クラファンで5000万円集めた上級騎士なるにぃ氏のゲーム『誓いノ淵』、突如ディレクター離脱で“開発者不在”に。開発状況さえ確認不能

考察系YouTuberである上級騎士なるにぃ氏によるプロジェクト『誓いノ淵』の開発が難航を見せている。

考察系YouTuberである上級騎士なるにぃ氏(以下、なるにぃ氏)によって2023年にクラウドファンディングを行われ約5000万円を集めた『誓いノ淵』の開発が難航を見せている。同氏が2025年12月31日にYouTubeで公開した報告動画によると、主要メンバーとなるディレクターが離脱し、現在はゲームプロジェクトを開くこともままならない状態だという。暗礁に乗り上げた人気YouTuberのゲーム開発に注目が集まっている。

なるにぃ氏は、おもに『ダークソウル』などを題材にゲームの考察を行っているYouTuberだ。ゲームのプレイ動画に合わせて、その作品の世界観やストーリーをなるにぃ氏が独自の視点から解説を行うスタイルで動画投稿を続けている。独創的な解釈と語り口が人気を集め、記事執筆時点では、YouTubeチャンネルの登録者数は61万人におよび、動画総再生回数は2億3000万回を超える。

そのなるにぃ氏が「ゲーム歴史に残る作品を作りたい」とゲーム開発を宣言し、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で資金援助を募った作品が、『誓いノ淵』だ。2023年2月10日に募集を開始し、わずか4日で目標金額の3000万円を突破。最終的に5000万円を超える支援金を集めた。

『誓いノ淵』はダークファンタジー風の2Dハクスラゲーム。土地育成をゲームのコンセプトとしており、建物を建造し畑を育て、土地を育てつつ、本拠地に攻めてこようとする敵からサバイブしていくゲームだという。最終的には「最果ての理想郷」に到達するのが目的となる。

開発メンバーには錚々たる名前が並び、『Demon’s Souls』や『DARK SOULS』などでサウンドを手がけたTECHNOuchiこと竹ノ内裕治氏、『DARK SOULS』シリーズや『テイルズ』シリーズの作曲で知られる桜庭統氏、さらに『DARK SOULS』や『NieR』シリーズで歌手として参加しているEmi Evans氏もメンバーに加わるなど、とくに音楽面では豪華な座組となっているのが確認できる。

そんな本作のシナリオを担当するのが、なるにぃ氏本人だ。同氏が公開した動画によれば、なるにぃ氏は小説家になるのが幼い頃からの夢で、YouTuberとなったのも執筆活動の糧にするためだったという。そのため、ゲームを通じて自身の物語をプレイヤーに届けるのはまさに悲願なのだそうだ。

ところが2024年5月には、当初予定していた6月にはゲーム完成が間に合わないことを動画で報告。以降は開発の進捗が細かく語られることはなく、2025年はYouTubeへの投稿動画がわずか3本と、ゲーム開発に注力していた状況がうかがえる。そんな中、同氏は25年12月31日に『誓いノ淵』の現状について報告する動画を公開。動画では、トレードマークである兜を脱ぎ捨て、同作品の危機的な進捗状況を素顔で赤裸々に語った。

まず、なるにぃ氏は本作のディレクターでありプログラマーでもあるゴブロー氏がプロジェクトから離脱したことを報告した。ゲームシステムの考案、実装はゴブロー氏が行っており、なるにぃ氏はゴブロー氏が離脱した状況を「太平洋のど真ん中で船長が消えて料理長1人残されたような状態」と表現。現在は10GBほどの開発データが残されているが、なるにぃ氏ではUnityのプロジェクトを開くことが出来ず、「6割ほどシステムは完成」とは聞いているものの、確認することも叶わない状態だという。

なお、なるにぃ氏はゴブロー氏の離脱について自身により解任したことを説明している。なるにぃ氏は過去に、自身の細かい質問によってゴブロー氏との間に大きな摩擦を生じさせたとして、以降は現場に「一切口出ししない」という方針を取っていたのだという。しかし長期にわたり動くビルドや具体的な成果物を確認できない状態が続いたため、支援者への説明責任を果たせないと判断した結果とのこと。進捗を確認する手段がなく、ゴブロー氏を信頼できなくなったため解任に至ったという。とはいえなるにぃ氏はすべての責任は同氏自身にあるとしており、ゴブロー氏を批判しないように呼び掛けている。

プロジェクトの今後について、なるにぃ氏によると、進捗の確認のためにもまずプロジェクトを確認できるディレクターの確保から始める必要があるとのこと。しかし、現状では協力者を見つけることは難しいのではないかと同氏は語る。そのため、「シナリオを公開」し、それが「クリエイター様の心に刺さ」ることで協力者を集められるのではないかと考えたそうで、今回の動画では約3時間にわたって、同作品の世界観とストーリーが説明された。

同氏によれば、クラウドファンディングで募った開発資金は約1000万円が残っているが、開発の進捗状態が確認できないため、この資金が足りているのかどうかは未知数であるという。また、予告した発売時期から延期が続いたことについては、クラウドファンディングの出資者に対し、返金も考えているそうだ。それと同時に、「資産家のパトロン」を探そうと思っていると報告。もし見つけられなかった場合は「力ずく」で資金を調達すると覚悟を宣言し、締めくくった。

近年ではインフルエンサー主導でゲーム開発がおこなわれる例も複数見られ、中には成功に至るケースもある。とはいえ今回の『誓いノ淵』では、開発担当者との軋轢により開発の進捗さえ確認できなくなったといい、プロジェクトが躓きを見せているようだ。窮地に立たされた『誓いノ淵』だが、はたしてこの危機を乗り越えることはできるのか、注目していきたい。なるにぃ氏は2026年1月1日~2月1日に期限を定め、ゲーム開発者およびアドバイザーを募集している。1月1日にCAMPFIREに投稿された活動報告によれば、すでに数件の問い合わせを受けている状況だという。

【UPDATE 2025/1/5 15:26】
なるにぃ氏は1月5日、匿名の2人に解析を依頼したとして、その結果を報告している。いずれも面識がない人物であり、先入観が挟まる余地のない解析結果とのこと。

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Kousetsu Taguchi
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