メモリ品薄の影響受け、旧世代の中古CPU価格が高騰。DDR4メモリ対応の「Ryzen 7 5800X3D」など脚光浴びる

世界的な需要の増加により、PCのメモリの価格が高騰している。これを受けて、旧世代のあるCPUへの人気が高まっているようだ。

世界的な需要の増加により、PCのメモリの価格が高騰している。これを受けて、旧世代のあるCPUへの人気が高まっているようだ。海外メディアTom’s Hardwareが報じている。

昨今ではAI分野での需要急増により、世界的にメモリが品薄となっている。そのなかではたとえば米国の半導体大手Micronが「Crucial」ブランドとして展開していたコンシューマー向け事業から撤退することを発表(関連記事)。またSamsungやSK Hynixなどの競合大手は2027年上半期まで供給不足は続くとの見方を示しつつ、供給過剰に陥るリスクを避けるためにも増産への投資には消極的のようだ(Wccftech)。

こうしたメモリ価格高騰の影響を受けて、BTOのPCメーカー各社では想定を大きく上回る量の注文が寄せられているという。工場のひっ迫やパーツ不足が発生し、受注を一時停止する措置もとられている(関連記事)。

一方で、メモリ以外のPCパーツの中古市場でも現在興味深い動きが見られる。AMD製のCPU「Ryzen 7 5800X3D」が突如人気となり、価格が高騰しているようだ。Tom’s Hardwareによると、メーカー希望小売価格と同水準で推移していたところ、オークションサイトeBayでは最近平均500~600ドル(8~9万円前後)で取引されているといい、最大800ドル(12万円前後)近い価格で購入された例もあるとのこと。「Ryzen 7 5800X3D」はAMDの旧世代ソケット「AM4」に対応した、いわば型落ちのCPUではあるものの、2024年11月に発売された同ランク帯の最新CPU「Ryzen 7 9800X3D」よりも高値をつけている状況だ。

背景には、各パーツが対応するメモリ規格の違いが存在する。2025年現在、一般消費者向けPCのメインメモリとしては、おもにDDR4とDDR5の2種の規格が共存。CPUやマザーボードによって対応する規格は異なり、たとえばAMD CPUの場合、Ryzen 5000シリーズはDDR4メモリに対応する一方で、Ryzen 7000シリーズおよび現行世代のRyzen 9000シリーズではDDR5メモリが必要となる。

なおIntel CPUの場合では、使用するマザーボードによってさまざまだが、現行世代のCore Ultra 200シリーズはDDR5メモリにのみ対応している。最新のCPUを使ってPCを新調しようとする場合、DDR4メモリは使用できず、新たにDDR5メモリを購入する必要があるわけだ。そのため、メモリが高騰する昨今の状況では、DDR4メモリを使った構成に回帰するユーザーが多いのだろう。

Image Credit: AMD on YouTube

そんなDDR4に対応したRyzen 5000シリーズの中でも、「Ryzen 7 5800X3D」や「Ryzen 7 5700X3D」の需要が急上昇している様子。これらのX3DシリーズCPUは、L3キャッシュを垂直に積層する「3D V-Cache」技術を採用したモデルで、その性質から特にゲーミング性能が優れたCPUとなっている。その最初の世代である「Ryzen 7 5800X3D」は、いまなお一部のユーザーから根強い人気を誇る。

メモリ不足の影響により、DDR4メモリに対応したRyzenのAM4プラットフォームCPUが注目を集めていることが明らかとなった。パーツの高騰に悩んでいるユーザーにとっては、PCを新調する上での良い選択肢の1つとなってくるかもしれない。同製品はすでに生産が終了していることもあり、新品の市場在庫は年々減少中。今後さらに入手困難となっていくことも予想される。意外なところへの影響も生じており、メモリ不足は現代のPCゲーマーにとって死活問題となっていきそうだ。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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