空いた時間で、長く遊べる。2021年、AUTOMATONライターが「スキマ時間」にもっとも遊んだゲーム

今年2021年を振り返る、AUTOMATONの年末企画第3弾。本稿では、日ごろから執筆に追われるAUTOATONライターがちょっとした時間でプレイできたゲームをご紹介。

今年2021年を振り返る、AUTOMATONの年末企画第3弾。時間の活用はすべてのゲーマーにとって至上命題だ。学業や仕事に勤しむ人であれば、つねに腰を据えてプレイする時間を確保できるとは限らない。あるいは日々大作を消化するコアユーザーも、ゲームの休憩にゲームしたくなる瞬間があるだろう。本稿では、日ごろから執筆に追われるAUTOATONライターが、ちょっとした時間でプレイできたゲームをご紹介。いずれもスキマ時間で遊ぶのにぴったりな作品ゆえ、ぜひあなたの暮らしにフィットするタイトルを見つけてほしい。 

 
『HADES』 

――スキマ見つけては冥界脱出 

開発元・販売元:Supergiant Games 
対応機種:PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch  
プレイ時間:740時間 
 

 
『HADES』は、見下ろし型視点のローグライク・アクションゲームだ。ギリシャ神話をモチーフにした作品であり、冥界の神ハデスの息子ザグレウスが、オリュンポスの神々からの助力を得ながら、冥界のある地下世界から地上への脱出を試みる。本作では最終的に必ず死に、道中で得たアップグレードをすべて失って、ふたたび脱出に挑むというループを繰り返す。そのなかで物語が展開し、出会うキャラクターたちとの関係性が発展していく。 

近年は似たジャンルの作品が多いが、本作は1周クリアにかかる時間が比較的短いことが特徴だ。多少手間取ったとしても、30分かからずクリアできる。また、ステージはいくつもの小部屋で構成されており、区切りをつけやすい。そうしたこともあって、スキマ時間にプレイするにはうってつけ。原稿を提出し、校正を待っているあいだにNintendo Switchをスッと取り出すこともしばしばである。振り返ると、今年発生したスキマ時間のほとんどを、本作に費やしたといっても過言ではないくらいプレイし続けていた。 

最初は物語を進めたり、アンロック要素をコンプしたりといった目標があったが、そうした目標がなくなった後も飽きないのだ。もちろん、このジャンルならではの各種ランダム性は、要因のひとつとして挙げられるだろう。また、本作は武器とアップグレード要素の種類が豊富で、使えないなあと思っていたものが、いろいろと組み合わせているうちに化けることも。アクションゲームとしての手触りなど基本的なクオリティが高いため、強力な装備の組み合わせを堪能するだけでも気持ちが良く、ついつい遊んじゃうのだ。来年も、スキマ時間を埋めまくってくれる作品に出会えることを期待したい。 

by. Taijiro Yamanaka 

 
『Splitgate』 

――あなたの後ろにコンニチハ 

開発元・販売元:1047 Games 
機種:PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S 
 

 
悪いFPSを知ってしまった。撃ち合いとは、純粋な技術のぶつかり合いである。エイム力、立ち回り、キャラコントロール。一つ一つの真剣勝負に向き合うにはある程度の気合が必要であり、ちょっとした合間の時間にプレイするには荷が重い。通常のFPSなら。 

『Splitgate』はアリーナスタイルのマルチプレイ対戦FPSだ。プレイヤーはステージの各所に、入口と出口がつながったポータルを開けることができる。緊急時の離脱に使ったり、落下しながら飛び込んで大ジャンプに利用したり、さまざまな効果を発揮する。何よりも甘美な使い方は、敵の死角にポータルを開けたときだ。ポータルを使えば、弾道も転移させることができる。相手がサブマシンガンを持って鬼の形相で向かってきたときは、しめたものだ。ちょっと背後にポータルを開けて、弾丸1発を撃ち込んでやれば、あっという間にゲームセットである。 

