『ホグワーツ・レガシー』を遊びたいけれど「ハリー・ポッター」を知らない人に捧ぐ“予習用語集”。ちょっとだけ知った気になれる
『ホグワーツ・レガシー』は、J・K・ローリングの著書「ハリー・ポッター」シリーズの世界観をベースとしたオープンワールド・アクションRPGだ。PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中ほか、PS4/Xbox One向けにも2023年5月5日発売。Nintendo Switch向けには7月25日発売予定だ。
本作は1800年代の魔法学校「ホグワーツ」を中心に「禁じられた森」や「ホグズミード」といった、作品を象徴する場所を自由に探索しながらオリジナルストーリーが展開される。最後に詳しく述べるが、『ホグワーツ・レガシー』は魔法ワールドの入り口として最適であることは間違いないと述べておく。
ただ、「『ホグワーツ・レガシー』面白そうだけど、ハリポタ知らんし……」というユーザーも多いのではないだろうか。『ホグワーツ・レガシー』は、「ハリー・ポッター」を知らなくても楽しめるものの、いきなりババンとこの世界特有の固有名詞が出てくるのも事実。
事前予習をするとしても、いかんせん原作は全7巻の小説で、さらに多くの外伝作品がリリースされ“魔法ワールド”として確立されたこの世界へ踏み出すのはちょっぴり勇気が必要かもしれない。
そこで本稿では、パッと見ただけでは「?」となりそうな魔法ワールドの固有名詞をピックアップしてお届けする。『ホグワーツ・レガシー』をプレイ中でもプレイ前でも、その楽しさが増す知識を集めてみた。カタログや辞典形式でお送りするので、流し見しつつ、気になる項目があればチェックするような読み方もオススメだ。
項目リスト:
世界設定編
・マグル
・魔法省
・ふくろう
・姿くらまし・姿現し
・移動(ポート)キー
・許されざる呪文
人物・家系編
・マーリン
・ウィーズリー家
・ブラック家
魔法生物編
・ゴブリン(小鬼)
・ケンタウルス
・トロール
・セストラル
・ヒッポグリフ
ホグワーツ・ホグズミード編
・禁じられた森
・闇の魔術に対する防衛術
・O.W.L試験(ふくろう試験)
・ホグズミード
・三本の箒
・オリバンダー
世界設定編
―マグル
“魔法を使うことができない人間”のこと。一般的に魔法族の血が流れていない人間を指す。
マグル出身の魔法使いや、マグルと魔法族の間に生まれた人間(純血の魔法族ではない人間)を侮蔑する言葉として「穢れた血」などがある。映画ではメインキャラクターのひとりであるハーマイオニー・グレンジャーがマグル生まれであり、宿敵ドラコ・マルフォイが彼女を「穢れた血」と差別するシーンなどが有名である。魔法族の血筋であっても魔法を扱えない「スクイブ」と呼ばれる人間も存在する。
―魔法省
魔法界における行政機関。最高官は魔法大臣と呼ばれる。
我々の暮らす国における政府のようなもので、各国に設置されている。警察のような機関などを内包しており、闇の魔術を扱う魔法使いを捉える「闇祓い」などもこれに含まれる。ざっくり述べると、マグルに対して魔法の存在がバレないように管理するほか、交通機関や輸送を担う運輸部(我が国でいう国土交通省)などが存在する。
原作ではハリー・ポッターがマグルの前でやむを得ず魔法を使用した際に裁判に出廷するために魔法省を訪れている。なお、魔法省は電話ボックスが訪問者用入り口となっていて、魔法省職員は公衆トイレの便器に吸い込まれるようにして出勤している。
―ふくろう
ふくろう。手紙や郵送物を運ぶ手段として用いられる。
原作ではハリー・ポッターが白ふくろうを「ヘドウィグ」と名付けて飼育していた。『ホグワーツ・レガシー』ではホグワーツ城の西部にあるふくろう小屋の周りを飛び回る姿を見られるほか、NPCから主人公への連絡手段としてふくろう便が届く。
―姿くらまし・姿現し
移動魔法。瞬時に別の場所にその身を転送させる。発動する者の身体を掴むことで、別の人間と同時に移動することもできる。
