『FGO』のラセングルで、エンジニアとして働くのはどんな感じ?疑り深い聞き手が、エンジニア部門長と匿名スタッフに本音を訊こうとする

ラセングルがエンジニア含む開発スタッフを募集中だ。ラセングルの現場で働くエンジニアたちは、日々どのようなことを感じているのか。徹底的に「疑念」をパンパンに膨らませてインタビュー。

ラセングルが開発スタッフを募集中だ。ラセングルは昨年2月、前身であるディライトワークスから『Fate Grand/Order』(以下、FGO)を含むゲーム事業を承継。ラセングルとして再スタートを切り、1年が経った。

この1年の間には、ラセングルではさまざまな組織改革が行われ、エンジニアやグラフィックスといった専門分野ごとの組織が立ち上げられている。その中でも、めきめきと規模を拡大しているのがエンジニア組織の「Tech Studio(テックスタジオ)」だ。Tech Studioでは『FGO』開発の技術支援と並行して、新規プロジェクトの技術開発も進めている。

様々な改革が進むラセングルの現場で働くエンジニアたちは、日々どのようなことを感じているのか、気になるところ。また、ラセングルの開発部門の実像は何がなんでも徹底して究明したい部分だ。そこで弊誌では今回、Tech Studioのジェネラルマネージャーを務める上野淳氏にインタビューを実施。インタビューには上野淳氏のほか、現場の声の代弁者として、Tech Studioに所属する2名のエンジニアにも匿名で参加いただいた。出自も背景も異なる3人は、「ラセングルで働くこと」をどのように捉えているのか。詳細を明らかにするため、弊誌聞き手側は徹底的に「疑念」をパンパンに膨らませてインタビューに臨んだ。仕事の内容から休日の過ごし方、さらには給与や待遇面まで、時折本音も飛び出したインタビューの様子をお届けする。

ラセングルではエンジニアを含むさまざまポジションでメンバーを募集している:

エンジニアマネージャー
テクニカルディレクター
クライアントサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニア
SREエンジニア
オープンポジション(エンジニア)

エンジニア以外のポジションも広く募集中。詳しくは下記求人サイトをチェック:

株式会社ラセングル リクルートサイト

──まずは自己紹介をお願いします。今回は求人ではありつつも、本音を時々ぽろっと教えていただければ幸いです。

上野淳氏(以下、上野):
上野淳と申します。2019年よりラセングルの前身のディライトワークスに入社し、現在はエンジニア組織Tech Studioのジェネラルマネージャーを務めています。Tech Studioではプロジェクトを技術面の観点から支えていて、私はそのチームメンバーの指揮をとりながら、メンバーが楽しく、やりがいを持って働けるよう日々マネジメントしています。前職では大手ゲーム会社に20年ほど在籍しており、エンジニアセクションのマネージャーをしていました。

 


S・K氏(以下、S):
上野さんと同じくTech Studioで、副マネージャーをしています。また、テクニカルディレクターとして新規プロジェクトの次世代ゲームのルックデブ(グラフィックのプロトタイプ)を作っています。2019年にラセングルに転職する前は、友人と起業した会社で働いていました。


C・P氏(以下、C):
『FGO』プロジェクトでクライアントチームのサブリーダーを務めており、『FGO』のフロント側の開発や、開発環境の整備を担当しています。台湾の看護学校を卒業後、日本のゲーム会社に就職したいと思い、日本の専門学校でプログラミングを学びました。『FGO』に興味があったこともあり、アルバイトを経て2018年秋から前身のディライトワークスに入社しました。


──みなさん割とキャリアの始め方がバラバラなんですね。

上野:
Tech Studioには既存社員の紹介で入社した方、求人からエントリーして入社した方、また新卒で入社した方など、いろいろな背景を持ったメンバーが集まっているのが特徴ですね。

──そもそもとして、みなさんはなぜラセングルに入社したのでしょうか。特に当時のディライトワークスに入るにあたっては、勇気もいるかな……と思います。入社する上で、何が決め手になりましたか。

