
不穏メルヘン探索アドベンチャー『アリスインワンダーアンダーランド』には“全部手描き”のエリアが30種類以上。レトロゲームにミームに都市伝説に、原作・作画担当者が好きなものを詰めまくったらしい
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パブリッシャーの有限会社レジスタは4月7日、探索アドベンチャーゲーム『Alice in Wonder Underland -AIWU-(アリスインワンダーアンダーランド)』(以下、『AIWU』)を4月23日に発売することを発表した。対応プラットフォームはNintendo Switch/PC(Steam)。
『AIWU』は摩訶不思議な夢の世界を舞台とした探索アドベンチャーゲームだ。主人公はある日見知らぬ部屋で目覚めた少女アリス。アリスは何も知らぬまま、好奇心で部屋を飛び出してしまう。プレイヤーはアリスとなり、部屋の外に広がる未知の世界を冒険することとなる。舞台となる摩訶不思議な世界には、30種類以上にもおよぶエリアが存在。アリスはこの世界ではなぜか話すことができないが、手助けをしてくれる「黒ウサ」や世界の住人の助けを借りて、広大な世界を探索していくこととなる。
このたび弊誌は、『AIWU』の原作・作画を担当した小鳥遊すずめ氏にメールインタビューを実施。本作の制作経緯やこだわり、影響を受けた作品などについて、うかがった内容をお届けする。

──自己紹介をお願いします。
小鳥遊すずめ氏(以下、小鳥遊氏):
『AIWU』で原作・作画を担当した小鳥遊すずめと申します。普段はイラスト制作を中心に、動画制作やWEB制作にも携わっています。本作では8ビット音楽の作曲など、物語とビジュアルの両面から作品づくりを行っています。
──改めて、本作の紹介をお願いします。
小鳥遊氏:
『AIWU』は「探索」と「発見」を核にした探索アドベンチャーゲームです。構想に12年、開発に3年をかけ、私の創作の原点となるキャラ「アリス」を主人公に30以上のエリアと200を超えるシーンが織りなす、不思議で広大な世界を形にしました。
プレイヤーはアリスと共に「発見」を重ね、「探求」を進めることで、その先にある世界の謎の「究明」へ向かいます。長い時間をかけて積み重ねてきた世界だからこそ、奇妙な出会いや違和感に意味があり、どこか懐かしく、それでいて新しい体験として味わえる作品になっています。

──本作は小鳥遊さんとYMCATとの共同制作となっています。小鳥遊さんは「原作・作画」という立ち位置ですが、制作においてはどのような作業に携わったのですか?
小鳥遊氏:
世界観の構築とマップやキャラクター、イベントなどの設計を担当していました。マップを描いて、YMCATに実装していただくかたちで、実際に歩けるエリアを構築しました。歩けるエリアを作ってから、イベントやキャラ素材などを追加し、段階的に完成させる流れです。
私にとっては初のゲーム開発で、制作フローや仕様書も独自の形式になってしまって、結果的に実装面で難しい部分も多く、開発の方々にはご迷惑おかけしてしまいました。ですが、YMCATの迎霧狼慢さんが「小鳥遊さんのやりたいように」と支えてくださって、自分の理想とする世界をそのまま形にすることができました。この自由度の高さが本作の個性や独特の空気感につながっています。本当に感謝です!
──実装部分はYMCATにお任せする感じで、はっきりと分担がわかれていたんですね。どういった流れでYMCATと制作をともにすることになったのでしょうか。本作が作られるまでの経緯を教えてください。
小鳥遊氏:
キッカケはX(旧Twitter)で、YMCATの迎霧狼慢さんから「ゲーム化しませんか」とお声かけいただいたのが始まりでした。元々私はレトロゲームが好きで、ゲームのエッセイを描いたり、過去にツクール制作で挫折したりした経験もあって、「いつかは自分でもゲームを作りたい」と考えていたんです。そんななかでいただいたこのお話は自分にとって大きな転機で、「全力で形にしよう」と思いました。
そこから、アリスの原案漫画をブラッシュアップし、企画と素材を元に試作を実装いただいて、実際に動くようにしたものをパブリッシャーの方に見ていただいたところ「面白い」と評価していただけました。本格的な開発へと進んでいったのはそこからです。

