「キャラガチャ廃止」基本プレイ無料アクションRPG『デュエットナイトアビス』開発者、「キャラガチャをやめたのは自分たちのためでもある」とコメント。最終的に運営が得するはず
東京ゲームショウ2025の『デナアビ』ブースにてプロデューサーの十倍大熊氏にインタビューを実施。本作のマネタイズの目標や、今後の展望について訊いた。

Hong Kong Spiral Rising Technologyから10月28日より、基本プレイ無料でPC/iOS/Android向けにリリースされる『デュエットナイトアビス(デナアビ)』。魔法と機械が共存する世界で、物語は2人の主人公の視点から描かれることになる。
そしてもう1つの本作のトピックは、リリース直前の2か月前というタイミングでキャラと武器のガチャシステムとスタミナ性の廃止を発表したことだろう。すでに幾度かのベータテストを実施済みのタイミングでの大幅な変更ということで、日本のユーザー間でも話題になった。特に、「ユーザーにとっては嬉しい変更ではあるものの、果たしてマネタイズは上手くいくのだろうか」といった論調が多く見られた。
そんな本作について、東京ゲームショウ2025の『デナアビ』ブースにてプロデューサーの十倍大熊氏にインタビューを実施。本作のマネタイズの目標や、今後の展望について訊いた。

──先日、キャラガチャシステムとスタミナシステムの廃止という大きな発表がありました。これについてユーザーからどのような反響がありましたか。
十倍大熊氏:
今回の発表について中国と日本といった国の皆さんがとても興奮しているのを見て、我々の意図を伝えられたなという風に感じております。この決断は正しいと考えております。
──『無限大ANANTA』もガチャシステムをやめるということで話題になっていますね。結果的に先取りの形になりましたが……(笑)このようなトレンドを予期してましたか。
十倍大熊氏:
(笑)『無限大ANANTA』陣営と話し合ったことはないですし、そこまで予測してたわけでもありません。弊社内部でもガチャシステムの取り消しに関しては支持派と不支持派で激しい討論が起こってしまいましたが、最終的にこの決断を下しました。
なぜかというと、我々は今後のアニメ調ゲームのマーケティングに新しいものを注入したいんです。今はガチャシステムのゲームが流行で、その鎖から抜け出したい、何か新しいものを入れたいという発想でこの決断をしております。そして『無限大ANANTA』の方も同じ方針を採用して、結果として我々の発表が先だったという感じです。
──日本のユーザーからはすごくポジティブな反応が多かったですが、同時に「マネタイズは大丈夫なのか」という心配の声も聞こえてきます。
十倍大熊氏:
その懸念ももちろんあります。そのために現在取り組んでいるのが、コンテンツとサービス両面の充実です。コンテンツは続々と追加してゲームの世界を面白くしていって、感心したユーザーが続けて遊んでくれるようにします。もちろんその一方で、サービスの方も注力していきます。
なぜガチャシステムがなくとも大丈夫かと言うと、ガチャシステム以外にスキンやコスチュームといった課金点を用意することでマネタイズが成立しているんです。なので、これらをどんどんユーザーに提供していって、そのフィードバックをもらうというサイクルになるかなと思います。この信念の下に今後も長いスパンで良いゲーム製品を提供していって、ユーザーに長い喜びをもたらしていきたいです。
これは例えなんですが、中国国内にあるタピオカ店があります。そこは低めの値段で若者の間で人気を集めてるんですが、レモネードが4元以下、つまり80円ほどなんです。つまりなぜこの決断に至ったかというと、我々はユーザーのコスパを大事にするということです。ユーザーのコスパを上げてお金も時間もかからない状態にすれば、ユーザーは弊社のゲームを体験してくれるという風に考えているということです。できればユーザーにもっといいコンテンツを少ない値段で提供しようと考えています。
──ユーザーの満足度を上げることで、結果的にビジネスの成功に繋がっていくという観点があるんですね。
十倍大熊氏:
ユーザーの満足度はマネタイズに直結しますので。このサイクルを作ることによって、今後のマネタイズもよくしようという話です。

──本作は、ほかのアニメ調ゲームと違ったものを生み出したいという思いがあるように感じる一方で、日本のユーザーからすると「また同じようなゲームかな」と捉えられやすいと思います。
十倍大熊氏:
もちろんその懸念はあります。しかし既存のゲーム内容に加えて、今後もリリース生放送や中国本国の生放送、PVといった今後のバージョンに関する諸々のプロモーションを続けていく予定ですし、ゲーム内にも新しいものを入れていこうと考えています。今はまだすべては言えませんが。二次元系アニメ調ゲームに関して、新たなものを考えております。
──2人の主人公の視点から描かれる物語やエリア制を採用したマップなど、これまでとは違うことを盛り込もうとしてますよね。あえてトレンドを追わないというような意識があるのでしょうか。
十倍大熊氏:
『原神』や『鳴潮』などのゲームはもちろん中国のトレンドで、こういったメジャーゲームのガチャやスタミナのシステムも流行ってはいます。ですがそれでもやっぱり新しいものを作りたいということで、本作ではキャラと武器は無料、スタミナシステムは撤廃ということになりました。我々は違うんだという強い意思を、ユーザーにアピールさせていただいています。
──ありがとうございました。
『デュエットナイトアビス』は、10月28日に基本プレイ無料で配信予定だ。現在事前登録受付中である。また公式XアカウントやYouTubeからも情報をチェックできる。