
「リアル水表現」を追求するゲーム開発者に、アドバイス集まる。とにかくリアルな水を目指して
あるゲーム開発者が、リアルな水の表現を追求して試行錯誤している。

海外掲示板Redditにて、開発中の作品へのアドバイスを募るゲーム開発者の投稿が注目を集めている。リアルな水の表現を追求して、試行錯誤が繰り返されているようだ。
RedditユーザーのUsed_Produce_3208氏は、Studio59名義でゲームを作る個人開発者だ。同氏は現在、PC向けのウォーキングシミュレーター『Eco Volunteer』を開発中で、年内の発売を目指している。本作における目的は、雑木林や海岸などさまざまなロケーションでゴミを拾い、綺麗な自然を取り戻すこと。プレイヤーは散らかったゴミを回収しトラックで運搬。分別をおこなったうえでゴミ箱に捨てる必要がある模様。遭難したハイカーやペットを助けたり、野生動物の写真を撮ったりといったアクティビティも存在する。


Used_Produce_3208氏は約1か月前からr/indiegamesやr/unityをはじめとする複数のゲーム関連コミュニティにて本作について投稿。開発中のスクリーンショットや映像をアップロードして、ユーザーにフィードバックを募ってきた。なお、同氏はユーザーへの返信のなかで、Unityでは6年以上、プログラミング歴としては10年以上の経験があることを明かしている。一定の開発経験があるものの、ユーザーからの意見も真摯に開発に役立てているようだ。
なかでも、Used_Produce_3208氏は水に関する表現に特にこだわっている。8月31日に投稿された動画内では、まずプレイヤーが湖のほとりに停めた車の荷台からゴミ袋を持ち上げ、湖に向けて投てき。ゴミ袋は水面でふわっとバウンドしたのち、水面を揺らしながら浮かんだ。そして今度は車に乗り込み、勢いよく湖に向けて発進。大きな水しぶきを立ててから、ぶくぶくとゆっくり沈んでいった。同氏はこれらの水表現について、リアルに見えるかどうかユーザーに質問した。
Redditユーザーからは、車が入水時に発する水しぶきが激しすぎるとする意見も見受けられる。Used_Produce_3208氏は現実の映像を参考資料として用いたと話しているものの、ゲーム内の車の速度や水深を踏まえると、水しぶきが大げさといった違和感も生じている様子だ。あるユーザーはよりゲーム内の状況に近い映像として別の参考資料も提示し、フィードバックをおこなっている。
ちなみにUsed_Produce_3208氏はその後、そうしたフィードバックも踏まえた上で、水しぶきの量に関する計算式を改めることも宣言している。現実での動きを示す映像だけでなく、物体の速度とエネルギーの関係といった物理法則も考慮しながら、よりリアルな水表現を追求していくのだろう。
このほか、ゴミ袋は水面に打ち付けたシーンについて跳ね方が大げさではないかといった意見が散見される。やはり流体が関わる物理演算には難しい側面もあるのだろう。一方で、それにより生まれる水面の波紋のリアルさには多くの称賛が寄せられている。

ところで、同氏によれば本作はUnityのHDRPを用いて制作しているという。HDRP(HDレンダーパイプライン)とは、ハイエンド高品質プラットフォーム向けのレンダーパイプライン、すなわち描画システムのこと。現時点のUnityの最新メジャーバージョンであるUnity 6で初期設定となっているURP(ユニバーサルレンダーパイプライン)よりも、品質が重視された環境だ。
水面をUnityで再現する場合、専用プラグインを導入して比較的簡単に実装するという選択肢もあるなかで、Used_Produce_3208氏はHDRPのデフォルトシェーダーやデカール機能を駆使して自作しているようだ。ただ同氏はスレッドのなかで、水の表現をシェーダーから自作するのはそこまで難しくはないとの考えを示している。長年Unityを扱う同氏にとっては慣れ親しんだ手法という可能性もありつつ、細部までリアルに作りこむための選択なのかもしれない。
ちなみに、今回投稿された映像を、同氏が以前投稿していた水しぶきを追加する前の映像と比較すると、違いは一目瞭然。この時点では、入水にあわせて水面を伝う波は控えめで、白い泡の量もごくわずか。車が沈んでいくスピードも速く、車に働く浮力があまり感じられない。最新の投稿で新たに加わった水しぶきについては多すぎるといった違和感も指摘されているが、着実に細かい調整が加えられリアルに進化していることがわかる。
自然環境を舞台とする作品なだけに、水の表現には特にこだわって制作されており、そうした試行錯誤を重ねる様子が多くのユーザーの目に留まっているようだ。Used_Produce_3208氏は、現実世界で同じようにゴミ拾いをしてくれる人が増えることを願って本作を作っていると話している。数か月以内にはデモ版をリリースするとのこと。発売に向けて期待したい。
『Eco Volunteer』はPC(Steam)向けに、2025年内に発売予定。
