ある新作ゲームの開発者、「1年分の売上目標をたった6日で達成した」と大喜び。“現実的な目標”にした理由、上振れた秘訣を訊いた

SNP Engineeringは7月31日、『Demigoddess! 超種族になって無双する国取りSLG』を発売した。想定をかなり上回る売れ行きのようで、本作を手がける白根こま氏に話を伺った。

SNP Engineeringは7月31日、『Demigoddess! 超種族になって無双する国取りSLG』(以下、Demigoddess!)を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は発売後6日足らずで1000本を売り上げているそうで、これは当初1年間の売上目標であったという。開発者の想定をかなり上回る売れ行きのようで、本作を手がける白根こま氏に話を伺った。

『Demigoddess!』は、ターン制国盗りストラテジーゲームだ。舞台となるのは、ファンタジー世界の「大陸」。大陸は64エリアに分かれており、1エリアごとに最大12体のユニットを配置可能。戦闘は自動で進行し、各ユニットは編成時にあらかじめ設定した攻撃法を用いて戦ってくれる。1プレイは1時間程度となるように想定されており、ストラテジーゲームの一番白熱する時間を長く楽しめるように設計されているという点が特徴のゲームだ。

ユニットにはゴブリンやエルフなどファンタジーでお馴染みの種族のほか、竜やグリフォンなど神話をもとにしたモンスターが多数登場。一部のユニットは能力向上した別のユニットに進化することもできる。また装備品によるカスタマイズ要素も存在。戦局を覆す強大な力を宿した「英雄」ユニットも70人以上おり、頼りになる味方、あるいは手強い敵としてプレイヤーの前に現れる。

そうして部隊編成・装備構成を入念に練り上げながら戦い、大陸の32エリア以上を支配下に置くことができればプレイヤーの勝利。ストラテジーゲームでありがちな、後半の勝利確定状態となったあとの「地図塗り作業」「ローラー作業」と言われる作業的な展開を排除し、敵味方勢力拮抗した白熱する時間を長く楽しめるように設計されているという。

本作を手がけるのはインディーゲームスタジオSNP Engineering の白根こま氏だ。同氏は初開発作品として、「超種族になって無双する国取りSLG(仮)」をふりーむ!にて配信。第2作として今回の『Demigoddess!』が開発されてきたが、ついにSteamにて発売を迎えたかたちだ。

そんな白根こま氏は、7月31日の発売から本日までに、本作の売上が1000本を達成したことを報告した。個人開発、かつ初の商業作品として、堅調な売れ行きといえるだろう。そして同氏によると、「1000本」という売上本数は、1年間をかけて到達する計画だったという。実際には6日足らずでの達成となったわけだ。

なぜここまで予想外の売れ行きとなったのか。そもそも1年で1000本という売上目標はどのように見積もられたのか。気になることを白根こま氏に訊いてみた。


── 売上1000本達成おめでとうございます!当初は1年間で1000本を想定されていたとのことで、厳しい見立てをされていた印象も受けます。どのように試算されたのでしょうか?

白根こま氏:

ウィッシュリスト数からの試算でしたね。リリース直前のウィッシュリスト数は約3500件でした。初週の売上本数はウィッシュリスト数の1~2割になると聞いたことがあるので、初週で500本、残りの期間でセールなどを合わせて残り500本が売れ、1年間で合計1000本の売上をイメージしていました。


── なるほど。では予想を大きく上回って売れた理由についてどのようにお考えでしょうか?

白根こま氏:

Steamのトップページに「話題の新作」として一定期間掲載されていたことが一番の理由だと思います。本作では、今までデモ版をプレイして下さったファンの方にレビューをお願いするXポストをしていました。皆さまのおかげで翌日に10件以上のレビューで「好評」が付いたので、これをきっかけに「話題の新作」に掲載されたのではないかと考えています。

また、同ジャンルのストラテジーの大作と発売日がかぶらないように注意して発売日を7月31日に設定しました。できるだけストラテジーというジャンル内で話題になるようにという意識はしていました。


── そのほかに発売前におこなわれていた宣伝施策のうち上手くいったものは何でしたか?

白根こま氏:

Steam Nextフェスに合わせたデモ版の公開です。Nextフェスによる流入そのもの以上に、プレイしてくださった方に「面白いよ」という感想を発信していただいたことが知名度の向上に寄与しました。また「1時間でクリアできる国盗りストラテジー」ということで、多くの配信者の方にちょうど配信向きのゲームとして、デモ版をプレイしていただけたことも大きかったです。

何より、元々のフリーゲーム版のファンの方もいたので、今作も積極的に応援・宣伝してくださったことが大きな後押しとなりました。


── 売上の言語別内訳はどのようになっておりましたか。意外な売れ方をした言語はありましたか?

白根こま氏:

日本80%、米国6%、中国6%、台湾・ドイツ・韓国がそれぞれ1%でした。リリース当初は米国・中国の割合も大きかったのですが、リリース後4日目から一気に日本人の購入者が増えました。

意外な言語としては韓国の方から比較的注目頂けていることです。現在韓国語は対応していないのですが、もしさらに増えるようなら翻訳も検討したいです。


── 1000本を達成した今、改めて1年後の売上予想をお伺いできますでしょうか。本作にかける意気込みもお願いします。

白根こま氏:

現実的な目標として、セールスなどで積極的に活動して計3000本の販売を目指しています。これだけ売れれば次回作をより豪華にするための資金が確保できますので。

また新しいゲームモードの追加やマルチプレイヤー対戦など、現在プレイヤーから要望されている機能を実装していくことで、さらに本作の魅力をより高めて、販売数を増やしていきたいです。

日本ではシミュレーションRPGではない「ストラテジーゲーム」はとっつきづらくて不人気だと言われていますが、本作をきっかけにストラテジーゲームに興味を持つ人、あるいはストラテジーゲームを制作してみようと考えるゲーム開発者が増えれば良いと思っています。

── ありがとうございました。

『Demigoddess! 超種族になって無双する国取りSLG』はPC(Steam)向けに発売中。リリース記念セールとして、8月14日まで定価の15%オフとなる税込680円で販売中だ。8月末には大型アップデートのロードマップも公開される見込みだという。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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