とある理由で妻と離婚し息子と離れ離れに住むことになった熱血ライターSonoharaが、過去の思い出のビデオゲームを通じて息子と交流する月間連載「父(40歳)と息子(11歳)通信」。今週は『ドラクエ5』連載第4回目(編集部)。

前回の記事にて、無事に(?)ビアンカを妻に選んだ息子。物語もいよいよクライマックスへ向け、様々な謎が明らかになる。主人公を待ち受ける試練、幸福、そして不幸。アイテムやモンスター集めをする余裕も出てきた息子は、果たして今後の展開をどう受け止めるのか。

 

人生最大の幸福と、最大の不幸と

人生の伴侶を得た主人公の旅は冒険の後半戦へ。富豪ルドマンから船を譲り受けた主人公の行動範囲はさらに広がり、天空の兜が祀られているテルパドールへと向かうが、ここで衝撃の事実が明らかとなる。主人公の父は、実はグランバニアという国の王だったのだ。当然、主人公は王位継承者ということになる。

そのグランバニアに向かう途中、妻ビアンカが謎の病で倒れるというアクシデントが発生。グランバニアに到着し、サンチョとの再会を経て、取り急ぎビアンカの病状を診てもらうが、なんと病ではなく、妊娠しているという事実が発覚。

暫定的に国を治めていた、叔父のオジロンより指示された王位継承の試練も乗り越え、正式にグランバニア王に即位。かつビアンカも無事に双子の男女を出産し、まさに人生再考の幸福を噛みしめる暇もなく、事件が発生する。ビアンカが何者かに誘拐されてしまうのだ。

ビアンカが連れ去られたと思われる先に向かう主人公一行、立ちはだかるのは、父パパスを殺害した魔物の一人、ジャミであった。ビアンカの不思議な力にサポートされ、主人公はこれを撃破。ビアンカは、天空の住民の血を引く者だったのだ。しかしその後現れた宿敵ゲマにより、妻もろとも石にされてしまう。

石となった主人公はビアンカと離れ離れになり、長い歳月が流れる。9年後、石化を解きに現れたのは、成長した子供たち。そしてその息子こそ、天空の血を引く勇者なのであった。

 

ドラクエで広がるクラスメートとの交流

以前よりお伝えしている通り、結婚や子供の誕生、というイベントについては、齢十一の息子にはピンとこない(もしくは照れているだけか)ようで、双子の子供の名前はデフォルトで与えられる「レックス」「タバサ」にした、程度の連絡しか来なかった。

「オジロン」「パパス」というネーミングセンスの一族にしてはマシな名付け。それにしても引き連れているモンスターが実にシュール

このあたりで、丁度息子は、この『ドラゴンクエスト5』をプレイしていたというクラスメートと交流しており、様々アドバイスをもらっていた。既にこの時点(2017年6月)でナンバリングタイトルも10作品となっており、今時の小学生もニンテンドー3DSやスマートフォンで過去シリーズのリメイクも、より身近に、手軽に楽しめる時代。「クラスメートが『ドラクエ5』をプレイしていた」というのは、それほど偶発的なことではないかも知れない。

この級友の手伝いもあり、カジノに篭ってコイン集めに勤しんだようだ。目指すは最強武器のひとつ、『メタルキングの剣』。スムーズにスロットを回し、1つ目をゲットした息子から喜びのLINEが届く。ついでながら、息子の認識的に、どのキャラクターに自分を投影させているか、聞いてみた。密かに歳も近く、かつ「伝説の勇者」である主人公の子供へ気持ちはシフトしているのでは、という期待があったのだが、ここは順当に主人公だったようだ。

その後もカジノでガンガンとコインを増やしていく息子。この頃、私も負けじとコインを増やしており、お互いグリンガムのムチ入手まで延々とギャンブルに精を出していた。

 

とある屋敷での、ジージョの物語

この光景を見ながら、我が子を抱きかかえることすら出来なかった主人公は、何を想うのか

これはまた以前書いた様に、息子の年齢では理解出来ないであろう、印象的なシーンがある。主人公夫婦が石化され、たまたまこの塔に訪れたトレジャーハンターはそれを「石像」と勘違いし、競売にかける。これを買い取ったとある屋敷の大富豪は、主人公と同じく子供「ジージョ」が生まれたばかりで、主人公の「石像」を守護神として庭に飾る。その後、この家庭でも悲劇が起き、なんとまだ幼いジージョはとある組織(主人公がかつて誘拐された時と同じ)にさらわれてしまうのだ。

