新生ラセングルが狙うは、『FGO』に並ぶ自分たちの代名詞。歴戦クリエイターたちがいま求める「挑戦者」とはどんな人

ラセングルは、今年2月にアニプレックス傘下に入り再出発を果たした。ディライトワークスからラセングルになったことで何が変わったのだろうか。また今何をしているのだろうか。キーパーソン4人に話を訊いた。

『Fate Grand/Order』(以下、FGO)などを手がけるディライトワークスのゲーム事業を承継したラセングルは、今年2月にアニプレックス傘下に入り再出発を果たした。再出発に際して大規模な求人をおこなっているそうだ。またラセングルとしての組織再編もおこなわれており、上層部はすでにこの組織形態で手応えをつかんでいる。

ディライトワークスからラセングルになったことで何が変わったのだろうか。前回のインタビューに引き続き、ラセングルのキーパーソン4人に話をうかがった。『FGO』だけに留まらず新規タイトルを生み出そうしている同社では、どのような変化が生まれているのだろうか。なおラセングル特集企画は計4回に分けて実施されており、今回は第3回目。1回目(リモートワーク編)、2回目(FGO編)についてもチェックしてほしい。

ゲームプロデューサー
プロジェクトマネージャー
ゲームディレクター
ゲームプランナー
オープンポジション(企画職)

上記以外のポジションも数多く募集中。以下の求人サイトをチェック

株式会社ラセングル リクルートサイト


インタビュー参加者

廣重演久氏:
ラセングルのジェネラルマネージャー兼プロデューサー。スクウェア・エニックスやコーエーテクモゲームスを経てディライトワークスに入社。海外版『FGO』や『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』などにも携わる。ゲーム事業部、新企画プロデュース局、マーケティングスタジオが所属するプロデュースDiv.を統括。


宮前公彦氏:
ラセングルのジェネラルマネージャー。以前はディー・エヌ・エーで『メギド72』などを手がけた。現在は『FGO』の開発チームのマネジメントを担当。また、Game Design Studio、Design Studio、Tech StudioをまとめたクリエイティブDiv.も統括。


直良有祐氏:
ラセングルのチーフアートオフィサーとしてデザイン部門を統括。スクウェア・エニックスでアートディレクターとして『FF』など多くの作品を手がけたのちに、ディライトワークスに入社。島根県は出雲市からリモートワーカーとして勤務している。



叶良樹氏:
『FGO』第2部 開発ディレクター。Game Design Studioの副ジェネラルマネージャー。セガなどを経て現在は『FGO』開発運営の中核に携わる。「カノウさん」としてファンに親しまれている。



組織再編を経た新生ラセングル、そして新規プロジェクト

──今回は会社としての変化や、新規タイトルについてお聞きします。組織再編があったとのことですが、現在の組織ついて教えてください。


廣重:
プロデュースDiv.ですが、「ゲーム事業部」の中にプロデューサーセクションがあり、ラセングルのゲームプロジェクトのプロデューサーはここに所属しています。事業サポートをする部門もありますが、大きくはプロデューサーの部門です。この部門でプロジェクトごとのコスト管理、編成、年間の利益などの部分を見ていきます。

また新企画プロデュース局は、オリジナルのIPを創ろうという部門です。昨今は、一発作って一発で終わりではない時代です。ですので、技術力やコンテンツをつくる力をこれからさらに強化していきます。新企画プロデュース局では「スモール&ファスト」というキャッチコピーを掲げています。小さいプロジェクトをたくさん創ってたくさん失敗しよう、そして得られたものを集めてたくさん創ろうということで、チャレンジをたくさんしてノウハウを蓄積し、開発力を上げていくという方針です。ディレクターもプロデューサーも、プランナーもエンジニアもデザイナーも、あらゆる意味でいろんなチャレンジをしようということで、去年立ち上がりました。

マーケティングスタジオは、運営、CS、マーケティングや広報など、開発以外に携わる部門が集まっています。パブリッシャーとして会社を成り立たせるため、開発以外にも営業やグローバル展開に向けた海外開発、そしてPR、品質管理など、足りない要素がまだまだある。そういったものを部門ごとに生み出していくという形で、マーケティングスタジオをこの夏から立ち上げました。

