Steam新作ローグライクアクション『Neon Abyss 2』は「クセ強武器をどう使うか」を正面から問う、テクと頭脳で遊ぶインフレ高中毒ローグライクアクションだった
結論からいうと、本作は『Neon Abyss』らしさを引き継ぎつつ、より個性を際立たせ、かつ面白くしたローグライクである。

デベロッパーのVeewo Gamesは7月17日、ローグライクアクションゲーム『Neon Abyss 2』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示に対応している。『Neon Abyss』といえば、横スクロール・ローグライクアクション(以下、2Dローグライク)の定番ゲーム。そして筆者は、大の2Dローグライクアクション好き。それゆえに2Dローグライクに多くの時間を捧げてきた、同ジャンルマニアだ。前作もがっつりプレイしており、 『Neon Abyss 2』の発表には胸を躍らせた。
しかし、協力プレイなどに対応したことにより、「『Neon Abyss』らしさが失われたのでは?」という懸念もあった。結論からいうと、本作は『Neon Abyss』らしさを引き継ぎつつ、より個性を際立たせ、かつ面白くした傑作ローグライクである。数多くの2Dローグライクを遊んできたが、何にも似ていない、唯一無二の魅力をもっている。頭脳とテクニックを、正面から問うてくるのである。
Steamストアリンク:
https://store.steampowered.com/app/2235200/Neon_Abyss_2/
ランダム生成+バトル、しかしマッチョ
まずは製品概要について軽く説明しよう。本作は、2019年にリリースされ好評を得た『Neon Abyss』の続編だ。新たに最大4人でのオンライン協力プレイに対応したほか、キャラクターや武器、アイテム、その他システム面にも新要素が導入されている。

『Neon Abyss 2』にてプレイヤーは、複数の小部屋で構成されたランダム生成ダンジョンで敵と戦い、ボスを倒してはさらなる階層へと潜っていく。道中でどういった武器やアイテムと出会えるかもランダムであり、死ぬと拠点からやり直しだ。階層を進むごとに新たな敵が登場し、攻撃がより激しくなっていくなか、プレイヤーは武器と自らのアクションスキルを駆使し撃破していくこととなる。ここまで聞くと、割と普通の2Dローグライクだと感じるかもしれない。しかし本作は、ただ普通では終わらない、ちょっと変わったシステムが導入されている。
普通の2Dローグライクでは、武器やキャラクターを強化できる機会が道中で定期的に用意されているのが定番である。しかしながら、本作にはそうした要素がほとんど存在しないのだ。というのも、本作は「プレイヤー自身で武器の強さを引き出しなさい」というスタイル。かつ資源管理要素もある。プレイヤーのスキルと判断力を純然に問う、ガチンコなシステムなのである。筆者はこれが本作の面白さの本質であると考えているのだ。
個性濃いめな武器の数々、極めし者だけが強さを手にできる
プレイヤースキルを問うシステムとはどういうことなのか。本作では、大きく分けて銃タイプの遠距離武器と、剣などの近接武器があわせて約30種類登場。その中には、固有のシステムが用意された武器が存在する。たとえば、ある銃はタイミングよくリロード操作をすることで次の弾が強力に。またあるギター型の近接武器には一定のリズムを刻む表示があり、特定の拍で攻撃すると攻撃力もリーチもアップする。
つまり、武器のギミックがかなり多様、武器での遊びが多彩なのである。筆者が個人的に気に入ったのは、野球バットのような近接武器だ。振るとなんとボールを打ち出し、跳ね返ってきたところをカキーンと打ち返すとボールが増加していく。その強力さもさることながら、バカバカしさもあるユーモアを武器に落とし込んでいるところが面白い。こういったユーモアは本作全体に通じる雰囲気でもある。