3年かけて描ききった、「子供の頃の探検遊び」
──本作はキュートでありながらもダークなエッセンスが光ったり、探索アドベンチャーゲームでありながら本格的なミニゲームが遊べたりと様々な要素が入り込んでいます。ここまで様々な要素が入っている本作を、どのように構築していったのでしょうか。
小鳥遊氏:
『AIWU』では原案である漫画の物語をベースに、ワクワクする要素を重ねるかたちで世界を構築しています。軸にしたのは「子供の頃の探検遊び」の感覚です。鍵のかかった部屋の前で「中には何があるんだろう」と想像が膨らんでいく。実際には何もないかもしれないのに「もしかしたら何かいるかもしれない」と感じてしまう、子供の独特の感覚です。『AIWU』では、その“想像していたモノが本当に存在する世界”を原体験とリンクさせています。
そのうえで、オカルト・都市伝説・ミームなどの要素をエリアごとに組み合わせているため、一見すると雑多でカオスな印象を受けるかもしれません。ですが、実際にはすべてが一本の流れに繋がっており、プレイヤーが進めることで徐々に構造が見え、「究明」へと辿り着くよう設計されています。
──『AIWU』はオカルトから都市伝説まで、さまざまな要素を取り入れていますよね。本作の制作にあたって、影響を受けたり参考にしたりしたものはありますか?
小鳥遊氏:
本作は『ゆめにっき』と『moon』に強い影響を受けています。この2作品の空気感や体験、自分が楽しいと思った要素を研究し再解釈をしています。その上でレトロゲーム全般や「ねじ式」のようなガロ系漫画作品、レトロフューチャー文化、更にはネットミームや廃墟探索まで、私の好きなカルチャーや気になる要素を詰め込みました。多様なカルチャーを混ぜることが、懐かしさの中の得体の知れない違和感に寄与しているのではないかと思います。もう一つの楽しみ方で元ネタやモチーフ探しをすれば、より深くこの世界を楽しめると思います。
──ジャンルもさまざまな30種類以上のエリアを組み合わせるのは大変だったと思います。特に工夫したり、調整に苦労したりしたところはありますか。
小鳥遊氏:
自由度の高さが本作の特徴ですが、エリアの広さには試行錯誤しました。狭いと物足りず、逆に広いと単調になってしまう。今のエリアの広さは「意味のある広さ」になっているかと思います。
マップやキャラクター、イベントなど画面に映るものはすべて手描きなので、とにかく描く量が多いのが一番の苦労でした。素材は一人で描いている事もあり、完成までに3年かかりました。シナリオの方はといえば、原案漫画を描いていたときから考えていたからか、意外とスムーズにアイデアが出ましたね。制作中は画力の向上、動画や音楽など新しい表現にも挑戦できたので、充実した3年間でした。

“受動的”な漫画と、“能動的”なゲームの違い
──本作の制作において、軸にしたことはありますか。
小鳥遊氏:
特に意識したのは「スプラッターに頼らない、可愛くて不思議な世界の探索」と「自由に探索できる体験」です。これは、最初に掲げた企画コンセプトでもあります。直接的な描写は抑えて、どこか不穏でありながらも日常の中に紛れ込んだ非日常のような「あれ?何かが変だな」と感じる違和感を大事にしました。
──『AIWU』の原案は漫画ですよね。ゲーム化にするにあたって、表現媒体の違いを感じたことはありましたか。
小鳥遊氏:
制作にあたっては、「受動的に読む漫画」と「能動的に体験するゲーム」の違いを意識しました。漫画は基本的に一本道ですが、ゲームには十人十色の遊び方があります。「これは何?」と思った場所へ、自分の意思で進んで、疑問の内容を確かめる事が出来ます。この“発見を自分で掴む感覚”は、ゲームならではの素敵な体験です。
なので、本作は探索の自由度を重視し、気になった場所を自分で確かめに行ける構造にしています。「衣装」の能力や見た目の変化、「図鑑」収集の要素も、プレイヤーが「進むにはどうしたら?」「これはなんだろう?」と能動的に関わる事で、より世界に没入させるような設計になっています。ほかにも音や動きなど、演出面でも漫画とゲームではできることがまったく違います。突然現れて驚かせるなどゲームでしかできない演出をして、本作のテーマである「発見」が印象に残るように工夫しています。