研究開発も各スタジオが行っており、それぞれが力を付けていくという流れになっています。Design Studio(デザインスタジオ)だけでなくGame Design Studio(ゲームデザインスタジオ)もTech Studio(テックスタジオ)も同じ流れで、それぞれのスタジオで開発のクオリティを上げていくという形です。

今はプロジェクト化されたタイトルが10本ほど進行しています。この中には『FGO』もありますし、『FGO』のバリエーションもあります。また、新規プロジェクトとして動いているのは2本で、そのうち1本が「■■■■」です。

――「■■■■」とはなんでしょうか。

直良:
「■■■■」はディライトワークス時代からずっと挑戦を続けてきたプロジェクトです。
アートを中心に据えたタイトルのため、Design Studioの所属メンバーがプロデューサーを担当、私がディレクションを担当しています。私たちがクリエイターとしてやりたいことを詰めており、アウトプットも練っている最中です。AIも取り込んでみたり色々な手法を試しつつ、それがDesign Studioの技術に跳ね返ってくるものになると良いなと思い創っています。


宮前:
各領域の技術を持った仲間が集まってきていますが、組織として技術を有しているというよりメンバーが有しているというのが実情で、現在は、ラセングルとしての技術面を向上させている最中です。

直良:
『FGO』での開発・運営の経験はありますが、新規タイトルの開発がすべて成功だったとは言えないのが現状です。組織的な開発や運営が全体的に機能していなかったことを改善するための組織改編でもあります。

誰でも企画を出せるし、誰でも学べる

――新規プロジェクトを立ち上げやすくするにあたって、社内システムとして新しい企画を生み出す仕組みはありますか。

廣重:
そうした目的でつくったのが新企画プロデュース局になります。「スモール&ファスト」ということで、コスト的に軽めなタイトルをたくさん創る。速く、たくさん失敗しようと。その中で得られたものを繰り返し成長要素にして開発を続けています。企画は、年間10本は提案まで上げるようになっていて、その中で1本か2本はプロジェクト化して開発に進むという形になっています。それを数年間の計画でやっており、いまは1本が動いています。

システムとしては、ラセングルの全社員、職種問わず管理部門でも、ゲームを創りたいという意思があるメンバーはまず相談しにきてもらう。ターゲット、コンセプト、発売時期、予算と収益など、基本的なところを一通り出来るようになったら提案資料にまとめてもらう。

これを誰が教えているかというと、これまで大手のゲーム会社でプロデューサーやディレクターをしていたスタッフです。彼らが相談しにきてくれたメンバーに教えて、打ち合わせをして詰めていくという流れでやっています。


それと2週間に1度、バーチャルオフィスで「新プロ局Radio!」というスタッフ向けの公開生放送をやっています。その中でコンセプトの立て方や、売上と面白さのどちらを追求するのが正しい企画なのか、または企画の時に誰もが悩むだろうという部分を資料ベースで掛け合いしながら話をしています。

また、今年の5月にゲーム企画を募るコンテストを実施しました。全社員から企画を集めて賞金も出る。募集1か月間、審査1か月間で、小野さんと宮前さんと叶さんが審査しました。51本の企画が提出され、1人で2本以上出したメンバーもいました。今回は最終的にプロジェクト化までには至りませんでしたが、面白さに応じて社長賞、宮前賞、叶賞が発表されました。半年に1回のペースで続けていくつもりです。

企画を現場からボトムアップでオリジナルのゲームを創ろうという風土は新企画プロデュース局が設立して急激に立ち上がっていると思います。これまでには性急に立ち上げたことなどにより失敗した事例もあったので、会社全体で新企画の創出をサポートしていく環境、風土をつくっていきたいと思っています。なので、若い企画者にとってラセングルは良い環境にあるんじゃないかなと。

