『Fallout 76』に海外メディアやユーザーが失望感示す。Bethesdaは今後ファンの期待に応えていけるか
今月11月15日にPC/PS4/Xbox One向けに発売されたBethesda Softworksの『Fallout 76』。シリーズ初となるオンライン専用タイトルとしてマルチプレイを前面に押し出した作品で、プレイヤーは核シェルターVault 76にて核戦争をやり過ごしたメンバーのひとりとして、アメリカ再生のため荒廃した世界に降り立つ。その本作について、海外レビューではどうも評価が芳しくないようだ。
レビュー集積サイトMetacriticでの本作のスコアを見てみると、PC版が55、PS4版が49、Xbox One版が48。『Fallout』シリーズの中でもっとも低い評価となっており(DLCは除く)、全体的に見てもAAAタイトルとしてはかなり低水準なスコアである。同サイトのユーザーレビューではさらに手厳しい評価となっている。レビューの内容を見てみると、『Fallout』らしい世界観を有する広大なマップや、充実したサウンドトラック、友人と楽しむ探索など好評な点もある。ただ、人間のNPCが存在せず、ホロテープなどの音声頼りになっているストーリーテリングの寂しさや、豊富に存在するもののお使い感の強いクエスト。そして、頻繁に遭遇するバグやクラッシュなどが評価を下げている。
こうした低評価は、本作に期待していたが故に反動として現れた面もあるかもしれない。海外メディアForbesは、開発元Bethesda Game StudiosのゲームディレクターTodd Howard氏が本作を初めて披露した当時のことを振り返っている。E3 2018に合わせて開催されたプレスカンファレンスにてHoward氏は、『Fallout 76』の概要を説明しながら魅力を語ったが、同誌はその多くの点でファンの期待に応えられていないと指摘している。まず、レンダリングやライティングなどに新たな技術を導入し、従来作よりも6倍のディテールを実現しているとされたが、本作のグラフィック面は確かに向上は見られるものの、平凡や古臭いという評価が多い。
そのほか、ストーリーテリングに関連して登場キャラクターはすべてプレイヤーであるということが伝えられた。当時はMMOのようなものをイメージしたのか聴衆から喝采を浴びたが、NPCは存在しないと言葉を変えていたら受け止め方は変わっていたかもしれない。また、本作はソロでもプレイできるとアピールした点は、Bethesdaらしい一面を見たが、実際にはチームプレイ向きのゲームバランスになっており、さらにHoward氏が説いたプレイヤーの選択の重要性もあまり機能していないと同誌は指摘する。
本作への評価は、ゲームプレイ配信への関心からもうかがい知ることができる。GitHypによると、本作のTwitchでの同時視聴者数はベータテスト初日の18万4000人をピークに下がり続け、発売日には少し浮上したものの、3年前に発売された『Fallout 4』のピーク視聴者数と比べて56パーセント下回る結果だったという。
そうした中、『Fallout: New Vegas』などの開発元として知られるObsidian Entertainmentの元デザイナーDavid Lockwood氏が、Redditにて本作への所感と共に改善案を投稿しコミュニティからの注目を集めている。Lockwood氏は『Fallout』シリーズのファンで、本作についても基本的には気に入っているとのことだが、提案は多岐にわたる。詳しくは該当ポストをご覧いただきたいが、まずサーバーがクラッシュした際は、失ったワークショップを復活できるよう10分程度は状況を保持しておくべきだとする。容量が少ないと不満の多いスタッシュについては、技術的な問題はさておき、クラフトやPerkカードにて拡張できれば良いのではないかとしている。
また、Perkカードのデッキを組めるようにするか、何か別のロードアウトシステムを提案。特にレベル50を超えて別のカードを試したくなったプレイヤーにとって便利だろうとしている。そのほか、食料や薬といったよく利用するものの管理のためにインベントリのタブを増やしたり、チーム単位で利用できるワークショップへのファストトラベル機能、いらないアイテムを誰かに簡単にプレゼントできるC.A.M.P.用の専用ボックス。またPerkカードにて通常のアーマーを強化し、パワーアーマーの重要性を維持したまま多様性を作ることなどを提案している。これに対して、ほかのRedditユーザーは同意を示したり、さらに提案を追加したりと議論が盛り上がっている状況だ。
Bethesdaは本作について、定期的な不具合の修正やアップデート、また新しいコンテンツやゲームシステムの実装を計画。ゲームのパフォーマンスと安定性や、スタッシュの容量増加など具体的な目標も提示しており、先日11月19日には数十GBもの大規模パッチを配信した(関連記事)。同社マーケティング担当幹部Pete Hines氏は、本作を永遠にサポートしていくと述べ、息の長い作品とする意欲を示している(Metro)。たとえ発売直後に低評価を受けたとしても、アップデートを重ねることで評価を覆した作品も存在するため、これからの同社の取り組みに期待したい。