失敗を楽しめるストラテジー『シヴィライゼーション: 時代と盟友』は、試行錯誤を全力で応援する。サクッと派もじっくり派も共存できる、懐の深い新時代のCiv体験
本稿では、6月19日(木)に正式リリースを迎え、7月24日(木)にシーズン2が開始した『シヴモバ』のシーズン1をプレイした感想を通じて、本作の目指す方向性を掘り下げていく。

2Kは、7月24日(木)にスマートフォン向け戦略シミュレーションゲーム『シヴィライゼーション: 時代と盟友』(以下、シヴモバ)のシーズン2を開始した。
本作は、「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」(以下、シヴィライゼーション)シリーズの世界観を継承し、人類史に沿って文化・文明を発展させていくモバイルSLG(シミュレーションゲーム)だ。約1ヵ月で「シーズン」が切り替わり、新要素の追加がおこなわれるのが特徴のひとつとなっている。
ストラテジーやシミュレーションゲームと聞くと、入念な準備と長時間のプレイ、そして一度の失敗が取り返しのつかない結果を生むという緊張感がつきものだ。特に「シヴィライゼーション」のナンバリング作品は、その壮大さと深い戦略性で知られる。しかし『シヴモバ』は、そうした緊張感を適度にほぐし、試行錯誤したくなるゲームデザインと、どんなプレイスタイルにもフィットする懐の深さで、幅広いユーザー層に刺さるような仕上がりとなっている。
本稿では、6月19日(木)に正式リリースを迎え、7月24日(木)にシーズン2が開始した『シヴモバ』のシーズン1をプレイした感想を通じて、本作の目指す方向性を掘り下げていく。
失敗のリスクが低く、頭を悩ませるのが楽しい戦闘と部隊編成

本作をプレイしてまず印象に残ったのは、戦闘と部隊編成で失敗することへのリスクの少なさだ。『シヴモバ』のゲーム進行は、英傑を配備し、編成した部隊での戦闘を中心に展開される。資源タイルの占領や、「演習」コマンドによるレベル上げ、都市国家への攻城戦、他プレイヤーとのPvPも、すべて突き詰めれば部隊での戦闘だ。
戦闘では相手の攻撃によって兵力(民兵)を失うが、これは時間経過で回復する。また、戦闘に敗北したり、英傑の兵力が0になったりすると「重傷」となるが、英傑を失うようなことはなく、10分間の戦闘停止という軽いペナルティだけで済む。部隊は複数運用できるため、1部隊が重傷を負ってもゲームプレイが止まることはない。つまり、戦闘に挑む際のリスクが少ないのだ。このシステムにより、強敵であっても積極的に挑戦することができる。また、新たな部隊編成を気軽に試せるのも良いポイントだ。

この気軽さは別モードでも同様だ。たとえば、本編とは別の小マップで部隊の腕前を試す「スカーミッシュ」モードでは、仮に敗北しても時間経過で回復するスカーミッシュポイントが減るのみ。重傷にならず、兵力も失わないので、気兼ねなく遊ぶことができる。「とりあえずやってみる」ような雑なプレイが許容され、挑戦しやすいゲームデザインとなっているのだ。

そして本作の戦略性の核となるのが、部隊編成だ。部隊には3人の英傑を配置でき、英傑のレベル・ステータス・固有スキルの組み合わせ、そしてそれぞれを前衛・中軍・指揮官のどのポジションに置くのかが重要になる。それだけでなく、英傑のステータスや特性を大幅に変化させる「兵種」、1人の英傑に2つまで装備できる「サブスキル」、高レベルの英傑に装備し能力を強化できる「傑作」、特定の英傑の組み合わせで発動する追加効果「運命」など、1つの部隊を構成する要素は多岐にわたる。どれかひとつが変わるだけで勝率が大きく上下することもあり、頭を悩ませる部分だ。そんな部隊編成においても、遊びやすいような工夫が凝らされている。

たとえば、英傑のレベルは「置換」して入れ替えることが可能だ。主力として育てていた英傑より強い英傑を入手した、新しい組み合わせを試したい、そんなときに主力部隊の高レベル英傑と置換することで、レベル上げの手間をかけずにいきなり最前線で活躍させることができる。「最終的にこの編成にするために、今は必要ない英傑を育てる」といったことは必要なく、常に現状で最強の部隊を作ることに集中できる。

