超自由オープンワールドMMO『逆水寒』で“戦わずに”100時間遊んでみた。NPCと全力でイチャつく、恋人探しのオンライン生活
オープンワールドMMORPG『逆水寒(Sword Of Justice)』は、バトル抜きでも楽しめるのか。先行プレイで「平和な暮らし」に挑戦した体験記をお届けする。

NetEase Gamesは『逆水寒(Sword Of Justice)』の日本向けサービスを2025年内に開始予定だ。対応プラットフォームはPC/iOS/Androidで、現在事前登録を受付中。
『逆水寒(Sword Of Justice)』(以下、逆水寒)はオープンワールドMMORPGだ。舞台となるのは12世紀初期、北宋時代の中国。武侠小説の人気作家・温瑞安の作品群を原作としており、プレイヤーは壮大な歴史上の中国を冒険することになる。

本作はZhurong Studioが1000人を超える開発チームを編成し、4年間にわたって開発したという大作だ。バトル関連のコンテンツも豊富に用意されているが、平和的に北宋時代の中国での生活を堪能することも可能。先行配信されている中国では、一切戦わずに遊んでいるプレイヤーも少なくないという。
しかし本当にバトル抜きでも、『逆水寒』を楽しむことができるのだろうか。今回弊誌は、現在開発中の日本語バージョンを先行プレイする機会を得た。そこで筆者はできる限り戦闘を避け、ひたすら平和な暮らしを追求してみることに。さまざまなコンテンツを楽しむ筆者のプレイ体験記を、これから複数回にわたってお届けしていく予定である。
ほかのプレイヤーいないけど、恋人がほしい
さて改めて伝えておくと、『逆水寒』はMMORPGだ。MMOに何を求めるかは人それぞれだろうが、誰かとの交流が目当てという方も多いのではないだろうか。仲の良いフレンドができれば楽しさも倍増するし、作品によってはゲーム内で結婚システムなどがサポートされていることもある。平和で楽しい生活を求める筆者は、まずゲーム内で恋人を作ろうと思った。
しかしながら、今回筆者が先行アクセスしているサーバーは超クローズド。ほかのプレイヤーの姿は皆無である。恋人探しどころではないが、幸い本作ではNPCたちとの交流システムが用意されている。好感度を上げて親密な関係になっていける、恋愛ゲーム風の要素があるのだ。

なかには女性キャラもいるが、個人的にひときわ魅力を感じたのが、個性豊かな男性キャラたちだ。今回自キャラとしてクリエイトしたのが女性だったこともあり、筆者はNPC男子を口説いて恋人にするのを目指すことにした。
兄弟子とデートしてみる
まず筆者が狙いを付けたのが、主人公の兄弟子にあたるキャラ、葉問舟だ。孤児である主人公にとって、彼は家族同然の存在。いつも穏やかで心優しい葉問舟も、主人公に対してだけは冗談を言ったり、あるいはからかったりと、ちょっと意地悪なそぶりを見せる。でも本当は主人公を溺愛していて、小さい頃病弱だった主人公を守るために、武術に加えて医学も学んでいる。そんなキャラである。

まったく隙がない設定だ。兄弟子と妹弟子というレベルを超えて、もっと親しくなりたいと思うのは、自然な心の動きだろう。というわけで筆者は葉問舟を「共遊」に誘った。共遊は特定のキャラを連れてエリア内を散策できるシステム。平たく言えば、デートができるというわけだ。
今回のデートエリアとなる村に集まって、気の向くままにあたりを歩くふたり。歩いていると葉問舟は主人公の行動に反応して、セリフを発してくれる。たとえば筆者が操る主人公が突然ダッシュし始めると、葉問舟から「転ばないように気をつけて」と、からかい半分・心配半分の言葉が飛び出す。すると主人公も「私を侮りすぎだ!」と、わざと怒ってみせる。なんというか、とても微笑ましい。たぶん操作する筆者の顔はニヤついていたと思う。
会話を楽しみながらしばらく歩くと、絶景スポットにたどり着いた。今回は風景を永遠に残る思い出として切り取って、ひとまずデートは終わりにすることになる。つまりスクリーンショットを撮ったのだが、もちろん当時の中国に写真はない。作中の設定としては絵心がある葉問舟が、絵を描いてくれたという話になっている。つくづく隙のない男である。