口に出して呪文を唱える必要はなく、どこへ・どうしても・どういう意図での3つを強く意識することで発動することができる。難易度の高い魔法であり、身体の一部が破損するなど通称“ばらけ”と呼ばれる失敗例などもある。そのため使用には17歳以上という年齢制限が設けられ、免許が必要である。5年生(16歳)である『ホグワーツ・レガシー』の主人公は使うことができないが、カットシーンなどで見ることができる。
なお、ホグワーツ城を含め、姿くらましをおこなうことができないような魔法がかけられている場所もある。
―移動(ポート)キー
移動手段。移動呪文がかけられた任意の物体に触れることで、決められた場所に瞬間移動することができる。
乗り物酔いのような感覚を引き起こし、決して快適な移動ではないという。また、物体はブーツやバケツといった、ありふれたものが採用される場合が多い。
『ホグワーツ・レガシー』では物語の冒頭でポートキーを用いた演出がある。また、本作を含め魔法ワールドのゲーム作品を手掛けるレーベルの「ポートキー・ゲームズ」の名前の由来でもある。ゲームに触れるだけで、魔法ワールドに瞬間移動してしまうわけだ。
―許されざる呪文
禁忌とされる、死の呪い、磔の呪い、服従の呪文。
相手を即死させる死の呪い(アバダケダブラ)、相手に耐え難い苦痛を与える磔の呪い(クルーシオ)、相手を術者の思い通りに操る服従の呪文(インペリオ)の3つ。
1700年代に違法となった邪悪な魔法。人間に対して唱えるとアズカバンに収容され、終身刑となる。『ホグワーツ・レガシー』の時代においてもこれらの魔法は禁忌とされているが、主人公はサイドクエストを通じて会得することができる。咎められることもなく使い放題だ。
人物・家系編
―マーリン
中世を生きた偉大な魔法使い。現代に伝わる魔法の開発などを手がけたことで知られている。
大きな功績を残した魔法使いに贈られる「マーリン勲章」は彼の名から作られたものであり、アルバス・ダンブルドアや、ミネルバ・マクゴナガルなどが授与されている。
『ホグワーツ・レガシー』ではマーリンが遺したとされるパズルを解くミニゲーム「マーリンの試練」としてその名が登場する。クリアした数に応じて装備品の所持数の上限を開放してくれるので、見つけたら積極的に攻略していこう。
―ウィーズリー家
魔法使いの一族。マグルに対し友好的。
原作ではロン・ウィーズリーを含む5人の兄妹がホグワーツに就学している。代々グリフィンドール寮に振り分けられている。マグルに友好的なことからマルフォイ一族とは犬猿の仲。
ロンの父であるアーサーは前述の魔法省に置かれたマグル製品不正使用取締局に勤めており、マグルの扱うモノに興味を持つ。ハリーとロンが空飛ぶクルマを勝手に持ち出した際は「うまく飛んだか?」などと発言し妻のモリーに怒られる場面も。
『ホグワーツ・レガシー』で副校長として登場するマチルダと、その甥っ子でありグリフィンドールの生徒として主人公と同じ科目もあるギャレスは、ウィーズリーの血筋の人間だ。特徴的な赤毛や、暖かい物腰、そしておっちょこちょいな一面などが原作のウィーズリー家の印象と一致するだろう。
―ブラック家
魔法界において古い純血家系の一族。純血主義。
家系からスクイブやマグルを抹消するほどの純血主義であり、莫大な富を持っている。原作では一族の多くがヴォルデモートを支持していた。家訓は”純血よ永遠なれ”。覚えておくと良いことがあるかもしれない。
『ホグワーツ・レガシー』ではブラック家のフィニアス・ナイジェラス・ブラックが校長を務めている。ブラック家がどのような思想を持った家系であるかがよくわかる振る舞いをしているので、注目してほしい。
魔法生物編
―ゴブリン(小鬼)
背が低く、長い手足が特徴的なヒト種の生物。人間と同じ言語を使う。
独自の魔法を扱うほか、金属加工などの技術に長けている。グリンゴッツ魔法銀行などを運営しているのもゴブリン族。魔法族の一部はゴブリンを人間よりも劣った生物として認識している者も少なくない。