ジージョの安否は終盤で確認出来る

主人公は「守護神」ではなく「疫病神」と罵られ、この家庭は子供がさらわれたまま長い長い年月を過ごす。悲壮感あふれるBGM(戦闘全滅時のそれ)に加え、月日が流れる演出は、とても胸に来るものがある。

ここから先は私の妄想レベルの話であるが、「もし主人公が石化したまま、意識もあり、周りの状況が認識できるとしたら?」と考えると、このシークエンスはとてつもなく、気が狂いそうなほどの悲劇だ。かつて父が殺される様を目撃し、その首謀者たちの組織で10年もの間を奴隷として過ごし、ようやく結婚・出産という人生の幸福を満喫した直後に、己と同じような惨劇が目の前で起こっているにもかかわらず、石化のため何もできない主人公。ただでさえ、彼は同じく石化された妻、そして祖国に残している子供二人のことを思いながら、9年間を過ごすのだ。その子供たちが主人公を救いに来る展開は、心からホッとする。

 

「9歳じゃありえない!」

主人公の石化を解く子供たち。なんとも頼もしい

 そんな石化から子供二人の登場のくだり、「ショックだった?」と息子に聞いたところ、「9歳でこんなこと出来ないって!ありえない」と、彼らが石化を解いたり、主人公と普通に冒険し、戦ったりすることがイマイチ釈然としない様子。これについてふと考えたのだが、当タイトルがリリースされた当時(1992年)、キャラクターデザインを務めた鳥山明氏の、いわずもがな大人気漫画であった「ドラゴンボール」では、10歳にも満たない少年が、父親である主人公を差し置いて活躍していたタイミングでもある。当時リアルタイムでプレイしていた我々としては違和感のない展開であったが、その時分を生きてこなかった息子には相当な違和感だったのかもしんれない。

前述の通り、息子は自分を主人公側に投影していたが、その理由の一つは私と共通しており、「幼いものの、攻守バランスが良く、ポテンシャルも高い伝説の勇者」よりも、「経験豊富で、幾多の修羅場を乗り越えてきた戦士(というよりは、「ダンジョン&ドランゴズ」で言うところのバトルクレリックに近いが)」な主人公の方が好みなようだ。この親子の図式もまた、「ドランゴンボール」の主人公と、その息子との構図によく似ている。

まだまだレベルも能力も低いが、ポテンシャルを感じさせる子供たち

 

息子の自立が、頼もしくもあり、寂しくもあり

前述のクラスメートとの交流が発生したあたりから、息子から私への攻略の相談の頻度は明らかに減少した。『ドラクエ』、ひいてはRPGというジャンルの進め方が分かってきた、ということもあるが、彼からのアドバイスが的確なのであろう。『ドラクエ5』攻略は今後、おそらく息子が自力または友人のアドバイスを元に、問題なく進め、そしてエンディングまで到達出来るだろう。親と子というタテの関係性から、友人達とのヨコの関係性を構築し、息子が少しずつ自立していくことに、安堵を感じながらも、一抹の寂しさを感じてしまった。もっとも、息子にとってはクラスメートと私は同列(=友人的関係)になっているかも知れないが。

我々と同じように、彼もまた父親の影響で過去のゲームを楽しんでいるのだろうか

 

父と子、三代に渡る壮大な物語はクライマックスへ

意外な形で、探し求めていた伝説の勇者が登場し、物語は急展開していく。石化された妻の行方は如何に。父を殺害し、主人公や今回登場した「ジージョ」を誘拐した組織、また宿敵『ゲマ』の目的を阻止出来るのか。その先には、シリーズでは本作が初めてとなる、クリア後のオマケ(隠しダンジョン)に息子は挑戦するのだろうか。

「私が大好きな、ドラクエ5を、息子は楽しめるのだろうか」というお題については、とうにクリアできている。というより、我々の関係性は、友人同士のようになってしまっているが、ドラクエ5のプレイを通じて、我々の関係性はどう変わるのか。
次回、当連載最終回まで、是非お付き合い頂きたい。

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