『メダロット』の海外商標に関する訴訟、イマジニアの勝利確定でついに幕を閉じる。英語名「MEDABOTS」を巡る争い
イマジニアは11月12日、『メダロット』シリーズの海外向けタイトル『MEDABOTS』の商標を巡ってスペインにて提起されていた訴訟に関して、同社の勝訴判決が確定したことを報告した。

イマジニア株式会社は11月12日、『メダロット』シリーズの海外向けタイトル『MEDABOTS』の商標を巡ってスペインにて提起されていた訴訟に関して、同社の勝訴判決が確定したことを報告した。2020年より継続していた訴訟が、原告の上告が棄却されたことでついに幕を閉じたかたちだ。
イマジニアは、ゲームを含むコンテンツ事業をおこなう企業。最近では、Nintendo Switch向けのフィットネスゲーム『Fit Boxing』シリーズなどを手がけていることで知られる。今回問題になった『メダロット』シリーズは、ゲームボーイやニンテンドー3DSなど向けに、多様なジャンルで展開されているロボットゲームだ。海外では、『MEDABOTS』というタイトルにて複数の作品がリリースされている。

そんなイマジニアは2021年1月に、スペインのアリカンテ商事裁判所から、EUにて登録された商標「MEDABOTS」を侵害しているとの通達を受けていたことを報告していた(関連記事)。その商標の登録名義人であるKevin Comadrán de Frutos氏がイマジニアを相手取り商標権侵害を訴え、さらにイマジニアが手がけるビデオゲームの販売中止等を求める訴訟も提起していたという。これによってイマジニアは、該当するビデオゲームをEU領域内で販売することを控える暫定的措置をとるよう、裁判所命令を受けていたことが伝えられた。これを受けてイマジニアは2020年11月、商標権侵害の事実は一切ないと主張し、当該命令の取消しを求める旨の異議申し立てをおこなった。
Comadrán氏は、エコノミストとしてゲーム業界内外での経験をもち、Medabots社の代表として、同名のロボットゲーム『MEDABOTS』を手がけていた人物。同作は、Medacoinと呼ばれる独自の仮想通貨や、NFTアイテムを利用したゲームメカニクスが特徴とされた。イマジニアとはまったく関係のない作品である。
Comadrán氏は2018年2月に「MEDABOTS」についてEUでの商標登録を出願し、同年8月に登録されていた模様。一方のイマジニアも、「Medabots」としてEUにて商標登録している。申請された使用目的は多岐にわたるが、ビデオゲーム関連としている部分で両者の重複がみられたため、Comadrán氏側が商標権侵害を申し立てたのだろう。

イマジニアは上述したとおり2020年11月に商標権侵害の事実は一切ないと主張し、当該命令の取消しを求める旨の異議申し立てをおこなっていた。『MEDABOTS(メダロット)』シリーズを2002年から海外にて数多くリリースしてきた事実をもとに、Comadrán氏が登録した商標「MEDABOTS」に関しての所有権のイマジニアへの変更、あるいは商標取り消しを求めて反訴。そして2021年2月に裁判所はイマジニアの異議申し立てを全面的に認め、同年11月にはComadrán氏の商標の取消を命じるとともに、Comadrán氏の請求を棄却する旨の判決がなされたという。
Comadrán氏は2022年2月に上述した判決を控訴していたものの、2023年9月には控訴が棄却。アリカンテ控訴裁判所にて、ビデオゲーム「MEDABOTS」のタイトルの無断使用がイマジニアの知的財産権の侵害となること、およびEU商標「MEDABOTS」の所有権が同社に帰属することを認める旨の判決が言い渡されたと報告されていた。ちなみにこの間には先述したComadrán氏の『MEDABOTS』が2022年にリリースされたものの、その後訴訟の進展を受けてか『Mybots』といったタイトルに変更されて配信されているようだ。

当時イマジニアは手続法上最高裁判所への上告提起がなされる可能性があると伝えていたが、このたびスペイン最高裁判所が2025年10月29日付でComadrán氏の上告を却下したことが報告された。これによって、イマジニアの全面勝訴の判決が確定し、ついに「MEDABOTS」商標を巡る訴訟は幕を閉じたかたちだ。同社は今後も知的財産権の保護と健全なコンテンツビジネスの発展に努めていくとのこと。
ちなみに『メダロット』シリーズからは、2025年2月にスマートフォン向けサバイバー系アクションゲーム『メダロットサバイバー』が配信された。一方コンソール向けの作品は2020年発売の『メダロット クラシックス プラス』を最後に途絶えており、今後の新展開にも注目したい。
【UPDATE 2025/11/13 13:24】
Comadrán氏についての説明を加筆し、本文を調整

