を入れていて、今後どんな領域を攻めていきたいと考えていますか。

石黒氏:
組織的にコアテクがやっていると言っていいか曖昧な部分ではあるんですけど、QAには今かなり力を入れておりまして。

――いわゆる自動テスト系ですか。

石黒氏:
はい。最初のステップとして自動テストを走らせて、しっかりリグレッションテストをしましょうというものです。たとえば、チュートリアルを毎日ちゃんと突破できるか確認して、そこで壊れたらちゃんとエラーを報告してもらって、というのを機械にやってもらうというものですね。ただ、それだけだとちょっとレイヤーが低いというか、ソフトウェア寄りのテストをした方がいいよねという話もあるので、あの手この手で品質を上げようとしています。ただ、専門の部署があるわけではなく……。

――ひとつ整理したいのですが、コアテクはSGEにおけるR&D部門なんでしょうか。

石黒氏:
R&D部門というわけではなくて、コアテクもR&Dをしているチームがありますが、チーム単位でそのバランスが違っていて、R&D部門と言い切るのは難しいところですね。

矢野氏:
本質的には、開発効率と品質を上げることがコアテクのミッションなので、R&Dに限らず、やることの範囲が幅広いんですよ。今力を入れているQAに関しては、全体としてデバッグに使うコストが数字として大きいので、減らさないといけないという課題がありまして、コアテクとしても前からやらないとね、と話していたので取り組んだ部分です。

――なるほど。いろいろなものに対応したり、先回りで開発をおこなっていたりするからこそ、結果的にR&Dをしているようにも見えると。そんなコアテクは、今どういった人材を求めていらっしゃるのでしょうか。

矢野氏:
やっぱり、こういうツールを作りたいという考えが自分の中にある人に来てほしいですね。そういう方は、さらにその奥にある課題が見えていて、効率化をしたいという考えがある人だと思いますので、コアテクのミッションと合致しているので良いと思います。

石黒氏:
私としては、漠然とツール開発をしていますとか、環境開発の仕事をしていますみたいな人がどこかにはいるかなと思っていまして、そういった人たちが閉じられたプロジェクトの中だけじゃなくて、もう一歩踏み越えた場所で課題解決に向き合ってほしいなと。なので、具体的に何をやりたいとか全然決まっていなくてもいいかなと思っていますし、スキルも、当然めちゃくちゃできる人がきてくれると嬉しいですが、これからという人にもぜひ来てほしいなと思っています。

清原氏:
グラフィックスチーム的には重要なミッションのSIRIUSのEnvironmentの開発においては、今のモバイルの最高水準、あるいはその一段階上を目指していますので、専門性の高い人は当然嬉しいですね。

さらにそれとは別軸で、UnityとMayaの開発環境においてリアルタイムで変更を反映して確認できるツールを作ったり、プロジェクトサポートとしてのグラフィックス系のクラッシュに対応したり、パフォーマンスチューニングをしたり、グラフィックスチームと一言で言ってもいろいろありますので、興味をもっていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。

SGE(サイバーエージェントゲーム・エンターテイメント事業部)コア技術本部では以下のポジションを募集中だ。

・Unity基盤エンジニア(該当リンク
・Unityグラフィックスエンジニア(該当リンク
・Unityクライアントエンジニア(該当リンク
・Unityパフォーマンスチューニングエンジニア(該当リンク

そのほかは応募サイト

[執筆・編集:Koutaro Sato]
[協力:Nobuaki Shibuya]
[撮影・聞き手・編集:Ayuo Kawase]

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