直良:
大手だと企画をもって転職することもありますが、結局、入社後違うプロジェクトに組み込まれることもありますよね。うちは企画という意味でも門戸を開いています。

廣重:
運営タイトルなどで、企画であってもスクリプトに特化しているスタッフがいたり、あるいはCGであっても2Dアニメーションに特化していたりといった分業化が進んでいます。そういったメンバーに企画の立て方とかコストの考え方などを学んでもらうのもかなり大事。そのメンバーのキャリアパスも広がると思っているので、一連の取り組みはいい結果に繋がるのではないかと思います。

誰でも参加できる本気コンペ

――具体的に、社内コンペの企画実例を教えてください。

宮前:
僕が賞として選んだのは、ゲームのお知らせページなどの素材をデザインしているメンバーの企画で、カジュアルゲームの企画だったんです。普段僕が企画するようなゲームではないですが、アイデアとして面白かったので採用しました。

ちなみに、叶さんと僕、小野さんがそれぞれ違う観点で評価できたのはよかったです。良い企画だと思う共通の点もありましたが、それぞれの評価ポイントが異なっていて興味深かったですね。ただ、このコンペは見るのが本当に大変で……。(笑)全ての企画に所感をメモして、後々応募者にフィードバックできるようにしましたね。

コンペは割とどこの会社にもあって、時には“ガス抜き”と言われたりもしますが、ラセングルのコンペは賞金も出ますし、審査員がしっかり企画を評価するなどコストもかけている分本気ですね。

直良:
小野さんはひたすら「ゲーム会社たれ、クリエイターたれ」という部分に非常にこだわるんですよ。成果を出すなら見返りは出すというのもあります。


――ラセングルのコンペを勝ち抜くために重要なことは。

宮前:
審査した僕と小野さんと叶さんはそれぞれ視点が違いますが、僕はアイデアの新規性を重要視しつつ、ゲームとしての実現性、マネタイズできるかなども含め総合的に見ていました。

僕が今回選んだ企画は、ゲームシステムとしてはシンプルだが、ジャンルは新しく思えたものでした。発案したメンバーに対しては、私なりにもっと広がりが出そうなアイデアの話をしました。

オフィス内も多種多様なアソビがびっしり。こうしたところもラセングルらしさといえるのかもしれない


――ちなみにコンペで出すのは企画書ですか。

廣重:
企画書です。かなり大量のドキュメントを作ったメンバーもいました。

今回の新企画プロデュース局や宮前さんの関わりを見ていると、プロジェクト化と育成が機能しはじめていると強く感じました。それが“ガス抜き”だと思わない理由でもあります。

――今回『FGO』と新規タイトルどちらのスタッフも募集されていますが、キャリアとしてはまず『FGO』で経験を積むパターンが多いのでしょうか。

宮前:
職種によって異なりますのでケースバイケースですね。例えば3Dのグラフィッカーは新規タイトルで即戦力として活躍していただきたいですし、一方でプランナーは『FGO』でラセングルのゲーム創りに携わっていただきつつ、新規タイトルにもチャレンジしてほしいと思います。私自身も『FGO』に関わることによって知見や視野が広がったので、多くの学びはありますね。

直良:
デザイナーの場合は、お互い別々のプロジェクトにいても、プロジェクトで得たアートやデザインの知見を持ち帰って、繁忙期に助け合えるようなローテーションができる仕組みをつくっています。

大規模作品に関われる経験は得難いものだと思っています。その経験などを次のキャリアにもっていくのもありですし、そこから人や技術などの繋がりができます。自分たちも大作からのキャリアスタートですから、そのメリットは理解しています。

廣重:
今回スタジオ制にしたのはその意図も強くて。ゲームデザインのプランナーは場合によっては、「今月前半は『FGO』」「後半は新規プロジェクト」などフレキシブルにやっていくこともあると思う。それに耐えうるクオリティの高い人材を育てていきたい。今以上に複数タイトル複数ラインがより強固になると思っています。そのはじめの布石として現在の組織をつくりました。

またラセングルは『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』などもパブリッシングしており、『FGO』以外のプロジェクトもあるんですよね。『FGO』の存在は大きいですが、『FGO』のスタッフしか募集していないということではないです。『月姫 -A piece of blue glass moon-』などに関わるメンバーも当然いますし、そういったところを各スタジオ内でバランスを考えて配置できるような体制を推進したいと考えています。


