格闘ゲーム世界大会EVOで負けた選手が「全力すぎる悔しがり」見せ、困惑と笑いが広がる。10年前から続く“悔しがり芸”

格闘ゲームの大規模大会「EVO 2025」における、敗北した日本人選手のリアクションが大きく話題となっている。このリアクションは、10年前のEVOにてみられた場面の“再現”ともなっている。

格闘ゲームの大規模大会「EVO 2025」にて、敗北した日本人選手によるリアクションが国内外で大きく話題となっている。XではEVO公式アカウントも取り上げており、10年振りとなる“現場再現”に一部格闘ゲームコミュニティが沸き立っているかたちだ。

「EVO 2025」はアメリカ・ラスベガスで現地時間8月1日から8月3日にかけて開催されている世界最大級の格闘ゲーム大会だ。1995年にアメリカ・カリフォルニア州にて開催された「Battle by the Bay」が前身となっている。以後EVO(Evolution Championship Series)と名を改めたり、ラスベガスに開催地を移したりしつつ、『ストリートファイター』や『鉄拳』『THE KING OF FIGHTERS』といった数々の格闘ゲームタイトルの大会として、毎年夏に開催されている。近年では「EVO Japan」として春先に日本でも開催されるほか、今年10月にはフランス・ニースにて「Evo France 2025」が開催予定。ちなみに2021年にはソニー・インタラクティブエンタテインメントがRTS社と共同でEVOを買収した(関連記事)。

そんな本大会の『餓狼伝説 City of the Wolves』(以下、餓狼CotW)部門にてある場面がEVO公式に取り上げられ、話題となっている。『餓狼CotW』は、対戦格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズの最新作で、ロック・ハワードやテリー・ボガードなどといったキャラが登場。ブレーキングやジャストディフェンスなどが特徴のシリーズでありつつ、新作となる『餓狼CotW』では、攻防に活用できる「REVシステム」が追加されている。

先述したEVO公式の投稿では、試合を物語るという2枚の写真を添付。勝利の喜びを表す選手がいる一方で、頭を抱え大きく号哭するような素振りを見せる選手の姿が写った写真となっている。

今回話題になった選手は小路KOG氏とGO1氏。画像で大きく口を開けて頭を抱えている方の選手が小路KOG氏だ。小路KOG氏は『MELTY BLOOD』シリーズの強豪プレイヤーとして名を馳せており、そのほか『ブレイブルー』シリーズや『ストリートファイター』シリーズなど、マルチなタイトルで活躍する選手だ。一方のGO1氏も、『MELTY BLOOD』『ドラゴンボールファイターズ』『DNFDuel』などの複数タイトルで優勝経験のある強豪選手だ。今回小路KOG氏とGO1氏は『餓狼CotW』の勝者側準決勝で相まみえ、GO1氏が2本を先取して勝利した。小路KOG氏の叫びは、このときのものだ。ちなみにGO1氏はこのあと本選を優勝している。

EVO公式が投じた写真は、小路KOG氏が敗北した際の強烈なリアクションをカメラに収めているわけだ。ちなみに上述のポストに添付されているのは、当時の同氏のリアクションを切り抜いた動画。全体を通してかなり大げさなリアクションとなっており、さっそく国内外でネットミームのように注目を集めている模様だ。もちろん世界大会で敗北した悔しさも想像できるものの、「なぜここまで悔しがっているのか」といった風に海外ユーザーから不思議がられているようである。

そんな小路KOG氏のリアクションには実は“前日譚”が存在している。この前日譚は10年前、2015年のEVOに遡る。

小路KOG氏とGO1氏は、2015年のEVOにて、アクアプラス作品のキャラクターが多数登場する2D格闘ゲーム『AQUAPAZZA(アクアパッツァ)』のサイドトーナメントに出場。そして両名はグランドファイナルで対戦することとなり、小路KOG氏がリセットに持ち込む。その後小路KOG氏は3本先取のグランドファイナルリセットにて2本を先んじて獲得したものの、GO1氏にセットを連取されるかたちで優勝を許した。その際の悔しさが表出したのか、EVO 2025と同様の、大きく頭を抱えての号哭を披露した。後にこの動画を見た格闘ゲームの人気選手ウメハラ氏に「(映画「SAW」みたいに)足を切られたよう」と形容され、コミュニティ内で「足切断事件」とも呼ばれネットミームのように定着することになった。

この「足切断事件」を彷彿とさせるカードが、EVOの壇上配信台にて実現したわけだ。奇しくも当時から10年後、同じEVOの舞台で再びGO1氏の勝利によって小路KOG氏の“足を切られたような号哭”が響き渡ることになった。当時を知る人だけでなく、あまりの悔しがりっぷりを不思議に思うユーザーからも大きな反響を呼び、EVO公式にも取り上げられたかたちだ。SNS上では言語問わず話題となっており、半ばネットミーム化もし始めている盛況を博している。

なお小路KOG氏については、先日サウジアラビアにて開催されていたEsports World Cup 2025の『餓狼CotW』部門にも出場。惜しくもグループステージを敗退となってしまった際のインタビューでは、GO1氏に直接敗北を期したわけではないものの、号哭を披露していた。この号哭はもはや小路KOG氏のトレードマークともなっているようであり、今後も同氏の勝利に期待したいところではあるが、敗北時のリアクションの方も注目してしまうところだ。

Image Credit: Esports World Cup on YouTube

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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