上野:
実は、もともと転職するつもりはなかったんです。前職の大手ゲーム会社でエンジニアセクションのマネージャーをしていた時は、この会社で定年まで働こうというキャリアプランもあったので、それでいいと思っていました。

──もったいない。

上野:
(笑)。ただその頃、前職で尊敬していたデザイナーの先輩から、ディライトワークスに来ないかと誘われました。その先輩は大手ゲーム会社を辞めてからもいろいろな会社を渡り歩いていて、毎年「この会社どう?」というお誘いが来るんです。それまでは誘われるたびに断っていましたが、当時のディライトワークスに誘われた時だけは、今まで考えたことのなかった未来のことを思考しました。

これから先60歳までの時間をどう使うか考えたときに、「ちょっと冒険してみてもいいかな……」と思ったんです。今考えるとありえない話ですが、給料もちゃんと提示されていなかったのに承諾しました(笑)。でもそこはどうでもいいやと思って。


──ど、どうでもよかったんですか?

上野:
その時は、ですね(笑)。前職でもやりたいことはできましたが、人数が多くて、すでにいろいろな役割のメンバーがいる。決められた範囲内で仕事を全うするのではなく、少ない人数であれもこれもやらないといけないという環境に身を置いた方が残りの人生楽しく過ごせるかなと思って……。もう勢いでしかないですよね、保証はどこにもないですし。でも、ゲームを創るって多分そういうことだと思っています。保証された面白さってありえませんよね。そこもまとめて、「新しいことにチャレンジしたいな」と考えるようになった感じですかね。

──なかなか冒険家ですね。ほかの方も上野さんぐらいチャレンジャーだったのでしょうか?

S:
僕はそこまでかわかりませんが……(笑)。入社の経緯でいうと、転職を考える中で自分の好きなことができる環境を探していました。もともと『FGO』に興味があり、当時ディライトワークスが開催していたDDC(DELiGHTWORKS Developers Conference)という技術カンファレンスに参加したのがきっかけです。自分のやりたい事である研究開発ができることに加え、上司の人柄の良さに惹かれて入社を決めました。


──とはいえ、研究開発を専門とする会社もたくさんありますよね。なぜディライトワークスに。

S:
将来的にそれが多くの人に知れ渡るであろう作品の下支えをやりたい、という想いがあります。ディライトワークスはエンターテインメントを扱っている会社であり、かつ多くのユーザーの皆さんにプレイしていただいている『FGO』というゲームを開発・運営しているという点が決め手でした。

──Cさんはどうでしたか?

C:
私は以前から『FGO』のゲーム性や、ゲーム内で登場するキャラクターが好きだったのでディライトワークスに入社しました。また、入社前に開発現場の様子を見させてもらったのですが、リラックスしながら仕事ができそうな雰囲気だと感じたのも決め手です。

──リラックスできそう、というのはどういう雰囲気なんでしょうか。求人で「雰囲気が良い会社」って書いてあったら、自分はブラック企業かなと構えてしまうのですが……。本当のことを教えてください!

上野:
(笑)。

C:
でも実際に雰囲気良くないですか?

上野:
確かに殺伐としていない、ピリピリしていない感じですね。

C:
専門学校時代に、先生から「ゲーム会社にはいろいろな会社あるから気を付けてくださいね」と言われていました。でも実際に社内の様子を見て、まあ多少は雰囲気に騙されてもいいかなと(笑)。

──なるほど。まだ疑ってはいますが、険悪な感じじゃないのはわかりました!