『ホグワーツ・レガシー』ではゴブリンの反乱がメインストーリーとして描かれる。闇のゴブリンとの戦いも多いが、一方で友好的なゴブリンへ手助けするサイドクエストなども用意されていて、本作では人間の次に関わることの多い種族と言える。
―ケンタウルス
上半身は人間、下半身は馬のような形の魔法生物。人間の言葉を話す。
プライドが高く、人間を信頼していないことが多い。群れで行動することが多く、弓の扱いに長けている。
『ホグワーツ・レガシー』では禁じられた森に住まい、闇の魔法使いらと戦っている姿を見ることができる(場合によっては共闘のような関係になることもある)。
―トロール
身体が大きく頭の小さい、知性に欠けた凶暴な魔法生物。
巨人のような大きな身体で、棍棒を持って攻撃してくる。基本的に恐ろしく知能が低いが、なかには訓練をすれば警備などを担えるほどのものもいる。
『ホグワーツ・レガシー』では敵対する生物として登場する。原作「賢者の石」では、ハーマイオニーを襲ったトロールをハリーとロンが倒すが、ロンの杖にはトロールの鼻くそがべっとりとこびりついていた。
―セストラル
翼を持つ、痩せ細った馬のような魔法生物。
その姿は死を目撃した人間にしか視認することができない。危険生物として分類され、不気味な見た目から不吉な存在であるとささやかれているが、ホグワーツにいるものは訓練されている個体がほとんどである。
ホグワーツへ向かう道中の馬車を牽引するなどで使われており、死を目撃したことがない人間にとっては、馬車が独りでに動いているように見える。冒頭のカットシーンで主人公が、いきなりセストラルの存在を認識できるようになったのは、そういうことである。
―ヒッポグリフ
大きな翼と巨大なワシの頭を持つ馬のような魔法生物。
気高く危険な生き物であるが、信頼関係を結んだ者へは忠実。初対面にはお辞儀をして敬意を示すことが求められる。
『ホグワーツ・レガシー』では物語で登場するほか、騎乗することができる。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンには、ヒッポグリフに乗って空を翔るアトラクションがある。
ホグワーツ・ホグズミード編
―禁じられた森
ホグワーツの敷地内にある、生徒の立ち入りが禁じられた森。
昼でも暗く木々がうっそうと生い茂っている。“禁じられた”と言いつつも実際は一部の授業や罰として生徒が入ることもある。この項で述べてきたほとんどの魔法生物が住んでいて、『ホグワーツ・レガシー』では例によって咎められることもなく侵入し放題。恐れず探索していこう。
―闇の魔術に対する防衛術
ホグワーツを含む学校における科目のひとつ。闇の魔術だけでなく、闇の生物や闇の魔法がかけられたものに対する防衛術を学ぶ。
原作では2人以上の魔法使いが魔法で戦う「決闘」などが扱われることもある。『ホグワーツ・レガシー』ではこの決闘をカジュアルな遊びとして生徒が運営する「決闘クラブ」なるものもあり、戦闘の基礎を学ぶことができる。また、この授業を担当するダイナ・ヘキャット先生はたった一人でウェールズ東部最大の魔法生物密猟者集団を壊滅させるほどの手練れだ。
―O.W.L試験(ふくろう試験)
ホグワーツの5年生が学期末に受ける試験。
Ordinary Wizarding Levels(一般魔法レベル)を略したもので、O.W.Ls(ふくろう)と呼ばれる。この試験の成績によって、次年度から受けられる科目が決められ、卒業後の進路に大きな影響を与える。優(O)、良(E)など6段階の評価基準が定められ、最低評価はトロールなみ(T)。
ホグワーツで学んだことを発揮する集大成である。
―ホグズミード
ホグワーツに近い、(この世界における)イギリスにおいて唯一魔法族のみが住む村。