これはいけない。私は正直なところ、撃ち合いが全然得意ではない。そのうえこの、相手の虚を突いて撃ちぬく気持ちよさを知ってしまったら。ワンゲーム10分もしないため、何かにつけてはふらふらとアリーナへさまよい出る。うまく相手をだし抜いたときのインスタントな快楽を、ちょっとした空き時間に求めるようになってしまったのだ。この脳内麻薬を知ってしまったばっかりに、今年はしばしば人の背後に「ポータルを開けてえなあ」と幻視していた。 

by. Yuki Kurosawa 

 
『神殺しのアリア』 

――とりあえずレイドを回してトイレに行こう 

開発元・販売元:DMM GAMES 
対応機種: PC(ブラウザ・DMM GAME PLAYER)/Android(DMM GAMESストア) 
 

 
『神殺しのアリア』は、悪魔と契約した少女「ディアミス」たちが、突如襲ってくる神の使い「神群」と戦う姿を描いた、3DオートバトルRPGだ。もっぱらコンソールとPCゲームばかり遊んでいる筆者だが、DMM GAME PLAYERをインストールしてちまちまと遊んでいる。というのも、シナリオがしっかりと練られていて読み応えがある。現代を舞台としつつ、神に対抗する力を得る施設や、それらを束ねる組織の本部地下には謎の空間。ローファンタジーとして魅力的な世界観設定のうえで、そもそも悪魔とはなにか、なぜ戦っているのかといった、先が気になる物語上の仕掛けがなされている。また、主人公の特殊能力がバトルで活かされ、それがマネタイズに結びついているなど、ゲームとして整合性がとれている印象だ。 

しばらくシナリオを進めていると、ストーリーバトルに勝てなくなっていき、キャラクター強化のために装備集めを求められる場面に度々ぶつかる。物語も佳境に差し掛かると、なおさらその時間は増える。オートバトルゆえ、放置すれば勝手に装備が手に入るので、別のマルチプレイタイトルのマッチング中や、お手洗いに行く数分のスキマ時間にはピッタリだ。暇を見つけては周回出撃をかけ、また暇ができたら装備を砕いたり、重ねたりと、細かい作業をこなす。ある程度集まったらストーリーバトルに挑戦し、また壁にぶつかったら周回……というルーティンを繰り返している。 

シナリオを読みすすめるだけでなく、日常に溶け込んで時間を消費するゲームデザインが、この手のタイトルをあまり触らない筆者としては新鮮であり、魅力的なキャラクターやシナリオも相まって、長く続けられそうだ。 

By. Sakutaro Okano 

 
『Baba is You』 

――めくるめくカスタムレベルパックの世界 

開発元・販売元:Hempuli Oy 
対応機種:PC/Nintendo Switch/iOS/Android 
プレイ時間:900時間 
 

 
このゲーム、冗談抜きで一年中プレイしている。今年レベルエディタの正式アップデートが来たが、実はその前もベータ版のエディタは存在した。多くのユーザー製レベルパックが配布されていて、それをプレイしていたのである。そこでこの場を借りてアップデートでカスタムレベルに興味をもったプレイヤー向けに、レベルパックの導入手順と個人的なオススメを紹介しようと思う。 

レベルパック導入についてはばいす氏によるこちらのシートを参照するのが良いだろう。掲載されているリンクのほとんどはDiscordの添付ファイルのアドレスであり、実際の配布はBaba is Youの公式Discordサーバーでされている。サーバーに参加さえしていれば、シート内のリンクをクリックでDLできるはずだ。あとは解凍してゲームフォルダのData\Worldsフォルダに入れれば良い。 

今まで大小含めて大量のレベルパックが制作され配布されているが、中でも自分がプレイ済でかつコミュニティでよく知られる、メジャーで高品質なレベルパックをいくつか紹介しよう。本編と比べても比較的難易度が易しいものでは、まずsilverhawke氏の「Silver Meadow」が挙げられる。おそらく一番有名なレベルパックではないだろうか。続けてTetraxZ氏の「Somewhere Out There Again」(通称SOTA)とRegal氏の「Repose」はどちらもステージ数が多い。全体的に出来が良い面が、簡単なものから高難易度なものまで幅広く揃っており、本編と同じ感覚で遊べるレベルパックとなっている。 

