『マインクラフト』にて、14年かけて“マップの端”まで歩いた人現る。約1200万ブロックの旅路に終止符

『マインクラフト』における幻の地「ファーランド」に歩いて到達した人物が現れた。

海外ストリーマーのKurt J. Mac氏は10月5日、自身の配信にて『マインクラフト』における幻の地とされる「ファーランド」に到達。14年にわたる長い旅路を完遂した同氏の試みは海外掲示板Redditの『マインクラフト』コミュニティでも話題となっているようで、国内外から称賛のコメントが寄せられている。

『マインクラフト』は、ゲームクリエイターのNotch氏が制作したプロシージャル生成型のサンドボックスゲームだ。現在はマイクロソフトのもとでMojang Studiosが開発をおこなっている。ゲーム世界は自動生成されていくため、プレイヤーは東西南北の好きな方角へと旅立つことのできるというのが、本作の魅力の一つとなっている。

そんな本作Java版の初期バージョンであるBeta 1.7.3以前のバージョンでは、世界の中心から大きく離れた土地において地形生成アルゴリズムが正常に動作しなくなる不具合が存在することが発見されている。ユーザー検証においては、プレイヤーの初期位置から約1200万ブロックほど離れた場所から、大きくせりあがった断崖絶壁の地形が突如として出現することが判明しており、その異様な地形からユーザーのあいだでは遠隔地「ファーランド」と呼称されてきた。

Image Credit: Kurt J. Mac on Twitch

配信者のKurt氏はそんな本作の「ファーランド」に到達する企画「Far Lands or Bust」を2011年3月に始動。850話以上にも及ぶ大長編シリーズである本企画は、同氏のプレイ画面を背景として、自身の生活や時事ネタなどを含めたトークを視聴者ともおこなっていく、一種のポッドキャストシリーズともいえる。そんな同シリーズは2014年時点で「『マインクラフト』における最も長い旅」としてギネス世界記録にも認定されており、ゲームコミュニティ内外でも注目を集める試みとなっていた。

そんな同氏は2025年10月5日、自身のTwitch配信にて遂に遠隔地「ファーランド」へと到達。14年という長い旅路に終止符が打たれたのだ。同氏のチャレンジにより『マインクラフト』データフォルダ内のマップデータは大幅に拡張され、完遂直前のファイルデータサイズはおよそ86GBにも膨れ上がっていたようだ。また動画内ではプレイヤーキャラクターや生物たちの挙動がコマ送りになるなど、ゲーム内処理にも影響が及んでいたようだ。

Image Credit: Kurt J. Mac on Twitch

なお続くBeta 1.8以降のバージョンにおいてはアルゴリズムが修正されており、「ファーランド」は理論上生成されないように修正されている。そのためKurts氏の試みは必然的にBeta1.7.3でプレイすることとなる。本作のBeta 1.7.3と言えば「走る」などの基本機能すら導入される前。ボートを漕ぐ際のスピードや挙動も遅いことが特徴となっている。つまりKurt氏は『マインクラフト』において、およそ1200万ブロックの旅路を“歩いて”到達したというわけだ。なおKurt氏が本企画に挑んだ理由として、同氏は過去にインタビューにおいて「Notch氏が「ファーランドに到達することは不可能だ」と言っていたので」と述べており、同氏はそれをNotch氏からの挑戦と受け取ったとコメントしている。

Image Credit: Kurt J. Mac on Twitch

本企画を視聴していたユーザーや海外掲示板Redditコミュニティからは数多くの称賛の声が送られており、「当時中学生だった」と本企画を視聴しながら育ってきたユーザーも見受けられた。なお企画内でKurt氏は頻繁にチャリティー配信をおこなっており、慈善活動にも積極的であった。一部ユーザー検証によると、到達時点での寄付総額は50万ドル(およそ7400万円)であると見積もられている。Kurt氏の長い旅路は本作における歴史のひとつとして刻まれ、人々の心に残り続けることとなりそうだ。

『マインクラフト』はRTA企画や耐久企画など、ユーザーたちにより数多くの企画が打ち上げられてきたゲームだ。長い旅路を終えたKurt氏が『マインクラフト』のプレイを続けるのか、はたまた新たな企画を打ち上げていくのか、同氏の今後にも注目したい。

Mayo Kawano
Mayo Kawano

豪州在住の薬剤師およびにゲーム翻訳者。サバイバルクラフトゲームを主食として、ステルスゲームはデザートとする。

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