Valveが当時15歳の応募者に返した「不採用メール」が脚光浴びる。未来に繋がる“熱いお祈り”

Xにて、あるユーザーが15歳のときにValveへ就職し働きたいといった旨のメールを送った際の「不採用通知メール」が粋だとして、注目を集めている。

あるXユーザーがかつてValveに応募した際の同社からの返信だというメールを紹介。このユーザーは15歳のときにValveへ就職し働きたいといった旨のメールを送ったそうだが、10代の若者へ向けたValveの“不採用通知”が粋であるとして、注目を集めている。

Valveは、ゲームの開発や販売をおこなう企業だ。1998年にValve初作品にしてFPSゲームの金字塔ともいわれる『Half-Life』をリリース。その後も『Left 4 Dead』シリーズや『Portal』シリーズ、『カウンターストライク』シリーズや『Dota 2』など、人気作品を数々手がけている。

またPCゲームプラットフォームSteamを運営元としても知られており、PCゲーム市場ではトップクラスのシェアを獲得しているとみられる。なお先日11月13日には新しいSteamハードウェア製品として「Steam Controller」「Steam Machine」「Steam Frame」を発表している(関連記事123)。

そんなValveに向け、かつて15歳のときに応募メールを送っていたユーザーの投稿が話題となっている。今回話題となっているユーザーはShaurya Seth氏。現在はカナダ・エドモントン在住のソフトウェアエンジニアのようだ。

Seth氏は2015年、同氏が15歳のときにValveに応募メールを送信したという。送った内容については明かしていないものの、学生であったこともあり、どういった大学に進むべきか、どうすればより採用されやすくなるか、といった事項にまで踏み入って訊いていたようだ。それに対し、Valveからは不採用通知にあたるメールを返信。とはいえ、その内容は単なる“お祈り”に留まらず、具体的なアドバイスも手厚く添えられていることから話題を呼んでいる。

Seth氏が紹介した返信メールを見るにValveの担当者は、Ben氏という名だったようだ。Ben氏は15歳にしてゲーム業界、ひいてはValveへの具体的な入り方をプラン立てているSeth氏に向け、いくつかの案内をしている。まずは会社に入るルートはたくさんあり、「こうすれば採用される」という画一的なアドバイスを提供しているわけではないと前置き。とはいえ同社としてはアートからソフトウェア開発といった各専門分野において、トップレベルの腕前を持ち、大きく貢献できるスキルをもつ人材を求めていると伝えた。当時Web上で掲載されていた求人情報でも、各職種の人材に相応の実務経験を求めていたようだ。

ただBen氏は、大学進学については、大学ごとに有利不利があるわけでなく、特定の大学に通ったからと言って成功率があがるわけではないとの見解を伝えた。またValveで働く多くの人は7年から10年ほど業界で活躍しているものの、関連する学位を持っている人もいればそうでない人もおり、中には学位そのものを持ってない人もいると説明。一方でいずれのメンバーも専門領域ではトップクラスの実力者であり、コミュニケーション力にも優れ、顧客が何を求め、どのように提供するのが最善かを熟考できる人たちだと述べている。

続けてBen氏はこうした能力は形としては見えにくく、学校でも教えられるものではないとしている。むしろ情熱や経験の方が大事だとして、学歴などにとらわれず、熱意をもって専門分野に取り組むことの重要さを説いているようだ。最後に、もっとも大切なことは紙面上でもコンピューター上でも、とにかくゲームを作ってみることだと推奨。重要なのはまずやってみることと、継続することだとして、“お祈り”を締めくくっている。

15歳と、年齢的にも実務経験的にもValveの採用基準を満たさないと思われる少年からの応募メールに対し、当時のValveの担当者は単に断るのではなくゲーム開発者を目指すにあたっての指針といえる返信を寄せたようだ。Seth氏がメールとともに当時の思い出を振り返った投稿には、単なる不採用通知に留まらない、建設的なアドバイスも添えたValve担当者の対応を称賛する声が多くみられる。

なおValveといえば非公開企業であり、開発や運営の体制もこれまでほとんど公にされていない。とはいえかつて裁判資料では2021年の従業員数が336人であったと明かされたこともあり、当時すでに業界を代表する企業であったことも踏まえると少数精鋭であることもうかがえる(関連記事)。Ben氏が伝えたような「各種専門分野のトップが集う企業」という体制は、2015年当時から貫かれていたのかもしれない。

ちなみにSeth氏はビジネス向けSNS・LinkedInを公開しており、機械学習エンジニア、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを順調に積んでいる様子も垣間見える。現状ではゲーム業界とは別の道に進んだこともうかがえるものの、担当者の返答は当時の同氏に深いインスピレーションを与えたそうだ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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