背景の異なる三人のエンジニア像

──現在の業務内容について詳しく教えていただけますでしょうか。みなさまどの領域のお仕事をされているのでしょうか。

S:
以前は研究開発部という部署があり、私はその部署のシニアリサーチャーとして入社しました。それから2年ほど研究開発に従事し異動、現在のTech Studioではテクニカルディレクターとして次世代モックアップを作っています。職域としては、グラフィックスエンジニアの仕事になります。画面上でこんな表現をしたいとか、どんな見せ方をすれば表現したいことが伝わるのか、という部分を創りあげていくところですね。

C:
入社前は、学校でCとC++を勉強していました。正社員として入社する前はアルバイトとして業務に携わっていましたが、その時は開発補助ツールを作っていました。入社後、『FGO』のプロジェクトに配属され、現在はフロント側の機能実装を担いながら、開発環境を整えるなどの開発メンバーをサポートする仕事もしています。最近はよくビルド環境の整備をしていますね。3月からサブリーダーになったので、またいろいろ勉強しなくてはと思っているところです。

上野:
Cさんは誰よりもレスポンスが早いんです。メンバー内に同時に呼び掛けると、必ず一番に返事をくれる。そのレスポンスの速さゆえに、頼りにされてサポートに回りがちでもあります。ただ、そろそろサポートはほかのメンバーに任せて、Cさんには教えていく立場、チームメンバーを率いてプロジェクトを引っ張っていく立場を担ってほしいなと思っています。

──上野さんは、前職が大手ということでしたが、どういうポジションで入社されたのでしょうか。

上野:
テクニカルディレクターとして複数のプロジェクトを見てほしい、と言われて入社しました。当時は状況の良くないタイトルも複数あったので、それをどう改善していくかを進めてほしいということでした。

──状況の良くないタイトル……。

上野:
ええ。入社当時は社内の環境が思ったより整っていませんでした。プロジェクトを動かしていく前に、まずは把握すべき点が多くあって……。そんな状況だったので満足がいく成果が出しきれず、リリースに至らなかったタイトルがあるという責任を感じています。それからは、複数のプロジェクトに対して適切だと思う判断を即座に下し、プロジェクトを動かしていくことを信念に仕事を続けています。

──失礼かもしれませんが、社内環境は以前から本当に変わったのでしょうか……?

上野:
目指す頂への途上ではありますが、変わったと自負しています!昨年8月のTech Studio設立からは、予算の検討も含めた組織運営に本格的に取り組んでいます。自分にとってはチャレンジですし、もともと数字を扱うのは得意なので。そこは任せてください、という感じです。

ただ、本当にやりたいのはゲーム創りですね。みんなが働く環境を十分に整えたら、小規模なプロジェクトでプログラムを作る担当として新しいタイトルをリリースしたい気持ちはあります。


リモートで働く、という課題にどう向き合うか

──ここからはエンジニアとしての働き方についてお伺いします。勤務体系について教えてください。

上野:
ラセングルはD-Style workという働き方を推進しており、リモート型(HomeStyle)、出社型(OfficeStyle)を選択できるようにしています。現在は社員の85%がHomeStyleで勤務をしており、Tech Studioもほぼ全員のメンバーがリモートで勤務をしています。また勤務時間は11時から15時をコアタイムとするフレックス制を導入しているので、昼休憩もそれぞれのメンバーの業務都合で取ってもらっています。

──ここにいるおふたかたも普段はリモートワークですか?

S:
はい、そうですね。朝から仕事したいとか、この日勉強会に行きたい、といったことが柔軟にできるのはとてもいいと思います。私の場合、朝は外を散歩したり軽い運動などでちょっと気分転換してから自宅に戻り、9時からリモートで仕事を始めるかたちですね。


一同:
いい過ごし方ですね!

C:
私も、リモート勤務です。年末年始などは、プロジェクトの状況次第で待機時間が必要な場合もあります。リモートワークになってからは、待機時間中に短い休憩を取ったり食事が取れるので、夜間の対応などが楽になりました。

──夜中の対応……!

上野:
ラセングルには調整時間という仕組みがあって、超過した勤務時間を休暇に充てられる制度があります。深夜に稼働したら次の始業時間を遅らせるといった調整ができる制度ですね。Cさんはそれをうまく利用して勤務時間を調整しています。

──とはいえ、一方でリモートでの勤務は、出社時に比べてコミュニケーションが難しくなる場合もあるのでは。

上野:
はい、その点は複数の解決策でアプローチしています。たとえば、Tech Studioでは毎日オンラインミーティングをしており、カメラONで参加するというルールを設けています。体調不良の申請はないけど○○さん顔色が悪そうだな…など、表情を見てメンバーの状態を把握するようにしています。ただ、朝起きてすぐ仕事にとりかかるなど、カメラをONにするルールには抵抗があるメンバーもいるかもしれません……(笑)。

ただ、我々の仕事はメンバー同士のコミュニケーションを密に取りながら対応していくチームプレーが要なので、そこはカメラONでやりましょうという方針で進めています。

──スタッフとしては、正直カメラONはどうなのでしょうか。

S:
苦手ではないですね。

──本当に?

