AUTOMATONライター陣が選ぶ、2018年期待するタイトル16本

 

読者のみなさま、あけましておめでとうございます。昨年2017年も非常に多くの傑作が生まれ、プレイヤーにとってもお気に入りのタイトルを見つけやすい年だったのではないだろうか。2018年も同様に素晴らしいゲーム作品が世にリリースされることを期待したい。ということで今回AUTOMATONライター陣に、2018年を迎えるにあたって期待しているタイトルを紹介してもらった。こちらを参考に、2018年に生まれるであろう作品に思いを馳せてほしい。ちなみに、原則的には公式より2018年発売が告知されている作品をあげてもらっているが、一部2018年に出るであろう「発売日未定」タイトルも存在するので、その点だけ留意していただきたい。また、あわせて2017年の各ライターがGame of the Yearを選ぶ記事も読んでみてはいかがだろうか(参考記事)。

 

『Session』

開発: creā-ture Studios 販売: 未定 機種: PC/Xbox One

本格スケボーゲームへの飢えはもはや極限状態。そこについに現れたのがこの『Session』だ。Unreal Engine 4によるリッチなグラフィックで、スケーターを少し低めの位置から捉えた映像は『Skate』の精神的続編といった雰囲気を醸し出している。トリックの操作も『Skate』のようにゲームパッドのアナログスティックを使うが、左右のスティックを左右の足の動きに見立てていることが大きな特徴である。

デモをプレイした限りでは、この操作は率直に言って難しい。ただ、リアルさを追求した結果であり、冷えきったスケボーゲーム市場を考えれば下手にカジュアルにするよりも、ここまで振り切ってしまうのが正解かもしれない。開発資金を募ったKickstarterキャンペーンでは、初期目標金額の2倍を集めることに成功しており、2018年5月にSteamとXbox Oneにて早期アクセス販売を始める予定となっている。

『BIOMUTANT』

開発: Experiment 101 販売: THQ Nordic 機種: PC/PS4/Xbox One

『BIOMUTANT』は、ケモノのキャラクターが主人公のオープンワールド・アクションRPGである。文明崩壊後の自然豊かな世界が舞台となっており、美しい環境が目を引くが、一方で放射能汚染物質などかつての文明の負の遺産の存在も見え隠れする。この世界にはさまざまなケモノ種族が暮らしており、それらとどのような関係を築くかがストーリー展開や、ゲームプレイを進めるうえで重要になってくるという。

敵とのバトルは、『Devil May Cry』のように剣と銃を駆使したアクションとなる。本作には探索で得た資源によるクラフト要素があり、剣と銃はそれぞれパーツごとに作成し、組み合わせてオリジナルの武器を作り出すことができる。ゲームの全体像はまだまだ見えないが、武装メックに搭乗できたり、気球や水上バイクに乗れたりと、ゲームプレイの幅の広さを感じさせる。本作はPC/PS4/Xbox One向けに2018年発売予定だ。

by Taijiro Yamanaka

 

『Kingdom Come: Deliverance』

開発: Warhorse Studios 販売: Warhorse Studios  機種: PC/PS4/Xbox One

『Witcher』シリーズなどヨーロッパ発・中世の世界観をベースとしたファンタジーのオープンワールド作品が高い評価を得ている。そんな中で魔法もドラゴンもまったくない、そのまま中世の世界観そのものだけで挑むという硬派な印象で勝負する一作。

『Witcher』や『Dragon Age』も中世ファンタジーではくくられない、ある種普遍的な生々しいテーマのストーリーテリングを行い、プレイヤーにその解釈を任せるという点が印象深かった。徹底してリアルに仕上げたという本作ではそのあたりの切り口もどう扱うのかを期待している。

『Underworld Ascendant』

開発: OtherSide Entertainment 販売: 505 Games 機種: PC

空前絶後の一作『Ultima:UnderWorld』の流れを組む一作。多様なゲームプレイや解釈が反映される『SystemShock』『Deus Ex』すべての生みの親Warren Spectorが、1992年に生み出し、その後大きな影響を与えた『Ultima:UnderWorld』をこの現代に改めて問い直す作品。

