“サブスク有料配布”され続けていた『サイバーパンク2077』非公式VR化Mod、公式に削除される。がっつりガイドライン違反、しかし作者は不満声明

『サイバーパンク2077』の非公式「VR Mod」に対して、DMCAに基づく削除申請がおこなわれたという。

サイバーパンク2077』の非公式「VR Mod」に対して、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請がおこなわれたという。開発者のLuke Ross氏がCD Projektへの異議とともに明かした。

Luke Ross氏は、VRを用いた一人称視点でのプレイを可能にする「R.E.A.L. VR mod」を手がけるMod開発者だ。同Modの対応タイトルは、『エルデンリング』や『バイオハザード』シリーズ、『ファークライ』シリーズなどをはじめ、40本以上にも上るという。支援サイトPatreonにおいて月10ドルのメンバーシップ制で配布されており、同氏は日本円で月に2万ドル(約316万円)以上を稼いでいるとも言われている。

Ross氏は1月18日にPatreonにて、『サイバーパンク2077』を手がけるCD Projektによって同作のVR Modの削除を求めるDMCA申請がおこなわれたことを発表した。同氏によれば、法務部のほか事業開発部のバイスプレジデントがやりとりに応じてくれたそうだが、譲歩はなかった様子だ。

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同氏のModを巡っては2022年7月に、『グランド・セフト・オートV』『レッド・デッド・リデンプション2』『マフィア II コンプリート・エディション』のVR Modが、それらの作品の販売元親会社であるTake-Two InteractiveからDMCA申請を受けていた。同氏はこの際、ゲームのアセットやIPをModに使用しておらず、また対応ゲームを自らの作品であるかのように改変することもしていないとして、著作権侵害にはあたらないと主張していた(関連記事)。

そしてRoss氏は今回も同様の主張をおこなっている。CD Projektの知的財産は利用しておらず、あくまでも提供しているのはゲームをVRでプレイするためのシステムであると説明した。また同氏は、CD ProjektはVR Modがユーザーに楽しまれていたことを認識していないとし、同Modによって売上が増えたとの持論を述べつつ同社はそのことに感謝もしていないとの主張を展開。ゲームのアップデートに対応させるために過去4年間にわたって開発を続けてきたのにも関わらず、今更“有料Modの存在”を報告されて削除するのは、単なる「knee-jerk reacting(反射的行動)」であるとの批判を述べている。

Image Credit: Cas and Chary XR on YouTube

なおそもそもCD Projektは同社のゲームを商用目的で利用することをファンコンテンツガイドラインにて禁じており、ファンコンテンツの利用者にお金を払わせたり、いわゆるペイウォールを設けたりすることを認めていない。オーバーレイソフトウェアなど同社のゲームと並行して動作するソフトウェアについてもガイドライン上にファンコンテンツとして例示されており、今回のRoss氏の『サイバーパンク2077』のVR Modは、そうしたガイドラインに違反しているといえる。

とはいえCD Projektはガイドラインにおいて、Mod開発者がユーザーから妥当な寄付金を受け取ることは認めている。また同社は、『サイバーパンク2077』のほか、『ウィッチャー3 ワイルドハント』においてもコミュニティModをアップデートにて公式採用するなど、Modに寛容な姿勢をとっていることでも知られる。あくまでModを利用するためにユーザーが料金を支払う必要がある状況が問題視されたわけだろう。

Modの開発や導入については、作品やメーカーによって受け入れ/共存への方針に違いもあるなかで、今回争点となっているのは、Modの利用に収益が発生しているという部分のようだ。収益化がガイドラインで禁じられている以上は、VR Modのようにシステムを改変するに留まるModとはいえ、有料での販売は許されないだろう。

なおMod開発者に向けては、CD Projektのようにユーザーからの寄付を認めるケースのほか、Bethesda Softworksの「Creation Club」のように公式が収益化への導線を用意する事例もみられる。Mod開発については、かつてのような“ボランティア”でのファン活動から少しずつ多様化を見せている。

とはいえModにおいては、たとえば別の作品の知的財産権を侵害するコンテンツが制作されるケースもある。前述した「Creation Club」のように、収益化にあたっては公式による管理が不可欠だろう。今回の事例も見るに、Modの内容に関わらず“有料Mod”が認められるかどうかは公式の方針やガイドライン次第であることがうかがえる。

なお同氏は今回の発表の中で、次は『バルダーズ・ゲート3』のVR Modを制作することを示唆している。従来通りであれば、こちらも同じくPatreonのサブスクリプションを通して配布される有料のModとなるのだろう。ちなみに、『バルダーズ・ゲート3』の開発元であるLarian StudiosのCEO・Swen Vincke氏は過去のインタビューにて、ファンが作るModを積極的に奨励したいという姿勢を示す一方で、商用利用されるとなると話は別であり、議論が必要だという見解を明らかにしていた。もし同作のVR Modがリリースされるとするならば、Larian Studiosがどのような対応を取るのかは注目される。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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