S:
メンバーに何かをお願いすることも立場上多く、お願いした時に相手がどう感じているか、表情やしぐさを見て確認したいので、カメラONの方が嬉しいですね。

──なるほど、カメラでお互いの様子を見るんですね。なんか緊張しそうですが合理的ではあります。ただ、スタッフ間の交流などはオフィスにいる時よりも減るのでは。意見なども交換しづらいですよね。そこはどうされていますか。

上野:
リモートワークでは、相談や質問をするにも最初に軽く声をかけるのが一番難しいと感じています。そのため、毎日のオンラインミーティングの最後に何でも話せる時間を設けています。

──居残り会!?個人的に学生時代を思い出して、頭痛が……。

上野:
居残り会です(笑)。ただ、問題があるメンバーが残って説教される、といったものではないですよ。相談事があるメンバーは話したい相手や議題を議事進行に書いておいて、残ってほしい旨を伝えてから解散する流れです。少なくとも一日のうち一度は、ちゃんと話ができるようにしています。思いついたときに何らかの方法で声をかけて話をするのが理想ですが、相手が何をしているのかが見えないと声をかけづらいと思うので。チーム内で相談や情報共有がなるべく止まらないように、きっかけを仕組みとして作ることが重要かなと考えています。

S:
私のチームでは多国籍なメンバーが集まっています。最近、テキストを送りながらビデオ通話をすると、会話がスムーズになるという事に気づきました。

C:
私は台湾出身なので、声だけでなく文字もあると理解しやすいです。台湾と日本では使う漢字がだいたい同じなので、聞くだけよりも文字を読む方がすぐに頭に入ってくる時もあります。確かに先に書いてもらう方が理解しやすいですね。


──多国籍チームならではのエピソードですね。とはいえ、それでもコミュニケーションの難しさは残るのでは。

上野:
ほかにも、Tech Studioでは四半期に一回を目安に懇親会を実施しています。いつもオンラインで実施しているミーティングをオフラインで開催し、その後懇親会を行う流れです。

──なるほど。普段の業務では仕組み化してケアをしつつ、定期的に情報交換を設けるかたちだと。

上野:
はい。去年の秋は開発合宿を実施しました。いつもと違う言語を使って社内で有益なツールを作ろうということで、勤怠システムをサポートするツールを作り上げました。普段の業務とは違う流れをワークショップ形式で行うことで、「この人はこんな人だったんだ」という発見もあります。仕事においてもより円滑にやり取りしやすくなると思うので、そういった機会を今後も増やしていきたいですね。

──普段のリモート業務についてもう少し詳しく教えてください。エンジニア業務をする上で、わからないことがあったらどのように対応されていますか。リモートワーク上では少しそういった専門的な質問が難しいイメージですが。

C:
私は相談される事が多いので、依頼された内容でわからないことがあれば調べたり、毎日のミーティングの中で相談して助けてもらうこともよくあります。

──ぶっちゃけ、周囲の人に質問しやすい環境ですか?

C:
皆さん優しいので、聞きやすいですよ。

──たびたびすみません……本当ですか?

