JRPG風ローグライトサバイバー『THE GENERAL SAGA』は、「仲間を犠牲にして歴史を作る」ゲームだった。多勢の敵に対して、仲間たちが死んでいく
主人公陣営が全力で戦うのが、オーツーのレーベルpeakvoxから3月27日よりリリースされている『THE GENERAL SAGA』だ。

『Vampire Survivors』というゲームをご存じだろうか。見下ろし型ローグライクアクションというジャンルを切り開き、「ヴァンサバ系」と呼ばれるジャンルを生み出したタイトルだ。迫りくる敵の軍勢をなぎ倒し、レベルアップを重ねてキャラクターを強化していくことが特徴だ。レベルアップ時に強化要素がランダムに提示されるため、状況に応じて的確に選択していくことも重要となる。
押し推せる大群を相手取る緊張感と、強力なビルドで敵を蹴散らす爽快感が魅力の『Vampire Survivors』。同作はバリエーション豊かな武器を持ったキャラクターたちが多数登場することでも知られている。だが、そんな同作をプレイしていてこう思ったことはないだろうか。「こんなにキャラがいるなら、一緒に戦えばいいのに……」と。

本格的なストーリーなどは示されないものの、作中のテキストなどから悪しき吸血鬼、もしくはローストチキンを追い求めていると思われる『Vampire Survivors』主人公陣営。同じ目的のため戦うのであれば、協力したほうが手っ取り早そうなものだ。
数には数で対抗。ヴァンサバ系アクション×パーティー構築で深みが増したゲームプレイ
そんな疑問が入り込む余地もないぐらいに主人公陣営が全力で戦うのが、オーツーのレーベルpeakvoxから3月27日よりリリースされている『THE GENERAL SAGA』だ。なにしろ舞台となる「シャスカ王国」は、天から飛来した6体のボスを1000年以内に倒せなければ滅亡してしまう。プレイヤーは使命を帯びたシャスカ王国のジェネラル(将軍)として、1000年に及ぶ戦いに身を投じることとなる。対応プラットフォームはSteam/Nintendo Switchである。価格は1540円、ローンチから2週間は1386円で購入可能だ。
Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/3211290/THE_GENERAL_SAGA/?l=japanese
マイニンテンドーストアページ
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000092027
本作の醍醐味は、襲い来る敵の軍勢に対してこちらも数の力で対抗できる点だ。プレイヤーの分身となるジェネラルを選択しゲームをスタート、レベルアップ時にさまざまな職業をもったキャラクターを仲間に加え、最大5キャラからなるフォーメーションを組むことができるのが特徴だ。レベルアップ時は、仲間を増やす以外にも仲間や各種ステータスの強化を選択することも可能だ。


登場するのは騎士や盗賊、格闘家など、RPGではよく見かける職業たち。それぞれの職業は得意とする距離や状況が異なるため、それぞれが強みを最大限発揮できるようなチームを構築することが重要となる。一般的なRPGであればタンクなどの近距離系は前衛に、遠くからダメージを出せるものは後衛に配置することが定石だが、本作はなんといってもヴァンサバ系。敵は360度全方位から押し寄せるため、前衛も後衛もあったものではない。あらゆる状況に対応できるチームを目指して、プレイヤーは頭を悩ませていくことになる。

何度かプレイを重ねていく中で筆者が気に入った構築は、敵をノックバックさせる能力をもつジェネラルを軸に遠距離攻撃が得意な職業を集めることで、敵を近づかせないことを狙ったフォーメーションだ。
採用していくべき職業がわかりやすい上に、インゲームでの操作も比較的簡単なことが強みとなる。なにより、ジェネラルのノックバックで敵を一か所に集めて、すかさず仲間の強力な範囲攻撃でとどめを刺すコンボはなかなか気分がよいものだった。

逆に、遠距離攻撃が得意なジェネラルをほかのキャラクターで守るような構築も試してみたが、遠距離攻撃型のジェネラルは通常攻撃にやや癖があるため扱いが難しかった。加えて一般の職業はジェネラルを守ることよりも攻めに向いたものが多いこともあり、上級者向けの構築であるように感じた。
フォーメーションはできるだけキャラクター同士が近づくように配置すると扱いやすくなる一方で、ジェネラルから離れた特定の位置に配置することで「エリアバフ」と呼ばれる強化状態を付与することもできる。

