『The Elder Scrolls VI』は次世代ゲームエンジン「Creation Engine 3」で開発中と、ディレクターが明かす。“課題”もあったベセスダ内製エンジン、さらなる進化へ
Bethesda Game Studiosが開発中の『The Elder Scrolls VI』では、改良を重ねた「Creation Engine 3」が用いられているそうだ。

Bethesda Game Studios(以下、Bethesda)の手がける作品には長らく内製エンジンの「Creation Engine」が採用されており、2023年に発売された『Starfield』ではその改良版である「Creation Engine 2」が使われている。しかし現在開発中の『The Elder Scrolls VI』では、さらに改良を重ねた「Creation Engine 3」が用いられているそうだ。

『The Elder Scrolls VI』でディレクターを務めるTodd Howard氏が2月19日、YouTubeチャンネルKinda Funny Gamesに出演。同配信にて、Howard氏は『The Elder Scrolls VI』はCreation Engine 3で開発されていることを明かした。同氏によるとここ数年は、『Starfield』で使われたCreation Engine 2を『The Elder Scrolls VI』およびさらなる次回作に向けてアップグレードすることに尽力していたそうだ。同スタジオは新エンジンにとても満足しているという。
Creation EngineはGamebryoをもとにした、Bethesdaの内製エンジンだ。一部技術はNVIDIA社の協力も受けながら開発され、『The Elder Scrolls V』で用いられて以降、Bethesdaの開発する作品で継続して採用されている。なお2023年に発売された『Starfield』では、同エンジンの発展版であるCreation Engine 2が使用された。ちなみに同作の開発にあたっては、NVIDIAのライバルともいえる、AMDとの提携がおこなわれていた(関連記事)。
今回のインタビューでは、同社がCreation Engine 3と呼ばれる新エンジンを扱っていることがはじめて明かされたかたち。2021年の時点では、Howard氏は『Starfield』と『The Elder Scrolls VI』は同じエンジンで開発を進めていると説明していたため(GameRant)、長期にわたる開発の間でCreation Engine 2にアップデートが施され、次世代エンジンであるCreation Engine 3へと進化したことがうかがえる。

なお従来のCreation Engineについては“課題”が指摘されたこともあった。たとえば、『Fallout 4』をベースにした大型Mod「Fallout: London」の開発者が同エンジンが時代遅れになりかけているとの見解を伝えていたことがある。エンジン側の制約により、Modを制作するにあたって多くの限界があったそうだ。特に、ロード画面の多さと最適化を課題にあげ、ゲームの雰囲気をとるか頻繁なロード画面を挟むかの選択を迫られた結果、あるエリアでは壁だらけのマップを提供せざるを得なかったことを語っている(Esports.net)。
同様の指摘は元Bethesdaの開発スタッフからも語られている。かつて『Starfield』の初期段階で開発を担当していたNate Purkeypile氏は海外メディアのインタビューで、発売された同作をプレイしてみて、開発当初よりも「エリア間のロード」が多くなっている都市があり驚いたとコメント。同氏もその原因をCreation Engine 2に見出しており、パフォーマンスを維持するためにエリアのロード分割が必要になったのだろうと推測していた(関連記事)。
このようにCreation Engineはロードの多さが課題のひとつとされてきた。なお『Starfield』は一定の人気は獲得しているものの賛否両論であり、ロード画面が頻繁に繰り返される点への不満が多くみられる。これらを背景に、次回作では新たなゲームエンジンへの乗り換えがユーザーからも望まれていたという状況がある。

とはいえそうした意見について、Bethesdaのベテラン開発スタッフであったBruce Nesmith氏は、エンジン切り替えによって生じる混乱を理由にCreation Engineを使い続けるスタジオ方針を擁護している。同氏は、Creation Engineは数十年もの間、Bethesdaの目的に合わせて改良され続けてきており、エンジン変更よりもこのまま使い続けるほうが賢明だと説明。仮にUnreal Engineに変更したとしてもそのメリットが表れるのは“2本先のタイトル”だろうと語った。つまり少なくとも同スタジオにとっては、ゲームエンジンの変更は短期的にはデメリットしかもたらさないという考えなのだろう。また、もし現時点でUnreal Engineにしかできないことあったとしても、Creation Engineにそうした機能を導入する方が手っ取り早いようだ(PC Gamer)。
この度のHoward氏の発言には、上述したような議論に答える意図もあったのかもしれない。同氏はCreation Engine 3の出来栄えを褒めつつも、ワールドシステムのローディング方法や、ワールドにどうオブジェクトを持ち込むのか、またいかに素早くカメラ前のディティールを描画するかといったエンジンの改善に取り組んでいると説明。プレイヤーが本当に望んでいるゲームスタイルに至るには、まだまだイノベーションの余地があると語った。エンジンを変更するメリットよりも、Creation Engineを改修してアップデートし続ける方針が示された格好だ。
ちなみに内製ゲームエンジンからUnreal Engine 5への乗り換えをおこなったスタジオとしては、『ウィッチャー4』を手がけているCD PROJEKT REDが代表的だろう。同スタジオはEpic Gamesとの提携のもとでエンジンを拡張していることを伝えている(関連記事)。内製ゲームエンジンのまま開発し続けるか、汎用ゲームエンジンに乗り換えるかは各社で方針が異なるわけだ。
なお『The Elder Scrolls VI』は2018年にティザー発表されてから長期にわたって開発が続けられているが、現時点でも当時のティザー映像以外の情報は明らかになっていない(関連記事)。汎用ゲームエンジンには経験者を採用しやすいことなども含めてさまざまな利点はあるものの、同スタジオにとってゲームエンジンの変更は、開発の長期化も大きなデメリットとなりうるのだろう。次世代とされるCreation Engine 3では過去に指摘されてきたエンジンへの不満点を払拭できるのかも含めて注目が集まるところだ。
『The Elder Scrolls VI』は現在開発中。対応プラットフォームは未定。
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