――ラセングルとして求める人材のニーズについて、それぞれの観点で教えていただけますか。

宮前:
直近だと、プロジェクトの大規模化と開発期間の長期化があり、属人化も起きつつあります。新しいものを創ろうとすると、組織を一度整理し直す必要があるので、いま一番力を入れていきたいのはプロジェクトマネージャーです。ゲームを創ることに対してのサポート機能、運営の効率化や管理などに関わってくれる人材を求めています。たとえばユニットAとユニットBの認識の相異で発生するストレスの軽減や、ディレクターの考えを各セクションに伝える交通整理が必要です。

またラセングルは、今あるフォーマットをアップデートして新しく見せていくことは経験がありますが、新しい考えや発想を目的化して入れ込むのはあまり経験しておらず、得意ではないと感じています。コンセプターに近い、施策を整理して、ユーザーの皆さんが何を求めているかを考え、目的を整理し、全体設計を提案できるメンバーは欲しいです。カテゴリーとしてはプランナーなんですが、ゲームデザインの細かい設計より、大きなコンセプトを打ち出せる人材ですね。

コンセプトがあって、はじめて施策の目的が整理されると思います。肉付け前の骨子の部分のそのアイデア。自分のアイデアを独創的なものとして大きく打ち出すのではなく、状況を俯瞰でみた上で適切に提案できるようなメンバーがいると良いなと。マスターデータ設計やスクリプターなど、実作業としてのメンバーも欲しいですが、明確に力になってほしいなと思うのはコンセプターです。

――コンセプターとは、プランナーの上位職ですか。

宮前:
上位というよりは、工程としては上流にいる存在です。グラフィックではコンセプトアートを描くスタッフと3D化するスタッフが違いますよね。それと同じで、ゲームデザインとしてのシステムを考える一歩手前で、目的を捉えて見せ方や打ち出し方をどうすればいいかを考えられる人材がいるといいと思っています。コンセプトアートのように、ゲームコンセプトの「ここが面白い、ここを整理すると良い」を考案する。それを運営型でも月ごとの施策や年間の施策のコンセプトを考え、遊びきりのゲームでも個性をしっかり定義し打ち出せる。そうしたコンセプトがあって、その上でゲームデザインがあり、それに対してレベルデザインなどがあるものだなと。

――廣重さんの求める人材を教えてください。

廣重:
プロデュースDiv.でいうと、プロデューサーもしくはその候補生が欲しいですね。プロデューサーとは何かというと、大前提として創りたいものがある人、かつビジネスとのバランス感がある人。この辺りの感覚を掴んでいく指導はしていきますが、「夢だけを追いかけない」ということがプロデューサーには必要です。プロジェクトを誰に売りこみ、誰に楽しんでもらうかという意識がある方だったら、多少プロデューサー経験がなくても、育成は出来ると思っています。

また、その意識があるとマーケティングスタジオやほかの部門でもやっていけると思いますし、編成や年間計画などの話もできる。とはいえ、ビジネスだけではなく、創りたいゲームがあるというのが何より最優先事項です。そこがあれば他のポジションにも派生していけると思います。


――しっかりビジネスロジックを考えられる人だと。

廣重:
ラセングルは「勝負ができる」と説明できるメンバーに対して投資をする会社です。きちんと情熱とロジックをもって勝負を仕掛けることに対して、小野さんは耳を傾けます。情熱とロジックをもっている方が我々の仲間になってもらえると嬉しいです。ただしロジカルか、情熱かといわれたら、情熱が優先かなと思います。

宮前:
小野さんからはちゃんと面白いのかを追及されますし、そういうところは僕も共感しています。創ってきたゲームは全然違うけれど、そういう気持ちの部分はしっかり理解してもらっています。

――これまでクローズされたプロジェクトは「面白いし売れそう」の基準を下回ったということでしょうか。

直良:
どちらかというと基準がなかったということですね。会社の理念を背負ってないタイトルが生まれてしまうと上手くいかないので。基準が低いというよりは、ただ純粋に面白いゲームを創るという課題に向き合えていなかったということだと解釈しています。