『Ultima:UnderWorld』は当初は今でいう『The Elder Scrolls』シリーズのような、没入できる架空の世界を目指していた印象があるが、現在オープンワールドブームの中でそうした架空の世界の中に入り込むということは当たり前にある。本作では多様な攻略方法やゲームプレイを売りにしているが、実際にどのようになるのか楽しみだ。

by Hajime Kasai

 

『Detroit Become Human』

開発: Quantic Dream 販売:SIE 機種: PS4

私がこの作品を選んだ理由としては、『NieR:Automata』や映画「ブレード・ランナー2049」など、「人間らしさとは何か」という題材の元に制作されたSF作品を好んでいるというところにある。さらには、これまでのアドベンチャーゲームと比べても作中の「選択肢」即ち「物語の分岐点」がとんでもなく多い。個人的に、アドベンチャーゲームの魅力というのは「選択すること」にあると考えている。主人公として、自らの物語を自身の手で紡いでいくという感覚。人生は選択と結果の連続である。大抵のアドベンチャーゲームにおける選択肢は複数あるEDの1つを選ぶための標識に過ぎないが、このゲームにおいてはおそらく違うのだろう。私は一体の「アンドロイド」としてどういった物語を綴ることができるのか、本当に楽しみだ。

『プロジェクト オクトパストラベラー』

開発: アクワイア/スクウェア・エニックス 販売: スクウェア・エニックス 機種: Nintendo Switch

懐かしさと新しさが同居するHD-2Dグラフィック、『サガ』シリーズを彷彿とさせる複数の主人公が織りなす壮大な物語、「攻略」を強く意識させる「コマンドブーストシステム」を取り入れた古き良きターン制バトル、西木康智氏が手がける素晴らしいBGM。面白くないわけがない。

『ペルソナ5』に代表されるように、進化した和製RPGの台頭が目覚ましい昨今ではあるが、逆にここまで硬派かついい意味で古典的なRPGというのは珍しいのではないだろうか。9月に配信された体験版は粗さえあれど、素晴らしい出来だった。近年のスクウェア・エニックスは「原点回帰」という四文字を使うことが多いが、今作については特に信じても良さそうである。

by Takayuki Sawahata

 

『サバイバルメソッド Survival Method』

開発: AjiGohanGames 販売: AjiGohanGames 機種: PC

本作は個人開発者味ゴハン氏が昨年より手がけているゾンビサバイバルゲームだ。ゾンビものにしては珍しく日本が舞台となっている。そのため本作で登場する重火器は、他のゲームで見かけない旧軍と自衛隊の武器が採用されている。なおサバイバルと銘打っているように、主人公には満腹度等がある。食料は廃墟となったスーパーや、徘徊する野生動物を狩ることで得ることができる。他にも建物や罠を設置することもできるので、襲いくるゾンビを撃退する方法にも工夫をこらせるだろう。

具体的な日付は発表されていないが、2018年中にSteamにてアーリーアクセス版が配信される予定だ。現在は「Fantia」「Enty」での支援を受け付けている。デモ版は無料でも配布されているが、2つ前のバージョンとなっている。上記サイトで月200円以上の支援をすれば、最新版を体験することができる。開発の様子は動画サイトに投稿されており、そちらから確認できる。興味を持った方にはぜひ応援して頂きたい。

『Hell Let Loose』

開発: Black Matter 販売: Black Matter 機種: PC

既に弊誌にて紹介しているため経過を報告させて頂く。まず本作は現在開発中であり、その進捗は順調に見える。また、最終的に集まった金額は27万ドルとなり、プレイヤーから大きな期待を受けていることがわかる。予定されているストレッチゴールも半分以上を達成しており、順調に開発が進んでいる。

筆者は既に出資をしているが、複数のマップや車両が実装されたことによって、以前にも増して魅力が増したと思う。チームワークが重要視される本作では、ボイスチャットも気になるところだ。チーム全員と小隊、そして司令官と小隊長を繋ぐ3つのチャンネルが設定される。5人フレンドを集めれば、小隊内でのコミュニケーションは日本語でも可能だろう。また言語対応については優先的におこなうとしており、テキストのほとんどは設定から変更できると記載されている。

by Takuya Ashikawa

 