そしてプレイヤーの操作によって、その武器に秘められた力を引き出せるわけだ。もっとも、ステージでは複数の敵がプレイヤーを襲い、ボスに至ってはド派手な攻撃を連発してくる。そうした攻撃に対処しステージを駆け回りながら、武器の固有アクションを的確に繰り出すことは、実際プレイしてみると意外と難しい。特に序盤は体力が少なく、ちょっとしたミスが命取りになりかねない。
そんなリスクはあれど、見返りが大きいため積極的に狙いたくなるシステムだと感じた。武器の強みを引き出せるかどうかはプレイヤーの腕前次第であり、やり込み要素の一種とも言えるだろう。また、武器が変われば固有アクションの操作もガラッと変わり、どの武器を手に入れられるかはランダムのため、アドリブ力を求められる。毎回のプレイが新鮮に感じられて楽しく、2Dローグライクに慣れた筆者が本気でぶつかっても、奥深さを見せつけてくるシステムになっている。
資源管理が悩ましい、しかし強さの見返りは絶大
面白いのは、また異なる種類の武器においては、別の方法で強さを引き出せることだ。方法としては、鍵やクリスタル、ボム、お金といった、消費アイテムを利用するスタイル。これらのアイテムを消費して武器を強化するのではなく、むしろ逆で、保有している数が増えるにしたがって段階的に強くなっていく。ユニークな強化方法である。
たとえば、とあるホーミングミサイルを撃てる銃は、「ボムの保有数に応じてミサイルの数が増えていく」。またある弓タイプの遠距離武器では、「クリスタルを多く保持しているほどより強化された矢を放てる」。そのほか、プレイヤーの行動を真似るクローンを生み出すという変わった銃も存在し、それは「鍵の保有数に応じてクローンの人数が追加」。銃を撃てばクローンも撃つため、攻撃が倍増していくことになる。
つまり、保有アイテムが多ければ多いほど、インフレするのだ。いくつか実際に強化を進めてみたところ、対象アイテムの保有数により、かなり派手に強くなっていくことが特徴だと感じた。武器によっては、最大まで強化すると画面いっぱいに攻撃をばら撒くような暴れっぷりも楽しめる。なにより、特別な操作もなく基本性能がアップする仕組みのため、ただただ爽快感に浸れて気持ち良い。
こちらはプレイヤースキルを要求されることはなく、対象の消費アイテムを持てば持つほど強くなっていく、分かりやすいシステムだといえるだろう。一方で、そうした強みを出す上では「消費アイテムを使わない」という判断を下さなければならない。

ここでプレイヤーに求められるのは、「貯めて強くなる」か「使って強くなる」かの選択。武器を強化・維持することを優先しアイテム消費を節約するのか、それともさらに強化できる可能性に賭けたり、当面の別の利益を求めたりしてアイテムを使うのか。いわば資源管理のような要素になっており、これがなかなか悩ましい。特に扉を開けられるアイテムに関しては、その向こうにある部屋にアクセスすれば、プレイに役立つ効果を持つアイテムを入手できることが多い。でも武器の強さも捨てがたい。

先に紹介したプレイヤー操作のものとはシステムは異なれど、武器の強さを引き出すかどうかを“プレイヤーに委ねている”という点では同じ。本作のゲームプレイの根幹をなす要素になっていると言えるが、実はこれらの強化システムは、前作『Neon Abyss』には存在しなかった。トレイラーやスクリーンショットでは伝わりづらいのが何とも惜しいが、実際のゲーム体験としては大きな変化である。
前作においては、武器の性能を直接強化できるバフアイテムがいくつも存在したが、本作ではそうしたアイテムは大幅に削減された。その代わりに、プレイヤー自身で武器の強さを引き出すシステムが導入されたのだろう。かなりお手軽に武器の威力がどんどんインフレしていくゲームプレイは前作の特徴でもあったため、開発元にとってこの仕様変更は挑戦だったと想像される。筆者の感想としては、プレイヤーの関与を強める新仕様は正当な進化だという印象だ。
このように本作は、プレイヤーの選択と行動によって、自ら武器の強さを引き出すことがゲームプレイの中心に据えられている。2Dローグライクにおいては「強化」を重ねることが一般的である。しかし本作は、数ある2Dローグライクジャンル作品の中で、どれにも似ていない特異な存在感を放つことに成功しているというのが筆者の感想だ。2Dローグライクは日々多くリリースされているが、さすが『Neon Abyss』開発チームという出来である。
また、多彩な関連要素が用意され、武器の強さのみを追求しないことも含め、幅広いプレイスタイルが許容されていることも特徴的。変な、あるいは強そうだと興味を持った武器をいろいろと試してみて、自分にあったプレイスタイルを見つける楽しさがあると言うこともでき、何度も繰り返しプレイすることが前提のローグライクアクションとして大きな魅力につながっていると感じた。
本稿では武器の強化に着目して紹介したが、本作にはほかにも興味深い要素がさまざま用意されている。また、早期アクセス配信が開始されたばかりであり、2026年内予定の正式リリースに向け今後開発が進むに従って、さらにコンテンツが充実していくことだろう。興味を持った方はぜひプレイしてみてほしい。
『Neon Abyss 2』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。
Steamストアリンク:
https://store.steampowered.com/app/2235200/Neon_Abyss_2/