Steam/Switch新作アクション『CONERU -DIMENSION GIRL-』はどこか様子がおかしい。不条理かわいい、ドーナツが食べたくなるゲーム
なにやらすごいゲームが発売されようとしている。

2025年5月29日、なにやらすごいゲームが発売されようとしている。その名は、『CONERU -DIMENSION GIRL-』。対応プラットフォームはPC(Steam)およびNintendo Switch。HIKEとイアリンジャパンが共同で開発した本作のストアページには、2Dアクション“デート”ゲームという聞いたことのないゲームジャンルが記載されており、キーアートには可愛らしい金髪の少女が描かれている。トレーラーでは、ムキムキのシルエットを持つキャラクターが敵をバタバタと倒していく様子が見られるのだが、そのキャラクターの体の中に、少女が“映っている”。
Steamストアリンク
https://store.steampowered.com/app/2600700/CONERU_DIMENSION_GIRL/
別にホラーとかそういう話をしているのではなく、これがこのゲームの主人公の姿なのだ。そんな、どこか様子のおかしい本作を発売前にプレイする機会を得たので、本稿ではその感想をお届けする。
ぶっ飛んだアートセンスと“かわいい”が押し寄せる
物語は、「おつきみ博士」という少年のラボからはじまる。ラボでは、戦闘用のアンドロイドである「ソクラテス」の運動実験が行われていた。しかし、その日の運動実験も失敗に終わってしまう。明日は1000回目の運動実験という深夜、ソクラテスに異変が起こる。ソクラテスの中に突如謎の次元少女「亜空間こねる」が現れ、2つの存在は“重なった”状態になってしまった。

元々ネコに受肉をするつもりだったこねるだが、次元旅行会社の手違いでこのムキムキのアンドロイドに受肉をしてしまったようだ。だが、そのおかげでソクラテスは自由に動けるようになった。そんな矢先、シンジュクシティの市長が、宇宙からやってきた謎の集団「ヘイトフルーツ」にさらわれてしまう!ゆけ!「こねる」と「ソクラテス」、合わせて「こねラテス」!シンジュクシティの平和は君たちにかかっている!
というわけで、初っ端から飛ばした展開ではじまる『CONERU -DIMENSION GIRL-』。こねラテスの姿は、ムキムキのアンドロイドの中にドット絵の少女が映っているというわけのわからない状態だが、彼女らがこれからヘイトフルーツをバシバシとシバいていくことになる。本作は、このような飛び抜けたアートセンス、不条理ギャグ、かわいらしいキャラクターが存分に味わえる2Dアクションデートゲームだ。なぜデートなのかといえば、地球では2人でおでかけすることをデートと呼ぶからである。

本作のプレイをはじめて、筆者がそのセンスに最初にときめいたのは、操作説明のチュートリアルだった。設定言語は日本語で、これまでずっとセリフもUIも日本語だったのに、急に多言語表示をしだすチュートリアルのボタン表示。そんなことをする必要はなく、意図的な演出であることは確かだろう。この時点で“良さ”を感じる人はもう買ってください。
こねラテスの操作自体はとてもシンプルだ。二段ジャンプに、無敵時間つきの短距離ダッシュ、通常攻撃と、「こねるんビーム」。2Dアクションゲームに慣れている人ならばすぐに馴染める操作感だろう。
あきらかに様子がおかしいのは「こねるんビーム」である。ビームというからにはなにか光線を発射するのだろうと思うかもしれないが、こねるんビームが光線を発射することはない。こねるんビームによって発射されるのは、ネコ、ガシャポン、月、絵文字、ボウリングの玉など、よくわからないものがほとんどで、それぞれがこねるの“気分”によって切り替わる。


具体的には、敵に一定数ダメージを与えると(こねるがそのビームに飽きるのか)ランダムな別のビームが撃てるようになるというようなシステムで、ビームごとに性能は大きくことなる。たとえば、ボウリングの玉は、地上をゴロゴロと転がりながら敵を弾き飛ばす。月は、巨大な月が降ってきてあたりの敵を薙ぎ払う。ネコは、てくてくと歩く。かわいいね。
基本的にはステージクリア型のアクションゲームとなっている本作だが、いわゆる特殊攻撃といえる技がランダムに切り替わるというシステムはなかなか斬新だ。敵の配置と現在のこねるんビームを鑑みて、敵を効率よく倒せた時は気持ちがいい。なかなか扱いづらいこねるんビームを引くこともあるので、そういう時は通常攻撃で堅実に対処することになるなど、臨機応変な対応が求められる。