C:
本当です(笑)。それに私個人に依頼があった開発における課題はチーム全体の課題でもあるので、先輩・後輩関係なく相談しあえる風土です。ほかには技術書のオライリーが提供するライブラリーサービスを利用していて、それが役に立っていますね。


上野:
知りたいことが分かるように、会社でオンラインライブラリーのサービスをいくつか契約しています。また、エンジニアが必要とする専門書は価格的に手が出しづらいことも多いので、皆で使えそうな書籍は会社側で購入するといったサポートもしています。

ラセングルで働く

──入社前と入社後で、ラセングルに対するイメージに変化はありましたか。

C:
入社前は学生だったこともあり、『FGO』を開発・運営している会社というぐらいの認識でした。就活期間中に「ディライトワークス」で検索して、評価を見て少し心配になりました。

──実際のところはどうでしたか。

C:
入ってみるとそんなことはなかったです。実際に開発環境や会社全体の雰囲気を見てからは、ゲーム開発にリソースを使っている会社だなと思っています。

──……………本当ですか?

C:
本当です(笑)。

S:
僕の方は正直、入社前のイメージはそこまで明確なものではなかったです。なので、入社前後でそれほど印象の違いはないですね。比較的新しいゲーム会社であり、あまり凝り固まっていないところが良いなと思いました。社外のイベントで発表したり、社内で勉強会を開いたりとか、自分でやろうと思えばなんでもできる自由度は想像通りでしたね。

──なるほど。もともとイメージをもってない人が入って、理想通りというパターンもあるんですね。

上野:
私の場合、入社前はディライトワークスも『FGO』のことも詳しく知りませんでした。ディライトワークスに来ないかと声をかけられた時、初めて『FGO』のユーザー数やセールスランキングを見て、「売れているゲームなんだな」と知ったのが最初の印象です。それだけ売れているゲームだから、よっぽどハイテクノロジーで、社内にもすごいエンジニアが集まっているんだろうと想像していたけど、入ってみたらそうではなかった。


──そ、そうではなかった……。

上野:
はい、ただそれは良い面悪い面の両方あります。『FGO』のゲーム自体は、極端に高度な技術よりも、こだわりやユーザーファーストの考え方を第一に開発しています。ゲームのエンジニアにありがちなこととして、高い技術を持っていればそれを使いたくなるんですよね。最新の技術を示したいのはエンジニアの欲かもしれませんが、高い技術を全面に押し出すことと、ユーザーが望んでいる内容は一致しないことがとても多いので。技術があることで取れる選択肢の幅も増え、最適な回答を出していく方法を議論しながら選択できるのが『FGO』がここまで成長できた理由だと感じました。

──なるほど。取捨選択というは少し納得です。ちなみにみなさんは、ラセングルに入社してからどのようなスキルが身に付きましたか。

C:
実務未経験の状態からゲーム開発に参加できるようになり、かつ他のセクションで利用している開発ツールも理解できるようになったところが大きいです。

上野:
Cさんはクライアントエンジニアとして経験が少ない状態でのスタートでしたが、入社してからはメキメキと成長し、開発業務全般のスキルを身につけたと思います。Cさんからは自分が知らなかったことを逆に教わったり、学ぶきっかけをもらったりしている部分もありますね。

──何でも屋になってる!

S:
私は研究開発部時代から自分が取り組みたい課題をテーマに据えて、ディープラーニングとグラフィックスを組み合わせて、何か新しい表現ができないかという課題に取り組みました。それを実現するためのスキルが身についたかなと思っています。映像会社と連携して映像グラフィックスを作っていたこともあり、そこでは映像の専門的な創り方についての気づきも得られました。

上野:
私の場合、身についたのは技術面よりヒューマンスキルですね。前職から面接や採用に携わっていましたが、どんな質問を投げかければ、その人の本質が出るのかを深く考えるようになりました。最近はなんとなく、「この質問にこう答える人はこんな人」というノウハウが自分の中にも蓄積しつつあります。自分では予測の精度が上がっていると思っていますが、結果が出るのはこれからですね。

──ありがとうございます。またまた正直な話を聞きたいのですが、普段の仕事でやりがいや手ごたえを感じられる瞬間はありますか。

C:
好きなタイトルの実装に関わっていることです。仕様書の段階から見てきたものを実際に自分の手で実装し、それがユーザーの皆さんに届くのは達成感がありますね。チームの開発サポートで言えば、自分がまったく詳しくない領域のタスクを相談されることがあります。2年ぐらい前、デザイナーから3Dソフトに関する調査依頼が来たこともありました。

──3Dソフトに関する調査依頼……。Cさんの領域とはまったく異なる領域ですよね。その時はどう対処されましたか。ぶっちゃけ嫌じゃなかったですか?

