『スルタンのゲーム』などのヒットメーカー2P Gamesの期待作、Steam Nextフェスで無料デモ一挙配信。ぜんぶ日本語対応・曲者ゲーム6連発

目利き鋭いパブリッシャー2P Gamesが、Steam Nextフェスにて期待の新作のデモ版を一挙に配信する。本稿では個性際立つ6作品を紹介していこう。

Steamでは、今後発売される新作ゲームの無料体験版が一斉に配信されるイベント「Steam Nextフェス」が、10月14日から10月21日にかけて開催予定だ。パブリッシャーの2P Gamesも同イベントに参加予定となっており、期待作をいち早くお試しできるチャンスとなる。この記事では同社の対象6タイトルを、プレイレポートを交えて紹介したい。

2P Gamesは、『スルタンのゲーム』や『Tiny Bookshop』『飢えた子羊』など、多数の人気インディーゲームの販売を担当している目利き鋭いパブリッシャーだ。今回のSteam Nextフェスでは、まもなく発売される同社の新作『クレイジーハイパーダンジョンクロニクル』や、『少女と学園城』『転生保険株式会社』などの体験版が配信。なお今回紹介する6タイトルは、いずれも日本語対応で発売される予定となっており、体験版も日本語版がプレイ可能となっている。

『クレイジーハイパーダンジョンクロニクル』

・クレイジーハイパーダンジョンクロニクル
ストアページ・製品版は10月24日配信予定)

『クレイジーハイパーダンジョンクロニクル』は、ローグライト要素のあるダンジョン探索RPGだ。冒険者であるヒーロー・ヒロインを主人公とし、伝説の聖杯を求めてランダム生成ダンジョンに挑む。ダンジョンは複数の階層で構成され、さまざまな環境の迷路のようなフロアが登場。各フロアでは、敵と戦ったりトラップを避けたり、またイベントをこなしたりお宝を探したりしながら探索し、出口へのルートを確保して次のフロアへ向かうことが基本的な流れとなる。

敵とのバトルはターン制で進行し、プレイヤーの攻撃や防御にはゲージシステムが採用。画面下のゲージ内で動くシンボルをタイミングよく止めることで成否が決まる仕組みとなっている。QTE的なシンプルなシステムであるが、敵の種類や強さによってシンボルを止める難易度が変化するため、集中しないと厳しい展開になる印象だ。また、敵からの攻撃を背後から受けると大ダメージとなることから、バトル中は敵の行動順や移動をしっかり把握して、主人公を常に正対させることも大事である。

主人公には怒りゲージも存在し、バトル中にさまざまなバフ効果を一時的に得られるパワー(スキル)の発動時に消費する。その怒りゲージは、装備する武器の種類によって溜める方法が異なり、たとえば剣であれば敵の攻撃のブロックが成功すると溜まる。ほかに、敵を攻撃した際に溜まるなどの条件の武器もあり、武器選択の判断材料のひとつになる要素だと感じた。

探索やバトルを通じては、食材や鉱石などの素材を獲得でき、レシピを入手することで料理やクラフトが可能だ。主人公には空腹度と喉の渇きの要素があり、ゼロになるとゲームオーバーとなるため、料理などを食べてそれらのゲージにも気を配りたい。また、インベントリには保管枠に加え重量の制限も存在し、上手く管理することが求められる。

このほか、ダンジョンではさまざまなNPCとの出会いがあり、ポップカルチャーやオタクネタ、レトロゲームのオマージュなどが取り入れられた、ユーモア溢れる会話が展開されることも本作の大きな特徴だ。そんなユーモアとは裏腹に、道中では重厚な世界観を表現する書物などを入手できることも。体験版はすでに日本語表示に対応しており、そうした部分も楽しむことができるだろう。

『少女と学園城』

・少女と学園城
ストアページ・製品版は今年第4四半期に配信予定)

