クラファンで約5000万円集めた注目JRPG『ALZARA Radiant Echoes』スタジオが突然閉鎖。開発は凍結

Studio Cameliaは6月17日、スタジオの閉鎖を発表。同スタジオが手がけていた『ALZARA Radiant Echoes』の開発も無期限の休止となる。

デベロッパーのStudio Cameliaは6月17日、スタジオの閉鎖を発表した。同スタジオは『ALZARA Radiant Echoes』を発表し、制作していたが、同作は今回の閉鎖にともない、開発が無期限に凍結されることとなる。

Studio Cameliaは、フランス・モンペリエに拠点を置いていたインディースタジオだ。『ゴーストリコン』シリーズや『Dead Cells』『Wakfu』などに携わったベテランスタッフも在籍していたという。

そしてStudio Cameliaが手がけていた『ALZARA Radiant Echoes』は、2026年にリリース予定とされていた3Dのターン制JRPGだ。『ファイナルファンタジーX』や『黄金の太陽』などといった日本のRPGから影響を受けたといい、『黄金の太陽』や『テイルズ オブ』シリーズに関わった作曲家の桜庭統氏が楽曲を提供。また『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』などで知られるイラストレーターのあんべよしろう氏がキャラクターデザインを担当していた。

本作の世界Alzaraでは魔法が失われたものの、唯一Taqsimと呼ばれる国だけが魔法の力の秘密を守っていた。そんな折、Taqsimは隣国から攻め込まれることに。Taqsimの次期指導者Kaylaは、侵攻から人々を守り、救うために冒険に出ることになる。ゲームプレイにおいては前後衛が入れ替わるスワップシステムなどが特徴として紹介されていた(関連記事)。

本作は2024年5月に発表され、Kickstarterにてクラウドファンディングキャンペーンを実施。5000名以上の支援者から目標額10万ユーロを大きく超える、約29万4000ユーロ(約4900万円・現在のレート)を調達していた。

しかし今回Studio Cameliaは6月17日、Kickstarter上で声明を発表。『ALZARA Radiant Echoes』の開発を中止し、スタジオを閉鎖することを明かした。同スタジオは2022年5月に設立され、自己資金に加えて、資金調達にも奔走しながら開発費を賄ってきたという。投資家や銀行などのほか、マイクロソフトの開発者支援プログラムであるDeveloper Acceleration Programにも選定され、想定されるゲームの開発費のうち半分は確保できていたとのこと。

しかしながら、残りの開発費の確保、および業界におけるパートナー探しには苦戦していたようだ。ゲーム業界そのものの景気の悪化も受け、Studio Camelia は資金調達の手段として先述したKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンを実施。パートナー企業に対する収益性のアピールも兼ねていたという。多額の資金を調達し、東京ゲームショウやD.I.C.E. Summitなどのイベントにもプレイアブルデモを出展してパートナー候補と話し合いをしてきたものの、契約には至らなかったという。

こうした厳しい状況を受け、もはや開発の継続は困難と判断し、スタジオの閉鎖に踏み切ったようだ。『ALZARA Radiant Echoes』の開発は無期限の休止。ただスタジオとしては第三者によるプロジェクトの引き継ぎを期待しているそうで、ふさわしい相手がいれば本作を託す可能性もあるのかもしれない。スタジオとしては4月28日に会社清算が宣言され、6月17日時点では法的手続きの進行中とのこと。またKickstarterで支援をおこなったユーザーへの払い戻しは実施できない状況だそうで、支援者への謝罪も綴られている。

多額の資金調達に成功しつつも、パートナー探しに難航していたという本作。特に昨年は欧米を中心にゲーム業界が不況にあったとみられ、注目作であってもプロジェクトの売り込みが難しい状況があったのだろう。フォーラムではユーザーから開発陣への労いの言葉なども一定数寄せられている。ただ開発陣からのアップデートが2月以降おこなわれず、4月の会社清算のタイミングでの声明が無かったことなどは指摘を受けている。高い期待が集まっていただけに、突然の中止発表には動揺も広がっているようだ。いつか何らかの形でプロジェクトが再始動されることも望まれるところだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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