X(Twitter)、規約改定で「生成AIでの法律違反もユーザーの自己責任」と明文化へ。新AI機能「画像を編集」が波紋広げる中、来年1月発効予定

Xに実装された「画像を編集」ボタンが物議を醸すなか、先がけて発表されていた2026年1月15日より発効予定のサービス利用規約の改定に関しても注目が集まっている。

X(旧Twitter)にて12月24日、「画像を編集」ボタンが実装された。X上に投稿された画像を投稿者以外のユーザーも含めて生成AIによって編集し、そのままダウンロードしたり新たなポストに添付したりすることが可能な機能であり、悪用される可能性を巡って実装以来すぐさま物議を醸してきた。

そうした中ではX社が12月16日に発表した、2026年1月15日より発効予定のサービス利用規約の改定に関しても注目が集まっている。新たな規約ではさまざまな点が加筆されているものの、3条の「本サービス上のコンテンツ」においては、Xにて生成AIサービスを用いた場合のユーザーの責任について明確化される変更が加わっている。

現行の規約でもサービス利用規約は「ユーザーは、適用される法令や規則への遵守を含め、本サービスの利用および自身が提供するコンテンツに対して責任を負います。提供するコンテンツは、他の人たちと共有して差し支えのないものに限定してください。」との記載があり、サービスの利用や投稿したコンテンツについてはユーザーが責任を負うことが記載されてきた。一方で改定後の規約における対応する部分は以下の通り。

お客様は、本サービスの使用、および本サービスを通じて取得または作成された入力、プロンプト、出力、および/または情報を含む、お客様が提供、作成、またはその他の方法で利用するコンテンツ(そこに含まれる、または参照されるすべての内容を含みます)について責任を負います。第三者または当社の関連会社のサービスを含め、お客様またはお客様のコンテンツに適用されるすべての適用法、規則、ポリシー、および規制を遵守することは、お客様の責任です。他の人と共有してもよいコンテンツのみを提供、作成または生成する必要があります。

ユーザーが責任を負うコンテンツについて、「本サービスを通じて取得または作成された入力、プロンプト、出力、および/または情報を含む、お客様が提供、作成、またはその他の方法で利用するコンテンツ」と、生成AIによるコンテンツも含まれることが明文化されたかたちだ。「第三者または当社の関連会社のサービスを含め」とも記載されており、Xにおける生成AIモデルGrokを手がけるxAIなどが提供するサービスにおいても、ユーザーに適用法、規則、ポリシー、および規制を遵守することを求めることが明示されているといえるだろう。

また一方では、昨年の規約改定時に波紋を広げた「ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾」についての記載も変化(関連記事)。ユーザーが投稿するコンテンツについて、機械学習やAIモデルのトレーニングなどに利用する権利をX社が有すると説明されてきた部分だ。今回の改定ではユーザーがサービス上で作成したコンテンツについても同様の権利をX社が有することが加筆。こちらでも、生成AIサービスを用いて作成したコンテンツに従来のような規約が適用されることが強調されたかたち。

ちなみにユーザーの投稿するコンテンツが機械学習やAIモデルのトレーニングなどに利用される点については、設定にてオプトアウトも可能。ただしたとえばユーザーがゲーム内で撮影されたスクリーンショットをシェアする投稿など、不特定多数によって投稿されうるコンテンツについては権利者側でのコントロールが難しい側面もあることに懸念が寄せられていた。依然として、そうした構造的な懸念は残っているといえる。

なおこれまでにもXでは、AIによる画像生成サービス「Grok Imagine」が提供されてきた。同サービスのMake Video with Grok機能では、投稿された画像から動画を生成するといったことも可能。同機能ではすでに、実在の人物の写真から同意なく動画を生成するといった悪用例も見受けられる。

今回実装された「画像を編集」ボタンについても、Xに投稿した画像を不特定多数のユーザーが生成AIによって手軽に改変可能な機能であり、新たな懸念に繋がっているようだ。現時点では投稿した画像における「画像を編集」を禁止できる仕組みがないことからも、物議を醸している。そのため、たとえばアーティストがイラストに入れたウォーターマークが編集機能によって素早く消され、広まってしまうのではないかといった懸念も存在。これまでに投じたイラストをすべて削除すると表明するアーティストのほか、「画像を編集」を利用できないgif形式で画像を投稿するといった“対策”も呼びかけられている。

なお「画像を編集」はあくまでポストにおける添付画像自体を差し替えるものではなく、ユーザーが編集後にダウンロードしたり新たな別のポストに添付したりすることができる機能だ。そのためポストの画像を外部の生成AIサービスで加工する行為と性質としては大きく変わらないだろう。ただX上に投じられた画像を、不特定多数のユーザーがその場で編集できる導線が加わったことは、イラストや画像を投稿する際の強い懸念に繋がっているようだ。

Xでは先述したように生成AIサービスによるコンテンツが法令などに反する場合、あくまで利用したユーザーの自己責任として扱う方針を新たに明示している。こうした規約自体は別の生成AIサービスにおいても一般的ながら、手軽に利用可能かつ悪用の懸念もある生成AI機能を新たに提供するタイミングで、責任の所在をユーザー側に置く姿勢が強調された点には不信感をあらわにする声も見受けられる。突然の新機能の実装は波紋を広げており、Xの利用をやめて別のSNSに移行することを宣言するユーザーも散見される。批判的な意見も寄せられている「画像を編集」機能が、今後も同様の仕様で提供され続けるかどうかは注目されるところだろう。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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