サバイバルホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R. 2』を遊ぶにむけて、過去作ストーリーを「10分」で予習しよう。過去作あらすじ要点をネタバレなしでまとめてみた

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、およそ15年ぶりに発売される新作だ。「2」というナンバリングが付いていることで、過去作のストーリーが気になる人はいるだろう。本記事では、過去作をガッツリ遊ぶ暇はないけれど、どんな物語だったのか軽く知っておきたいという人に向けて、これまでのストーリーをざっくりまとめて振り返る。

GSC Game Worldは11月21日、『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox Series X|Sで、Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。国内向けには、セガがサブパブリッシングパートナーとして携わっている。

『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズは、サバイバルFPSシリーズだ。近年になりリマスター化も進められており、『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』、『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』、『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat』という初期3部作は、現在はPC版に加えてPS4/Xbox One/ニンテンドースイッチといった現行コンソールでも楽しむことができる。

シリーズのあらすじはこうだ。チョルノービリ原発事故が起きて20年経った2006年、跡地で謎の爆発が起き、半径30kmが放射能で汚染される。その一帯は放射能の影響で突然変異を起こした生物やアノマリーと呼ばれる超常現象が起きる危険な地域となり、「ゾーン」と呼ばれるようになる。普通の人であれば近づかないような場所だが、謎の爆発から数年が経ち人々が流入。「ストーカー」と呼ばれる人々は、爆発によって生まれた貴重で高価な物質「アーティファクト」を求めて命懸けの宝探しをしている。プレイヤーはゾーンを探索し、さまざまな派閥からさまざまな仕事を請け負うことに。派閥争いや放射能汚染、ならず者たちとの戦いなど過酷な状況を乗り越え、目的を果たさなければならない。

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、およそ15年ぶりに発売される新作だ。「2」というナンバリングが付いていることで、過去作のストーリーが気になる人はいるだろう。本記事では、過去作をガッツリ遊ぶ暇はないけれど、どんな物語だったのか軽く知っておきたいという人に向けて、これまでのストーリーをざっくりまとめて振り返る。10分ほどで振り返ることができるはずだ。おそらく。ただし前提として、基本的に『S.T.A.L.K.E.R. 2』から遊んでも問題ないことが明言されていることは覚えておいてほしい(関連記事)。

身元不明の主人公の正体は…『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』

初代となる『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』はずばり、記憶をなくした主人公が謎の人物を追う物語である。

あらすじはこうだ。意識不明となったストーカーたちを大量に運ぶトラックが、雷雨の中を走り抜けていた。そのトラックに、雷が直撃。大爆発で乗っていたストーカーたちは死に、ただの臭い鉄くずになってしまう。そんな悲惨な現場も、モノ漁りが大好きなストーカーにとってはただのオイシイ状況。とある通りがかりのストーカーが転がる死体をゴソゴソと漁っていたが……なんと、こんな目に遭ってもまだ生きている豪運なヤツがいたのだ!それが主人公なのである。

持っていたPDAには「ストレロクを殺せ」という命令が書かれていた。しかし当の本人は記憶喪失で、「ストレロクって誰だっけ?そもそも俺は誰だっけ?」という状態。「マークド・ワン」という名前がつけられた生存者(主人公)は、なーんにも覚えていないけど、とにかくストレロクが誰なのかを突き止める旅をすることになる。

主人公マークド・ワンは、ずる賢そうな情報通のトレーダー「シドロヴィッチ」の元に担ぎ込まれ、ひとまずは動けるようになる。シドロヴィッチは「助けてあげたよね?ストレロクのこと知りたいよね?」と恩着せがましく仕事を任せてくるが、実際助けてもらったのも事実。「働いてりゃ、記憶喪失にもいいかもしれないぞ」なんて調子の良いことを言っているのが鼻につくが、それしか道はないようだ。

主人公マークド・ワンはまず、貴重な情報の入ったフラッシュドライブをもったストーカーを助けるという任務をこなす。シドロヴィッチにブツを持ち帰ってあげると、なんと早くもストレロクに関する情報を掴んでくれていた。ずる賢そうだけど、腕は確かみたいなようだ。