スキルも同様だ。英傑には固有スキル以外に2つまでサブスキルを装備でき、一度獲得したスキルであれば制限なく着脱可能。また、それぞれのスキルはスキルXPを消費して強化できるが、このスキルレベルもリセットできる。消費したスキルXPはすべて返還されるので、いつでも新たな組み合わせを試すことができる。

これらのユーザーフレンドリーな編成の仕様、そして戦闘に挑みやすい環境のおかげで、プレイヤーは部隊編成の奥深さを存分に堪能することができる。今持っている英傑やスキル、兵種で最適なシナジーを考え、細かく組み替えながら格上の相手に勝利したときなどは、言葉では言い表せない快感がある。
サクッとプレイもじっくりプレイも許容する、懐の深さ

プレイヤーはいち文明の領主として、内政や交易など多くの要素に指示を出すことになる。本作の戦闘以外の部分においては、「時間経過で進行する放置ゲー的なサクッとプレイ」と、「すべての要素にじっくりと向き合うプレイ」のどちらも許容する懐の深さが印象的だ。
本作で使用する資源の多くは、ゲームを閉じている間も時間経過で貯まっていく。また、遠方の土地への進軍は距離に応じた時間がかかるが、一度指示を出しておけば放置してもよい。そのため時間がないときは、貯まった資源を使って建築や技術研究を進めたり、部隊に指示だけ出しておいたりというような「サクッとプレイ」ができる仕組みになっている。一気に資源を消費し、進捗を大きく進めるのは単純に気持ちがいい。

その一方で、じっくりと腰を据えて遊べるモードも用意されている。筆者のお気に入りは「アリーナ」だ。これはランダムに配られた英傑とスキルを組み合わせて、プレイヤー同士で戦うというもので、レベルなど他の条件はほぼ同じのため、純粋に編成の技術が問われるモードとなっている。
普段使えない英傑やスキルを試せる絶好の機会となっているだけでなく、すでに持っている英傑やスキルを投入できる枠も一部用意されているため、自分の培ってきた知識も生かせる。毎回新鮮な気持ちで臨むことができるモードだ。他の要素が影響を受けにくい分、勝利したときの喜びも大きい。

他にも本作には、都市国家に使節を送り、多種多様なバフ効果を装備できる「外交」など、じっくり時間をかけて考えられる遊びも用意されている。先述の部隊編成と合わせて、手間暇をかけるほど戦闘での勝率も上がる。ライトなプレイヤーでも文明を発展させることができ、やりこみたいプレイヤーへのご褒美はしっかりと用意されている。幅広いプレイスタイルを許容する懐の深さが本作を特徴づけていると感じた。
つながり方が自由な連盟で、気軽に連帯感を高める

『シヴモバ』を語るうえで欠かせないのが、「連盟」システムだ。連盟に加入すると、攻城戦での共闘や資源生産量ボーナスの獲得、特殊効果を持つ「遺産」の建築など、さまざまな恩恵が得られる。連盟においても、多様なプレイヤー層が参加でき、おのおのの試行錯誤を加速させるような仕組みが整っている。
連盟の目的は基本的に共闘だ。ひとりでは難しい攻城戦や、マップ中央のバビロンを目指すうえで避けられない他連盟との衝突、それらに勝つために徒党を組んで戦う。連盟専用のチャットも利用可能だ。チャットには部隊編成や戦闘結果を共有する機能もあるため、雑談だけでなく、改良を重ねてきた部隊や効果的な戦略を共有できる。先述の試行錯誤しやすい仕組みにくわえて、知識を分かち合うことでさらに戦略や編成が洗練されていくのだ。

集合知により昨日まで手探りだったことが今日の常識になり、加速度的に連盟が強くなっていく様は、互いに連帯することで急速に発展してきた人類史を追体験しているような感覚を覚えた。
その一方で、チャットや密なつながりが苦手なプレイヤーでも遊べるような仕組みも存在する。たとえば、「連盟日程」機能では、連盟がいつどこで何をするかを掲示しておける。そのため、現在の流れを知らなくても簡単に攻城戦やPvPに参加できる。