そのためダメージを出すためにはジェネラルから離れた位置にほかのキャラクターを配置することを求められるが、そのせいでダメージを多くもらってしまっては元も子もない。バフの最大化を選ぶか、扱いやすさを選ぶか。悩みどころだが、仲間の職業の状況に応じて決められるとよいだろう。
ジェネラルの体力が0になってしまうとゲームオーバーとなる一方で、仲間が倒されてしまった場合は一定時間戦闘から離脱し、その後復活する。レベルアップで特定の仲間だけを強化していた場合、その仲間が倒されてしまえば大幅なパワーダウンは免れない。かといってチーム全体を均等に強化していくと瞬間火力が足りず、敵のウェーブを処理することが難しくなってしまう。レベルアップの選択ひとつひとつにも気が抜けないため、プレイに緊張感が生まれる。
味方の死すらも利用、すべては王国のために必要な犠牲
試行錯誤を重ねながらゲームを進めていくうち、仲間が死亡時に爆発を起こすというアイテムを発見。以前にも目にしたことはあったが、仲間の死亡をトリガーとする能力に後ろめたさを覚え、選択肢からは外してきたアイテムだ。

ところがその周回では範囲攻撃に優れた仲間に恵まれず、大量の敵に囲まれて息も絶え絶え、仲間の体力は今にも尽きようとしていた。どうせこのまま倒されてしまうなら、後ろめたさも何もあったものではない。藁にもすがるような気持ちでそのアイテムを選んだ直後、仲間の体力がなくなり爆発が起こる。その威力は、自軍を取り囲んでいた大量のゴブリンを退けるには十分だった。
それから筆者の『THE GENERAL SAGA』は変わった。仲間の死を恐れなくなったのだ。確かに仲間が力尽きている間はその分戦力がダウンしてしまうが、倒されたら終わりのジェネラルとは違って仲間は時間で復活が可能。その体力は、いわばリソースのひとつなのだ。加えて仲間死亡時には周囲のドロップ経験値を集める効果が自動で発動するため、仲間の死によって戦況が好転することもしばしば。仲間の死亡時爆発と復活時間短縮、それぞれのアイテムが揃ってしまった周回では、もはや仲間を敵に押し付けるようなプレイングこそが正解となった。さすがに良心がとがめるところはあるものの、すべては王国の安寧のため。割り切ろう。
1000年の戦いの遺産は受け継がれる。プレイを積み重ね、新たな仲間を募る
本作は、王国の崩壊までに6体の獣を討伐するための1000年間を1サイクルとしている。この「クロニクル」システムは王国崩壊までのカウントダウンであると同時に、守るべき王国の歴史でもある。年表の出来事も作りこまれており、王国を守るために戦う決心をより一層強いものにしてくれる。ささやかながらアツい演出だ。

ゲームプレイ的には1ステージクリアごとに約50年が経過するため、20回ほどの出撃回数で6体の獣を倒さなければならない計算だ。初回のプレイでは力及ばず1体目の獣すら倒せないまま1000年が経過し、モンスターによって世界が終焉を迎えるエンディングEを迎えてしまった。

王国を守れなかったことは無念だが、1000年の戦いが無意味となったわけではない。ステージクリア時に獲得していたコインを使用することで、プレイヤーを永続的に強化できるのだ。強化状況は次回の挑戦にも持ち越せるため、2週目以降はよりよいエンディングのためにどんどんプレイヤーを強化していこう。ステータスの単純な強化も魅力的だが、新職業の解放も攻略を手助けしてくれる。始めは興味本位で解放した「犬」職業だったが、実際に採用してみるとストップ効果のついた広範囲の連続攻撃による頼もしい活躍を見せてくれた。職業の種類は多く、これらをすべてアンロックするだけでもかなりのボリュームになりそうだ。

本家『Vampire Survivors』と比較すると、1プレイが短く終わる傾向にある本作。基本となるステージは10分生存すればクリアとなるほか、このジャンルには珍しいタイムアタック形式のステージもあり、比較的サクサクとゲームプレイが進行していく印象だ。このように1プレイは軽い気持ちで遊べる一方で、1000年の内に6体の獣を倒すことを目標とすると一気に戦略性を備えたやりごたえのあるゲーム体験に変貌する点は魅力的で、ヴァンサバ系タイトルの長所を順当に伸ばし、そこにフォーメーション構築の面白さを加えたタイトルであると感じた。
『THE GENERAL SAGA』は、PC(Steam)/Nintendo Switch向けに3月27日より発売中だ。価格は税込1540円。ローンチから2週間は1386円で購入可能だ。
Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/3211290/THE_GENERAL_SAGA/?l=japanese
マイニンテンドーストアページ
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000092027