――求める人材について、直良さんの意見を教えてください。

直良:
まず、単機能だけの人材は求めていません。きっかけは単機能でもいいですが、その先で何かを創りたい、何者かになりたい、そういった想いを持っている方を大事にしたい。

個人の専門スキルを足がかりにしつつ、開発の能力を底上げしてくれる人材になれるかもしれません。


求めるのはチャレンジを望む人

――ラセングルといえば勢いのある会社という印象ですが、待遇面の魅力について教えてください。

廣重:
会社としては待遇面においても改善を続けていて、きちんと結果を出すメンバーには評価できる体制になってきました。ただ、安定した環境を求める方よりもチャレンジしたい方にきてほしいです。一緒に挑戦してほしい。

直良:
能力や成果を出すメンバーに対しては、待遇面だけではなく、さらなる挑戦のための機会や教育などへの投資を惜しまない考えです。『FGO』というビックタイトルに関わる経験を、良い意味で活用してやろうという野心がある方だと良いかもしれません。

ソニーグループに入ったことによるスケールメリットもあるので、そこのプラスアルファがでてくるのはこれからですし、「ソニーグループだからこのIP使いたい」という発想をするメンバーがいてもいい。実際、10年間かけてディライトワークスで手に入れたものよりも、ラセングルになったその瞬間手に入ったものが多いはずだと庄司さんも語っていた。これから開発者なりプロデューサーなりが、使えるものは増えていくのではないかと思います。

宮前:
待遇の面についていえば、昨年から制度や評価、待遇を大きく変革し、これからもさらに強化していきます。そして、ラセングルとしてここからどう頑張るかですね。急に大きくなり過ぎてコントロールできないというほどの規模でもないし、やりたいことがあるけど資金繰りが苦しいというほどでもない。ただ成功体験の数が少ないので、それなりに模索をしていく時期だとは思います。


――チャレンジとリワード、両方を得られると。

宮前:
安定だけを求めたり、自分のタスクだけ終わらせていたい人にはミスマッチになるかもしれない。自己実現も意識してガツガツ動いてほしいです。

直良:
はい、業界横滑りで来てほしいわけではない。

――チャレンジを求めて入社されるケースが多いと。ラセングルには業界のベテランも多い印象があります。

廣重:
チャレンジをする、ということは当然リスクを伴うことですから、皆さんそれなりの覚悟をもって仲間になっていると思います。宮前さんも大手からですし、私もですし、大手からの転職組は多いです。特に最近入ってきたメンバーは、チャレンジができるというところに魅力を感じているようです。

宮前:
入社時期にもよりますが、『FGO』の伸び始めの頃は、ディライトワークスはそこまで大きな会社じゃなかった。ゲーム業界に関わっていきたい!という情熱で入ってきたメンバーが、運営しながら実績を積み重ねてきたのがここ数年。そこに、他社でしっかり経験を積んだ仲間がジョインしてうまく回り始めた。

会社としてゲームを創るのに必死だった時代から、経験を積んで余力が生まれつつあり、かつ我々のようなベテランが入ってきたことで経験や知識が広がった状態です。ここで『FGO』以外にもしっかりチャレンジができるようにしていこうと思っています。

――では、今後ラセングルとしてどういったタイトルを創っていきたいかをお聞かせください。

廣重:
大きいビジョンとして、『FGO』に匹敵するようなもうひとつの柱を絶対に創っていく。これは命題になると思います。これが、運営のアプリだろうがコンシューマーだろうが、プラットフォームにこだわりはありません。今はもうひとつの柱をどうやって創っていくかで頭がいっぱいです。

宮前:
ゲームの中にキャラクターがいて、そのキャラクターがゲームの中で活き活きしているとか、そのキャラクターとドラマを経験するとか、そういう体験ができるゲームを創っていきたいですね。『FGO』は、キャラクターや物語がいかにゲームの中で活き活きするかが考えられている。ユーザーの皆さんがただ物語を読むよりも面白く体験していただくということを考えて創っています。なので、成長・発展の先に、さらにそれらを感じられるゲームを創っていきたいです。