『少女と学園城』は、カーメルというユートピア都市に存在する学園を舞台にしたメトロイドヴァニア・アクションRPGだ。その学園では、すべての学生が憧れるカーメルスターを決める選挙が開催されており、謎深き交換留学生である主人公の少女タマも選挙に立候補する。一方で、学園内には選挙を妨害する不良たちが存在。そこでタマは、暴動を起こす不良たちやロボット、そして強大なボスと戦い、学生らからの支持と票を集めることを目指す。

本作は2.5Dグラフィックのアクションゲームとなっており、学園内のステージは多数の部屋が複雑に入り組んだかたちで構成。ゲームを進める中では、空中ダッシュやスライディング、二段ジャンプなどのアビリティを習得できる。そうしたアビリティによって新たにアクセスできるエリアが増え、徐々に探索可能範囲が広がっていくメトロイドヴァニアらしい仕組みだと言える。

主人公のタマにはフローという特殊能力があり、これが本作のバトルにおける重要な要素となっている。通常攻撃で敵に連続してダメージを与えると、敵は紫色に光るフローカバーと呼ばれる状態になり、そこでフローバーストという特殊攻撃をヒットさせて爆発を起こすと、敵に大ダメージを与えると同時にタマの体力を回復できるのだ。敵の攻撃をタイミングよくブロックすることでもフローカバー状態にすることが可能。それぞれ攻撃を受けるリスクはあるが、積極的な攻防がメリットにつながるシステムだと感じた。

タマの武器には3種類が用意され、入手後はプレイ中に自由に切り替えられる(体験版ではバランス型の武器1種類のみ)。また、各武器には強化要素があり、さらに追加のアクションや必殺技をアンロック可能。タマ自身にも、パズル風インベントリにて強化アイテムを装備できるシステムが存在する。

道中では敵だけでなく、ほかの学生や案内役の事務長、そして多くの票を握っているという四大学部の管理人たちなどとの出会いもあり、立ち絵のある会話シーンが随所に存在。萌え要素を取り入れたキャラクターのアニメ調グラフィックが特徴的で、それと本格的なメトロイドヴァニアアクションとの組み合わせも、本作の魅力となっている。

『転生保険株式会社』

・転生保険株式会社
ストアページ・製品版の配信時期未定)

『転生保険株式会社』は、いわゆるサバイバー系のローグライト・ハクスラアクションゲームだ。ウイルスが蔓延しゾンビだらけとなった終末後の世界を舞台に、プレイヤーは“転生保険株式会社”のエリート社員となり、ゾンビたちを救済し魂を解放して転生へと導く。要するに、武器を手にゾンビたちを片っ端からぶちのめすお仕事である。

プレイヤーキャラクターは、初期装備の銃やアーマーのタイプなどが異なる複数のキャラクターから選択可能。銃は、サブマシンガンやショットガン、ロケットランチャーなどがある。そして、沼地や砂漠、寒冷地などのステージと、難易度を選択して拠点から出撃する。難易度は計6段階あり、高難度になるほど敵が強くなっていくほか、体力回復の機会が減ったり、変異体の敵が出現したりすることも。一方で、報酬のドロップ頻度やレア度もアップしていく仕組みだ。

ステージでは、さまざまなタイプのゾンビの群れが四方八方から襲いかかってくるため、常に移動し攻撃を上手く避けながら、銃で倒していくことになるだろう。銃は自分で操作するか、近くの敵をオートで撃つかを切り替え可能だ。そしてゾンビの猛攻に耐えて、やがて現れる中ボス、ラスボスの撃破を目指す。

ゾンビを倒して経験値を獲得し、レベルアップすると支援物資が投下され、ランダムに3つ提示された中からアップグレードを獲得できる。銃の攻撃力や射程を引き上げたり、射撃やダッシュなどのアクションに特定の効果を付加したり、あるいはサブウェポンを追加したりなど多種多様なアップグレードが存在し、徐々にゲームプレイがド派手になっていく。幅広い種類を取り入れるもよし、一定の種類に集中して強化させるもよし、プレイスタイルにあわせて選択すると良いだろう。

ステージでは戦利品として装備品を入手できる機会があり、拠点にてロードアウトを変更可能。装備品は、拠点にあるショップで購入することもでき、武器の変更だけでなく、アーマーなどによってキャラクターの各種ステータスを向上させることができる。本作はハック&スラッシュゲームでもあり、より価値の高い装備品を求めて、ゾンビの救済に何度も繰り出すゲームプレイを楽しめるはずだ。