3年生以上の生徒は、保護者のサインがあれば週末に訪れることができる。飲食店や魔法の品々を扱う店舗などがある。ホグワーツへの秘密の抜け道もあるとか。
『ホグワーツ・レガシー』ではホグワーツから地続きでホグズミードに訪れることができ、ハニーデュークスやJ・ピピン魔法薬店など、原作に登場した店舗の一部も健在。物語でも度々訪れることになる。
―三本の箒
ホグズミードにあるパブ兼宿屋。
ホグワーツの先生、生徒たち御用達のパブ。バタービールと呼ばれる飲み物が提供されており、その名の通りアルコール飲料ではあるが、その度数は低い。暖かいものはジョッキに入って提供され、寒いホグズミードでは魔法使いたちの身体を温めている(瓶に入った冷えたものもある)。薄めたバタースコッチの味がするそう。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンではノンアルコール飲料として実際に飲むことができる。
―オリバンダー
世界最高の杖職人のひとり。ギャリック・オリバンダー。
ロンドンのダイアゴン横丁に店を構えている。原作ではハリーが杖を購入するシーンなどで登場。彼曰く“杖が人を選ぶ”のだそうだ。ホグズミードにはオリバンダーの杖店の支店が設置されている。
以上が、用語集である。魔法ワールドには到底ここに書き切れないほど多くの世界設定があり、その敷居はやや高めに感じてしまうかもしれない。最後に少しだけ、どのように世界に触れていけば良いか解説していく。
小説7巻と映画8作品(完結作「死の秘宝」は2部作にわかれているの)が魔法ワールドのベースとなっているため、このどちらかを読む、観ると世界への解像度が特に高まる。なお、小説は文庫本にもなっていて、映画は一部サブスクリプションサービスにもラインナップされている。
やはり映画を観るのが手っ取り早いだろうが、映画化の都合上カットされているシーンもあるので、世界やキャラクターに対する愛着が湧いたなら、是非小説にも目を通してほしい。ここでも述べた魔法省に関する政治的なやり取りや、ダンブルドアの心情や思惑なども細かく描かれている。
また、スピンオフ作品「ファンタスティック・ビースト」も存在する。魔法生物学者ニュート・スキャマンダーが主人公である本作は、原作の少し前の時代の物語だ。こちらは本稿執筆時で3作品のみ公開されているので、やや見やすい(既存の3作を含む全5作品の公開が予定されている)。
「ハリー・ポッター」シリーズと比較してマグルの生活との絡みが多いのも特徴的であり、マグルと魔法族の交わりなどが好きなら、特にオススメしたい。また、主人公が生物学者なだけあって、可愛い魔法生物がこれでもかというほど登場する(可愛くないのもいる)。余談だが、ニュートの書いた「幻の動物とその生息地」が実際に出版されている。内容も興味深いので一度手に取ってみると面白い。本著は後にホグワーツの教科書にも指定され、劇中ではハリーらも使っている。
そして、重ねて述べるが、『ホグワーツ・レガシー』は魔法ワールドの入り口として最適であることは間違いないと述べておく。冒頭でも述べたが、本作は1800年代の、これまで誰も知らなかったホグワーツが舞台だ。ホグワーツを一から知るにはうってつけの機会であり、本作をプレイしたあとに小説や映画を見返すと「映画では描かれてないけどこの先を歩いたことがあるな」と答え合わせのような気持ちになってくる。
たとえば『ホグワーツ・レガシー』で校長を務めるフィニアス・ナイジェラス・ブラックは小説で肖像画として、少なくない役割を持って登場する。このように、魔法界において同じ場所が舞台であることは、マグルの考えるそれよりも遙かに密な結びつきがあるのだ。
願わくば、『ホグワーツ・レガシー』があなたにとって魔法ワールドの入り口になってくれると嬉しい。
『ホグワーツ・レガシー』はPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中。Nintendo Switch向けには7月25日発売予定だ。