C:
(笑)。社内にはその内容に詳しいメンバーが少なかったため、会社の制度を利用して技術本を読むところから始めて、2か月ぐらいかけて問題の特定と解決に至りました。自分が詳しくない領域の問題解決にチャレンジできるのは楽しいと思っています。


──前向き……!

S:
私は現在、ルックデブの制作を担当していますが、外部のデザイナーの方やDesign Studioのメンバーと一緒にがっつりやらせてもらっています。1本の映像を創り上げることもあり、自分たちグラフィックスエンジニアが作った機能が絵の形で組みあがっていく中でこんな表現ができた!と感動することもあります。そういう時が一番うれしいですね。流れとしては、デザイナーがラフを描いて提案した表現プランを元に、我々エンジニアは画面上で動く機能を作ります。そこからさらにデザイナーが調整して絵を仕上げていくんですが、その過程がすごく楽しい。


上野:
私の場合はTech Studioを任せてもらえ、重要なことを決断する立場にいる事ですね。Tech Studioのメンバーと最大限の結果を出すために、日々いいアイデアがあれば実行していける事はとてもワクワクします。ただし、迷う行為自体がお金を垂れ流していくことである、という自分なりの理念があるので即断即決しないといけない。本当に迷ったときは、「これで良かったのかな……」とずっと考えてしまうこともあります。でも、決めないことが悪、まずは決めるというのを心に誓って、日々実行しています。

──では反対に、今の仕事で「入社前に期待していたのと違う……」と感じることはありますか。本音を教えてください!

S:
……ゲームをなかなかリリースできないところでしょうか。

C:
私も、この5年間で世に出ず消えてしまったタイトルがあったことですね。

上野:
私のキャリアの中でも、こんなにゲームがリリースできないというのは実際にあることなんだと驚きました。過去、プロジェクトが途中で止まるのはほとんど経験がなくて。逆に毎年一本とかのペースでリリースできるのは当たり前のことじゃないんだ、と。一方で、とりあえずリリースすればいいという考えはよくないと思うようにもなりました。ある程度自分たちの目標に届いていないものは、どこかで止めなければならないのもゲーム開発の難しいところですね。

今のラセングルは「リリースしない」という判断ができる環境だと思っています。会社として今言えるのは、お金を稼ぐため納得のいかないゲームを無理にリリースする必要はないということです。

今のラセングルは「ゲーム創りに専念できる環境」

──今のラセングルは、正直どうなのでしょうか。何が魅力だと思いますか。

上野:
ゲームを創るために専念できる環境だと思っています。熱意を持ってゲームを創ろうと思うなら、本当に胸を張ってお勧めできる。今はソニーグループの傘下に入ったことで、小野さん(小野義徳氏・ラセングル代表取締役社長)の考える未来像がより明確になり、それが形になりつつあるというのを感じているからこそ、「これもできそうだ」「こんなことをやっていいんだ」というのが明確になりました。よりゲーム創りに対して動きやすい環境になっていると思います。

S:
たとえば海外のカンファレンスに行きたいと思ったとき、「お金がかかるからやめよう」ではなく、とりあえず行って社内に持ち帰って勉強会をし、社内のナレッジとして浸透させよう、という発想に変わってきています。海外の様々なゲーム開発会社に訪問し学び得た事は非常に良い経験でした。あと、経営層の判断や決裁が早い。開発過程で新たに端末やソフトが必要になったとき、上野さんに頼んだら3日で届きました(笑)。

上野:
3日は早くないかもしれないけど(笑)。

──弊社よりは早いです!