レトロゲーム世代には懐かしく、若い世代には新鮮に
──『AIWU』はレトロゲーム風ですが、けして古臭くない現代的な魅力も秘めていると感じます。小鳥遊さんは、本作をどういったプレイヤーに遊んでほしいですか?
小鳥遊氏:
一番はレトロゲームや昔の文化が好きな方々です。当時に触れてきた世代の方には「懐かしさ」とともに、“あの頃の感覚”を追体験できる作品になっていると思います。ですが、逆にレトロを“新しいモノ”として楽しむ若い世代の方にも、この独特な世界観は新鮮だと思います。懐かしさを知る方には「共感」を、知らない方には「新しい体験」として届く設計にしています。
本作は「発見」や「違和感」を楽しむゲームなので、プレイする人それぞれの体験があり、ゲーム実況や配信とも相性が良いと思っています。裏テーマの考察、元ネタ探しなども含め、そういった方向でも新たな楽しい体験が広がってくれたらとても嬉しく思います。また、ビジュアル面やイラスト、可愛らしい見た目から興味を持って頂いた方にもその奥の不思議な空気を感じて楽しんで頂けたらより嬉しく思います。
──本作の独特の空気感を演出するにあたって、小鳥遊さんが「ここにこだわった!」と言えるポイントはありますか?
小鳥遊氏:
昭和やレトロゲームのエリアです。実は私自身はレトロゲーム世代ではないのですが、兄や姉の影響で80年代の文化に触れ、好きになりました。特有の空気感や細部の再現を意識し、当時のゲームの表現も出来る限り近づけたことで“当時の追体験”を味わえます。
本作では「発見」のほかに、「懐かしさ」も重要な要素となっています。懐かしい安心感の中に違和感が入ることで「心地良さ」と「不穏さ」のアンビバレンツが生まれ、子供の頃の奇妙な思い出のような、変な感覚を呼び醒ましてくれるのでは?と考えています。
また、開発陣の力が強く重なったエピソードとして、当初インストで収録する予定だった楽曲を、音楽担当のikeさんのアイデアで歌入りにしたことが挙げられますね。完成度の高い昭和歌謡調の怪しさが付与され、独特の空気感になりました!このエリアはYMCATの迎霧狼慢さんにも随所で“らしさ”のある演出を加えていただいたので、絵・音楽・演出が一体となった、とても奇妙で完成度の高いエリアで大好きです。

──最後に、本作に興味を持った読者に向けてメッセージをお願いします。
小鳥遊氏:
色々とお話しさせて頂きましたが、本作の軸にあるのは「子供の頃の探検ごっこ」です!難しい事は考えずに、気の向くままに「発見」や「違和感」を楽しみながら探索して、どこか懐かしくて少し不思議な体験を味わって貰えたら嬉しく思います。また、本作にはもう一つ、明確には語っていない裏のテーマも仕込んでいます。考察も含めて楽しんで頂けたら嬉しいです。
── ありがとうございました。
『Alice in Wonder Underland -AIWU-(アリスインワンダーアンダーランド)』はNintendo Switch/PC(Steam)向けに、2026年4月23日発売予定だ。価格はNintendo Switch版が2480円(税込)、PC(Steam)版が2300円(税込)。なお、いずれのプラットフォームでも本作を20%オフで購入できるセールを実施予定だ。
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