『ゴースト・オブ・ヨウテイ』の物語は『ツシマ』のどちらのエンディングにも左右されない。“正史”は定めない

『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』を手がけるSucker Punch ProductionsのNate Fox氏は、海外メディアMinnMaxのインタビューに対し、“正史”を定めていない旨を明かした。前作『ツシマ』のどちらのエンディングを選択していても矛盾しないストーリーになっているという。

SIE/Sucker Punch Productionsは『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』をPS5向けに10月2日リリース予定だ。そんな本作について、共同クリエイティブディレクターのNate Fox氏は、海外メディアMinnMaxのインタビューに応じた。同氏によれば、本作のストーリーは前作『ゴースト・オブ・ツシマ』のどちらのエンディングを選択したとしても矛盾は発生せず、作中にも前作に関する言及はないという。

『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は『ゴースト・オブ・ツシマ』の流れを汲むオープンワールドアクションゲーム。本作の舞台となるのは1603年の北海道だ。蝦夷富士とも称される羊蹄山を抱く地での冒険が繰り広げられる。主人公である女武芸者の篤(あつ)は、殺された家族の仇を討つべく、復讐心に燃える一匹狼だという。また作中では、蝦夷地の民からの依頼や賞金首探しなど、道草して路銀を稼ぐことも可能。篤がどのように戦い、苦境を乗り越え、名を残すのか。プレイヤーの選択次第で、篤の生き様は変わっていく。

海外メディアMinnMaxのBen Hanson氏は9月9日、Sucker Punch Productionsの共同クリエイティブディレクターを務めるNate Fox氏にインタビューを実施する動画を公開。動画は約12分の長さで、125の質問を矢継ぎ早に投げかけ、それぞれに回答をしてもらうといった形式のものだ。

動画では、『ツシマ』と『ヨウテイ』ではマップの大きさがほぼ同じといったゲーム内容についての回答も確認可能。今作ではマップの密度にこだわっているようだ(弊誌インタビュー記事)。また、『グランド・セフト・オート6』の延期が決まった際にスタジオで“パーティー”を開いたかと訊かれた同氏は、「あの日からずっと二日酔いだよ」といったユーモアを交えた回答をしている。

そうしてさまざまな質問が寄せられる中、Hanson氏は本作主人公の篤と前作『ツシマ』の主人公、境井仁とは何らかの関係があるかを尋ねた。Fox氏によれば「関係ない」とのことで、篤は仁のことを知っているどころか、名前を聞いたこともないようだ。

そしてHanson氏は、『ヨウテイ』では『ツシマ』におけるエンディングのどちらから連なる物語なのかを質問した。質問についてFox氏が回答するところでは、『ヨウテイ』のストーリーは、『ツシマ』のどちらのエンディングも妥当(Valid)だという。

『ゴースト・オブ・ツシマ』では、物語の最後に仁が叔父の志村について、重要な決断を迫られる。『ツシマ』上でのこの決断は、ゲームプレイの最終局面でありその後の物語には影響を及ぼさない。ただ『ヨウテイ』は『ツシマ』に連なる作品であることから、どちらが“正史”になるかをHanson氏が尋ねたかたちだ。

しかしFox氏の答えをみるに、『ヨウテイ』の内容はそうした分岐に左右されないようだ。『ツシマ』は日本に蒙古が襲来する13世紀の対馬が舞台。一方で『ヨウテイ』は1603年の北海道が舞台だ。300年ほどの歳月が流れ、土地も遠く離れた『ヨウテイ』では、もはや『ツシマ』における仁や志村の存在の影響が及ぶところではないのだろう。

ストーリー分岐のあるタイトルでは、続編における“正史”を巡って、発売前にファンが懸念を寄せる例もしばしば見られる。『ヨウテイ』では時の流れによってか前作の選択肢による矛盾が解消されているようで、歴史の壮大さを感じるところかもしれない。ちなみに今回の動画では『ツシマ』の出来事に言及する人物がいないことや、仁に子供がいないことなども明かされている。あくまで世界観を共有しているだけで、それぞれ独立した作品として楽しむことができそうだ。

ゴースト・オブ・ヨウテイ』はPS5向けに10月2日発売予定だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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