C:
(笑)。私も自動化のために必要なマシンを1on1ミーティングで上野さんに相談したら、想像よりずっと早くマシンが届きびっくりしました。え、早っ!って(笑)。ちょっとした相談もちゃんと理解してもらえ、改善や対策を取ってくれる環境です。それが実現できるのか、とびっくりしたことは何度もありますね。

上野:
環境を整えるところで止まってしまう、その時間の方が絶対にもったいないんです。時間は買いたくても買えないので、時間の価値を考え有効と判断したものは即座に対応する、という風に考えていますね。大きい会社だとルールやしきたりがあって、それを変えるのに時間がかかる。でも今のラセングルであれば、このルールは変えましょう、ルールを変えるのに時間がかかるのであれば特例で対応しましょう、といった決裁が会社全体でフレキシブルに実行できています。


──少し踏み込んだ話になりますが、正直……待遇面の印象はどうですか。

S:
そうですね……。ラセングルとして新たに始動し「社員である仲間がラセングルに入ってよかった」と思える環境にしていきたいという、小野さんの方針による変化は感じています。

──具体的には?

S:
たとえば、業績がボーナスに反映され、それがクリアな形で社員に公表されている点ですね。

C:
私は新卒だったこともあり、待遇面はあまり期待はしていませんでしたが、ラセングルになってからは、全体的に改善されている気がします。

上野:
私自身管理職として、利益が出た分は仲間として働く社員の皆さんに還元したいという想いがあります。ただ、理由なくお金を配るのではなく、ラセングルでこれからも一緒に働き続けていきたいというモチベーションになればと思っています。最終的にいいゲームを創るため、ユーザーの皆さんに喜んでいただくため、みんなのモチベーションになれば、それがお金でも環境でもいいのかなと。

ラセングルになってからは、賞与の原資の根拠といった待遇面の話も、明確な形で社員に共有しています。以前より透明度が上がっていると感じますね。


お金や環境という意味では、このレベルでできている会社はなかなかないと思います。ただそれは、『FGO』があるからできているので。いいモノ創りを探求し続け、収益の柱を建て、もっといい環境にしたいという志は持ち続けようね、ということはメンバーに常に話続けています。

──チャレンジに見合った結果が出せれば、その報酬を出せるシステムが今できつつあると。

上野:
その認識です。もう一つ、退職金制度に代わるものとして確定拠出年金を導入しました。一般的に、企業の確定拠出年金は収入の一部が非課税枠になるケースもありますが、ラセングルの場合役職に応じた金額を会社が積み立てる制度になっています。細かいことは話せませんが、どこにも負けない設計になっていると思います。

──ありきたりな質問ではありますが、最後に今ラセングルで求めるエンジニア像を教えてください。

上野:
技術面で言えばゲーム開発で使うUnityやC#の経験ということになりますが、長い目で見るとコンピュータサイエンスの知識があるかということ。なぜプログラムが動くのかをきちんと理解した上で言語を使っている方なら、環境が変わっても対応できると思います。原理や原則を理解し、経験として理解しているかどうかが重要ですね。

我々はまだまだ整っていない部分もある会社なので、ゲームも創りますが、会社や組織作りも一緒に楽しみながらチャレンジしませんか、ということは面接でお伝えしています。一番大事なのは、やはり「パッションとチャレンジ」です。過去の成功例にとらわれず、新しい気づきや喜びを創っていくマインドが大切ですね。そういう考えができる方であれば大歓迎ですし、責任と権限をすぐにお渡しするので、あとは結果を出してもらえればと思います。それ以外は何をやっても自由な世界がラセングルには広がっているので、そこに憧れる方はぜひ来ていただきたいです。

──ありがとうございました。


ラセングルでは現在、エンジニアを含むさまざまなメンバーを募集している。詳細は以下の求人サイトを確認されたい。

株式会社ラセングル リクルートサイト

エンジニアマネージャー
テクニカルディレクター
クライアントサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニア
SREエンジニア
オープンポジション(エンジニア)

[聞き手協力・執筆・編集: Aya Furukawa]
[聞き手・編集: Ayuo Kawase]
[撮影: Maho Ikemi]

Aya Furukawa
Aya Furukawa

主にニュースを担当。ビジュアルや世界観にこだわりのあるゲームが好きです。

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