“インディーかどうか議論”のあったヒット作『Expedition 33』販売元のボス、「今はインディーの定義がますます曖昧」とコメント。でもそれでいい
『Clair Obscur: Expedition 33』のパブリッシャーであるKepler InteractiveのCEOが、BBCのインタビューに回答。現代における“インディーゲーム”の定義があいまいになっていると見解を述べた。

『Clair Obscur: Expedition 33』のパブリッシャーであるKepler InteractiveのCEOがインタビューの中で、インディーゲームの定義についての見解を述べて注目を集めている。同作は昨年から今年にかけてのゲームアワードでインディー部門も含む多数の賞を勝ち取ってきたものの、“インディーゲームかどうか”を巡っては一部ユーザー間で議論も生じていた。
『Clair Obscur: Expedition 33』は、2025年4月24日に発売されたターン制RPGだ。パリィなどのアクション制が取り入れられた戦闘システムのほか、フランス風の要素を取り入れた世界観・アートワークやUnreal Engine 5による美麗なグラフィックなどから高い評価を獲得。約30名の新興スタジオSandfall Interactiveがコアチームとなって開発されていることでも話題となった。

本作はThe Game Awards 2025のGame of the Yearをはじめ数々のゲームアワードを受賞。海外フォーラムResetEraにて例年おこなわれてきた、ゲームアワードにおけるGOTY受賞数の独自集計においては、歴代1位を飾っていた(関連記事)。
なお本作はたとえばThe Game Awards 2025にて「Best Debut Indie Game」および「Best Independent Game」部門で受賞を果たしたほか、各種アワードでインディーゲーム向けの部門でもノミネート・受賞していた。ただ本作が“インディーゲームかどうか”を巡ってはユーザー間で議論も発生していた(関連記事)。
というのも本作は先述したとおり独立系の小規模スタジオが開発しているものの、パブリッシャーをKepler Interactiveが務め、外部のスタジオの開発協力を受けていたことも公言されている。またSandfall Interactiveは過去にスタジオについて「インディー精神をもつ小さなチーム」と表現していたことはあるものの、スタジオCEO兼本作のクリエイティブディレクターであるGuillaume Broche氏は、発売後の弊誌のインタビューなどで『Clair Obscur: Expedition 33』のような規模のゲームを「AAクラス」とも伝えていた(該当インタビュー記事)。そうした状況から、本作をインディー部門に選出した各種アワードの選出基準を疑問視するユーザーもいたわけだ。
このような背景もあってか、今回はKepler InteractiveのCEOであるAlexis Garavaryan氏がBBCのインタビューにて、インディーゲームの定義についての見解を訊かれている。同氏はまず、そもそもゲームをカテゴリー分けすることは簡単なことではないと前置き。ゲームをプレイして得られる体験には“グラデーション”があるからだという。ジャンルを分けるにしても、境目のあいまいな体験に基づくことになるということだろう(関連記事)。
そしてAlexis氏は、ゲームの品質においては小規模スタジオからも非常に高品質なゲームが開発されるようになったことに言及し、『Clair Obscur: Expedition 33』を一例として挙げている。その結果として「インディーと非インディー」の境界も混ざりあい、あいまいになっているとの見解を述べた。
ただAlexis氏としては、そうしたラベル付けはあまり重要ではないと考えているとのこと。むしろ、小規模チームでも数百人規模のチームが手がける作品に匹敵するようなゲームを制作できるようになった点に注目しているそうだ。つまりこれまでインディーに分類されていたような開発体制でも、リソース以上の開発ができるようになったとポジティブに捉えているのだろう。

またAlexis氏はインタビューの中で、業界における大規模開発のいわゆるAAAゲームの在り方も変化しているとの考えを述べている。同氏は、かねてよりゲームにおける視覚的なクオリティの高さが大手メーカーから重要視されてきたものの、近年のプレイヤーはビジュアルの精細さを以前よりも重視していないと考えていることを説明。何時間遊べるかといったボリュームや体験の規模感もこれまでよりも重要ではなくなっており、「どれだけ新しいか」「どれだけ新しい体験か」といった点が重要になっているとの見解を伝えた。
価格についても大手では頻繁な引き上げがおこなわれているとし、Kepler Interactiveでは逆に「本来設定されるべき価格」よりも低い価格にあえて決めているとのこと。プレイヤーがお金と時間を尊重されていると感じることで、お得感を高める狙いがあるそうだ。従来のAAAゲーム1本分の値段で、5~6本の異なるゲーム体験を遊べるようになってほしいという思いもあるという。
インディー・非インディーの分類についての議論はかねてより巻き起こってきた(関連記事)。昨今ではさまざまなタイプ・規模感のゲームが登場しており、またインディー(独立系)スタジオであっても大手パブリッシャーの支援を受けて開発される作品もある。Unreal Engine 5といったゲームエンジンの進化や普及により開発体制も変容を見せており、少数のコアチームが既存の要素のブラッシュアップやローカライズ面で外部スタジオの手も借りながら制作されたという『Clair Obscur: Expedition 33』はその好例だろう。

そうした中では「インディーか非インディーか」という厳密な分類がますます難しくなっているようだ。従来はインディーという分類により、開発資金やマーケティング予算が乏しい環境で活動する小規模スタジオの作品にスポットが当たりやすくなる側面もあった。今後も業界の実態が変化する中では、各種アワードなどにおいてインディーに代わるような新たなカテゴリーが求められていくかもしれない。
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