『ドラゴンクエストビルダーズ2』

開発: スクウェア・エニックス 販売: スクウェア・エニックス 機種: PS4/Nintendo Switch

4人のマルチプレイ、マップの拡大、水中の移動、風のマントの滑空……すでに発表されている『ドラゴンクエストビルダーズ2』の情報からでも十分わくわくできるが、気になるのは世界観と「少年シドーが仲間になる」という情報だ。前作は初代『ドラゴンクエスト』のアレフガルドの世界で、竜王が世界を支配しているというドラクエなりのポストアポカリプスだった。そこから明かされる真相は初代『ドラゴンクエスト』と見事な関係を構築していており、スピンオフの中でも突出したシナリオだったといえるだろう。続編の少年シドーとは、もちろんあの破壊神シドーのことだろう。ならば今回も舞台はアレフガルドなのだろうか。大神官ハーゴンは?竜王のひ孫は?そしてロトの子孫たちは?この続編では『ドラゴンクエストII』といかなる関係が結ばれるのか楽しみだ。

『Mount & Blade II: Bannerlord』

開発: TaleWorlds Entertainment 販売: TaleWorlds Entertainment 機種: PC

ゲーマーの知り合いと話をしていても「『シェンムー3』は2018年には出てないだろう」「『Cyberpunk 2077』はどのくらい開発は進んでいるのだろうか?」「『Ghost of Tsushima』はまだ全然できてなさそうだ」 と話題に出ても、『Mount & Blade II: Bannerlord』が話題になることない。残念ながら忘れ去られてしまっている感もぬぐえないので、あえてここで取り上げるのもいいだろう。『Cyberpunk 2077』と同じく2012年に発表されから、散発的にしか情報が公開されず、発売年すらも未定だ。しかし公開されている映像だと攻城兵器が登場してグレードアップは感じさせる。はやく戦国の乱のさなか、経済封鎖したり、諸国の王を武力で征服したいものだ。ただPCだと、なかなかのスペックを要しそうだ。できればコンソールでもやりたい。もちろん日本語化されている状態で。日本のパブリッシャーの方々はどうか『Mount & Blade II: Bannerlord』をよろしくお願いします。

by Koji Fukuyama

 

『Dreams』

開発: Media Molecule 販売: SIE 機種: PS4

ゲームをつくってみたい。それはゲーマーであれば誰しもが一度は夢見ることではないだろうか。本作を使えば、ぼんやりと思い描いた夢を具現化し、世界中の人々と簡単にシェアすることができる。ストーリーモードも用意されているが、セールスポイントはなんといっても充実したクリエイト機能であり、アクション、アドベンチャー、RPGまで自由自在に制作できる。テンプレートを組み合わせてレゴブロックのように楽しんでもよいし、自分で一からモデルを彫刻してもよい。他プレイヤーが作成したステージを自動抽出して遊ぶ検索機能も備わっている。

手引きが充実したクリエーション・ツールが無数に存在する現代において、『Dreams』のような作品/ツールにどこまで需要があるのかは分からない。ただキャラクターのモデリングから楽曲作成・編集までPS4で一括してこなせるというお手軽さは、入門用ツールとして魅力的ではないだろうか。

『State of Decay 2』

開発: Undead Lab 販売: Microsoft Studios 機種: Xbox One/Windows 10

2018年も期待のゾンビゲーが続々とリリースされる。そのなかで筆者が特に注目しているのが、このオープンワールド型ゾンビサバイバルゲームである。個人としての生存と、グループ全体の管理。この両方を同時にこなすため、物資調達と仲間のリクルートに奔走する前作のサバイバル感は、思いの外新鮮に感じた。ゾンビの群れを圧倒的パワーでなぎたおす爽快アクションではなく、戦いながらも囲まれる前に逃げるという等身大の人間が描かれた生存劇。建物内を漁る最中に物音を立て、近辺のゾンビが走り寄ってくるときの緊張感は、カジュアルな作品でありながら中々のものであった。慣れてくるとルーティン化できてしまうのだが、それでも油断して死亡すると、操作していたサバイバーは帰らぬ人となる。続編では最大4人Co-opに対応するということで、いまから楽しみである。なお前作と同様、国内版の発売予定はない。

by Ryuki Ishii

 

『Days Gone』

開発: SIE Bend Studio 販売: SIE 機種: PS4

ゲームにおける私の好物は二つある。一つは「物語」で一つは「自由度」だ。『Days Gone』は、自由度の高い、物語主導のゲームを目指している。『Days Gone』の攻略法は一つではなく、物資を集めアイテムを作成し、罠をしかける自由度があるという。天候や時刻がゲームに影響を及ぼすなど、変化に富んだプレイを楽しめるようだ。

