Epic Games、『フォートナイト』のチートツール紹介・販売をYouTube上で行っていた配信者を著作権侵害で訴える
Epic Gamesが、YouTubeにて170万人以上のチャンネル登録者を抱えるゲーム配信者Golden ModzことBrandon Lucas氏と、彼のパートナーであるExcentricことColton Conter氏を著作権侵害(copyright infringement)で訴えたことが明らかとなった。
アメリカ合衆国連邦裁判所に提訴された訴状(TorrenFeakが入手したpdfファイル)によると、両被告がEpic Gamesが運営する人気のタイトル『フォートナイト バトルロイヤル』(以下、フォートナイト)の著作権保護されたコードを無断に書き換えるなどしてハッキング・不正行為をおこなったと主張。また、Brandon Lucas氏は自身のYouTubeアカウントにて、『フォートナイト』で精密なマウス操作をおこなわずとも敵プレイヤーに自動で照準を合わせる”AIMBOT”をはじめとしたチートツールを紹介する動画を投稿していた。さらには、それらの動画の視聴者を、チートツールを販売する自身のウェブサイトへ誘導して購入を促したとされている。
Brandon Lucas氏が運営する2つのウェブサイトでは、『フォートナイト』や『グランドセフトオート V』、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』、『SCUM』といった人気ゲームタイトルのチートツールが販売されていた。『フォートナイト』のAIMBOTを含んだチートツールは30日間版(54.99ドル)と永久版(299.99ドル)が販売されており、どちらかを選択して決済することで簡単に入手することが可能だったようだ。また、『フォートナイト』のプレイに必要なEpicアカウントの売買は利用規約違反にあたるが、同ウェブサイト上のメニューには「アカウントを販売する」という項目が存在していた。両被告は既に不正行為の疑いによって自身のアカウントがBANされていたため、異なるアカウントでチートツールを使用して『フォートナイト』をプレイする目的で、買い取りをおこなっていたと見られる。
『フォートナイト』はEpic Gamesの著作物であり、ゲームプログラムを構成するコードに関しても同社が著作権を保有している。被告らが行った不正にコードを書き換える行為はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の違反にあたる。また、チートツール紹介する動画をYouTube上にアップロードにて不特定多数のユーザーに助長したことや、利用規約違反にあたるアカウントの売買をおこなっていたことが非難されている。さらにEpic Gamesは、Brandon Lucas氏がチートツールを販売するウェブサイトを運営している理由を「個人の利益」のためであるとし、Epic Gamesや多くの『フォートナイト』コミュニティを犠牲にしていると付け加えた。
Golden ModzのYouTubeチャンネルにアップロードされた『フォートナイト』のチートツール紹介動画は、既にEpic Gamesの申し立てにより削除されている。筆者が確認した限りでは、両被告がYouTubeにアップロードしていたチートツール紹介動画には”AIMBOT”や”HACK”などチート使用をほのめかすタイトルが堂々と付けられていた。チートツールを紹介する映像は表沙汰で公開されることが少ないだけに、それらに興味を持った多くのユーザーが動画を視聴し、動画内の広告からチートツールを販売するウェブサイトに辿り着いたと予想される。現在、Epic GamesはYouTubeにいくつかの動画ファイルを引き渡すように要求している。一方、Brandon Lucas氏は「他のコンテンツ制作者もYouTubeに類似した動画をアップロードしていた」とし、無実を主張しているという。Epic Gamesは両被告に対し、損害賠償と裁判費用を支払うことで訴訟を取り下げるとしている。
Epic Gamesは、今月8日にアンチチートツール「Easy-Anti-Cheat」販売会社のKamuを買収(関連記事)し、チート問題の根本的な解決となり得る『フォートナイト』自体での不正行為への対策に乗り出しているように思える。しかし、Epic Gamesは昨年10月に公式サイトにて「チート対策が最優先事項」と声明を発表しつつも、それから1年が経った今も、対戦ゲームには切り離せないチート問題は、常にコミュニティ間で取り沙汰されている。同ジャンルでは『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』もリリース直後からチート対策を最重要課題のひとつとして挙げているように、バトルロイヤルゲームの直面する問題のひとつともいえる。さまざまな形でチートツールが蔓延する中、Epic Gamesが再び起こしたチート使用者に対する訴訟の動きは、悪質なユーザーの不正行為を抑止することはできるのだろうか。