KRAFTON、「『サブノーティカ2』の元リーダー陣は“職務放棄”していたので交代させるしかなかった」と怒りの表明。再三の注意も無視されたとして
KRAFTONは、『サブノーティカ2(Subnautica 2)』の開発元におけるリーダー陣交代について新たな声明を発表。このなかではリーダー陣が退任に至った背景に、“職務放棄”があったことが主張されている。

KRAFTONは、『サブノーティカ2(Subnautica 2)』の開発元Unknown Worldsにおけるリーダー陣交代劇について新たな声明を発表。このなかではリーダー陣が退任に至った背景に、“職務放棄”があったことが主張されている。
『サブノーティカ2』は、海洋惑星オープンワールドゲーム『サブノーティカ』シリーズの最新作だ。開発を手がけるのは、2021年よりKRAFTON傘下入りしたUnknown Worlds。本作ではこれまでのシリーズの舞台であった4546Bとは異なる新たな惑星が舞台となる。シリーズ作品として初めてマルチプレイが実装。最大4人プレイが可能で、クロスプラットフォームにも対応する見込みだ。
先日7月2日、Unknown Worldsにおいて3人のリーダー陣が退任することが突如発表。CEOであるTed Gill氏のほか、スタジオクリエイティブディレクターのCharlie Cleveland氏、およびスタジオテクニカルディレクターであったMax McGuire氏が退任することが伝えられた。KRAFONとしてはこの3人が引き続き開発に携わることを望んでいたそうだが、『サブノーティカ2』の開発から離れることが決定されたという。新たなCEOとしてはStriking Distance StudiosのCEOであるSteve Papoutsis氏が就任。同氏がスタジオの全体的なマネジメントのほか、クリエイティブディレクションも担うという。

そうしたなかでCharlie氏がXアカウントにて声明を投稿(関連記事)。同氏は今回の出来事が衝撃的(quite a shock)なものだったと述べ、自ら望んで職を辞したわけではないことを示唆していた。また同氏は『サブノーティカ2』はすでに早期アクセス配信を開始する準備ができており、ファンにプレイしてもらえる状態だとコメント。リリースの判断はUnknown Worlds側でおこなえるものと考えていたが、決定権はKRAFTONにあったといった内容を伝えていた。
そしてKRAFTONは『サブノーティカ2』について、2025年内に予定されていた早期アクセス配信開始を、2026年に延期すると発表(関連記事)。ただこの発表と同タイミングで海外メディアBloombergが情報筋の証言として、延期について報道。Unknown Worldsの買収時に、業績目標を達成すればKRAFTONが2億5000万ドル(約365億円)のボーナス報酬を支払う契約があったことを報じた。『サブノーティカ2』の早期アクセス配信の延期によって、業績目標の達成は困難になるとみられているという。
この状況を受け、『サブノーティカ』シリーズのファンコミュニティからはKRAFTONに対する批判が殺到。KRAFTONがボーナス報酬を“出し渋って”、リーダー陣の反対を押し切って退任させ、本作のリリースを延期したといった憶測も生じていたようだ。
一方でKRAFTONは今回、公式サイトやメディアを通じて声明を発表。リーダー陣の退任の背景を詳細に説明している。声明ではまず先述した2億5000万ドルについて言及。これはUnknown Worldsの買収時に定められたアーンアウト条項に基づく報酬であり、今回退任となった3名のリーダー陣に対して約90%が支払われる予定だったという。ただし条件として3名がリーダーシップを発揮し、積極的に開発に関わることが期待されていたとのこと。

ただKRAFTONは、元リーダー陣が与えられた責任を放棄していたと主張。まず本作が当初2024年初頭の早期アクセス配信開始を予定していたものの、タイムラインが大幅に遅延していたことを指摘している。
この背景として、声明ではCharlie氏について言及。同氏は2022年から早期アクセス配信され2024年にリリースされたターン制ストラテジー『Moonbreaker』の開発を主導していた。KRAFTONは同作の開発後に『サブノーティカ2』の開発に集中するように求めたものの、同氏は代わりに個人的な映画プロジェクトに専念し始めたという。実際、同氏は2023年の終わりにAbyssal Filmsという映画プロダクションを立ち上げており、同プロダクションの公式サイトでは、同氏が複数の映画プロジェクトに取り組んでいたことが説明されている。
KRAFTONによれば、Charlie氏およびMax氏に『サブノーティカ2』のディレクションを再開するように複数回にわたって要請したものの、両氏はこれを拒否したとのこと。リーダーの不在がディレクションの混乱を繰り返し招き、プロジェクト全体のスケジュールに大きな遅延をもたらしたと判断されたそうだ。同社によると本作は現状、早期アクセス版としてもコンテンツ量が不十分な状態だという。
KRAFTONは元リーダー陣の行動について、ファンの信頼を裏切る行為であり、深く失望していると表明。苦渋の決断としてリーダー陣の交代に迫られたとしている。一方で中核となる開発スタッフには熱意と責任感があり、KRAFTONは彼らをリスペクトしつつ今後も全面的な支援をおこなうと説明。またUnknown Worldsに残るすべてのスタッフに対して公平かつ公正な報酬を支払うことを約束すると伝えている。
元リーダー陣の退任についての騒動が広まりを見せるなかで、今回はKRAFTON側から退任の背景について説明された格好だ。名指しで特に“リーダーの責任を放棄していた”と批判されたCharlie氏を含め、今後当事者側の反応があるかどうかも注目されるところ。いずれにせよ、紆余曲折を経て早期アクセス配信延期が決定された『サブノーティカ2』が、新たなリーダーシップのもとで今後順調に開発されていくことに期待したい。
『Subnautica 2(サブノーティカ2)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに2026年に早期アクセス配信予定だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。
【UPDATE 2025/7/11 10:42】
Charlie Cleveland氏はKRAFTONに対して訴訟を提起したことを発表した。あわせて同氏は改めて『サブノーティカ2』が早期アクセス配信を開始できる準備が整っているとの考えを伝えつつも、同氏らの管理下にないことを説明。またKRAFTON側が説明した、2億5000万ドルのアーンアウトについて元リーダー陣が独占予定であったという内容は事実無根だとしている。