なんでも主人公が探しているストレロクは、そのへんにいる普通のストーカーとは格が違うようだ。仲間と共に、誰も生きてたどり着いたことのないゾーンの中心地・チョルノービリ原発に初めて到達したらしいのだ。しかも、中心地には願いを叶える「モノリス」なる物質もあるそうで、なんだか突然スケールの大きい話になってきた。ただ、人間の脳を沸騰させる「ブレインスコーチャー」なるろくでもない装置があるようで、そこがストーカーたちが未踏である所以らしい。思ったより強そうなストレロクに「どんな奴なんだ……」と一抹の不安を覚えるマークド・ワンは、次なる仕事をこなすことになる。

任務のさなかに出会ったストーカーに話を聞くと、「ストレロクの隠れ家知ってるよ!」と言う。進展の速さに胸を踊らせながらたどり着くと、ストレロク本人はいなかったものの、強力な銃やストレロクと親しかった「ファング」「ゴースト」という2人の友人がいたことを知る。どうやらファングは命を落としたらしいが、ゴーストはまだ生きているようだ。このほかにも、任務を通じて研究所に人間の脳を沸騰させる装置が2つあること、モノリスを信仰する派閥と軍事派閥が激突していることなどを知る。

研究所に向かったマークド・ワンは、惜しくも亡くなっていたゴーストの遺体を発見し、ドクターというさらなる仲間と出会うことに。情報という情報に振り回されつつも、真実に向かって一歩前進。隠れ家に戻ると、ブービートラップに引っかかり、死にかけてしまう。

なんとか一命をとりとめたマークド・ワン。まだ意識が朦朧としている中、ドクターはとあるホテルの鍵を渡して去ってしまう。なぜ自分は記憶喪失だったのだろうか?疑問を抱えながら先に進む。ホテルの部屋には、資料とデコーダーがあった。それを見ているうちに、マークド・ワンは自分の正体や過去に起きたこと、そして「ブレインスコーチャー」を停止しゾーンの中心部へ行く方法を知るのであった……!

ゾーンの中心部にたどり着いたマークド・ワンは、ゾーンで蠢いていた大きな陰謀を突き止める。その陰謀に呑まれてしまうのか、打ち勝つのか……その決断はプレイヤーに委ねられることになる。

『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』には複数のエンディングが存在していて、それによってマークド・ワンの運命が変わる。ここで陰謀に打ち勝ったエンディングがいわゆる“トゥルーエンド”であり、続編にもつながっていくと思われる。

ストレロク一行を追え!『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』

『Shadow of Chornobyl』から1年前、ストレロク一行の跡を追う物語が展開される前日譚が本作だ。今作の主人公はスカーという、これまた謎の多いベテランストーカー。スカーは学者を護衛しながら沼地を進むという仕事をしていたが、エミッションと呼ばれる大規模な超常現象に呑まれ、スカー以外全滅してしまう。スカーが目を覚ましたのは、クリアスカイと呼ばれるゾーンの研究を専門にした派閥の拠点だった。

クリアスカイのリーダー・レベデフによると、エミッションはゾーンの中心部に行こうとするストーカーによって引き起こされているものらしい。エミッションの耐性を少しだけもつスカーは、中心部を探っている謎のストーカーの後を追うことになる。

調査をしていると、ファングというストーカーが怪しげな部品を捜しているとの情報をつか
む。後を追うことになるが、「もう別のとこ行ったよ」「あいつはあのへんにいるらしい」とたらい回しに。いろんな災難に見舞われるのはストーカーの性のようである。
ファングがいたとされる場所にたどり着くとそこにはPDAがあり、ゾーン中心部にアタックしているのがストレロクというストーカーを中心としたグループであることが明らかとなる。

ストレロクはブレインスコーチャーに耐性のある装備を手に入れ、ゾーン中心部へと向かっていることがわかる。スカーもそれを追跡し、ストレロクに追いつきそうになるが、すんでのところで妨害が入る。

トレロクを止められず、エミッションをまた起こしてしまうのか……!そんな絶望的な状況に陥った所に、さまざまな助けが舞い込む。グッと来る胸熱展開だ!と思いきや、同時に起きたハプニングによってそれは妨害される。