『メールストロムの遺産:テスラの謎』

・メールストロムの遺産:テスラの謎
ストアページ・製品版の配信時期未定)

『メールストロムの遺産:テスラの謎』は、スチームパンクとアール・ヌーヴォーが融合した世界観のパリを舞台にする謎解きアドベンチャーゲームだ。主人公の若き日本人発明家ハヤオは、ニコラ・テスラからの招待を受けて10年に一度開催される科学大会に参加。しかし、開会の演説中にテスラが謎の失踪を遂げ、ハヤオは事件の真実を追う。

本作にてプレイヤーはパリの各地を巡り、登場キャラクターと会話したり、オブジェクトを調べたりする中で謎を解き、物語を進めていく。多種多様な謎解き要素が存在し、どれもプレイヤーの観察力・推理力・論理的思考力を試す歯ごたえある内容になっていることが特徴だ。なおヒント機能が用意されており、詰まって先へ進めなくなる心配はないため、自分なりのペースでじっくり楽しめるだろう。

『まん丸!醜蛙池』

・まん丸!醜蛙池
ストアページ・製品版は11月11日配信予定)

『まん丸!醜蛙池』は、“蛙災”が発生した世界にてカエルを集めるクリッカーゲームだ。プレイヤーはカエルトレーナーとして池を管理し、そこに集まってきたカエルを捕獲し、水槽に移して育てる。カエルは計144もの種類が存在し、どれもずんぐりとしたキモカワな見た目。公式にはブルフロ(おそらくウシガエルのこと)だと説明されているが、どうやら「おじさんっぽく見える」として一部で話題になった、パグガエルをモチーフにしている模様である。

水槽でカエルを大きく育てると高値で売却でき、そのお金でカエルの餌を購入できるほか、水槽をカスタマイズしたり追加したりといったことも可能。また、池やその周囲の環境のカスタマイズ要素も用意され、その内容によって特定の種類のカエルが集まりやすくなる仕組みだ。一方で、蛙災の影響で巨大なカエルが池を襲ってくることもあり、タップ連打で攻撃して撃退すると、レアアイテムや新たなカエルを入手できる可能性がある。

『黒夜輪廻 Re:Night』

・黒夜輪廻 Re:Night
ストアページ・製品版は今年第4四半期に配信予定)

『黒夜輪廻 Re:Night』は、カードデッキ構築型ローグライト戦略ゲームだ。夜が輪廻する世界に夜明けを取り戻すため、その秘密が隠された城の頂上を目指して、モンスターとのバトルやイベントなどをこなす。バトルはグリッド状のフィールドにてターン制でおこなわれ、プレイヤーはさまざまな職業のキャラクターから3人チームを編成して戦う。

各キャラクターは固有のカードセットを持っており、自ターン時にそのカードの効果を発動させて戦う。カードには発動コストに加え効果の射程距離が設定され、シンプルに敵を攻撃するカードもあれば、指定キャラクターにバフ効果を与えるようなものなども存在。また、炎・水・草の三属性による三すくみシステムが肝となっており、チームで連携してその効果を活かしつつ、フィールドでの戦略的な位置取りで敵のクリティカル攻撃を避けるなどの駆け引きが勝利へのカギとなる。

「Steam Nextフェス」は、10月14日から10月21日にかけて開催予定だ。2P Gamesからは、今回紹介した以外にもさまざまな新作タイトルが今後発売予定となっており、同社のSteamパブリッシャーページからぜひ体験版をチェックしてほしい。

なお、同イベント開幕に先立ちすでに体験版が配信開始されているタイトルもあり、『クレイジーハイパーダンジョンクロニクル』や『まん丸!醜蛙池』などでは随時アップデートが実施されている。以前プレイしたことがあるという方も、最新ビルドを試してみてはいかがだろうか。気に入ったタイトルがあれば、ウィッシュリストに登録しておくと良いだろう。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 7559