独創的なものではolie氏による「letters+」とhillexed氏による「The Legend of Zelbaba」がオススメだ。最後に高難易度を求める方には日本のねーぴあ氏による本編の別解集である「babanother」とRandomizer氏による「Alphababa Soup」をオススメする。この2つは本当に難易度が高く腰を据えて取り組む必要があるが、その分解けた時の感動は筆舌に尽くしがたいものがある。どれでも良いので、気になったものからぜひ手を付けてみてほしい。 

by. Mizuki Kashiwagi 

 
『MIR4』 

――弱者が居られるスキマを探す 

開発元:Wemade Next 
販売元:Wemade 
対応機種:PC/iOS/Android 
 

 
記事執筆現在、筆者はMMORPG『MIR4』を2468時間遊んでいる。「全然スキマ時間じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうなので説明させてほしい。本作では採取や戦闘などをボタン一発で自動化してくれるシステムを採用している。メイン/サイドクエストなども自動進行だ。そのため、プレイヤーが仕事をしていようが寝ていようが勝手に進んでくれる。半ば放置ゲーム的な作品なのだ。 

しかし、本作は放置ばかりでもない。ボスなどとの戦闘では、アクションで高ダメージ攻撃を避けなければいけない場面もある。さらに、本作でもっとも怖いのはボスなどではなく「人間」だ。というのも、本作はプレイヤー同士の争い、いわゆるPKを奨励している傾向がある。例として、狩りの効率が良かったりする特別なエリアは、PK者へのペナルティが一切ない危険ゾーンとして設定されていたりする。さらには、本ゲームには仮想通貨に変換できるゲーム内アイテム「黒鉄」があるのだ。黒鉄の採掘場所は基本的に危険ゾーンにあるため、常に血で血を洗う状態である。危険ゾーンでなくとも戯れにPKをするプレイヤーも多い。薬草を摘んでいるだけで殺されることもある。本作では、殺し合いが日常なのだ。 

そのため、放置するにしても考えなくてはならない。美味しい場所で放置狩りを設定しようものなら、強靭なプレイヤーに瞬殺される。また、設定によってはキャラクターが自動で何度でも“殺されに行く”挙動になってしまい、3日間稼いだ経験値がデスペナルティで消えたりもする。デスペナルティの大部分は無料で復旧できるのが救いだ。惨めさをこらえつつも「ここなら殺されない」と妥協した狩場を探すスキマ時間は、ちょっとだけ楽しい。筆者はマゾなのかもしれない。 

by. Seiji Narita 

 
『ライダーズ リパブリック』 

――ピュアで、バカで、気楽な距離感 

開発元・販売元:ユービーアイソフト 
対応機種:PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S 
 

 
ゲームを動かす楽しさ。この一点において『ライダーズ リパブリック』は、ユービーアイソフトのこれまでのオープンワールド・レース/スポーツゲームを上回る出来栄えとなっている。過去作で培ったノウハウを活かしつつ、世界観および操作面において、開放感、気楽さ、おバカさ加減が増したのだ。 

ただ自転車をこいでいるだけで楽しい。そんなシンプルな喜びを増強するための演出やコースが豊富に用意されており、ユービーアイソフトお得意の物量攻めがうまくフィットしていると感じた。目玉コンテンツである最大64人対戦マスレースの混沌具合も、陽気でファンキーな世界観と合致しており、なにより活力が湧くコンテンツとなっている。 

マウンテンバイク、スノーボード、ロケットウィングと、そのときの気分に応じて瞬時に乗り換え、レースに参加し、スケートパークでトリックを決め、フォトモードをいじり、ときおりマスレースでほどよい刺激を味わう。すべてが手軽で、触り心地がよい。このゲームでしか体験できない遊び場が、広がっている。 

どのコンテンツも隙間時間でのプレイに適しているので、脳が働かないときでも、ふらっと起動しやすい。平日の仕事終わりの気分転換も兼ねて、停止しかけた脳みその余力で遊ぶのにピッタリなゲームであった。 

by. Ryuki Ishii 


その他のAUTOMATON年末企画はこちら
12月27日〜12月31日にかけて1本ずつ掲載予定。

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