さらにわかりやすいのは「攻城キャンプ」だ。この建造物を建てると、連盟メンバーが自分の部隊を集結させ、自動的に集めた部隊で攻め入ることができるようになる。連盟幹部は攻城キャンプを設置して連盟日程で時間を指定するだけで、他の連盟メンバーはキャンプに集結させるだけで攻城戦がおこなえる。数回のタップで集結が完了するこの仕組みは、本作の遊びやすさを支えていると感じた。

他にも、5人までの連盟メンバーで集まって蛮族を討伐する「蛮族キャンプ」や、メンバーとアイテムをやりとりして報酬を得る「交易」、強いプレイヤーに自分の土地を改良してもらう「改良サポート」など、連盟の多くの機能がチャットなしでもできるようなシステムになっている。究極的には、チャットを一切介さずに連盟を運営することもできるだろう。

他プレイヤーとの連帯が前提でありながら、緩いつながりでも貢献できるこれらのシステムは、手軽さと奥深さを両立した絶妙な塩梅だと感じた。また、なかなかまとまった時間が取れず、現在の状況を追いにくいプレイヤーにとってもありがたい仕様だ。
そして連盟の発展が結実し、爆発的な展開を見せるのが、シーズン中盤以降の他連盟との激しい争い、そして「バビロン」への攻城だ。
他連盟とのかかわりが生むドラマと、圧倒的なスケールを誇るバビロン攻城戦

『シヴモバ』の主な目的は、マップ中央にある巨大都市「バビロン」の占領だ。中央に向かうにつれてすり鉢状にエリアが狭まるため、中央へのゲートが解放されるシーズン中盤以降は、必然的に他の連盟と相まみえることになる。この他連盟とのかかわりこそが、本作で最もシビアかつ、知略が試される要素だ。
他連盟は単にライバルというだけでなく、他連盟の領地や建造物が障害となり進めない場面も出てくるため、何らかのかたちで無力化する必要がある。真正面から戦闘を仕掛け、後退させることも可能だが、方法はそれだけではない。

本作には「同盟」機能があり、他連盟と協力関係を築くことが可能だ。同盟を組んだ連盟とは戦闘は起こらず、お互いの領地も通り抜けることができる。ただしあくまで「敵ではない」という程度のもので、専用のチャットなどもなくお互いの腹の内はわからない。また、最終目的であるバビロンの所有権は1つの連盟にしか与えられないため、いつかは争わなくてはいけなくなる。
この「一刻も早くバビロンを目指したい」「ライバルを減らしたい」という思惑と、不安定なつながりを生む同盟システムの存在により、さまざまなドラマが生まれる。突発的な戦争や停戦交渉、同盟による一時的な協力から突然の裏切り、果ては相手方からの引き抜きまで、多人数マルチプレイならではの混沌とした展開が多数発生する。深夜の時間帯は「深夜モード」により戦闘に制限がかかるため、戦場が不気味なまでに静かになるのもどこかリアルだ。

そんなカオスを乗り越えた一握りの連盟が挑戦できる「バビロン」攻城戦は、シーズンのクライマックスを飾るにふさわしい壮大さを誇っている。バビロンは上位プレイヤーでも簡単に敗北する強力な守備隊や、これまでの数倍となる耐久値を持っており、見た目にも巨大だ。そんなバビロンを数百の部隊で取り囲み、総力を挙げて打ち崩していく様は、スマホゲームとは思えない迫力がある。
見事バビロンの占領・保持に成功し、その他の条件を満たした連盟のメンバーは、シーズン終了時に豪華な報酬を獲得し、次のシーズンに臨むことができる。ゴールを達成したカタルシスだけでなく、しっかりと実利的なメリットも用意されているのだ。

本作が興味深いのは、これだけ壮大な展開を見せた後に、シーズンの切り替わりとともに大部分の進捗がリセットされるという点だ。言い換えれば、いつ始めてもバビロンをめぐるドラマに参加できるということでもある。一度プレイしたものの、タイミングが合わず離脱してしまったプレイヤーも、7月24日(木)のシーズン2開始に合わせて始めるのがいいだろう。
遊びやすさと奥深さを兼ね備えた、スマホでの快適な“Civ”体験