手違いこそあったものの、この旅はこねるにとってははじめての地球観光でもある。地球のものに興味津々なこねるは、いろいろなオブジェクト、出来事に関心を示す。中でも、時折ステージ中で発見する「少年シャンプー」というマンガ雑誌には興味津々なようで、どこかで聞いたことがあるような内容の漫画をこねるが読んでいる様子が見られる。地球のモノやコンテンツを学習したこねるは、それを参考に新たなこねるんビームを編み出すこともある。
こういったイベントシーンに限らず、ゲーム中、つねに画面の左下にでかでかと鎮座しているこねるは、とにかくよく喋る。こねるんビームを撃つときや、次のこねるんビームの準備をしている時、イベントシーンの前後、アイテムを入手した時など、反応は多岐にわたる。2Dアクション“デート”ゲームと謳うだけあって、「こねると一緒におでかけしている」という感覚をとても大事にしているようだ。
ドーナツはとてもおいしい

ところで、さっきミスドでドーナツを買ってきた。やっぱり、ドーナツは甘くておいしいので「るんるん」な気分になれる。それは、こねるやソクラテスにとっても例外ではない。ステージ中にあるドーナツを食べると、こねるたちは「るんるんモード」になり、一定時間、移動速度や跳躍力が大きく向上。いままで破壊できなかったブロックが破壊できるようになり、敵は触れるだけでなぎ倒されていく。


ステージ中には、るんるんモードで破壊可能なブロックの中に敵が大量に配置されている場所や、ブロックを破壊できないと進めない時短ルートなどが豊富にあり、たんに「スーパーマリオ」シリーズのパワースター状態などと比較しても、るんるんモードの恩恵や爽快感は強めだ。そのうえでドーナツは比較的かんたんに入手できるので、慣れてくればステージ攻略中の3~5割ぐらいの時間をるんるんモードで進むこともできる。終盤になると敵も結構固くなってくるので、るんるんモードで1撃で倒せることの爽快さが増す。恩恵大きめのるんるんモードと、堅実な通常時との緩急が楽しい作品だ。



実は6年前から活動していた「亜空間こねる」
この記事を書くにあたり、筆者は本作をあまり深く考えずにとりあえずプレイしていた。なんとなく「この亜空間こねるってVTuberみたいな名前だな」という感覚があったのだが、それよりゲームが面白かったので、特に気にせずクリアまで遊んでしまった。
クリア後に調べたのだが、やはり「亜空間こねる」は“VTuber的な”存在として以前から活動をしていたようだ。彼女はGBXD(GRAVITY BEYOND X DIMENSION)というクロスメディアブランドの中で活動するキャラクターのうちの一人であり、我々の世界にはじめて姿をあらわしたのは今から約6年前。Xを中心に、コンセプトアートやショートアニメーションの投稿が行われていた。
しかし、活動はXでの投稿に留まり、YouTubeなどの動画配信サイトで配信などが行われているわけではなかった。VTuberやメタバースの情報発信サイトであるMoguLiveでも、2019年当時に「次元少女「亜空間こねる」とは何者なのか?」と題する記事が掲載されており、「次元旅行が可能な少女であり、次元旅行会社の手違いで戦闘用アンドロイドを受肉してしまった」という設定も最初期からあったもので、活動初期からゲーム化を見据えていたのだろうか?

GBXDでは、「亜空間こねる」の他に、シンガーソングライターの「メトロミュー」、アバター型の次元少女である「ミカ・アストロメリア」、月のオオカミ「おつきみ」など、多数のキャラクターが活動しているようだ。本作のエンディングテーマは「メトロミュー」が担当しており、作中にもゲストキャラクターとして登場している。「ミカ・アストロメリア」および「おつきみ」は、VRChat向けのアバター販売も行われている。「おつきみ」に関しては、本作のラボでソクラテスを研究している「おつきみ博士」との関連が気になるところだ(アホ毛の形も一緒だから)。
というわけで、あくまで記事執筆のためにと軽い気持ちで手を出して完全に「亜空間こねる」に沼ってしまった筆者としては、ゲームを終えて、こねるとこねラテスへのロス、略してこねロスを味わっている。しかたないので、今後の展開への期待も込めて彼女のXアカウントをフォローした。
とはいえ、まずは5月29日に発売する『CONERU -DIMENSION GIRL-』にて、彼女らの魅力を存分に味わってほしい。対応プラットフォームはPC(Steam)、Nintendo Switchとなっている。
Steamストアリンク
https://store.steampowered.com/app/2600700/CONERU_DIMENSION_GIRL/