任天堂の“サブキャラ召喚バトル系特許”、米特許庁に再審査され拒絶される。最終判断ではないものの、「特許性がない」として細かく指摘

米国特許商標庁(USPTO)によって昨年11月より再審査がおこなわれていた任天堂および株式会社ポケモンの特許について、同庁により非最終判断として拒絶されたことが明らかとなった。

任天堂が2025年9月に米国にて取得したものの、米国特許商標庁(USPTO)によって11月に再審査がおこなわれていた特許US 12,403,397号B2について、同庁により非最終判断として拒絶されたことが明らかとなった。いちど取得された特許が、再審査を経て一転して拒絶に至ったかたちだ。なお最終拒絶ではないため、任天堂は反論や補正をおこなう余地がある。

今回拒絶された特許は、2022年の日本出願に基づく優先権で、2023年に米国で出願。2025年9月に特許US 12,403,397号B2(以下、397特許)として取得された。日本においては2024年に特許第7482585号として取得されている。

397特許については米国での登録時、games frayPC Gamerなどさまざまな海外メディアが請求範囲が広すぎる、つまり多数の作品のシステムが本特許に抵触しうるのではないかといった懸念を示し、波紋を広げていた。本特許はフィールド上のメインキャラを操作しつつ、サブキャラをフィールド上に出現させ、戦闘をおこなわせるといったシステムに関する特許だ。2種類の操作モードが定義されており、第1のモードではサブキャラの出現位置に敵がいる場合は手動操作でサブキャラと敵との戦闘を制御し、敵がいない場合はサブキャラは自動で移動。第2のモードではサブキャラを所定の方向に移動させる制御をおこない、指定の位置に敵がいれば、戦闘が自動的に進行するといった内容であった。

なお397特許には権利者として任天堂と株式会社ポケモン、かつ発明者(Inventor)として『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のディレクター大森滋氏の名前も記載されている。おそらく同作における「レッツゴー」を用いた「おまかせバトル」に関連する特許だと思われる。

397特許は先述したように2025年9月にいちど取得されたものの、同年11月にUSPTO長官職権による命令書に基づいて、同庁が単独で再審査を開始(関連記事)。特許権者である任天堂および株式会社ポケモンは応答期間である2か月の間に陳述書を提出することができたものの、提出されなかったことで再審査が進行し、このたび非最終判断(non-final action)として拒絶されたことが明らかとなった

USPTOが公開した文書は104ページにおよび、4つの先行技術に基づいて、397特許には特許性が認められないと指摘されている。先行技術として示されたのは米国における任天堂の特許2020/0254335号A1および2022/0062760号A1のほか、コナミデジタルエンタテインメントの特許2002/0119811号A1、バンダイナムコエンターテインメントの特許2020/0086216号A1だ。これらの先行技術の存在を踏まえて、同様の技術分野における通常の技術を有する者にとって自明であった場合には特許を受けることはできないとし、397特許の請求項1項から26項までの特許性について、詳細な拒絶理由が述べられている。

米国においてはこれまで、いちど付与された特許がその後の手続きで高い割合で無効になる状況があり、そうした点への批判を受けてUSPTOの長官John Squires氏は特許を“生まれながらに強い(born strong)”ものにしていくといった方針を繰り返し強調してきた。今回の397号特許はすでに認可されていた特許だが、2025年9月にSquires氏が長官に就任する直前に取得された特許であり、同氏の方針の一環としてUSPTOによる再審査が行われた可能性はありそうだ。ただ先述したとおり今回の拒絶は非最終判断であり、任天堂は反論や補正をおこなう余地がある。今後同社がどのような動きを見せるかは注目されるところだろう。

ちなみに任天堂および株式会社ポケモンは2024年9月、ポケットペアが手がける『パルワールド』が複数の特許を侵害しているとして、東京地方裁判所でポケットペアを相手取る訴訟を提起(関連記事)。ただしあくまで日本国内での訴訟であり、現時点で米国では提訴されていない。また争点となっているのは「特許第7545191号・特許第7493117号・特許第7528390号」の3つの特許だ。今回拒絶された397号は先述したとおり日本においては特許第7482585号であり、同訴訟において争点となっている特許ではない点には留意したい。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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