それだけでも期待は高まるが、本作のディレクターであるJohn Garvin氏は、物語でもゲーマーの心を揺さぶろうとしている。終末世界は、心を揺さぶるのに最高の舞台だ。荒廃した世界は取捨選択の連続だ。大切なものは何か決断を下すとき、突き動かされる感情こそプレイヤーにとっての物語となる。『Days Gone』において、重い決断を下すことになるのは、常にプレイヤーである私たちに他ならないのだ。開発は、私のお気に入りの一本『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』を手がけたSIE Bend Studio。「物語」と「自由度」の両立を目指す『Days Gone』から目が離せない。

『Hot Lava』

開発: Klei Entertainment 販売: Klei Entertainment 機種: PC

もし床が溶岩だったら?『Hot Lava』はそんな子供の想像に基づいた、『Mirror’s Edge』風のパルクール・アクションゲームだ。開発は、『Don’t Starve』や『Mark of the Ninja』で既存のジャンルに独自の捻りをくわえ、高い評価を受けてきたKlei Entertainment。

プレイヤーは溶岩上のわずかな足場を飛び回り、一定数のチェックポイントを通過しつつゴールを目指す。攻略ルートは一通りではなく、プレイヤーのスキル次第でタイム短縮が可能。最適なルートを導き出すパズルにもなっており、プレイヤーの閃きも試されるだろう。
9月のPax 2017ではマルチプレイでスピードランを競うデモも公開された。Klei Entertainmentらしい、情け容赦ないスキル重視のゲームになるだろう。

by Masahiro Yonehara

 

『Praey for the Gods』

開発: No Matter Studios 販売: No Matter Studios 機種: PC

『Praey for the Gods』はオープンワールドアクションゲームだ。巨大な神々と対峙することから『ワンダと巨像』を彷彿とさせると話題を呼んだ作品でもある。舞台となるのは「冬が終わらない世界」。春をもたらすべく、主人公は神殺しを目論む。本作に期待する点は、やはりそのスケールの大きさ。『ワンダと巨像』から影響を受けながらもサバイバル要素やクラフト要素を取り入れており、雑魚敵との駆け引きもあるという。そういう点では、今となっては『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に近い作品になりそうだ。同タイトル発売後より『Praey for the Gods』には「パラセール」や「崖登り」といった要素が実際に導入されており、影響を受けながら開発されていることがうかがえる。

ストーリーや世界観、コンセプト面ではオリジナリティを確立しつつ、システム面は『ワンダと巨像』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』といった作品から要素を取り入れている印象だ。スタッフ3人で制作されているという点では前述のタイトルよりミニマルな作品になると予想できるが、2018年はその野心の行く末を見届けたい。

『Idol Manager』

開発: Max Rogozin/Justin Kuiper 販売: 未定 機種: PC

2018年期待の作品を選考するうえでは、どうしても『Idol Manager』は外せない。『Idol Manager』はアイドルを“マネジメント”する育成ゲームだ。ほかのアイドル育成ゲームと一線を画するのは、その裏側までも描ききるというコンセプト。ユニット内の不和やいじめ、ストーカーや嫌がらせ、スキャンダルなどネガティブな要素も色濃く楽しめるという。多くのアイドルを管理しパラメータの向上をさせつつ、適切な仕事を割り当てる。管理者と労働者という形で進行するシビアな作品となる点も期待が膨らむ。予算や売上の計画など数字における部分も重視されているようで、野心的なコンセプトのみならずシミュレーションゲームとしても遊べるタイトルになりそうだ。

開発を手がけているのはロシアの開発者Max Rogozin氏とアメリカの開発者Justin Kuiper氏。住んでいる場所こそ外国であるものの、日本のアイドル事情にはかなり詳しいという。イメージビジュアルが日本人にとって違和感のないかわいらしいものになっているのも好感度が高い。海外のアイドルオタクたちが日本のアイドル界を描くドロドロアイドルシミュレーション。ごくごく狭い特定の層をピンポイントに狙い撃つ奇特なゲームを遊べる日が待ち遠しい。

by Minoru Umise