本作にもマルチエンディングによるif展開が存在し、それによってゾーンが不可侵地帯と化す結末を辿ることにもなる。前日譚あるあるかもしれないが、本作はどのみち後味の悪い終わりとなるのだった。

ブレインスコーチャーなきゾーンで何が起きたのか。『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat』

本作は、一作目『Shadow of Chornobyl』の直後から始まる、旧作の中では時系列が一番新しい作品だ。ブレインスコーチャーを無力化されたことを受け、ウクライナ政府が「モノリスを信仰する信者からチョルノービリ原発を奪い返そう大作戦」を決行する。しかし、作戦のために向かわせたヘリはすべて謎の墜落を遂げたのだった。

「ちゃんと下調べしたのに、なんでこうなるの?」と頭を抱えた政府。「ゾーンのことはゾーンに詳しい人に頼もう」という結論を出し、元ストーカーという経歴を持つエージェントのアレクサンダー・デグチャレフ少佐がゾーンに派遣されることになった。

ゾーンを歩く人々と交流する中で、ヘリは強い電磁波によって墜落したことを突き止める。墜落ヘリを調べると、なんとこんな大変な事故に巻き込まれてもまだ生きていた人がいることが判明。

その者は、プリピャチのB28という避難ポイントで待機しているようだ。現在プリピャチは閉鎖されており、行く道はミュータントと有害ガスがぎっしり詰まった最悪の地下道を通るしかない。デグチャレフは装備をしっかり固め、仲間を集めて突入するのだった。

地下道を抜けると、政府軍のコヴァルスキー大佐によって生存者とモノリス信者が激しい戦闘状態にあることを知り、参戦する。その中で主人公は、ゾーンで行われた実験が記された最高機密文書の入手やモノリス信者が仕掛けた無線妨害装置を破壊するなど大活躍をみせる。

順調にやることをこなし、政府からの指示を待っていると、地下道から何かがやってくる信号をキャッチし、「なにかが来るぞ……」とドキドキしながら待ち伏せする。とうとう現れたその信号の正体は、なんとストレロク!彼はまだ正気を保ってゾーンを彷徨っていたのだ。

ストレロクはゾーン中心部を生き抜いた超ベテラン。「ゾーンを調べようと思ったらヘリが全部墜落したんだけど、原因しらない?」とダメ元で訊いてみると、「アノマリーのせいだよ」と、あっさり単純な返答が返ってきた。アノマリーはエミッションのたびに位置が変化するため、エミッション直後に調査して、次のエミッションが来るまでに任務を遂行しなければならなかったのだ。政府にそれを伝えると救助ヘリを向かわせてくれることになった。

エンディングでは、それぞれのキャラクターのその後が描かれる。本作はゲームの進行によってキャラの生き死にが変わってきて、それによってエンディングも変化する。全員生存していると一番スッキリした終わり方になるので、ぜひともチャレンジしてほしい。


『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ過去作では、「ストレロク」という人物を中心に繰り広げられた欲望の渦巻く物語が展開されていた。今回紹介したのはメインストーリーの流れをざっくりまとめたもので、わかりやすくするため一部の展開を前後させているところもある。

本シリーズは進行の自由度が高く、マルチエンディングとなっているため、探索やサイドクエストをこなせばさらなる興味深い物語も体験できる。危険で魅力的なゾーンに興味が湧いたら、『2』はもちろん過去作もプレイしてみてほしい。

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、PC(Steam)/Xbox Series X|S向けに11月21日より発売中だ。

S.T.A.L.K.E.R. 2 is a registered trademark of GSC Game World Global Ltd. © 2024 GSC Game World Global Ltd. GSC Game World and its logos are Trademarks or Registered Trademarks Of GSC Game World Global Ltd. © S.T.A.L.K.E.R. 2 HEART OF CHORNOBYL a game developed GSC Game World.

Mio Tsukuru
Mio Tsukuru

ゲームの歴史が好きなフリーライター。FPSやADVを主食とし、新旧コンソールゲームからPCゲームまで気になるゲームを幅広く遊ぶ。Nintendo Switchでレトロゲームを買い漁るのが趣味。

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