高評価スケボーゲーム『Skate Story』開発者、「面白いけどイライラした」と言われ「そもそもスケボー自体がストレスの塊」と正直すぎる回答。隠しきれない“スケボーの嫌なところ”

インディー開発者のSam Eng氏は12月17日、別の開発者が投じた「時々イライラする」との感想に対して返答した。

インディー開発者のSam Eng氏は12月17日、スケートボードアクションゲーム『Skate Story』のレベルデザインについて別の開発者が投じた「時々イライラする」との感想に対して返答。そもそもスケートボード自体がイライラするものだと繰り返し述べる、不思議な反応を寄せている。

『Skate Story』は、冥界を舞台にスケートボードで地獄の階層を滑り進むアクションゲームだ。主人公はガラスと苦痛で形づくられた悪魔。冥界の王との契約によりスケートボードを与えられ、月へ到達しそれを呑み込むことができれば、永い束縛から解き放たれるという条件を突きつけられる。

しかし、プレイヤーが操作する主人公の身体は脆いガラスで構成されており、ステージに配置された障害物に接触するとひびが走り、最終的には砕け散って失敗となる。ゲーム内では障害物だらけの細いコースを高速で滑り抜ける場面も多く、精密なコントロールが要求される設計だ。ただし失敗後は即座に再挑戦でき、流れを止めずに試行を重ねられる。短いサイクルで挑み続けることで、プレイヤーの操作技術の向上がそのまま実感できるのだ。

本作を手がけたのは個人開発者のSam Eng氏で、ニューヨークを拠点に活動するゲームデザイナーだ。また多くの高評価インディー作品を後押ししてきたパブリッシャーのDevolver Digitalが販売を担当している。

今月9日にリリースされた本作は前評判どおり、発売初日から大きな反響を呼んだ。Steamではこれまでに965件のレビューを受け、うち97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。Eng氏による独特な世界観とともに、美しいグラフィックや爽快なゲームプレイで高い評価を得ている。

そんな本作の開発者Eng氏のとある投稿が現在注目を集めている。きっかけとなったのは、レベルデザイナーのArran Seaton氏によるポストだ。同氏はPlayground Gamesでは『Forza Horizon』、Ubisoft Reflectionsでは『ザ クルー』などの開発に携わるなど、多数の大手スタジオでの経歴をもつ開発者。現在は小規模インディースタジオのGreatApeGamesに所属している。

Seaton氏はXにて、『Skate Story』のクリア報告をするとともに、ゲームは信じられないほど美しく、サウンドトラックもとんでもなく良いとして絶賛。一方で、レベルデザインの観点では時々イライラすると語った。ただ、同氏いわくこれは意図したものだと考えているそうで、実際のストリートのスポットにおけるスケートボードがどれだけ不完全かつ挑戦的であるかを真似ているのではないかとの持論を展開した。

これに対して、Eng氏は引用リポストで反応を示した。できる限りイライラを低減しようとはしたものの、スケートボードがそもそも本質的にすごくイライラするものだと発言。続けて、「it’s honestly so frustrating how frickin frustrating skateboarding is(正直、スケートボード自体がめちゃくちゃイライラすること自体に、本当にイライラするよ)」と綴り、スケートボードがもとよりイライラするアクティビティであることを強調した。

ちなみにEng氏は子どものころからスケートボードが好きで、現在でも街での移動手段としてスケートボードを用いているという(PC Gamer)。とはいえ上手くはなく、基本のトリックをいくつかできる程度とのこと。本作は同氏にとって「スケートボードのファンアート」だといい、街中を実際に滑るときのイライラなど、酸いも甘いも噛み分けた同氏の抱く“スケートボード像”が反映されているのだろう。

なおスケートボードをテーマにしたゲームとしては、『トニー・ホーク プロ・スケーター』シリーズや『skate.』などがこれまでに生み出されてきた。スケートボード自体に両氏が指摘したようなイライラもありつつ、ゲームとしての爽快感や中毒性を生み出すために、それぞれの作品が独自のエッセンスを加えているのだろう。ただ、他のどのスケートボードゲームよりもスタイリッシュさが際立つ『Skate Story』であっても、そのイライラを完全に消し去ることはできなかったようだ。

『Skate Story』はPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch 2向けに配信中。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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