『バイオハザード』などいろいろ復刻販売するPCゲーム販売サイトGOGを、共同設立者が“個人で”買い取る。その額約40億円
CD Projekt Groupは12月29日、同社のゲーム配信プラットフォームGOG.comの株式の100%を、CD ProjektやGOGの共同設立者Michał Kiciński氏に売却した。

CD Projekt Groupは12月29日、同社のゲーム配信プラットフォームGOG.com(以下、GOG)の株式の100%を、CD ProjektやGOGの共同設立者Michał Kiciński氏に売却した。CD Projektが同社のHPにて発表した。
GOGはビデオゲーム及び映画のダウンロード配信プラットフォーム。特徴として、ゲームの文化保存の観点から、コピープロテクトであるデジタル著作権管理(DRM)を施さない配信を理念としている。GOGは2008年にポーランドのゲームスタジオCD Projektの子会社として設立、運営されてきた。CD Projektはグループ内のCD PROJEKT REDにて『ウィッチャー』シリーズや『サイバーパンク2077』を手がけたことで広く知られており、現在は『The Witcher IV』『Cyberpunk 2』の開発を行っている。
このたびは2025年12月29日に行われた株式売買によって、CD Projekt及びGOGの共同設立者Michał Kiciński氏にGOGの運営が完全に譲渡された形だ。
Michał Kicińsk氏はGOGの運営会社であるGOG sp. z o.o.の株式の100%を9070万PLN(約39億円)で取得した。なお、この資金に関して同氏のCD Projektの株式の売却は行われていないという。PCゲームプラットフォームを個人が買い取るという点で、珍しい取引といえる。なお今回の売却に際して、CD ProjektとGOGは、将来の協力関係を定めた販売契約を締結しており、これには今後のCD PROJEKT REDの新作タイトルをGOGで発売する計画が含まれるそうだ。
また新たなオーナーシップの下でも、GOGは独立した運営を行い、DRMフリーの理念に基づくゲーマーと開発者双方への支援を継続していくという。「CD ProjektとGOGは同じ理念と価値観を共有しています。つまり、自由、独立性、そして本物の所有感です」とMichał Kicińsk氏は語る。また、GOGは“レトロな精神”を持つ新たなゲームを迎える場所でもあると語り、同氏が個人的に関与していレトロな精神のある複数のゲームが2026年にGOGで配信されることを予告した。
GOGのFAQによると、Michał Kicińsk氏はGOGの理念を守りつつ、さらなる発展を目指すために、今回の買収に踏み切ったそうだ。PCゲーム市場は、強制されるクライアントや閉じたエコシステムに展開し続けており、GOGのアプローチはより重要になってきているとの考えも述べられている。同氏の目標はゲーマーと開発者の双方を支え続けると同時に、GOGの使命である「過去のクラシックゲームを保護し、今日の傑出したゲームを称え、未来のクラシックを形作ること」をより強固にすることだという。なお、今回の買収にあたって、GOGのユーザーアカウントおよびライブラリーには一切の影響はないと同社は説明している。

PCゲームの市場では依然としてSteamが圧倒的なシェア率を維持しているが、ゲームの自由な所有を掲げるGOGも存在感を増しているだろう。先日にはSteamやEpic Gamesストアで配信を禁じられたホラーゲーム『HORSES』に対し、GOGが予約受付などのサポートを実施していたことも記憶に新しい(関連記事)。一方で、過去には『還願 DEVOTION』の配信が取りやめられたり、また権利元の判断によって地域によって配信されない作品があったりと、理念と矛盾するようなケースも一部見受けられる。新たな体制でどのように発展を遂げていくのか、GOGの今後にも注目していきたい。
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