『フォートナイト』の月間売上が『PUBG』を超えたとの報告。モバイル版も4日間で1.5億円と好調な滑り出し
調査会社SuperDataは3月21日、『フォートナイト』の月間売上が『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)を超えたとの調査結果を公開した。対象期間は2017年2月で、『PUBG』の1億300万ドル(約109億円)に対し『フォートナイト』が1億2600万ドル(約133億円)の売上を達成したという(PC・コンソールの合算)。
数字を見るにあたっては、『PUBG』は本体有料、『フォートナイト』は基本プレイ無料という違いがあることを考慮する必要があるだろう。2017年3月の早期アクセス入りから1年が経過している『PUBG』は、ゲーム本体の販売が主な収入源。課金要素として販売している有料ルートボックスの更新頻度は高くなく、週ごとに取得できる個数にも制限がかかっている。ゲーム本体の売上と現状の課金内容で右肩上がりを続けるには限界があり、上述したSuperDataによると正式リリースした2017年12月に売上のピークを迎えている。
「旬」は入れ替わる
一方、スキンアイテムの販売を収入源としている『フォートナイト』は2017年9月に配信されてから売上・人気とも上昇傾向にある。2018年2月には月間売上だけでなくTwitchの視聴者数においても『PUBG』の数字を抜いている。最近ではNinjaやMythといった新星のTwitch配信者が台頭し、3月にはそのNinjaが人気アーティストのDrakeと共に『フォートナイト』のストリーム配信を行った。その際に叩き出した同時視聴者数63万人という大記録は、The New York TimesやABC Newsといったゲーム業界外のメディアにも取り上げられている。
欧米国のマスメディアで「社会現象になっているゲーム」として紹介されるのは『PUBG』ではなく『フォートナイト』であり、今年に入り人気の絶頂期を迎えている。人気を計る指標とも言えるアダルトサイトでの検索回数も順調に増えており、Pornhubでは2017年9月から2018年3月にかけて同作の検索回数が834%も上昇していることが公表されている(Pornhub)。こちらも急激な伸びを見せたのは2018年に入ってから。「旬」なバトルロイヤルゲームは『PUBG』から『フォートナイト』に代替わりしている。こうした諸々の事情を加味すると、『フォートナイト』が『PUBG』の月間売上を抜くのは時間の問題だったと言えるだろう。
セレブやスポーツ選手にも愛される『フォートナイト』
『フォートナイト』はプレイヤー人口を増やしつつ、ゲームモードやスキンアイテムを高頻度で更新している。リテンションを意識した施策は『PUBG』よりも圧倒的に多く、それだけアイテムの販売機会も増える。本作の好成績を支えているのは、膨大な数のプレイヤーとEpic Gamesのフットワークの軽さ。ただ『PUBG』もゲーム内課金による収益拡大を模索しており、2018年のロードマップにはエモート機能や武器スキンの実装が含まれている(関連記事)。3月22日には『フォートナイト』のような期間限定イベントの実装も発表。先駆者である『PUBG』が後続作品の『フォートナイト』を参考にしつつあるように見受けられる。ここから『PUBG』が反撃を見せる可能性もありそうだ。
iOS版も好スタート、新たなライバルの登場も
招待受付が開始されたiOS版『フォートナイト』の売上も好調であり、配信開始からわずか4日で150万ドル(約1億5900万円)ものIAP(アプリ内課金)売上を達成(SensorTower)。これは同ジャンルの『荒野行動』が最初の4日間で記録した売上の25倍以上の数字である。また3月22日には米国のゲームアプリ売上ランキングにて『Candy Crush Saga』を抜く1位を記録している。
Fortnite has surpassed Candy Crush Saga to become the No. 1 grossing iPhone game on the U.S. App Store. Meanwhile, it's been overthrown at the top of the downloads chart by rival PUBG Mobile. https://t.co/QXgBSCub0o pic.twitter.com/sg0xADVuHg
— Sensor Tower (@SensorTower1) March 22, 2018
モバイルのバトルロイヤル市場はPC・コンソール以上の激戦区。3月19日には米国やカナダにてモバイル版『PUBG』の配信が開始されている(IAPは現在無効)。『荒野行動』『Rules of Survival』を手がけるNetEaseも、『FortCraft』という『フォートナイト』そっくりの作品を配信することで勝負を仕掛けている(現在ベータテスト中)。空飛ぶバスではなく空飛ぶタクシーで戦場に向かい、ツルハシではなくハンマーで採掘するなど違いはあるが、建築機能を特徴としている点は『フォートナイト』に類似している。モバイル版『フォートナイト』が現時点でiOS(iPhone 6S以上)のみに対応しているのに対し、『FortCraft』はiOS/Androidの双方でプレイできる。対応機種も多く、『フォートナイト』のスペックを満たしていないユーザを囲い込むチャンスはある。
PC・コンソール市場で勢いに乗る『フォートナイト』が、このままモバイル市場においても『PUBG』やNetEase作品を退けられるのか。また今後パワーバランスを揺るがすような新作が登場するのか。バトルロイヤルゲーム同士のパイの奪い合いからは今後も目が離せない。