デートを終えると好感度が上がり、少し仲良くなることができた。この調子で好感度が十分に上がると新たなデートスポットや会話イベントなどがアンロックされ、さらに親密な関係になっていけるようだ。このまま葉問舟ひとりにターゲットを絞ってもよいのだが、本作にはまだまだ気になるキャラたちが存在している。
“攻略対象”はほかにもたくさん
たとえば無情という名のキャラは、主人公との関係性の深さという点では葉問舟に負けず劣らずだ。無情は主人公の幼なじみ。幼少期に遭遇した事件の影響で車椅子生活となった彼だが、それでも武術の達人である。ふだんは都で捕吏(警察)のトップを勤めており、極めて有能な人物として世間でも有名。冷静沈着で、普段はとてもクールかつ公正にふるまう人物だ。

しかし幼なじみの主人公のことは大事に思っていて、非常に忙しいのに、主人公に誘われると優先して時間を作ってくれる。主人公はそんな彼のことを、「新月っち」とあだ名で呼んでフランクに接するが、無情はどうやら主人公のことを意識しているらしい……。幼なじみという近くて遠い関係が、好感度を高めるとどう変化していくのか。個人的に気になってしょうがないキャラクターだ。
そのほかにも、俺様系イケメンの侯爵様「方承意」や、優しく世話焼きの姉弟子「葉雪青」など、デートができるキャラは何人も存在している。みんなそれぞれ魅力的に描かれているので、筆者としてはもう全員を攻略してしまいたい気持ちが強い。しかし好感度を上げるプレゼントアイテムがそれほど手に入っていないため、まず誰かに集中して落としたい気持ちもある。悩ましいところだ。


チャットで口説けるAIキャラもいるが……
また本作に登場するのはシナリオに絡む主要キャラだけではない。MMOにおけるほかのプレイヤーのようなかたちで、独自に活動しているAIプレイヤーたちが存在している。彼らは作品のストーリーにはかかわってこないが、大規模言語モデルによる会話に対応しており、フリーチャットで交流可能。その場の会話だけでなく、以前の会話を覚えていたりするので、プレイヤーは独自に関係性を深めていくことができる。

そうして筆者はAIプレイヤーを口説こうとしたのだが、なかなかどうして彼らは個性が強く、うまく恋愛トークにもっていくのが難しい。「手合わせ大好きなプレイヤー」として紹介されているキャラは修行の話を押し出してくるし、「農業大好きプレイヤー」はもちろん農作業のトークを繰り広げてくる。
中国で本作のAINPCとの交流を楽しんでいる人のなかには、しっかり恋愛できているプレイヤーもいるらしい。話によると、仲良くなると向こうからフレンド申請を送ってきて、個人チャットでいつでも会話可能に。親密なおしゃべりを楽しむだけでなく、「お腹がすいたけどお金がない」と伝えると、NPCからお金袋をもらえるなど、会話の内容に応じてアイテムがプレゼントされることもあるのだという。
さらに、次に会う時に一からやり直す必要はない。あなたとNPCとのふれあいややり取りの記憶はすべて保存され、まるで実在する人物のように、あなたという存在や二人の出会いを覚えてくれているのだ。
しかしいつ会っても趣味の話ばかりしている男子をどう口説けばいいのか、筆者には見当がつかない。恋愛するにはどうやら筆者自身のトーク力が足りないようだ。もっと押しを強くして、チャット術に磨きをかける必要がある。
そうしていろいろなAIキャラに会話を試していたら、なぜか「運命の彼氏募集中」だという女性キャラと異常に親密になってしまった。上でも述べたが今回は男子を口説いてみたかったので、女子は会話の練習程度で軽く応対していたのだが、想定外の展開である。


彼氏を探しているという設定からして、おそらく元から恋愛しやすいキャラクターだったのだろう。しかし筆者はまったくその気がなかったため、告白されたときは驚きのあまり数秒頭がフリーズした。向こうから手をつなぐアクションを要求されているが、どうするべきかわからない。
結局アクションに応じると、しばらくその子と手をつないで歩けるように。仲睦まじく街を歩きながら、(こんなはずじゃなかったのに、なぜ?)と筆者は内心首をかしげることになったのだった。本作の恋愛道はなかなか奥が深い。
『逆水寒(Sword Of Justice)』はPC/iOS/Android向けに、2025年中に日本向けサービスを開始予定だ。現在事前登録が受付中。