『シヴモバ』をプレイして何より印象的だったのは、「試行錯誤が楽しい、部隊編成の奥深さ」と、「どんなプレイスタイルにもマッチし、手軽に壮大な世界観に浸れる快適なゲームシステム」だ。縦向きプレイ対応などスマホ向けの最適化も随所に施されており、手軽で充実した文明発展の日々を過ごすことができる。
また、ヘックスタイルや技術研究、ユニットなど、「シヴィライゼーション」らしい要素もしっかり存在し、元シリーズのファンや、「シヴィライゼーション」に初めて触れる人も満足できる仕上がりとなっているはずだ。

そして7月24日(木)から開始中のシーズン2「新たなる夜明け」では、進捗のリセットだけでなく多数の新要素も実装される。以下では代表的なものをいくつか紹介する。
まず目玉となるのは新たな時代「近未来」の解放だ。この時代で条件を満たすと、目標周辺に敵味方関係なく甚大な被害を与える「バリスティックミサイル」や、広い攻撃距離を持ち、ミサイルをピンポイントで破壊できる「ジェットファイター」といった新兵種が解放される。強力だがリスクもあるこれらの技術をどう使いこなすかが、シーズン2で勝つためのポイントになるだろう。

また、新たな英傑も多数登場する。“日本一の兵”とも称される武将「真田幸村」は、味方がアクティブスキルを発動した際に、一定確率で敵軍に沈黙か武装解除の強力なデバフ効果を与える。相手がすでにこれらのデバフ効果を受けている場合は追加ダメージを与えるという、猛攻型の英傑だ。

他にも、高威力の知力ダメージと眩暈のデバフ効果を同時に与える「ナポレオン」や、敵味方とランダムに同盟を結び、さまざまなバフ・デバフ効果を与える「エリザベス女王」、兵力が一定割合を下回るたびに被ダメージが大きく減少し、自身と味方にステータス上昇とデバフ解除の効果を与える「キュロス大帝」など、ユニークな効果を持つ英傑が多数追加される。前シーズンまでに入手した英傑やスキルは引き継がれるので、新たな英傑と組み合わせることで輝くものも出てくるかもしれない。
さらに興味深いのは、「総督」システムの追加だ。これは連盟がレベル6以上の都市を占領した際に、各都市に総督を1人任命し、連盟メンバーを住民として住まわせることができるという機能だ。

総督がいる都市では、戦闘などにより入手した建材を用いて都市をレベルアップさせることができる。これにより、都市のタイプに応じたボーナスを獲得可能だ。シーズン1でも「外交」機能により都市タイプに応じたバフ効果を獲得することができた。しかし、総督システムにより得られるボーナスの中には、「天文台」といった新たな建造物や、「総督技術」という新たな技術ツリーの追加など、ゲームを大きく変える効果を持つものもある。これまで以上にどの都市を占領し守るか、という判断が重要になるだろう。


また、それぞれが独自の特性を持っていた9種の「文明」にも大きな変化が加えられた。各区域の建設上限が倍になり、要塞や空港を連盟メンバーと共有して使えるなど発展に特化したエジプトや、敵プレイヤーに勝利すると負傷兵の一部が回復し、条件を満たすと敵の負傷兵を略奪できるなど戦闘に特化したギリシャといった、文明のイメージを反映した独自の効果が多数追加された。これまでとは全く違う方向性となっている文明もあるため、プレイスタイルに合わせて改めて選びなおすといいだろう。

新要素や既存要素の大幅な変更など、多岐にわたる変化が加わるシーズン2。バビロンに向かう旅路も、これまでとは違うものになっているはずだ。シーズン1を経験した人も、未経験の人も、さらに深みを増した『シヴモバ』の世界に飛び込んでみてほしい。
また、『シヴィライゼーション: 時代と盟友』公式攻略データベースでは、初心者向けの編成のコツや、英傑の解説、シーズンをまたいで引き継げるものなど、お役立ち情報を多数紹介している。さらに今後、シーズン2に関連した記事も公開予定だ。シーズン2のスタートダッシュに向けて確認しておくといいだろう。
『シヴィライゼーション: 時代と盟友』はスマートフォン(iOS/Android)向けに配信中。『シヴィライゼーション: 時代と盟友』の最新情報は、Xの日本公式アカウントでも確認可能だ。
さらに、公式日本語Discordサーバーも開設されている。ここではプレイヤー同士で連盟を結成したり、戦略を練ったりする場として活用できる。スタートダッシュを切れるよう、ここで仲間や情報を集めてみるのもいいだろう。
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