米軍がeスポーツへの本格参入に意欲を見せる。『フォートナイト』や『Call of Duty』などのチームを結成し、大会出場計画も
米軍は新たな取り組みとして、eスポーツに本格参入する動きを見せている。海外メディアPC Gamerは、米軍は独自のeスポーツチームを立ち上げ、トーナメントなどへ出場する計画があると報じている。これは、軍隊というキャリアをより、多くの若いアメリカ人にアピールする狙いがあると見られる。
海外メディアStars And Stripesによれば、米陸軍は現在eスポーツプログラムへの参加者を募っており、現役の兵士のほかにも既に退役した元軍人も申請対象となっている(申請フォーム)。申請や大会参加などにおける経費は軍が負担するとのこと。実際の参加申請フォームには、現在プレイしているゲームタイトルを選択する項目が存在している。そこには『フォートナイト』や『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』、『コール オブ デューティー』、『鉄拳』、『リーグ・オブ・レジェンド』、『オーバーウォッチ』など、流行のeスポーツタイトルが名を連ねている。対人ゲームを好む方であれば、思わず反応してしまうのではないだろうか。
また、米軍内部でゲームのトーナメントを開催する動きも見られている。今年7月には『ストリートファイター 5』の大会が開催され、8名の現役兵士がゲームで激闘を繰り広げる様子がTwitchでライブストリーミングされた。なお、同大会の勝者は9月に実施されたゲームイベント「PAX West 2019」でグランドファイナルに進出している。さらに12月には『鉄拳 7』のトーナメントが開催される予定で、勝者は2019年1月に開催されるゲームイベント「PAX South 2019」に米軍代表として出場する権利が与えられるようだ。米軍で開催されるトーナメントは決して内部的なものに留まらず、優秀な成績を収めた軍人を積極的に大舞台に派遣するという。
実は随分と昔から、米軍とビデオゲームは密な関わりを持っている。Steamで配信されている『America’s Army: Proving Grounds』は、米陸軍を操作して戦う一人称シューティングゲームだ。米陸軍の広報予算を投じて開発された同作は、現実世界の兵士を募集する広報や新兵訓練を目的に、米陸軍が開発・運営をおこなっている。同作を掘り下げると、前身となる『America’s Army』は2002年に発表されており、既にリリースから15年以上が経過している。米軍は2000年当初からゲームを通して訓練や広報活動をおこなってきた歴史があるのだ。
現在、米陸軍は総規模を100万人以上に増やすといった目標を掲げており、今回報じられたeスポーツへの参入は新兵募集のための広報の一環と見られる。多くのゲーマーに軍隊としてのキャリアを歩むきっかけを与えることになるだろう。この宣伝がどれほど効果があるのかも、気になるところだ。米軍とゲーム業界の関係がより一層深まっていくのか、今後の動向にも注目していきたい。