ラセングルの休憩エリアの家庭用ゲーム機コーナーは昼休み人が多く集まるそうだ


ずっと「クリエイターでいられる」会社へ

──ここまでお話を聞いていると、小野さまはずいぶん現場寄りの印象です。良い意味で想像と違いました。

宮前:
そうですね。僕は組織のマネジメントの仕事が多いですが、小野さんからは「クリエイターとしてやりたいこと絶対忘れるなよ」といつも言われています。企画を練って、計画に落とすんだぞ、それを他のメンバーにもやるようちゃんと言うんだぞ、と。

廣重:
いつか、自分が考えたゲームで世界中の皆さんに楽しんでもらいたい、という想いは小野さんや我々4人も含め全員にあるんですよ。

──ちなみに皆さんが今ゲームを創るとすればどんなゲームを創りたいですか?会社としての動きとは切り離した、完全な個人的願望として。

叶:
過去に『ボーダーブレイク』に携わっていた時は仕様も書いていたので、ネットワークを絡めたアクションゲームをまた創りたいなと思っています。

宮前:
僕は「考えるゲーム」が好きなので、そういったジャンルの作品を創りたいです。組み上げて組み上げて、最後に引き金を引くみたいな。その瞬間がとても気持ちいいゲーム。最後の決断が重くて楽しいゲームですね。

廣重:
自分は人狼ゲームを創りたいですね。うまく嘘をついてくれるAIと一緒に遊べるようなゲーム。人狼ゲーム好きなんですが、今はなかなか集まるのが難しくてできないんですよ。

直良:
先ほどお話ししましたが、私はIPを創りたいと思っていて、実際にIP創りを進めています。

宮前:
会社としての新たなゲーム創りという点でいうと、ゲーム開発は1人では難しいので、チームを組成することが大事。誰と創るかで作品は大きく変わる。ラセングルには本当に魅力的な仲間がいますし、『FGO』の経験がひとつの共通体験になることによって、新しいものも発展させていくことができる。拙い部分もあるけれど、いい環境でもあります。

ラセングルだからこそあるもの


──皆さん大手を渡り歩いたベテランかと思います。そうしたキャリアを踏まえて、最後になぜラセングルにいるのかを教えてください。

叶:
良くも悪くも色が染まっていないこと。僕らでラセングルの色をどうつくっていくのかにはワクワクドキドキしています。そこにトライしようと今みんなで話しているところです。たまには言い合いになる時もありますが、でも会社のため、ユーザーの皆さんのためという想いはみんな同じです。

宮前:
小野さんからは「後発だけど期待されるゲーム会社にしたい」と聞いていました。これまでの経験を活かし、大手に戻ってやるというよりは、ここでもう一度、ゲーム創りとゲーム会社をつくっていくことに参画したいと思いました。

直良:
「創りたい」に対するチャレンジができるのが大きい。創りたいに対して、会社に返せるもの、役立てるものが合致している。会社がまだできたてなので、ラセングルはまだまだ変わっていく。その上、ソニーやアニプレックスなどと連携するスケールメリットもあるかもしれない。そういった今ならではのことが結構多くて、日々アップデートしています。まだまだ手探りで会社をつくっている手応えは強くて面白いです。それと政治がないところも嬉しいです。(笑)

一同:
(笑)

廣重:
個人的には、自分のIPを世界に広めたいという野望があります。自分が創ったキャラクターやIPが、海外のニュースで子どもがそのTシャツを着てるのを見るとか、そういうのを見ると広まった感を感じると思うんですよ。そういうのを感じたいし、つくりたい。

ラセングルはそういう意味では、まだ色がない。だからラセングルを代表する作品を創りたい。ラセングルの代名詞を創るチャンスは、今はまだある。それを創れるラセングルの組織も、今まさにつくっている最中。いま自分が思う布陣や戦力の会社をつくり、それをもって世界に挑戦できるのが弊社の魅力だと思います。

──ありがとうございました。

[聞き手・執筆: Daiki Kamiyama]
[聞き手・編集: Ayuo Kawase]
[協力: Aya Furukawa]
[撮影: Maho Ikemi]

ゲームプロデューサー
プロジェクトマネージャー
ゲームディレクター
ゲームプランナー
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